今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い紫をベースに合わせは黄色基調の花柄プリント、真ん中に青のプリントを配してみました。
これまで使用してきた布地が中途に残りはじめてきましたので、これからいろんな三色使いを編んでみたいと思っています。案外面白い草履になるんですよねぇ。
私が「角館草履」を思い立ったのは、「よくあるご質問Q7」に詳しく記しています。中で『洋間に使う“和”、和室に使わない“和”の存在』の部分は、まさに「逆転の発想」と云えます。もっとも「室内履き草履」そのものは私の発案でもなんでもありませんから、最初の発案者がいてくれたからこその「角館草履」なわけです。
昨今、旧鷹巣町近辺からお越しくださるお客様が急増しています。これには明らかな理由があって、それは秋田内陸線の利用促進を図る運動なんですね。角館駅と鷹巣駅を結ぶ鉄道が秋田内陸縦貫鉄道、ここ数年存続問題が話し合われ、つい最近になって「ひとまず存続」が決まりました。
鷹巣からお越しのご家族、お父さんが草履を気に入ってくださりお買い上げです。鷹巣からお越しと聞いたので、『最近鷹巣近辺から来てくれる人が増えだんシ~、角館からは行ってるもんだがどうだか…』と言うと、『う~ん、鷹巣はなんにもねぇがらなぁ…』。
もちろん「なにもない」ということはありませんが、確かに角館のように「散歩する街」という印象はないんですね。
こちらのお父さんが提唱する内陸線活性化策が面白かったです。それは鷹巣で止まっている線路を、大館市経由で小坂町にある小坂鉄道と結ぶというものでした。小坂町には日本最古の木造芝居小屋として名高い「康楽館」があります。私はあいにく行ったことがないのですが、なかなか活発な活動をしていることは聞いていました。角館と康楽館を結ぶ直通電車、確かに興味をそそる話ではあります。
さらにお父さんは、『沿線自治体の負担金がひとつの焦点なんだがら、仙北市と北秋田市ふたつだけでなく、大館も小坂も含めればイイんでね!? 角館がら小坂まで通ってはじめて“内陸線”と呼べるど思うなぁ』。
冷静に考えて、その敷設費用がどのくらいかかるのか、またどこがどういう割り振りで負担するのか、さらに駅舎の人件費等課題は山積でしょう。
でも、「使う人がいないから廃止する」ではなく、「さらに大きくすれば利用価値が生まれる」という“逆転の発想”、考えるだけなら楽しいと思うんです。
そしてさらに大きな鉄道路線へと発展できたら、現在の内陸線を作ってくれた先人の労苦に報いることにもなるんじゃないですかね。
見ることも履くこともなくなった「ワラ草履」が、材料も配色も用途も変わり室内で復活しています。ここにも忘れてならない先人の労苦がありますね。