角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

隠れた観光名所。

2006年01月31日 | 地域の話
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ21.0cm〔写真〕
とてもシンプルな配色です。落ち着いた色をお好みになるお客様にお勧めです。

ここ角館は、桜と武家屋敷がとにかく有名です。市観光課や観光協会が作るポスターも、この二つを前面に利用しています。もう一つ秋のお祭り飾山囃子(おやまばやし)も、近隣が多いながらファンはずいぶんいます。
そしてもうひとつ、全国的に知られた観光名所があります。全国的に知られた「人」というほうが適切かもしれません。

『藤あやこさんの家ってどの辺ですか?』

まだ草履実演をはじめる以前、一昨年の観桜会までは染井吉野で有名な檜木内川堤防近くに、なまはげキティちゃんなどを並べたお店を出していました。通りに面して私がいるので、観光客の方々はいろいろな問い合わせに訪れます。
一番多いのが、『車置ける場所ある?』。二番目に多いのは、『美味しいお店どこ?』。そして三番目か四番目が、『トイレどこ?』と『藤あやこさんの家ってどこ?』でした。

藤あやこさんは私のひとつ先輩で、中学時代からとても綺麗な方でした。私なんぞは近寄りがたい存在で、もちろん会話の憶えもありません。それでも、同じ時期に同じ町で暮らしたというだけで、テレビを観ていてもなにやら親近感を覚えます。

角館に縁のある芸能人では、柳葉敏郎さんも有名です。柳葉さんは角館高校を卒業しただけで家はないんですが、当時のご友人がこの町にたくさんいるようです。よく遊びに来るらしく、秋のお祭りなどは見かけたという人がたくさん現れます。

藤あやこさんもたまには帰って来て欲しいもんです。
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つりはいらねぇ・・・。

2006年01月30日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔写真〕
赤い花柄のベースに、エンジの帯を三本入れてみました。比較的ご年配のご婦人が、こうした赤の強い草履をお好みになります。

-思い出の実演日記その12-

『一日にどれくらい編むの?』

質問の多さではトップクラスです。『平均すると5足くらいですね』と応えます。
2005年6月のとある日。路上ライブ第一弾は、角館駅通りにある老舗のくだもの屋さんの駐車スペースをお借りしました。

『へぇ~、面白いことをやってんだねぇ~』

東京から一人旅を楽しんでおられると言う、中年のご婦人がお立ち寄りになりました。口調もきっぷの良い江戸っ子といった感じです。ご自分用にリサイクルシリーズMサイズをお買い上げになりながら、『一日にどれくらい編めるのサ~』。冒頭の言葉をお返しすると・・・

『えー!?、そんなんじゃたいした金にならないじゃん。それを聞いたんじゃあ、つりはもらえないよ。面白いもの見せてもらった、ありがとっ!』。

後にも先にも、『つりはいらねぇ』のお客様はこの方おひとりです。くだもの屋さんのご主人は、『空き缶かナンか置いでおげばイイね』。実演は見世物興行と思った最初でした。

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それぞれの熱・・・。

2006年01月29日 | 家族の話
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ22.0cm〔写真〕
オレンジ基調の花柄に、同系色の鼻緒です。可愛い草履になりました。これもいわゆる「一品もの」で、一足分の材料しかないため同じ草履は作れません。

昨晩のIQサプリに、知人の娘さんが投稿した問題が採用されました。小学5年の女の子です。わが家もよく見る番組で、合体漢字は双子の娘が特に関心が高いです。知っている子が投稿したというので、双子の熱も自然と高まります。小学5年が分かる漢字が、中1の私たちに分からないはずがないと取り組みましたが、結果解けませんでした。
答えは「自慢」。負けず嫌いの二女が、『5年で「慢」は習わねべっ』と叫んでいるそばで、長女は冷静です。『普通習うべっ』。
『よしっ、こっちも考えて投稿するがっ』と、二人で盛り上がっていました。

すぐにその子のお母さんの携帯へ、『わが家は全滅でした、お見事!』とメールしました。しばらくして返信があり、『去年の2月に投稿したのが今採用されたのよ~』。
これから問題を考えて投稿しても、一年後に番組があるか分かりません。これを教えると、双子の熱もすぐ冷めるでしょう。

ところで三女は、二度目の診察でインフルエンザと分かりました。こちらの熱が冷めるにはあと少しかかりそうです。
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逆境の中の幸福。

2006年01月28日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔写真〕
椿の花模様が入った浴衣がベースですが、巻かれてしまうとナニの模様なんだか分からなくなります。これも布巻草履の面白さだと思います。

-思い出の実演日記その11-

2005年5月のとある日。ゴールデンウィークが過ぎて、角館が少し落ち着きを取り戻した頃でした。

『失礼ですが、こちらの方ですか?』

以前も書きましたが、布巻草履が西宮家に代々伝わるものなのかを尋ねるために、これまで何回か同じように声を掛けられています。しかしこのときの印象は、それとはなにか違うように感じました。静岡からお越しになったとおっしゃる70歳前後と思しき老紳士は、私が西宮家とは無関係の人間と知り、また子孫はこの町にいないことが分かると、いささか寂しそうな顔をしました。
その理由は・・・

『私がまだ小学生の頃です、この家に疎開してきましてね。一年半くらいご厄介になったんですよ。大変な時代だったんですけど、毎日ごはんも食べさせてくれました。二つか三つ上の中学生がいて、私を本当の弟のように面倒をみてくれました。元気なうちに一言お礼が言いたくて訪ねてきたんです』。

5分ほど当時のお話をされて後、わずかながら笑顔に戻った老紳士はそのまま西宮家をあとにしました。
戦争という逆境の中、故郷から遠く離れたこの雪国で、少年はどんな気持ちで暮らしたんでしょう。「元気なうちに訪ねたい」とおっしゃるのは、辛いことばかりではなかったんだと思います。
もちろん私ごときでは遠く及ばない心境ですが・・・。
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友人はどこにでも・・・。

2006年01月27日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ22.0cm〔写真〕
深い緑色のベースに、水色の鼻緒です。緑と水で、「大自然」というタイトルにしました。今日も外は白い雪が舞っています。草履が少し寒く見えます。

これまでの草履実演で、全国のお客様とおしゃべりしました。そんな中に、その後もメールなどで連絡し合っている方が何人かおります。私よりずーっと年上の方々ばかりですが、お叱りを覚悟で私は「友人」と思っています。

茨城県在住のYさんご夫妻との出会いは、平成15年のゴールデンウィークでした。三人娘の手踊り披露の準備をしていた際に、偶然西宮家へ立ち寄られたようです。時間がわずかしかないとのことで、手踊りをご覧いただくことはできませんでしたが、絣衣装で近くにいた娘たちと写真をお撮りになりました。娘たちに住所を訊き、後日その写真がわが家へ届けられました。それからお付き合いがはじまり、この二年で三回ほどお会いしています。

茨城県の方と、なぜそれほどお会いする機会があるのか。Yさんご夫妻は「年金旅暮らし」をキャッチフレーズに、全国をキャンピングカーで旅歩くことをライフスタイルにしているからです。
一度、ご自身で編集する旅日記の小冊子をお送りいただいたのですが、北海道と東北の大自然をバックに、旅先での人とのつながりが綴られておりました。率直に『羨ましい』と思いました。気ままに旅ができる生活に対しての「羨ましさ」よりも、全国を旅することで各地に友人がいることへの「羨ましさ」です。

そんなYさんは、間もなく定年を迎える「団塊の世代」の人たちに、旅の面白さを紹介する本を書きたいとおっしゃっています。ぜひその中に、角館の宣伝を入れていただくよう頼んでおこうかと思っています。
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痛し痒し・・・。

2006年01月26日 | 地域の話
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ22.0cm〔写真〕
ベースと鼻緒を同系色で作ることがあります。こうすると、だいたいおかしな配色にはなりません。今日の草履もシックに決まりました。

今日、三女のスキー教室でした。学年ごとに毎年行われるのですが、スキー指導やスキー運搬、それに体調を崩す子どもが出た場合の世話人として、だいたい15人くらいの保護者が参加します。私はスキーが苦手なので、スキー運搬や記念撮影係りを担当します。

今学校ではインフルエンザやノロウィルスが流行してて、学年によっては閉鎖措置もとられています。毎年、スキーシーズンと病気シーズンが重なるわけです。
今日のスキー教室では16人欠席しました。70人分の16人ですから、決して少ない人数ではありません。もう少しみんなの体調が良くなってから‥とも考えがちですが、スキー場や保護者スタッフの都合もあって、日にちの変更はなかなか容易ではありません。

スキー教室の運営では、こうした保護者スタッフの不足と子どもの病気の流行が二大ネックになっています。気の毒なのは、前日から子どもが熱を出して参加できないにもかかわらず、その子の親が指導スタッフになっている場合です。今日は二人の保護者が、自分の子どもが参加していないスキー教室で汗を流しました。

いろいろなリスクがあるとはいえ、雪国秋田の小学校がスキー教室を取りやめるとなると、これもまた問題な気がします。スキーの出来ない私が大きなことは言えませんが・・・。

スキー教室から帰った三女が、熱を出して寝ています。心配していた通りになっちゃいました。
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重大な約束。

2006年01月25日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔写真〕
紫基調の花柄生地に、真っ赤な鼻緒をつけてみました。お洒落だと思います。

「角館」で検索したブログ投稿に、すべての方が返信をくださってました。冬になってから角館を訪れた方が多く、『次は桜が見たいで~す』という方が数名おられました。『ぜひお越しください!』と折り返し送ったのですが、じゃあいつ?というのが最大の問題です。

一昨年は早すぎる春でした。4月24日に満開を迎え、翌25日に季節はずれの降雪がありました。「満開の桜に乗る白雪」、狙って撮れるものではありません。20万人をくだらないその日の観光客は、歓声をあげてシャッターをきりました。そんな喜びとは裏腹に、ゴールデンウィークがスタートする頃にはすでに桜がありませんでした。

昨年は遅すぎる春でした。満開が5月1日、ほぼゴールデンウィーク最終日まで桜を見ることが出来ました。困ったのは、一昨年の桜で感激し、昨年も同じ時期にお越しになった観光客です。口々に、『なんだ~、咲いてないんじゃない~』。
昨年は4月16日から実演を開始したんですが、20日を過ぎたあたりから徐々にお客様が増え出しました。ある観光客は、ツアー会社が咲いていると言ったと憤慨し、またある観光客には、町の役場に問い合わせたら咲いてると確かに言ったと、町の住民である私も同罪の如く責め立てられました。
言葉でお叱りを受けるのはまだマシかもしれません。町営駐車場では、憤慨した観光客に添乗員さんが殴られた話まで聞こえてきました。

ブログ返信に、『今年の開花状況を毎日ブログでご報告しますね』と書いてしまいました。正確な情報をお伝えしないと、今年殴られるのは私かもしれません。
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時代が巡り、再会・・・。

2006年01月24日 | 製作日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔写真〕
紫色のベースは未使用の「丹前」の生地です。綿100%ですから汗吸いもきっと良いはずです。

タンスにしまい込まれたままの着物や、もう使い道がなくなった布地を日ごろから集めているのですが、この「丹前」の生地をよくいただきます。いつか作るつもりで購入していたのが、結局要らなくなったということなんでしょう。
かつてはどこの家でも普通に着ていた丹前ですが、見なくなってからずいぶん経ちました。もちろんわが家にもありません。最後に着たのは、サラリーマン時代に飛び込みで宿泊した長野県の旅館だった気がします。15年も前のことです。

「かつては愛用したモノが要らなくなってしまう」。日常にもよくあります。最近はワープロが要らなくなりました。でも高いお金で買ったので捨てる勇気もありません。

草履もそういう意味では、かつて愛されたモノの仲間でしょう。生活必需品であった草履が「靴」の台頭に廃れて行った、もちろん私も知らない時代です。
それから数十年が経過し、少し趣を変えて今またこうして作る人間と愛用する人間が現れたのは、とても面白いと思うんです。どこかに日本人の郷愁というのか、古き良き日本を感じるんじゃないでしょうか。

永いブランクを経て、今また丹前と草履が再会したと思うと、なんとなく笑みがこぼれます。いくら時代が巡っても、ワープロとは再会しない気がします。
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えっ、ステープル・・・!?

2006年01月23日 | 製作日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ22.0cm〔写真〕
一昨日のベースにオレンジの鼻緒をつけてみました。ときどきシャレで、草履に「タイトル」をつけて遊んでいます。この草履は「お花畑」にしました。左右を結んでいるリポンが、「蝶々」に見ようと思えば見えます。

今日、頭をケガしました。ミニ草履の在庫をダンボール箱に詰めて、頭上の棚に置きました。腰をおろした瞬間、頭の上にナニかが落下してきました。実演で使っている「草履台」です。どうやらダンボール箱に押されたようです。
久しぶりに「痛い」と思いました。近くにいたカミさんが、冷やすつもりでタオルに水をかけています。そのとき、頭を押さえていた左手にヌルッとした感触を覚えました。
出血です。自分の血を見たのは、草履作りの最中、左手の薬指をハサミで切った去年の六月以来です。頭の出血ですからカミさんも慌てました。タオルで傷口を押さえたまま、病院へ直行です。

受付から脳外科に通されました。看護婦さんが傷口をみて、『2ミリくらいですね、血も止まってますよ』。慌てた割に軽傷でした。念のためということで、言われるままにレントゲンとCTを撮りました。CTは初体験です。

結局どちらも異常なしでした。脳外科の先生が、『ん~、どうしようかナ?』みたいなことを言ったので、おそらく処置というほどの処置は必要ないんだなと思いました。しばし考えた先生、『ステープルしとくか』。

ん、ステープル?もちろん私に医学用語は分かりませんが、一般に「ステープル」と云えば「ホッチキス」のことです。
その通り、「ホッチキス」でした。ガチャンと一発。『はいっ、これでもう血は出ませんよ』。もしかしたら、これが一番痛かったかもしれません。
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はじめて会ったかも・・・。

2006年01月22日 | 地域の話
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔写真〕
ベースに雪の結晶のような模様が入っていて、なかなか面白い草履になりました。

昨晩の新年会から今朝帰りました。秋田市の歓楽街を「川反(かわばた)」と云うのですが、同期の中に「川反大臣」と呼ばれる人物がいて、いつも彼が幹事役となりセットしてくれます。今年の店もなかなか美味しくいただきました。

一次会から二次会へ向かうタクシーに、私を含め三人が乗り込みました。友人Fくんと、二次会場のクラブのチーママさんです。チーママさんは、私たちの接客に一次会から出席していました。
タクシーの後部座席に、私とチーママさんに挟まれる形でFくんが座りました。どんな会話からだったか忘れましたが、チーママさんと私が誕生日の話になり、偶然二人が同じ日だということが分かりました。
「2月16日」に生まれた人と、もしかしたらはじめて会ったかもしれません。会ったことはないのですが、北朝鮮の偉いお方がこの日生まれで、私の誕生日に毎年その国では花火が上がります。

チーママさんと二人、その話で無茶苦茶盛り上がっている間で、Fくんが大声を張り上げて会話に入ろうとしています。『まんずオレの話も聞げ!』を連発するのですが、私たち二人の口は止まりません。その様子を、笑いをこらえてうかがっていた人がいました。タクシーの運転手さんです。おもわず『プっ!』とふきだした音は、Fくんの大声よりも確実に私の耳に届きました。『スイません、可笑しかったもので・・・』とその運転手さん。

とにかくこの同期の飲み会は、場所がどこであろうとうるさいです。
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