角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

二万足に向けての配色。

2014年06月29日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
紫基調の和柄ベースに、同系色の紫を組み合わせました。色調が同じですから落ち着きもいいですし、艶やかにお洒落ですね。ところどころの金色がゴージャスな平生地がこちらです。



「今日の草履」をお持ち帰りは湯沢市からお越しのおばさまでした。古希の同級会で角館を訪れ、西宮家でお昼を食べるご一行様です。いくつになっても同級生はいいもので、とにかく笑顔の絶えない面々でありました。
もうおひとりも角館草履を気に入ってくださり、これにて23cmと24cmも完売となりました。ここまでのオーダーが落ち着いたら、すぐに展示品作りへ取りかかる予定です。

先日「一万足到達」について書きましたが、実演席にもポップを提げました。



初対面のお客様にもこの「一万足」はインパクトが強いようで、『何年かかったんですか?』『何歳から始めたんですか?』『そんなに売れるものなんですね』といったお声をいただきます。在庫が少ないのもこのポップがひとつの説得材料になるんですね。予想以上に反響が大きいので、調子こいて今年一年提げとこうかと思っています。

一万足の配色内訳は正確なデータがありません。私の印象ですが、人気一位の定番配色①だけで3千足にも及ぶと思います。在庫がなくなりオーダーが増えると、自ずとこの配色を編む割合も増えてきます。直近の二週間とこの先一週間は、この「紺の唐草にエンジ」を編まない日はないですね。

東京都八王子市にお住いのおぱさまからお電話をいただきました。『二年くらい前に送ってもらったんですけど、そろそろ新しい草履がほしいと思って…』。お好きな色をお訊ねすると、『今度はピンクで作ってくださる?』。まったく悩むそぶりもなく、色を訊かれたらすぐ答えようと考えていた速さですよ。お声の様子では七十代ほどでしょうか。私も嬉しくなりましたね。

茨城県と神奈川県からお越しのお若い女性二人旅。お二人とも履き心地を気に入ってくださり、おひとりは「ピンクでお任せ」、もうおひとりは「ももいろクローバーz」でオーダーとなりました。私も初めての挑戦となります「5色草履」、完成したら「今日の草履」でご紹介しましょう。

二万足に向かっては、様々な配色により磨きをかけて参る所存です。
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お届けはわが手元から。

2014年06月28日 | 実演日記




今日の草履は、群馬県太田市からお越しくださった奥様のオーダー草履です。展示してあった6月23日の「今日の草履」を見て、『ベースは同じで、組み合わせはお任せしま~す』がこちらになります。爽やかなブルーを組み合わせた一品、喜んでくださることを願って明日の便で出発です。

実演席でよく訊かれるひとつが、『東京とか出てくることはあるの?』。過去のブログにも書いていますが、とても多いお訊ねです。今日東京からお越しのご夫婦にも、『東京のデパートに来るなら出掛けたいね』と言われました。とても嬉しいお言葉ながら、角館で100%が完売される現状では計画すら立てることができません。実演席の対面で85%、ネットや電話の通販で残り15%が消費されます。

実はこれまで、通販会社から取扱いの打診を度々いただいています。一年に二、三件の問い合わせがあるでしょうか。担当者が代わるせいか、同じ企業から三度電話をいただいたこともありました。
「和」のページや「履物」のページに載せたいというのが主ですが、九州の通販会社から言われたのは『そこに行かなければ買えないものだけを集めたページを作りたいんです』。ん~、それをしちゃったらどこにいても買える商品になりませんかねぇ。

発売から間もなく十年を迎える角館草履ですが、確かに「通販」というものに力点を置くべきかを考えた時期がありました。世の中の流通に通信販売の占める割合が年々増加し、スマホの普及も手伝ってか多くの人々が気軽に利用しています。わが家の娘たちも装飾品はほとんどネット通販じゃないですかね。少額でしたが三女は一度騙されたことさえありましたよ。

私が最も通販を意識したのは、忘れもしない「東日本大震災」です。桜まつりこそそれなりの人出があったものの、あのときの寂しさは生涯忘れることはないでしょう。そのときに県外の常連さんから、「行けないので送ってほしい」のメールや電話がいくつもありました。本来なら遊びに行ったついでに寄りたいと思っていたお客様なわけです。天災や交通とほぼ無関係に注文できる通販、商いをしている者なら考えないほうがおかしいかもしれません。

現在の結論として、自身のホームページ以外で通販は一切していません。通販会社からの問い合わせにも、事情をご説明しお断りし続けています。
先の東京のデパートのお話をしていたとき、ひとりのおばさまが『あ~、いたいた!』と言いながら入って見えました。聞いてみると横浜市にお住いのおばさまで、一年前にお買い上げくださったとのこと。『洗い替えが欲しくて寄ったんだけど、もしいなかったらどうしようって話してたのっ』。

私はこうしたおばさまたちを大切にしなければならないと思います。角館を訪ねたくても叶わないリピーターさんには、私のホームページがあれば十分でしょう。今では私が創る草履たちをすべて、私の元から消費者へお届けすることに決めています。
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二つの顔を持つお父さん。

2014年06月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
紫基調の美しい和柄をベースに、エンジを組み合わせています。角館草履の王道的配色のひとつですね。和の趣に優しさが加わった一品と思います。
「今日の草履」は旧田沢湖町にお住いの常連さんが、最近元気をなくしているというご友人へのプレゼントにお持ち帰りです。優しい色使いの草履が、ご友人の元気の手助けになってくれたら幸いであります。

新聞記事を読んでいていつも不思議に思うのが、「詐欺被害」です。不思議というのも正確ではありませんが、よくもまぁ騙される人がいるのと、よくもまぁそんなに上手く騙すものですよ。これだけ注意を促す文言が世間に溢れているにもかかわらず、詐欺被害の報道が後を絶ちません。

最近多い「ロト詐欺」についてはなおさら思います。抽選した夜にはネットに番号が公開されますから、翌朝の新聞を待つまでもなく多くの人が抽選結果を知っています。そこに目を付けた犯人が「あらかじめ決まっている抽選番号を教えます」ってな言葉で大金を騙し取るわけでしょ。その新聞にも注意喚起の文言が載っているのですから、どうにも手の施しようがありませんね。

神奈川県鎌倉市からお越しのご夫婦旅。七十代半ばと思しきご主人が角館草履を気に入ってくださいました。ただ少し心配しているのが奥様です。お話によると、なんでも衝動買いする割には案外使用しないことが、これまで何度もあったんだそうです。それでもご主人は奥様の「注意喚起」に耳を貸しません。注文書に記入しながら、奥様のご心配を制止するようにおっしゃるのは…

『まぁそう言わないで、騙されたと思って買ってみればいいんだよ。でもまさかそんな詐欺みたいなものを作るわけないさ。で、何で送ってくれるわけ? 郵便? あっそう。オレオレ詐欺がよく使うなんとかパックっていうやつ?』

「衝動買い」と「用心深さ」、二つの顔を持ち合わせたお父さんでありました。
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支えて支えられて一万足。

2014年06月26日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き[五阡二百円]
和傘をベースに赤の唐草を組み合わせています。「和の粋」を表現したつもりですが、そればかりでなくなかなかお洒落に編みあがりましたね。「今日の草履」は岩手県八幡平市からお越しの女性が、ご主人へのプレゼントにお持ち帰りです。

年頭に当たり今年の目標といいますか、見込みについて当時のブログに触れていますが、六月も下旬に入って確実に言えそうです。販売累計一万足に到達いたしました。
平成十七年十月に初めて西宮家で草履を編むようになり、これが人様の前で実演するスタートでした。その以前から製作活動は始まっていて、当時の生業であった民芸品卸売の一部に草履もありましたが、完全に実演小売一筋となった十七年十月からの数量を累計しています。

スタートから三年弱は当時の生業と兼ねていたため、製作数は今ほど多くありませんでした。平成二十一年から本業に移行し、おおむね年間一千二百足を編み続けています。九年八か月での一万足が多いのか少ないのかは自分でも判断できませんが、草創期には思いも寄らない数量です。よくやったと自画自賛していいんじゃないですかね。

もちろんこれとて通過点。いきなり二万足を目標とするのは荷が重いですから、七月からも月産百足を丁寧に編み上げたいと思っています。
ひとまずここまで、延べ一万人に角館草履を履いていただきました。ご愛用者の体を支えて一万足、ご愛用者の声に支えられて一万足です。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げますm(__)m
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釈迦に説法。

2014年06月25日 | 実演日記




今日の草履は、埼玉県桶川市からお越しくださったご家族のうち、二十代と思しき娘さんのオーダー草履です。ご両親はさほど時間をかけず配色をお決めでしたが、娘さんはじっくり考えて結論を出しましたね。その分実物を見れば可愛らしさもひとしおでしょう。ご家族分3足揃って明日の便で出発いたします。

昨日のことです。一組のご夫婦が入って見え、奥様はそのまま米蔵の中へと進まれました。ご主人ひとりが実演席の前で足を止め、そのまま実演をじーっとご覧です。一分も続くと結構長く感じますから、『良かったらお座りになりませんか?』と丸太椅子をお勧めしました。白の開襟シャツにスラックス姿で、お歳の頃は私たちの親世代。ラフな出で立ちの中にも清潔感のあるお父さんでした。

丸太椅子のお勧めにも、ニコっと笑顔を作っただけで座ろうとはしません。中にはお喋りの嫌いなお客様もいますから、私もそのまま草履作りに集中することにしました。数分後戻って見えた奥様に促され、ようやく丸太椅子に腰を下したお父さん。開口一番おっしゃるのは、『とにかく懐かしくて言葉が出ながったのよ』。
決してお喋りが嫌いなのではなく、ご自身の子供時代を思い出していたようです。

現在横手市に暮らす七十八歳とおっしゃるお父さんは、山形市の外れに位置する山深い土地で生まれました。炭鉱夫を生業としていた生家はお世辞にも裕福ではなく、子供時代の履物はワラ草履のみだったそうです。しかも農家ではありませんから、そのワラ草履も購入しなくてはなりません。『オヤジから一ヶ月に2足しか買ってもらえなくて、そりゃあ大事に履いたもんだぁ』。これまで幾人ともお会いした「ワラ草履世代」、こちらのお父さんもしみじみと昔を語るんですね。

ただこちらのお父さんは昔話を語るだけではなく、私の草履そのものにとても高い評価をくださいました。かつての日本人が皆履いた草履を、美しく健康的に現代版としてアレンジしている。この点に深く感銘を受けたとおっしゃるんですね。まんざらお世辞だけでもないと思ったのは、滞在時間が一時間を超えたことです。そしてお父さんは、『こういう民芸品とか手作り品のコンクールがあるでしょ。出してみればいいのに。知事賞くらいは当然もらえると思うよ』。

そこまで誉められると私も悪い気はしません。角館草履の発祥経緯、ご縁を大切に日々草履を編んでいること、未だたったひとりだけの仕事であること、とにかく飽きずに数を創るのが肝だの、ものづくりのなんたるかに及ぶまで30分も講釈してしまいましたよ。その間ご夫婦はときにご自身の感想も述べながら、終始真剣に且つ笑顔で聞いてくださったんですね。

ひとしきり私の講釈が終わり、ふとお父さんの職業を訊いてみました。そしたらなんと、自動車鈑金一筋七十余年、平成17年には未だ全国で16人しか存在しない「現代の名工」を授かり、翌18年には黄綬褒章も受章された筋金入りの大職人さんだったんです。
『お父さんも人が悪いんシな~、これじゃあまるで“釈迦に説法”だんシよ~』と苦笑いの草履職人。そこでもお父さんはニコニコ顔のままでした。

聞けば炭鉱夫だったお父上の「これからは手に職をつけなければならない」の教えに従い、十五歳で自動車鈑金の世界へ入ったのだそうです。六年間の丁稚奉公生活を経て、二十一歳で縁により横手市へ移り住みました。当時横手市には自動車鈑金の技術がなく、お父さんが第一人者として今でもその世界の役職にあるそうです。
『とにかく数をやらせてもらったのが技術につながったなぁ』と振り返るお父さん。それって私がさっき口を滑らせてしまった言葉じゃないですかっ。

『横手サ来ることがあったら、必ず寄ってけれなっ』のお言葉は、それまでに感じたとおり社交辞令ではないと思っています。
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怒る権利。

2014年06月24日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ21cm土踏まず付き[四阡二百円]
赤茶の招き猫プリントには、同系色の赤の唐草を組み合わせてみました。シブ目の色調ながら決して地味ではないと思います。「今日の草履」をご覧のおばさまから22cmでオーダーを賜りました。やはり21cmの女性はそう多くありませんね。

ここ数日マスコミを賑わせている話題に、都議の「ヤジ」があります。未婚の女性に対して、しかも議場であんなことを言いますかね。私も基本的に「結婚奨励派」ではあります。結果として離婚した場合でも、結婚生活から学ぶことが実に多いと思うからです。これはこれまでも未婚の男女に話したことがありますが、したくても縁に恵まれていない人に対してまで言う話じゃないでしょう。

テレビに映る議場の様子を見て思うのは、女性都議もあの瞬間怒らなければいけません。決して苦笑いしている場面じゃないですね。『もう一度今のヤジを聞かせてもらえますか?』くらいのことは言って良いと思いました。人が怒る場面には必ず理由があります。理不尽で筋の通らない言動に出くわしたとき、人には「怒る権利」があるんじゃないですかね。相手の年齢も肩書きも、また立場も超えていいと思うんです。

ずいぶん前の話になりますが、夏場を迎えて草履在庫が枯渇していた時季です。ひとりのおばさまが23cm草履を希望されたのですが、そのとき一点しかありませんでした。おばさまが私に言ったのは、『好きじゃない色を買うんだから、値引きしてくれるでしょ?』。
よくある大阪のおばちゃんの『なんぼかまかる?』とは、まったく趣旨の異なる言葉でした。

事情をご説明し値引きできない旨伝えても、しつこく引き下がりません。そこも大阪のおばちゃんとは異なるタイプですね。最後通告とばかり私が言ったのは、『我慢して買われたら草履が可哀想でしょ』。これでおばさまはその場を立ち去りました。
売り手と買い手の立場を「上下」で言うのは本意ではありませんが、まず一般的に買い手が優位と言えるでしょう。明らかに下が上に怒ったのは、今のところこのときが最初で最後です。

私は若い人たちにも言いたいですね。理不尽で筋が通らない言動には怒ったほうがいいですよ。それでその人の価値が下がるとは到底思えません。ときに「怒ったところを見たことがない」なんていう人もいますが、そんな人格者がゴロゴロいるとは思えませんし、また自分がそうなろうなんて考えるのも百年早いと思ったほうがいいでしょう。

「怒る権利」を得るのに、性別にも年齢にも立場にも制約があったらいけません。
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得意な話題。

2014年06月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ21cm土踏まず付き[四阡二百円]
6月20日の「今日の草履」と色違いのベースになります。優しい緑基調なので、まずは緑を組み合わせてみました。侘び寂びの世界観とでもいいますか、穏やかな「和」がなんとも落ち着きますね。「今日の草履」をご覧の女性から、23cmでオーダーを賜りました。さすがに21cmの女性は少ないですからね。

日ごろから「よく喋る」と云われている草履職人も、苦手な分野はさほど口が回りません。たとえば花や樹木、車や機械、あとは魚も不得意です。あっ、食べるのは大好きですよ。
日々お会いするお客様の中にも、得意分野に話題が移ると途端に口の回る人がいるものです。政治経済や歴史もの、あとは料理なんかも多いですね。

広島県北広島市からお越しのご夫婦旅。共に角館草履を気に入ってくださりオーダーを賜りました。御代もいただき重要な話が終わったところで、ふと広島カープの話をしたんです。私はかねてからのカープファンで、それは中学生時代にまで遡ります。古葉監督で初優勝した当時、外木場・池谷・山本・衣笠・ホプキンス・シェーンなどの選手が大活躍しました。

その話題になった途端です。それまでも柔和なお顔立ちのご主人が、みるみるうちに笑顔になりました。そこから始まった「カープ講談」は15分にも及んだでしょうか。それこそご主人の大得意である分野だったんですね。しかも往年の選手とは今でもお付き合いのある人がいるとか。そりゃあ止まらなくなりますよ。

馴染みの薄い土地で地元民を相手に得意分野の口上を見せる。旅の思い出にあっていい一コマと思いました。
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観光地ワールドカップ。

2014年06月22日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
こげ茶基調の招き猫プリントには、組み合わせも茶の唐草にしてみました。何度かご紹介している「茶色の草履」は、なかなかお洒落な匂いがありますね。性別問わずこの配色を気に入ってくださる方がいて、「今日の草履」を含め27cmと23cm各一足ずつがオーダーとなり完売しました。福を呼び込めることが出来るか、平生地はこちらです。



大人の休日倶楽部乗り放題チケット期間に週末が重なると、角館も観光地らしい人出になっています。中には「大人の休日」に仲間入りしているはずのない、お若い女性ひとり旅もお立ち寄りでした。緑映える静かな街並みに夢を膨らませ、全国各地から旅人がお訪ねです。ベトナムからの研修生もお越しでしたから、ちょっぴり世界規模ですかね。

サッカーワールドカップにおいては、サムライブルーが苦境に立たされました。とある解説ではギリシャ戦を引き分けたのが、むしろ幸いのような話をしています。その理由も書いていましたが、勝つより引き分けたのが幸いなんて話はよく分かりません。いずれにしてもコロンビア戦を、2点差以上離して勝つことが日本の条件のようです。コロンビアの主力温存を願うより、日本のサッカーで勝ってほしいものです。

私にスポーツのことはよく分かりませんが、団体スポーツにおいて「チームワーク」が重要という話をよく聞きます。もちろんそれを否定するなどありえないにしても、その前に個々の選手の技量が問題じゃないでしょうか。個人技に乏しい選手だけでチームを組んでも、仲良しだけでは強い相手に勝てないんじゃないかということです。特に今のサムライブルーを指したものではありません。

そしてこれは、観光地や商店会といった組織にも当てはまると思っています。ひとりひとり、あるいは個々の店の「個人技」が弱ければ、いくらチームワークが良くても競争相手に勝てるとは思えません。むしろチームワークはあとからいくらでも作れる気がしますよ。技量のある選手にはどこからかパスが回ってきます。人も店も、己を鍛えることに執着するのが一丁目一番地と思うわけです。

神奈川県相模原市からお越しのおばさま三人旅。最もお元気なのは八十一歳の強者でした。『あたしは旅行が好きでどこへでも行っちゃうの。今年は赤毛のアンの故郷が見たくてカナダに行って、それからミュージカルが観たくてニューヨークに行ったわ。そして今回が武家屋敷を見たくて角館なのよ~』。

「観光地ワールドカップ」が仮にあったとしたら、角館は決勝トーナメントに進出できるでしょうか。
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和が恋しいお年頃。

2014年06月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
こちらも五月末に届いた新柄の一部です。ベースが優しい紫ですから、組み合わせも紫にしてみました。少し対象年齢が上がる気もしますので、優しいおばあちゃんにお勧めですかね。桜の小花が可愛い平生地がこちらです。



梅雨入りしてから寒暖の差で参っています。暑いと30℃にも達し、寒いと20℃ほどしかありません。今日がその寒い日で、作務衣の上着が離せませんでした。明日はまた27℃まで上がりますから半袖で十分でしょう。座って草履を編むだけの私より、散策されるお客様のほうが参っちゃいますね。

大人の休日倶楽部乗り放題チケットも三日目を迎え、明らかに散策される人影が増えてきました。ご夫婦旅が目につく中で、おばあちゃんのひとり旅がお立ち寄りです。東京に暮らして数十年というおばあちゃんは、元々角館のご出身。このチケットを利用して故郷のお墓参りだそうです。

「今日の草履」をお選びはこちらのおばあちゃんで、『真っ直ぐ駅へ行こうかと思ったんだけど、やっぱり散歩して良かったっ』と角館草履とのご縁を喜んでくださいました。お墓参り直後の出会いですから、ご先祖様のお導きですかね。お墓参りや神社を訪ねた後というのは、どこか清々しさを感じるのが日本人です。おばあちゃんからもそんな「和の心」を感じました。

昨夜とあるお宅で夕食会がありました。こちらの家主さんはプロの料理人で、仕事がお休みの昨日自宅で手料理の振る舞いがあったわけです。和食一筋の彼が造る料理は、五十過ぎのおっさんによく合いましたよ。年齢を重ねるほど「和」が恋しくなる自分に気づきますね。とても美味しくいただきました。









昨日のお昼に近い頃でしたか、知人女性がひとりの女性を私に会わせたいとお連れでした。唐草模様の作務衣姿に身を包んだ女性を一目見て、明らかな「和」を感じましたね。ご紹介いただくと「一杯の味噌汁プロジェクト」を主宰する食育コーディネーターさんで、お若いお母さんたちを対象に味噌汁作りを教えているんだそうです。味噌汁以前の味噌作りから指導するといいますから、まさに「和の職人」と言えるでしょう。

女性に活動の趣旨をお訊ねすると、『ほんとは味噌汁だけの話じゃないんです。伝え遺したいのは和の心ですよねっ』。
私は「お見事!」と唸りましたよ。知人女性が私に引き合わせたいと思ったのも、それが理由だったのでしょう。おそらくご縁はこの初対面だけで済まないと思います。和食で日本酒を呑みながらの「和談義」。いつかそんな機会が欲しくなる「職人」でありました。
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通販の着日。

2014年06月18日 | 実演日記




今日の草履は、横浜市中区にお住いの女性からの、メールによるオーダー草履です。ブログを遡り過去の「今日の草履」からご希望配色をサンプルとしていただいたのですが、現在の手持ち素材で100%再現は叶いませんでした。それでもこちらの草履が見劣りするとはとても思えません。気に入っていただけることを信じて、明日の便で出発いたします。

二日間のお休みが明けて実演再開です。そしてJR東日本大人の休日倶楽部乗り放題チケットも始まりました。初日ですから多いご訪問とは言えませんが、確かにこのチケットをご利用のお客様がお越しです。埼玉県上尾市からお越しのおばさまには、ご自分用のオーダーを賜りました。これからもう少しは人影が増えるものと思います。

特に観光業に生きる人たちから、桜まつり以降の「不振」を言う声が聞かれていました。桜まつりはみなさんそれなりの商いをされたようですから、その後の落差を言うのでしょう。確かに緑の季節となってからツアーの数も少ないですし、マイカー組の散策もやはり少ないと感じていました。実演席の丸太椅子が「空席」となる時間が多くなって、そこにも人影の少なさが分かります。

桜まつりが終わって母の日も過ぎると、在庫と呼べるほどの草履はもうありません。そうなると「衝動的」お買い上げが減りますから、実演での売り上げは推して知るべしです。
一方で通信販売は実演席の在庫量と無関係に、桜まつりが終わってからも一定の受注が続いています。むしろ暑さが本格的になる六月から増える傾向にありますね。

近頃この通信販売にトラブルが多発しているニュースを聞きました。注文した品が届かないのは言語道断ながら、誕生日などの指定日に届かないケースが多いんだそうです。草履職人となる前にギフト業を営んでいた経験から、「使用日」というものにとても大きな意味があることを知っています。12月26日にクリスマスケーキが届いたら嬉しさは半減ですよ。

昨日の夕方、わが家へ宅配便が届きました。長女がそれに気づき、『おっ、来たか来たか。遅かったなぁ』。その中身は長女が父の日に私へ贈ろうと注文した「焼酎セット」です。父の日に届かなかった理由はあえて詮索しませんでした。娘の気持ちには替えられませんからね。



13日のブログでご紹介したお母上の誕生日に贈る草履は、明日の朝一番で郵便局へ持ち込みます。お誕生日に届かなければ嬉しさ半減ですからね。
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