角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

寂しい季節。

2010年10月28日 | 家族の話


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
エンジ基調の桜花プリントをベースに、合わせはクリーム色基調の和柄プリントです。
角館草履の典型的な配色でしょうか。和が活きた美しい草履と思います。今日の平生地は組み合わせのほうをご紹介しましょう。表現は難しいのですが、こうした和柄が好きなんです。




今日の角館も寒かったです。一昨日は初雪観測さえ予報されましたが、今日までのところ平地でそうした気配はありません。明日はまた好天に恵まれるようですから、本格的な冬将軍到来は少し先になると思います。とは言え10月もあと三日を残すばかり、まず一ヵ月後は白い冬になっているでしょう。

今日現在の角館は、まずまずの人影を保っています。多少寒くても天気さえ荒れていなければ、市内外から散策を愉しまれる姿が見受けられますね。実演席の丸太椅子も、空いている時間と埋まっている時間が同じくらいでしょうか。これがだんだん空いている時間が長くなって、真冬の吹雪ともなれば一人も座らない日があるくらいですよ。そんな寂しい季節が、もう目の前なんですね。

わが家の三人娘は「寂しい」なんて言っていられません。今冬は三人揃って受検が控えているんですからね。特に高校三年の長女と次女は、すでに試験・受検スケジュールがびっしり埋まっているようです。一日とてムダに出来ない様子が、私にも伝わってきますよ。

長女と次女が志望校に合格したとして、二人とも自宅から通うのは無理です。さらに数年後に卒業し、資格を活かして就職したとすれば、またまた自宅から通うことはないでしょう。そしてさらにその後、めでたく結婚して新たな生活を始めれば、いよいよ私たちと暮らすことはないでしょうね。
そう考えると、私たち夫婦と三人娘の五人がひとつ屋根の下で暮らすのは、一生のうちであと五ヶ月もないことになります。

そんな寂しい季節が、もう目の前なんですね。
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「人を訪ねる」ということ。

2010年10月27日 | 実演日記


今日の草履は、千葉市美浜区からお越しくださった母娘さんペアの、娘さんからのオーダー草履です。『じゃあ、紺系のお任せでお願いしますぅ』がこちらになります。今日の便で出発しました。今月中には届きますよ~。

こちらの母娘さんペアがお越しになったのは、「ちいさん効果」も落ち着いた十日ほど前でした。お母さんが「ちい散歩角館編」をご覧になっていて、角館草履をお訪ねくださったというわけです。
『イイお買い物ができたわねっ』のお母さんの言葉が印象的でした。お母さんの草履ももちろん一緒に出発しましたから、お二人で早速履いてくださいね。

角館草履の発売から七年、公開実演開始から六年が経ちました。まだまだ始まったばかりの角館草履なれど、ここ二~三年は新聞や雑誌・テレビなどでも取り上げてくださり、私を訪ねてくださる方がとても多くなっています。
かつてサラリーマン時代は、樺細工を取り扱ってくれるお得意先を「訪ねる」のが常でしたから、「訪ねられる」という受身は当初不思議に感じたものです。

昨日は盛岡市のご夫婦、今日は仙台市のご夫婦にお訪ねいただきました。それぞれ角館草履のご愛用者です。実演席の丸太椅子に腰を下ろし、つかの間を過ごされました。そんなお客様との時間が、とっても大切だと思うんですね。
さらに今日は秋田市から、かつてのお得意先がお顔を見せに寄ってくださいました。同じ時代に同じ業種で飯を食っていた、いわば「同志」。お互いに今の「元気」を確認できれば、それだけで訪問の目的が達成された気になりますね。

今月三日に他界した叔父、そして昨年六月に他界した叔母は、角館で十八年を過ごしました。叔母は元来角館の出身ですが、叔父はまったくの東京人です。
鬼が笑いそうな来年の話、叔父の一周忌と叔母の三回忌を同時に営み、その後叔父と叔母の縁故を訪ね歩きたいと思っているんです。二人の晩年の様子を知己の人たちに伝えることで、十八年の締めくくりができるような、そんな気がするんですね。

「人を訪ねる」ということは、どんな場合にも意味があるのでしょう。
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自然との共生。

2010年10月25日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
グレー基調の半纏プリントをベースに、合わせは紺の絣風プリントです。
和のかっこよさが魅力的な配色でしょうか。「粋」という言葉がぴったりですね。
巻かれてしまうと分からない半纏プリントはこちらです。



10月も下旬に入り、いよいよ秋が深まっています。天気の良い日中は今でも20℃弱まで上がりますから、角館散策はまだまだ愉しめるでしょう。ただ武家屋敷通りの紅葉がずいぶん遅れています。山間部はそれなりに進んでいるようですが、今夏の猛暑のせいか、「赤」が悪いそうですね。春の桜で毎年感じることですが、自然が相手ではどうすることもできません。

今年はほんとに自然の脅威を思い知らされます。最近は奄美市、水害というものにほぼ縁のない当地では、想像すら困難な惨状でした。家の中にあった家具や電化製品はもちろん、その思い出さえすべて棄てなければならない心境はいかばかりでしょう。
そんな中ですごいと思うのは、『前向きに考えますよっ』と笑う住民の逞しさです。見習うべき点がありますね。

明日の角館はずいぶん気温が下がるようです。最高気温が一桁になると、地元民でもはっきり寒さを感じます。そのあとまた気温は回復するようですが、どうこう言ったところで二ヵ月後は真冬ですよ。
「ゲリラ豪雪」は勘弁して欲しいところですが、雪や寒さを嘆くばかりでなく、出来るだけ明るく冬を過ごしたいものです。
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建物あれこれ。

2010年10月18日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
グレー基調の桜花プリントをベースに、合わせは赤茶の小花プリントです。
落ち着いた配色ですが、決して地味ではないですね。組み合わせの小花が可愛らしさを表現しています。
「今日の草履」は完全一点もので、すでにお買い上げの方がおります。

ずいぶん寒くなりました。早朝の最低気温が一桁となり、今日の最高気温は16℃ほどです。我慢する必要はないので、下着を冬用に替えました。このさきもっと寒くなると、いよいよ綿入り作務衣の登場です。
能代市からお越しのおばさま、『寒くなってきたので、暖かい色で作ってくださる?』。これからの「お任せオーダー」では、こんな言葉も聞かれることでしょう。

米蔵に見える常連さんのひとりに、かつて大きな地主さんだった方がおります。ご夫婦でお越しになり奥様はお買い物、ご主人は実演席の丸太椅子に腰を下ろして時を過ごすんですね。
昨日の話題は「建物」でした。江戸末期から明治の頭にかけて造られた「蔵」をお持ちで、母屋もかなりの年代物と言います。その手の話は私も大好きで、夢のひとつは武家屋敷風か蔵造りの家に暮らすことなんです。

今日、関西弁を話す男性10名ほどがお越しでした。みなさん揃って草履に関心が高く、10名全員がオーダーされたんです。一日の売上10足以上というのは珍しくないのですが、10人グループ全員がご注文というのは初めてと思います。
こちらのグループが角館を訪問された目的というのが、「蔵の視察」なんですね。みなさんの職業は揃って「左官屋さん」、言われてみればどこか職人という空気がありました。

二日間「建物」の話題が続いたところで、明日と明後日はお休みとなります。先日他界した叔父の各種手続きのためなんですが、誰も住む人がいなくなった建物というのは、実に寂しいものですよ。
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ちりも積もれば…。

2010年10月16日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
エンジ基調の桜花プリントをベースに、合わせは青基調の桜花プリントです。
同じ柄の色違いでも、これだけ色調が異なると違和感がありませんね。女性であれば年齢問わずお勧めできる、綺麗な草履と思います。

公開実演でよくある質問の中に、『いつもやってるんですか?』があります。遠く県外から遊びに見えた方よりは、秋田県内など比較的お近くの方に多いでしょうか。いつも『用事があって休むこともありますけど、長く続けて休むことはないですよ~』とお答えしています。

昨年は身内の葬儀が相次いだことで、実演日数もその分大きく減りました。それが今年は、つい最近叔父の葬儀で八日間ほどお休みしたにもかかわらず、本日で251日を記録しています。この調子で一年終われば、今年の実演日数は過去最多が間違いないでしょう。
実演しているということは草履を編んでいるということですから、実演日数が多ければ多いほど編む草履の数も比例して増えるわけです。今年ここまでに編んだ数は、すでに1000足を超えました。まさに「ちりも積もれば…」ですね。

先回のブログで「禁煙」を書きましたが、これまで30年間の喫煙生活で費やしたタバコ代を計算してみると、おおむね350万円と出ました。これも「ちりも積もれば…」、実に惜しいお金です。でも過去を嘆くのはやめて、未来に明るさを見つけたいと思います。
このたび禁煙を考えずこのまま吸い続けていたら、80歳までの30年間で500万円以上がタバコ代に消えてなくなるはずでした。これを阻止したことは素晴らしいと思うんです。

タバコ代に消えてなくなるはずだった500万円の一部を使って、作務衣とデジカメを買おうと狙っています。やはり現金では残せない性分のようですなぁ。
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初心者あれこれ。

2010年10月13日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ21cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒地の桜プリントをベースに、合わせはエンジです。定番の「夜桜」を少し明るくした感じでしょうか。小さい21cmで編んだせいか、尚のこと可愛らしく見えますね。平生地はこちらです。




ここ数日、イ草材料をお買い上げのお客様が複数おりました。布草履の経験者でなんらかの草履台をお持ちの方は、いたずら半分で試したくなるんですね。最初の一足や二足で上手く編めるとは思えないにしても、イ草材料費500円で遊べると考えたら無駄遣いとも言えないでしょう。こんなときはいつも、『遊んでみてくださ~い』と見送ります。

昨日秋田市からお越しのおばさまも、『試してみようかしらっ!?』と二足分お買い上げでした。実演場面はちょうど土踏まずの部品を装着しているところで、『あら、その部品はどこに入ってるの?』。
私が『土踏まず付きは慣れてからですねぇ。初心者のうちは土踏まずを入れないほうがイイでしょっ』と言うと、おばさまは苦笑いでした。

でも最初の二足分で角館草履の面白さを感じ、その後もずっと練習を重ねて、いつか「土踏まず付き」まで編めるようにならないとは言えません。実際そこまで達した人も複数いますから、今後も“初心者”を大切にしたいとは常々思っているんです。

実は私も、とある“初心者”なんです。それは「禁煙」。7月から徐々にはじめた禁煙作戦でしたが、9月20日をもって完全禁煙に入りました。今日現在で三週間と少しですね。
9月20日は関東地区で「ちい散歩角館編」が放送された日で、なんとなくこれも縁かなぁと思ったりもします。

禁煙以前は一足編み上げるたびに一本吸っていましたが、今はただ実演席を立って軽く体操をするか、米蔵の周りをブラブラ歩いています。これを私は「ちい散歩」ならぬ、「ちば散歩」と呼んでいるんですよ。

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まずは足もとから。

2010年10月12日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤茶基調の洋柄プリントをベースに、合わせはレンガ色の洋柄プリントです。
同系色合わせの典型例ですが、洋柄から明るさを感じさせますね。こちらであれば年齢問わずお勧めできる気がします。

今日も『ちいさん観て来たのよ~』と、おばさまチームがお越しくださいました。総数5足のご注文も嬉しいのですが、角館へ足を運んでくださることで他にも消費が生まれます。まずは西宮家北蔵レストランでお食事をされましたね。これが最も嬉しい「ちいさん効果」なわけです。
それにしても、見ず知らずの方から『テレビ観ましたよ~』と言われると、なんかちょっと有名人になったようで照れくさいもんですね。

「ちい散歩角館編」が関東地区で放送される少し前、地元紙に角館草履が載りました。角館や草履のPRとは少し違って、新聞社が運営している住宅展示場の広告なんですね。著名でなくてもちょっと面白い作品を、そのイラストと共に掲載されています。西宮家での実演やわが家の連絡先などは一切触れてませんから、この記事が即ち売上に繋がることはないと思っていました。

それが昨日のことです。町内の30歳代と思しき女性が訪ねて見え、『実家の父から、新聞に載ってる角館草履を探してくれって電話があったんですぅ』。どうやら新聞に載った草履のイラストを見て、お父上自身が履いてみたくなったんですね。
こちらの女性は角館草履と言われても分からず、ずいぶんあちこちの知り合いに訊いて回ったようです。たいへんご難儀を掛けてしまいました。

そして今日、秋田市からひとりのおばあちゃんが私を訪ねてお越しです。『新聞読んで、なんとしてもこの草履見たくて探したんシもの~』。
詳しく聞くとおばあちゃんは角館のご出身で、秋田市へ転じて五十年とのこと。それでも角館には親類やらご友人がいらっしゃいますから、やはり角館草履の情報を得るためにずいぶん電話されたそうです。

首都圏から角館草履をお求めに来てくださることで、よもや天狗になるなどはありませんが、まずは足もとからしっかり知名度を上げなければいけませんなぁ。
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明日から17時閉店です。

2010年10月11日 | 実演日記


今日の草履は、横浜市神奈川区にお住まいのおばさまからの、お電話によるオーダー草履です。
「ちい散歩」を観て西宮家へお電話をくださったおばさまに、お好きな色を訊ねてみました。『そうねぇ、じゃあ紺と紫一足ずつ作ってくださる?』の紫系お任せがこちらになります。
予定より遅くなってしまいましたが、明日の便で出発します。気に入ってくださると嬉しいですね。

「ちい散歩」を観てのご注文は、ホームページを中心にぽつりぽつりと続いています。そして私が最も期待していたのが、『ちい散歩を観て遊びに来ました~』とおっしゃるお客様、案外多いんですよ。八日間のお休みのあいだに、はっきりと口にされたのが二組とのこと。お会いできなかったのは極めて残念でしたが、秋の角館を満喫されたことと思います。
そんなお客様が今日もお越しくださり、2足ご注文してお帰りでした。

さて秋真っ盛りを迎え、日の落ちるのがとても早くなりました。明日からの西宮家は、全館午後5時閉店です。
少しずつ白い冬へと向かう感じですね。
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明日から再開します。

2010年10月10日 | 実演日記
10月3日に他界した叔父、昨晩が初七日の法要でした。今朝祭壇が撤収され、家の中は入院中と同じにひっそりとしています。

ここ一年半で、四人の親族を見送りました。どんなことでも経験回数を重ねれば“慣れる”のでしょうが、葬儀の疲労感というのはいつも独特です。お祭り三日間をほとんど眠らず過ごす疲労感とも、多忙を極める桜まつりが終わった後とも違います。

明日から公開実演を再開させます。遅れているオーダー草履も挽回しなくてはいけませんし、なによりこの独特の疲労感を克服するためには、一日も早くフツーの生活に戻るのが良いと思います。

いわゆる観光シーズンは、残り一ヶ月ほどとなりました。間もなく色付くであろう紅葉見物を兼ねて、どうぞ角館へお越しください。
亡き叔父も武家屋敷通りの写真撮影が大好きでありました。
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一週間ほどお休みします。

2010年10月04日 | 実演日記
入院中の叔父が3日深夜、その生涯を閉じました。
たったひとりの家族だった叔母の元へ旅立ったと想えば、悲しいだけの葬儀と少し違います。

一週間ほどの予定で公開実演をお休みいたします。ご予約の草履は出来るだけ早くお届けできるよう努めますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

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