角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

福山雅治効果。

2015年09月30日 | 実演日記
昨日日本列島を駆け抜けたのは、「福山雅治結婚!」のニュースでした。その反響はスゴいものだったようです。私もかねてから福山さんに好感を持っていて、顔の良さはもちろんですが、優しい人柄が曲にも会話にも出ていますね。もうひとり、EXILEのタカヒロさんにも好感を持っています。タカヒロさんも顔の良さのうえに人柄が良さそうですし、書道の腕前には感心するしかありません。男性芸能人の中では福山雅治さんとEXILEのタカヒロさんが、私の思う「二大男前」でしょうか。

テレビも一日中「福山結婚」だったようで、昨夕帰宅後私も少しテレビを見ていました。二年ほど前に福山さんが将来の「家族像」を話しているインタビューで、子どもが生まれたら祖父母と同居、もしくは近所で暮らせるようにしたいと語っていました。その理由は、「親はどうしてもわが子を躾の名のもとに叱ることが多くなる。そんなとき祖父母の存在が緩衝剤の役目をしてくれる」というものです。

実は本格的に子育てを学ぶとき、これが出てきます。子どもと限らず人間にはある意味「逃げ場」が必要で、特に子どもの場合は祖父母がうってつけの存在となります。いわゆる無償の愛が子どもの心を穏やかにする、そういう時間が必要というわけです。学力テストの秋田県トップクラスが、祖父母との同居率にあるとの分析は理に適っているんですね。
結婚さえしていない当時の福山さんですから、本格的に子育てを学んでいたとは思えません。そこが感性でしょうから、ますますファンになりましたよ。

さて福山さんの結婚報道により、世の中の主婦がショックの余り家事を放棄している…なんて話がfacebookにありました。職場へ休暇届を出して傷心旅行に出掛ける女性もいるそうです。主婦が食事を作ってくれなければ外食産業が賑わいますし、傷心旅行に出掛ければ交通機関や観光地に消費が生まれます。これを「福山雅治結婚経済効果」と云えば、ファンの女性たちに対して少し不謹慎でしょうか。これからしばらくの間、出会うお客様に訊いてみましょうかね。
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おカネで得られない満足感。

2015年09月27日 | 実演日記
一日晴天の予報でしたが、午後からいっとき土砂降りとなった今日の角館です。にわか雨とは別に、今日の角館は人影が少なかったですね。確かに稲刈りがピークで農家さんは多忙でしょうが、晴れの予報で日曜日はもう少し賑やかになると予想していました。まぁ、そういう日もあるでしょう。

岡山県総社市からお越しのおばさまひとり旅。娘さんが転勤族のご主人に伴い盛岡市に暮らしているそうです。東北地方は初めての赴任で、おばさまも初角館はもちろん初東北とおっしゃいます。
『岡山に暮らしていると東北ってよく分からないんですよ。どんなとこかと思って来てみたら、いや~、とってもいいとこですね!』。
実際訪ねたらイメージと違うこともありますが、こちらのおばさまには「嬉しい誤算」だったようです。

自ら布草履を編むおばさまは、角館草履の素材や工夫にずいぶん感心してくださいました。見学時間は30分をゆっくり超えましたか。お帰りにはご自分用に1足と、お土産にミニ草履を四個お買い上げです。人影少ない今日ですからお買い上げも嬉しいのですが、おばさまの言葉がもっと嬉しかったですね。

『あなたの草履を見られただけで、東北へ遊びに来た甲斐がありましたよ!』

私も商いですから、日曜日はもう少しご来客がほしいところです。でもこちらのおばさまに出会えたことで、今日一日私の存在が価値あるものとなった気がします。おカネで得られない満足感ですね(^^)
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第25回100㌔チャレンジマラソン。

2015年09月26日 | 実演日記
朝と夕方に降雨があったものの、日中は曇り空の角館です。でも気温は下がりましたね。最高気温で22~23℃ですからこの時季の標準なのですが、シルバーウィーク前半に27℃があったせいで寒く感じます。半袖シャツだけで外を歩くのは、もうそろそろおしまいかもしれません。
稲刈りがピークを迎えつつあります。同時に秋の味覚が揃いだし、茸がずいぶん店頭に出ていました。大好きな「鍋」の季節が間もなく始まろうとしています。

角館はリピーターさんのお訪ねが多い話をかねてから書いています。この時期毎年同じお顔ぶれが訪ねて見えるのは、明日の「秋田内陸100㌔チャレンジマラソン」のランナーさんたちなんですね。日本全国数あるマラソン大会の中で、この100㌔をよくぞ選んでくださいましたと言いたくなりますよ。今日もお顔馴染みさん複数が、「毎度こんにちは~!」とお越しでした。お迎えするのもそれは嬉しいものです。

かつてのブログにも書きましたが、当地の100㌔マラソンに出場するランナーさんは、わざわざこの大会を選んでいらしています。聞けば九月の最終日曜日には、全国各地でマラソン大会があるのだそうです。それがなぜゆえ遥か秋田県の、しかも山道100㌔コースを選ぶのか。それはひとえに地元民の「歓迎」と聞きました。前夜の歓迎祝賀会、未明の出発時、走る最中の沿線、そしてゴール時。そのいずれにも地元民の温かさが溢れていると言うんですね。まさに観光地の原点だと思うわけです。

明日の天気は晴れで気温もマラソンにベストといいます。ひとりのランナーさんにこれを伝えると、『これで天候のせいに出来なくなりましたよぉ』。
とは言いながら満面の笑みを浮かべていました。悔いの残らないマラソンを願いたいと思います。そして明後日は、マラソン後の観光を愉しむ方々がお越しくださるでしょう。秋田の秋の味覚もぜひ愉しんでほしいものです。
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反省と学習能力。

2015年09月22日 | 地域の話
今日も気持ちの良い青空の一日です。シルバーウィークも後半に入り、20日や21日より少し人影が落ちてきました。春のゴールデンウィークもそうですが、終盤へ向かうにつれご来客数が少なくなってきます。明日の最終日はいつもの日曜日くらいでしょうか。
それにしてもこれだけ好天が続くのはとても嬉しいですね。散策されるお客様の笑顔が、さらに嬉しさを増してくれます。

安倍政権の推し進める「安保関連法案」が参議院で強行採決されました。採決の際に見せていた「棒倒し」のような人波は、ただの野次馬根性であれば面白い映像です。真剣になればなるほどの肉弾戦なのでしょうが、話し合いが目的の議会には相応しくない気もしました。
安保法案に反対する主張はいくつも見聞きし、確かに心配は分かります。でも私がどうにもしっくりこないのは、この法案が可決して即ち、日本がかつてのような戦時下に戻るとは思えないんですね。それは「学習能力」です。

日本人だけで300万人もの命が失われた太平洋戦争は、終結から七十年経った今でも折にふれ語られています。その当時の人々が次第に少なくなってきたのは分かるとして、それだけで戦争への反省が薄くなり、やがてまたあの忌まわしい時代へ向かって行くとの予測は、やや極端ではないかと思うんです。今の法案をなにほど詳しく調べていませんから、断言はしません。でもやっぱり私は、安倍政権や右翼的な人たちも含め、日本人の「学習能力」を信じる部分は大きいです。

角館のお祭り事故から二週間が経ちました。町では来年からのお祭りにさまざまな憶測が飛び交っています。意見や主張はそれぞれあっていいのですが、少なくとも現時点で「決まったこと」は何もないに等しいです。見聞する情報には十分な注意が必要でしょう。決まったこととすれば、加害曳山の焼却処分と来年のお祭り不参加を自ら公表しました。町では「二年後はヤマを出す」との解釈が一般的です。私見ですがこれとて、刑事責任の確定や遺族補償がこれからという今、「二年後」に言及したのはいささか腹立たしく思っています。

当該二丁内の身の振り方は別にして、お叱りを覚悟で言わせていただければ、来年のお祭りに特段の制約を設けなかったとしても、私にはあのような事故がまた起こるとは思えません。通常の手順を踏んだ本番激突で、歴史上死者の発生は一度もないことは先日のブログに書きました。今年の事故がいかに稀なケースであったかは明白です。それよりも大きいと思うのは、今このときこれだけの人間がそれぞれの立場で苦しんでいる、これを学習しない人間は角館に一人もいないと思うからなんですね。

そのためにはこの事故の結末に至るまで、角館人はしっかり見届ける必要があるんじゃないでしょうか。もちろんそこに野次馬根性は要りません。刑事責任は誰がどういった容疑で問われるのか。遺族はどの程度の賠償金を請求するのか。それをどうやって支払うのか。そしてその後のヤマとお祭りはどうなるのか。一連の経緯を知れば、自ずと自制心が働くでしょう。「激突至上主義」を過去のものとするのが、亡くなった同期生への一番の供養じゃないかと思うわけです。

「戦争はもう二度としない」。これを英霊の御霊に誓うことが、一番のご供養でしょう。
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仲間との遭遇。

2015年09月20日 | 実演日記
朝から気持ちの良い青空が広がる角館です。世の中は「シルバーウィーク」に入り、角館を散策される人影も大きく増えました。十月は紅葉見物のお客様が多数訪れるものの、お天気ひとつで散策気分が大きく変わります。今のシルバーウィークは晴れマークが連続していますから、もしかしたらこの秋最大の賑わいかもしれません。観光に生きる一人として、人の賑わいほど嬉しいものはありませんね。

秋田県八郎潟町からお越しくださった二人の女性は、『これまで機会がなくて、角館を散策するのは初めてなんですぅ』。
角館草履も気に入ってくださり、それぞれご自分用とおひとりは母上様の分もお買い上げです。お祭り過ぎはお客様が少なかったですから、少しだけ展示品が出来ました。サイズが合わずやむなくオーダーの場合もありますが、やっぱり現品をお持ち帰りいただくのが私も嬉しいですね。

岡山市からお越しの女性三人旅。みなさん郵便局に勤務されるお仲間だそうで、和気あいあい賑やかに旅を満喫しておいでです。こちらもそれぞれに角館草履を気に入ってくださり、うちのお二人がオリジナル配色でオーダーとなりました。ご注文カードへお名前とご住所の記入をお願いすると、『あれっ、郵便番号なんやった?』。
田園風景が広がる角館白岩で暮らすこと四ヶ月、野菜や山菜などこれまで馴染みのなかった食材が食卓へ並びます。すると『なんだ、これも知らねのが!?』とカミさんの父親から言われることがしばしばです。

郵便局員で郵便番号を覚えていない人と巡り合ったことは、私にとって仲間を得た心境であります。
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変わるお祭り。

2015年09月17日 | 地域の話
お祭りが終わりまた一つ季節の進んだ感があります。目覚めたときにはタオルケットと肌布団で体全体をくるんでいますから、この数週間ではっきり変わりました。でも日中の最高気温は今日も27℃まで上がったため、これでは体調を崩す人がいて当たり前です。おかげさまで私は元気ですが、世間には風邪ひきがずいぶんいると聞きました。町が静かなのは、そうした人たちが家から出ないせいもあるのでしょう。

9月10日のブログで触れた同期生の葬儀が、14日しめやかに営まれました。五十を過ぎて同期生の訃報に接すると、とたんに人恋しくなるものです。二日前に急きょ企画した同期生の「偲ぶ会」には、三十三名が集いそれぞれに故人を偲びました。「皆の顔が見たい」の想いがそれぞれから伝わり、私もいつもより帰宅が遅くなりました。そんなものだと思います。

この一件を受けて、世間では様々な意見や感想、あるいは主張が飛び交っています。その一つに「お祭り全面禁止」がありました。これには少し誤解があって、9月5日のブログにも綴ってある通り、角館のお祭りは「角館総鎮守神明社」と「成就院薬師堂」の例大祭です。お祭りそのものになんの責任も危険もありませんから、この意見は「ヤマを出すな」あるいは「ヤマぶつけ禁止」が正解と推測します。

こうした意見を耳にして、私は「原発事故」と似ている印象を持っています。津波による甚大な被害を出した福島第一原発事故を受けて、国民の多くが「原発廃止」を訴えました。それは「そもそも危険なのだから、日本中の原発を廃止しろ」が主張です。対して国と電力会社は、「福島の場合は特殊であり、対策さえしっかりしていれば大丈夫」。若干ニュアンスの違いはあっても、まずこんな感じだろうと思います。

原発はさておき、角館のお祭りで起こった事故(事件)は明らかに特殊な事情によるものでした。「そもそも危険」はよく分かります。酒を飲んで5トンもあるヤマを曳きまわす危険要素も理解できます。だからこそヤマにつく人間は注意を怠りませんでした。泥酔・酩酊状態の人間がいれば、若衆たちがヤマから引き離す様子をこれまで何度も見ています。そしてなにより、正規の手順を踏んだ本番激突で、歴史上死者の発生は一度もありません。

ただし「激突至上主義」を危惧していたのは先のブログの通りです。既存の「お祭り実行委員会」とは別に、「事故調査委員会」が設けられるそうです。これからいろんな角度で事故を検証し、来年からのお祭り指針を作ることになるでしょう。少し落ち着いた貫禄のあるお祭りになってほしいと願う一方で、代償は極めて大きかったと心底思っています。

町が静かなのは、こうした内情もあります。地元民が顔を合わせればどうしてもこの話題になりがちで、明るく振る舞うのが少し窮屈になってしまいました。何も知らずに訪れる旅人の笑顔が、いっとき救いをもたらしてくれます。
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人様を書く責任。

2015年09月16日 | 実演日記




今日の草履は、福島市の女性のオーダー草履です。今年6月1日のブログにご登場の、お着物姿で角館を散策されていた母娘さん。今回は県外で暮らす息子さんと娘さんへのプレゼントにオーダーを賜りました。「今日の草履」は娘さん用で、ご希望配色は「ピンク系の大人な感じ」。いかがでしょうか、気に入ってくださることを願って、本日の便で出発しました。

このブログをお読みになったことがご縁で、その後お訪ねくださったりご愛用者になってくださるケースがときにあります。九月八日お祭り中日の午後二時少し前でした。かねてからの知人男性がお連れになった女性は、演歌歌手の小桜舞子さんです。毎年九月八日に町内三ヶ所のお祭り舞台で歌を披露していて、もうずいぶん長いですから一つのお祭り名物と言っていいでしょう。
なぜ知人男性が出演時間までの僅かな時間を使い、私のところまでわざわざお連れになったのか。それが今年5月4日のブログというわけでした。




その日のブログに記述している「付き人のような人」が、こちらの知人男性です。かねてからこのブログをお読みくださっているおひとりで、5月4日のブログを小桜舞子さんへ教えたんですね。小桜さんがおっしゃるのは、『プリントアウトして事務所のみんなで読んだんですぅ。いつどんなことを書かれてもいいように、ちゃんと仕事しようねって話し合ったんですよ~!』。
お喋りしたのはこの日が初めてでしたが、知る人々が言うように純粋な女性でしたね。

日々出会う旅人の中には草履実演を写真に収めるだけでなく、ときにブログやYouTubeに投稿されているそうです。こうして人様のことを書くからには、自分もちゃんと仕事をしなければいけませんね。
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角館のお祭り 「再興」と「再考」。

2015年09月10日 | 地域の話
角館のお祭りが終わった今日、これまでは画像と共に楽しさを振り返るブログを書いてきました。それが今年、「残念」とか「反省」などの言葉では到底追いつけない、決してあってはならない事故の発生です。あえて言葉を替えれば、「事件」と言っていいかもしれません。
八日深夜、想定になかった曳山の激突により、私の同期生がヤマとヤマに挟まれ命を落としました。享年五十二。

「激突至上主義」とでもいいますか、角館のお祭りはヤマの激突が見どころと云われて久しいです。しかしこれが度を越している懸念を多くの年長者がしていました。これまで私が書いてきたブログにもそうした懸念が奥底にあり、お祭り直前9月5日のブログはまさにそこが趣旨だったわけです。
一体なにが理由でこの痛ましい結末に至ったのか。それは加害者の曳山が激突ありきでその場に入って来たのが明白です。事故ではなく事件と呼びたい気持ちがお分かりいただけるでしょうか。

人ひとりの命が失われた代償は、次第に明らかとなるでしょう。当該丁内曳山関係者の社会的制裁はもとより、被害者の年齢や家族構成、会社経営という社会的地位による遺族補償は甚大と予想します。被害者の奥様は放心状態が続き、葬儀を取り仕切るのは困難と聞き及びました。丁内会がご遺族を必死に支えているそうです。このような事故をひとたび起こせば、普通の人間がどうやってその償いを果たしていけるのでしょうか。

加害曳山が無期限で角館のお祭りから姿を消すのは想像に難くありません。曳山本体の焼却処分は漏れ聞きましたが、丁内各家々にある半纏もその対象となる気がします。毎年この日を楽しみに待っている丁内の子どもたちに、この事件を冷静に受け止めることなどできるはずもありません。
この一件で波及される影響は、考えるだけでも怖ろしいです。角館のお祭りに関わるすべての人々が悲しみに暮れています。お祭りが「再興」する以前に「再考」が必要でしょう。

明日まで実演をお休みする予定でしたが、14日の葬儀に参列するため差し替えました。明日11日は通常営業し、14日をお休みといたします。
また、今年のお祭りは忘れてならないと同時に、どこの丁内であろうとヤマを見るのがツラいです。今後のブログにお祭り関係の画像は控えることといたします。
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お祭りも旅の思い出。

2015年09月06日 | 実演日記
西宮家にほど近い立町大置山に、今朝人形が乗りました。黒木綿だけでは寂しかった大置山に、命と言いますか魂が宿った気がします。大置山は文字通り「山」を意味し、神が降臨する目印の役目をします。そして人形はその神の化身で、七日夕刻に神が乗り移り、十日の夜明けと共にまた天に戻ります。三百有余年これが続いていると思えば、自然とお祭りに対する真摯な気持ちが湧いてきますね。












山口県下関市からお越しのご兄妹旅、お二方とも七十歳ほどとお見受けしました。お兄さんは若かりし頃お仕事の関係で秋田市に移り住み、そのままご家族をもうけ四十五年に及ぶ秋田県人だそうです。下関から旅行に見えた妹さんと二人、角館散策を愉しんでおられました。妹さんが部屋履き草履を探しているのを知ったお兄さんが、かつて一度訪れた西宮家を思い出してくれたんですね。角館草履と巡り合った妹さんは、ことのほか喜んでくださいました。

そんなにいいものなら…ということで、お兄さんもご自分用をオーダーです。郵送になればお祭り過ぎの休み明けになるため、ふと思いつき私がお勧めしたのが「お祭り見物ついで」。せっかく下関から遊びに来ているのですから、角館のお祭りをぜひ観ていただきたいと思いました。すると妹さんが、『帰るの一日延ばすわっ!』。
明日中に編み上げ、八日の朝再度お訪ねくださることで決定です。角館の旅の思い出に、角館草履とお祭りが加わりました。私も嬉しさひとしおですよ。

お祭りの角館草履営業日と営業時間をあらためてお知らせします。
九月七日・・・10時~17時
九月八日・・・10時~15時
九月九日から十一日までお休みとさせていただきます。

西宮家米蔵前駐車スペースに設けられる「お祭りテント」の営業は、九月八日と九日の二日間で共に18時~22時です。私はそこで飲みながらお祭り接客をしております。お訪ねの際はぜひお声を掛けてください。
角館のお祭りはいよいよ明日から始まります。
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お祭りにおけるヤマの存在。

2015年09月05日 | 地域の話




今日の草履は、大仙市大曲のおばさまのオーダー草履です。ベースは日頃使用している「エンジ」と異なり、ミニ草履に多用している「赤」です。ミニ草履の配色をご覧になったおばさまが、『この赤が素敵ねっ!』。おそらく燃えるような情熱をお持ちなのでしょう。
同居されているご家族と嫁がれた娘さんのご主人も含めて7足のご注文は、お祭り初日の七日お引き取りの予定です。

いよいよ曳山にも人形が乗り始めました。西宮家が属する「本町通り曳山」も今日人形が乗り、あとは細かい作業がいくらか残るにしてもほぼ完成と言っていいでしょう。明日はもう前夜祭ですから、気持ちの上ではすでにお祭りですね。
七日は午後4時の号砲を合図に、十八台の曳山が角館鎮守神明社へ参拝に向かいます。午後四時は他丁内へヤマを進めることが出来る時刻で、自分の丁内の中はもう少し前から動き出します。本町通りは例年午後三時が出発時刻となっています。

お祭りにおける中心的存在があたかも「ヤマ」のように誤解されがちですが、決してそのようなことはありません。お祭りにヤマが出るそもそも論を言えば、神が降り立つその日に祝いの余興として町人が出したことに由来します。ですからお祭りの主役はあくまで「鎮守神明社」と「成就院薬師堂」です。お祭りの日どりが曜日に関わらず九月七日・八日・九日となっているのは、まさに神明社と薬師堂の例祭であるからにほかならないわけです。

ヤマがお祭りの主役ではなく余興の一部であることは、過去の曳山年表でも明らかです。現在十八台を数える曳山も少しずつ増えてこの数になったもので、昭和初期までは九台の時代が長く続いていました。地元ではこれを「旧」と「九」を掛けて「きゅう丁内」と呼びます。いわゆる「古参ヤマ」ですね。その当時は毎年必ずヤマを出すという習慣はなく、明治5年からの資料を見ると九台のヤマが揃い踏みとなったのは、明治26年と27年のたった二回しかありません。戦争激化の昭和19年にいたっては、たった一台しか出ていないんですね。つまり余興の一部であるヤマは、どこかが出してくれればお祭りが成り立ったということでしょう。

「角館祭りのヤマ行事」として平成3年国重要無形民俗文化財に指定されたこともあり、今は「角館のお祭り=ヤマぶつけ」のように思われているフシがあります。確かに最も興奮する場でもありますから、そのことに賛否を論ずるのはやめておきましょう。
角館衆の情熱が熱く燃えるお祭りまで、あと二日となりました。
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