角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

イクメンの経験則。

2013年01月31日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
これまでのブログでもたびたびご紹介していますが、女性は年齢が上がるにしたがって「赤」が入った草履を好みます。逆に「今日の草履」のようにシックな配色は、比較的お若い女性がお選びになりますね。ひとつの経験則と言えるでしょうか。

いつの頃からか「イクメン」という言葉が使われだしました。おそらく「イケメン」になぞらえた言葉と思いますが、つまり「育児をするメンズ(父親)」のことですね。
私が子育てサポートグループを立ち上げた10年前にはなかった言葉で、その頃からしきりと父親の育児参加が唱えられた気がします。

そもそも父親の「育児参加」という言葉自体、少しおかしいんですね。たとえば学校のPTAや町内子ども会のような地域活動であれば、「お父さんたちも積極的に参加しよう!」の掛け声は分かります。対してわが子の成長に直接関わる子育てに、参加・不参加の選択肢などあろうはずがありません。

そして昨今、進んでわが子と接する父親が増え出しています。「イクメン」という言葉が生まれたのも、そうした証しのひとつでしょう。メディアもこの流れを歓迎しますし、なにより子供にとってとても良いことです。
ただひとつ気になるのは、この風潮が世の中の常識になってしまうことで、子育てに関わる時間が少ない父親が「ダメおやじ」と呼ばれてしまう心配なんですね。

そしてもうひとつ、育児に頑張りすぎた父親が息切れを起こす例があるそうです。社会の流れや勤務先の指導もあって、増やした休みを子育てや家事に費やした結果、ヒドい疲労感に襲われるんですね。これでは自分にとっても奥さんにとっても、やがて子供にとっても良くないでしょう。

父親がわが子と接するのはとても重要と言いながらも、流行や強制で取り組むものじゃないですね。その家庭やその父親によって、やり方はいろいろあっていいはずです。もっと言えば、仕事に追われて休むヒマのない父親や、家事なんかとても上手く出来ない父親がいたっていいと思うんです。

肝心なのは、自分が出来ないことにも耳だけは貸すこと、気持ちだけは離れないことでしょう。「父親稼業その二十四-父親が子育てを手伝う!?」でも記した通り、「子育てのいろいろをお父さんがよく聞いてくれる」、それだけで救われているお母さんも多いんですね。

どんなに良いことと思えても、子育てについて誰かに「やらされて」はいけません。間もなく50歳を迎える三人娘のオヤジとして、これはひとつの経験則ですね。
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ジェネレーションギャップ。

2013年01月30日 | 地域の話




今日の草履は、お隣り大仙市大曲から遊びに来てくれた、5歳の男の子のオーダー草履です。サイズ表示はありませんが、19cmで編みあげました。
明日には届くと思います。早速新しい草履を履いてくださいね~。

こちらの男の子はおじいちゃんとおばあちゃんがご一緒で、三人とも角館草履のご愛用者です。前回のお買い上げから二年以上経過し、男の子は成長により履けなくなってしまったんですね。
自ら指定した配色は、なかなかシブくて素敵だと思いました。5歳と言えども「日本男子」ですよ。

世の中にはいろんな世代が暮らしているわけですから、当然「ジェネレーションギャップ」というものが存在します。わが家などもご他聞に漏れることなく、『それって昭和だよねぇ』などと三女によく言われますよ。

「ジェネレーションギャップ」とはまた少し違うのですが、いわゆる現役世代の中にある自分の年齢を考えたとき、決して若くないと思い知らされることが多くなりました。それはきっと私の子どもたちが、間もなく社会人となる年齢になったことが大きいと思います。

最近とある会社に簡単な見積もりを依頼しました。そのとき対応してくれたスタッフさんは、20歳代半ばと思しき男性です。パパっと計算し金額を記した紙を渡され、そのときはそのまま帰宅しました。

夜にカミさんとも話し合った結果、その金額で予約することにした私は、早速翌日その事務所を訪ねました。すると前日の男性は不在で、代わって対応してくれたのはやはり20歳代半ばと思しき女性です。その女性に金額が記された紙を見せると、「?」という顔をしたんですね。

どうやら前日の男性が計算違いをしたらしく、正規の金額より安く記したようです。間違いは誰にでもあることですが、私が気になったのは女性スタッフさんの対応でした。自身が示した金額の正当性を、とにかく私に訴えるんですね。本来まず彼女がしなければならないのは、同じ釜の飯を食う仲間のミスの謝罪でしょう。

おそらく10年前の私であれば、もしくはその女性の年代がもっと上であれば、『まず謝罪からじゃないですか?』と言ったと思うんです。でもそのときは言えませんでした。相手の年齢が余りにも若かったことと、わが家の娘たちもこれからどれほど迷惑をかけるんだろうなんて考えてしまったんですね。

それが良いことなのか悪いことなのか、判断の分かれるところですかね。
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国を代表する姿。

2013年01月24日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
ベースの明るく賑やかな紫に対して、辛子色の緒が少し年齢を上げますね。ベースがもっと落ち着いた色調だとシブ目になるところを、上手くバランスのとれた配色じゃないでしょうか。

角館には通年外国人が訪れます。他の観光地と比較して特に比率が高いとは言えないかもしれませんが、いずれにしても珍しいことはまったくありません。
私の実演席にもよく足を止められ、言葉など通じなくともしきりとシャッターを押してますね。おそらくですが、草履実演はいかにも「日本っぽい」と映るのでしょう。

でも実際に今の日本で、「草履を編む」という光景をまず見ることはありません。時代と共にワラ草履が不要となり、編む人も要らなくなりました。角館草履は室内で使用する健康草履ですから、確かにかつてのワラ草履とは異なります。それでも私の実演を外国人が見れば、日本を代表する「姿」のひとつに見えると思うんです。

12月19日のブログでご登場の「ゾウ使いさん」が、本日角館草履の取材にお越しでした。彼女の目的である草履の質問に答えながら、私は「ゾウ使い」の話が聞きたくて仕方ないんですね。これまで50年の人生で、ゾウに乗る免許を持った人は他に知りませんよ。

元来タイのゾウ使いの仕事は何かと言うと、山林から木材を運搬するゾウの「操縦士」です。それが近代化と共にその仕事が失われ、今では観光客を背中に乗せるゾウを操縦したり、曲芸を仕込んで見せたりが主だと言います。
そういう生活をゾウがどう思っているのか分かりませんが、かつての肉体労働はずいぶん減ったようですね。

ゾウの頭にゾウ使いが乗って、のそのそと歩く姿はいかにも「タイっぽい」と思います。どんなに時代が変わろうとも、外国人から見れば間違いなくタイを代表する「姿」じゃないでしょうか。いつまでもなくならないで欲しいものです。
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「がっこ」と草履。

2013年01月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
色使いは比較的シンプルながら、和の趣はしっかり表現されています。緒に使っているエンジのいらかプリントに、日本的な可愛らしさがあるからじゃないでしょうか。これからも準定番のように利用していきます。

西宮家に五つある蔵。そのひとつが「がっこ蔵」です。以前のブログでもご紹介した通り、「がっこ」は京都のお漬物を指す「雅香(がこう)」に因る言葉で、当地では漬物全般をがっこと呼ぶんですね。西宮家のがっこ蔵はその名の通り、かつて漬物など越冬食材を保管していました。

その「がっこ蔵」は、12月から翌3月まで閉められています。冬季間は仕込みの時季で、言ってみれば「売る」より「作る」シーズンというわけですね。それを知らずに訪れるお客様が毎年何人かいて、特に関東など遠方からお越しの場合は、ご説明するこちらも恐縮してしまいます。

種苗店を営む同級生がよく言うのは、『秋田の漬物が不味いワケがない』。
これは身びいきではなく、かけるコストに論拠があると言います。使用する野菜はもちろん、味噌や砂糖、焼酎といった素材にもお金を惜しまない。そのうえに手間ひまをかけますから、これで「不味いワケがない」となるのでしょう。

横浜市からお越しのご夫婦旅。当地の温泉を十分堪能したあと、新幹線の時間待ちで角館を散策していたそうです。西宮家の看板を見て中へお入りになり、角館草履と縁ある出会いになりました。ご夫婦それぞれにお気に入りの配色をお選びです。

お帰り際に奥様が、『時間が余って良かった~。いい買い物が出来たものっ』。するとご主人が、『角館は“たくあん”と“草履”だなっ』。
「たくあん」と言うのは当地の「いぶりがっこ」を指したものです。おそらく偶然試食に出会い、その美味さにお買い上げだったのでしょう。

素材をケチらず、手間ひまを惜しまない。その点は「がっこ」も草履も同じと思います。
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地域の常識。

2013年01月22日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
二種類共とても可愛らしい布地です。ベースの赤基調には桜の花びらが随所にプリントされていて、なんとも華やかで暖かい印象がありますね。桜の開花まではあと三ヶ月ですか。指折り数えるには少し早すぎます。

連日の新聞やテレビで、アルジェリアの人質事件が報道されています。邦人の安否が心配されていましたが、どうにも悲惨な結末を迎えました。
人質事件というのは日本でもときに起こりますが、国によってその対応の違いを知らされました。「地域の常識」と言いますか、平和な日本に暮らしている私たちにはよく分かりません。

大寒を迎えて、むしろ気温が上がった気がします。昼は日が差す時間もあって、気分的にも穏やかです。「雪を見たくて来ました~」のお客様には、なかなか好評ですよ。積雪量は1メートルほどをキープし、今冬も折り返しに着いた感じです。

角館が位置する秋田県内陸部で、今冬ここまでの積雪量は平年の二倍だそうです。対して秋田市や由利本荘市といった沿岸部に至っては、平年の六倍と言われています。六倍と言っても基本的に積雪が少ない地域ですから、1メートルなどはありません。それでもたいへんな苦労らしいですよ。

しばらく前から秋田市内の除雪状況がしきりと報道されていて、それは除排雪が進まないことへ市民から苦情が殺到しているんですね。路面はデコボコのまま凍結し、車を運転しながらおしゃべりしていると、舌を噛むありさまと言います。もちろん歩行者の危険も想像に難くありません。

なぜにそれほど除雪が進まないのか。一番大きな理由は六倍と言われる大雪です。他に除雪重機の不足だとか、もしかしたらオペレーターの技術不足があるのかもしれません。地方と言いながら人口30万人を超える秋田市ですから、一般車輌の多さが除雪を邪魔することもあるでしょう。

実は大きな理由のひとつに、秋田市民の「様々な言い分」があるそうです。中でも多いのが、就寝中の除雪車を「騒音」とする苦情なんですね。国道や幹線道路は夜から翌朝にかけて除雪車を走らせるものの、生活道路は午前9時から午後4時までの作業と言います。これでは除雪がはかどらないのは当たり前ですよね。

少なくとも積雪の多い内陸部ではありえない苦情と思います。「地域の常識」は、たった車で一時間の距離でさえ異なるんですね。
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布と出会いのストーリー。

2013年01月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
今年最初の「今日の草履」と、唐草部分が色違いになります。1月2日のブログでベース生地をご紹介しましたが、色調とまた別にこうしたストーリー性が好きなんですね。またいつか編んでみたい草履です。

「今日の草履」をお持ち帰りは、仙台市からお越しのご夫婦でした。お二人とも角館草履に高い関心をお寄せで、特にご主人がすぐにご購入を決められましたね。
定番配色②を一旦手に取られたご主人が、私の背中に展示してあった編んだばかりの「今日の草履」を見つけ、『その色が面白いかな?』。

そこで私が僅かに残っていた生地の切れ端をお見せし、そのストーリー性をご紹介したわけです。ご夫婦は即座に納得。奥様はその切れ端を、『記念にいただける?』。切れ端は捨てるだけですから、こちらも即座にOKです。
お正月からまだ日が浅い今だからこそ、この布地のストーリーが生きました。

お互いに縁を感じたときの笑顔は、しばらく脳裏に焼きつくものです。大人の休日倶楽部乗り放題期間は1月29日まで、まだまだ縁ある出会いがあるでしょう。
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冬のお土産。

2013年01月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
ベース色が落ち着いている分、カラフルな花柄が鮮やかに見えます。案外お若い女性が好まれるような気もしますが、さてどのような女性がお選びになるでしょう。

千葉県からお越しの女性二人旅。うちのおひとりが草履を気に入ってくださり、定番配色①をお選びでした。冬場はいろんな配色が在庫にあるのですが、人気の色は季節を問いませんね。
お二人とも大雪の角館を堪能しているご様子。千葉県にお住まいでは別世界の景色でしょう。

東京からお越しの男性ひとり旅。昨年の冬も北東北を旅した男性は、『いや~、去年も多かったですけど、今年はもっと多いですね』。やはり雪の量に少々驚いていました。
おしゃべりの話題は先日東京に降った大雪。『8cm積もられたら、私たちはどうしようもないですよ』と苦笑いの男性。確かにそんな映像が繰り返し流れていましたね。

スコップで除雪しようとしたところ、湿った雪がスコップに貼り付いて作業にならなかったそうです。当地ではそんなときに使う「シリコンスプレー」があって、どこのホームセンターにも売られています。男性に一本買って行かれることをお勧めすると、『もうそんなに降らないですよ~』。

関東地方の週間予報を見ると、また数日のうちに雪マークが出ていました。「やっぱり買って来れば良かったなぁ」と思わなければいいんですけどね。
冬場の新たなお土産に、除雪用具に吹きつけるスプレーはいかがでしょう。
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ヒマのあるなし。

2013年01月18日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
何度か登場している「魚ヘンプリント」も、残り僅かになってきました。プリントのイメージから男性用サイズばかり編んだのですが、女性用も一足くらいあって良かったかなと思っています。寿司さえ食えれば他はなんにも要らないと豪語する、わが家の三女みたいな人もいたでしょう。

昨日から「大人の休日倶楽部」のお得チケット期間が始まっています。毎回この企画中は主に関東圏からの旅人が増えるのですが、この二日間を見る限り多いとは言えませんね。明日からの週末を楽しみにしましょう。

15日・16日の二日間をお休みして、自宅周囲の除雪作業をしました。12日からの三連休でまた積雪が増え、角館でほぼ1メートルに達しています。少し水分のある雪と半日も格闘すれば、昨秋痛めた腰も治るヒマなしといった感じですよ。

草履コーナーの真上、西宮家米蔵の屋根がこちらです。







スマイルバスの運転手さんチームなんですが、屋根の雪下ろしは大仕事ですよ。疲れからか、風邪気味になった人もいたようです。
折りしも風邪とインフルエンザの流行期。真冬の商いがどんなにヒマでも、風邪をひいているヒマはありませんからねぇ。用心、用心。
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新名物 御狩場焼。

2013年01月13日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
この時期こそ少し寒く感じるとはいえ、青系の草履は男女を問わず人気が高いです。子どもに好きな色を問うと、男女共に「青」と「黄」が上位だとか。時代や年齢を超えて変わらないものは、ほかにも結構ありそうですね。

『角館の名物ってなんですか?』。
これは特に食べ物を指した質問なんですが、角館に根ざした伝統ある食べ物や料理を訊かれると、実はすぐに答えが出てきません。角館人もこれをひとつの課題と認識しているのでしょう、かつては「角館ラーメン」の開発が話題になりました。

しかし「名物料理」というものは、伝統や歴史の裏打ちが必須なのかもしれません。名物として紹介するときも、やはりストーリー性があるとないとでは説得力が違います。にわか作りの角館ラーメンは、フェードアウトの如く消えてなくなりましたね。

そんな中、昨年の暮れ近くでしたか、角館町観光協会が「御狩場焼(おかりばやき)」なる料理を売り出すというニュースを知りました。藩政時代角館を治めていた佐竹北家の殿様が、狩りの現場で獲物を調理して食べたという史料なんですね。特徴的なのは、調味料が「山椒みそ」という点です。

さすがに獲物を当時のままというのは無理がありますから、鶏肉を主としながらも限定は避けるようです。小さな鍋に鶏肉や野菜を入れ、山椒みそと共に煮るというのか焼くというのか蒸すというのか、まぁそんなイメージに捉えました。そしていつか食べてみたいと思ったものです。

昨晩は丁内会のオヤジたちが集まる新年会。幹事を任された私は、角館あきんど塾の忘年会でお世話になった「レストラン樅の木亭」を予約していました。そのコース料理の中に「御狩場焼」が出たんです。それぞれの飲食店によってオリジナルレシピなんですが、まず一店目の味はバッチリでしたよ。

藩政時代のお殿様や重臣たちが愛した味が、時代を超えて復活するとでも言いますか。歴史の裏打ち、ストーリー性、そして味。「御狩場焼」は角館ラーメンと同じ轍を踏まない気がします。


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過疎化の風景。

2013年01月09日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔五阡四百円〕
目が覚めるような真っ赤な草履を、男性用でも大き目な27cmで編んでみました。ネットのご注文フォームでも男性の「赤系おまかせ」は少ないですし、もちろん定番配色にもないカラーです。在庫作りが主な、冬場ならではの配色と言えるでしょう。

ここ二、三日は降雪が落ち着いています。ただ気温は低いですね。もう何日も真冬日から抜け出せないでいます。むしろこうしたときが、屋根の雪下ろしにはベストでしょう。ずいぶんの家が朝から屋根に上がっていました。

角館の第一印象は、実演席のおしゃべりで定番メニューです。首都圏に暮らす方々の多くが言うのは、景色に見える「すき間」なんですね。いわゆるコンクリートジャングルに慣れた人たちは、角館駅に降り立って見える景色に「すき間」を感じるというわけです。

密度が低いと言うのか、土地が広いと言うのか分かりませんが、そのすき間が心地良く感じるそうですね。特に夏は風通しもいいでしょうし、確かに都会と田舎の風景の違いがそこにあると思います。

実は近年、その「すき間」がとても多くなりました。理由のひとつは商店の廃業です。なんらかの事情でお店をたたむ際、建物が古い場合は取り壊して更地にします。そのほうが後の利用に有利なんでしょう。

それともうひとつ大きな理由は、無人となった家屋の解体です。独り暮らしをしていたご老人が、他県に暮らす子供の元へ引っ越す場合もあれば、施設入所やお亡くなりになってしまう場合もあるでしょう。
持ち主や相続人が建物を管理できず、さらに借り手がつかないほど古い場合は、どうしても取り壊すことになるんですね。

特に当地のような雪国では、屋根の重さに耐えかねた建物の倒壊はよく聞く話です。冬以外でも、管理する人のいない建物はいろんな意味で危険なんでしょう。管理者不明の古い建物を解体できるとした条例さえ作られています。

角館を訪ねる旅人が、心地良いと評価してくださる「街のすき間」。それは裏腹に、「過疎化の風景」とも言えるわけです。
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