角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

「昔暮らし」と健康。

2007年11月30日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ21cm土踏まず付き〔4000円〕
赤唐草をベースに、エンジと紺を合わせた配色Ⅱパターンです。赤の唐草も人気の高い布地です、来年も定番配色として活躍してくれることでしょう。

今朝のテレビに森光子さんが出ていました。「放浪紀」の公演が間もなく二千回を数えるとのこと、87歳とはとても思えない元気さです。
それでも大事をとって「でんぐり返し」は自粛することになったそうですね、なんともレベルの高い自粛です。

和の履物が健康に効果がある話題は、これまで何度かお伝えしています。実演席でもこの話題は定番で、『鼻緒って体にイイんでしょ!?』とお客様のほうから尋ねられることもしばしばです。その具体的な効果をお教えすると、『あっ、そうなのぉ~、じゃあ昔の人は案外健康だったのかもねぇ』という言葉を何人からも聞きました。

ほんとにそうだと思うんです。草履やわらじはその一部で、生活そのものが健康的と言えるんじゃないですかね。日の出と共に起き、日中ひたすら働く、日の入りと共に夕げを摂り、夜と思えば床に就く、貧乏は庶民みな同じ、家族や隣近所みんなが助け合い、困ったときはお互い様、競争もなければストレスもない。
その時代に生きたわけではないので多分に推測が混じるのですが、こんな生活であったならこれこそ「健康的」と思えますよね。

もし現代の医学水準をもって「昔暮らし」が出来たなら、90歳とか100歳で現役の仕事をこなす人だって現れるかも知れませんね。それこそ世の中に森光子さんがいっぱい…、これは素晴らしいことだと思うんです。

米蔵スタッフのひとりに、病的(おっと失礼)な「犬大好き人間」がいます。飼っているミニチュアダックスをこよなく愛するのは、彼女ひとりではなく家族全員なんですね。
どうやら少々可愛がり過ぎた故に、人間の食べ物を欲しがって困るそうです。90歳になるおばあちゃんが、『次に飼う犬は、ちゃんと躾ねばダメだなっ!』。
今飼っている犬がこの先何年生きるかは分かりませんが、次に飼う犬の調教は90歳のおばあちゃんが担当するそうですよ。

こちらのお宅は集落の中の一軒、農業が主体のお家です。現代では限りなく「昔暮らし」に近いですから、やっぱり私の推理は当たっていると思うんですがね。

犬の話題が出たところで、久しぶりに「フク」の画像を掲示板へアップしました。
そしてもうひとつ、犬にかかわる話題を載せています。

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「無」から「有」へ。

2007年11月29日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、私の作品ではありません。当ブログにたびたび登場する「東京の仕入れ部長」が、8月に引き続き遊びに来てくださいました。もっとも8月は私が法事で不在の日だったので、ずいぶん久しぶりにお顔を拝見しました。
布地の仕入れも頑張ってくださいましたが、ご自身の草履作りも頑張っていたのが推察できますね。すでに100足近い実績をお持ちですから、これからますます美しい草履に磨きがかかることでしょう。
「東京の仕入れ部長」のお住まいは横浜市、見事「横浜の布巻草履」免許皆伝ですなっ!

昨日のブログでもご紹介しましたが、二年前の草履台発売からこれまで90人がお買い上げになっています。その中で「東京の仕入れ部長」のように、ご自身で編んだ草履を持って見える方は5人ほどでしょうか。90人中5人という率が高いのか低いのかは微妙ですが、少なくとも一年前は皆無でしたから、この「5人」という数字はとても意味が大きいと思うんです。「無」から「有」へ、大きな変化ですよね。

秋田市からお越しのおばさまお二方、年に数度いつも同じお二人で遊びに見えます。私とも顔馴染みで、いつも『ああ~、いたいたっ!』と言いながら米蔵に入って見えます。
ひとりのおばさまに、『日本中にこの草履履いてる人がいるんでないの?』と訊かれたので、『んだよ~。おかげさんで、角館サ遊びに来れば必ず顔見せでくれる人がいっぱいいるぅ』と言うと、『んだべぇ、私たちだって今日もいるがなぁって言いながら来るものぉ』。

ホントにありがたいことだと思うんです。角館に行けば、西宮家に行けば草履職人がいる。こう思ってくださる方がたとえ何人かでもいてくださると思えば、これがまさに今の私の“価値”なんだと思うわけです。それこそ公開実演をはじめるまでは皆無ですから、これも「無」から「有」へ大きな変化でしょう。

夕方近く秋田市からおひとりで遊びに見えたおばさま、『あっら~、ずいぶん久しぶりに来てみたら、スゴい草履と巡りあったわぁ!』。ご自身用と娘さんご夫妻、そしてお孫さん用をオーダーくださいました。
『こんな草履があったなんて知らなかったぁ』を連発するおばさま、これまで知らなかった、感じなかったものを新たに手に入れたのですから、おばさまにとっても今日がひとつの「無」から「有」に変わった日じゃないでしょうか。

2007年の公開実演も残り9日間、おひとりでも多くの「無」から「有」にお逢いしたいものです。

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還暦祝いは「○○○」。

2007年11月28日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ22cm土踏まず付き〔4000円〕
緑唐草をベースに緒は緑、真ん中に紫の無地を配してみました。展示品では久しぶりの三色使いです。
緑唐草は今年も大活躍してくれました。来年からは定番配色に昇格予定です。

西宮家を訪れたことのある方はご存知ですが、米蔵に沿って細い小路があります。ここを通ると米蔵の中に入らず道路に出られるため、米蔵内部をご存知ない方はなんとなくここを歩くことがあります。
でも、ここを通っても私の実演席は窓越しに見えるため、ふと足を止めて中を覗き込む方が少なくありません。草履を編みながらでも、そんな様子がよく分かるんですね。

千葉県鎌ヶ谷市からお越しのおばさま二人旅、こちらのお二人も窓越しに覗き込んでいました。『あらっ、なんか作ってる、草履じゃない!?』とおっしゃりながら入って見え、『まあっ、綺麗な草履!』。うちのおひとりが布草履の作り手で、こうした方ほど私の草履に理解が早いです。

しばらく実演をご覧いただきながら、口頭であれこれご説明しました。『私もやってみたいなぁ』とおっしゃるので、『まず草履台が必要だし、悩まなくて済むように編み方ビデオも必要ですよ。あとイ草の材料も何セットかはないといけないから、じっくり考えてあとから連絡してくれてもイイですよ』とお伝えしました。その場でしばし考えたおばさま、『やっぱり注文して行くっ!』。

するともうひとりのおばさまが、『じゃあ、私がプレゼントしてあげるよっ!』。聞いてみると、草履台を欲しいおばさまは明後日還暦のお誕生日を迎えるんだそうです。誕生日プレゼントと還暦祝いが「草履台」、まさに“パーソナルギフト”じゃないですかね。

10月8日に通算90人目の草履職人が誕生して、草履台の在庫が底を尽きました。翌日から「ご予約で承ります」の張り紙を貼って対応していましたが、今日の鎌ヶ谷市のおばさまで5人がご予約です。
91人目は大仙市大曲のお母さん、92人目が東京都杉並区のお母さん、93人目が横浜市港南区のお母さん、94人目が茨城県北茨城市のお母さん、そして今日のおばさまが95人目です。

今年の実演で記念の「100人」は難しそうですが、来年の開幕早々に100人目をお知らせできると思うと、楽しみは残しておこうという気になりますね。
もちろんそのXデーは誰にも分かりませんが、100人目が「誰か」ということだけはなぜか分かってるんですねぇ。夏からずーっと100番目を狙い続けている「犬博士」さん、お楽しみはきっと来春ですよ~!

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「マニュアル」と「心」。

2007年11月27日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズLサイズ25cm土踏まず付き〔4500円〕
レンガ基調の梟(ふくろう)プリントをベースに、緒は同系のエンジです。ふくろうの目玉を拡大写真に撮りたかったんですが、なんかこの顔はわが家の「フク」に似ています。フクロウの「ロウ」が抜けてしまいました。

今日米蔵スタッフのひとりが、とある勉強会へ参加するとのことで外出しました。夕方戻って内容を聞きかじると、「分かっているようで忘れている」いくつかを再認識させられましたね。

もう二十年も前のこと、かつて勤務していた会社の見本市出展のため、東海地方の大都市を訪れました。仕事が終わり軽く一杯飲んで、『なんか食いたいなぁ』の私の言葉に、社長がとあるうどん屋さんへ連れて行ってくれました。わが社の社員4人に出展仲間の社長が2~3人、合わせて6~7人いたと思います。店に入るとお客様はまばらでした。

空いているテーブルは4人掛けでしたから、隣同士のテーブルを30~40cmほど移動しひとつにして座ると、ホール係りの店員が血相を変えて『勝手に動かされると困ります』。
おそらくこれはその店のマニュアルなんでしょう、「了解を得てからにしてください」ではなく、明らかに「動かさないでください」が店員の主張でした。

西宮家北蔵レストランは、昼時を中心にほぼ毎日席が埋まります。満席になるとスタッフは、お客様のお名前と人数を確認し「予約」とします。ここまではどこの飲食店も同じですが、ただ待つのは退屈ですから、『どうぞ米蔵をお楽しみください。お席が空きましたらお知らせに伺います』というのが、北蔵レストランのマニュアルなんですね。レストランと米蔵は目の鼻の先ですから、そうした席待ちのお客様が私の実演席にもよくいらっしゃいます。

あるときご高齢のご夫婦が、同じように席待ちのあいだ米蔵を見ていました。レストランスタッフの女性が、『お二人でお待ちの○○様、お席のご用意が出来ました』とお呼びすると、『あっ、は~い、今行きますぅ』。でもそのとき奥様は、とても興味のある品物をご覧になっていたんでしょう、すぐには向かいませんでした。

その間レストランスタッフの女性は、笑顔を絶やすことなくレストランと米蔵の中間、私の実演席の隣でご夫婦を待っていたんですね。これに気づいた奥様、『あっ、ごめんなさい、待っててくれたのねぇ』。言葉は「謝罪」でしたが、そのお顔には「感謝」が見て取れました。

席が空き次第、お待ちのお客様にしっかり伝えることはマニュアルにあると思います。でも、お客様をレストラン内まで必ずお連れすることまではマニュアルにないと思うんです。実際、『もう少しお店を見てから行きますぅ』なんていうお客様もいますから。
スタッフ本人に確認したわけではありませんが、おそらくこのときご夫婦を待ったのは、お二人がご高齢だったからじゃないかと思うんですね。

今日米蔵スタッフが参加した勉強会で最も印象深い言葉は、『マニュアルがすべてではない、お客様が望むよりほんの少し多くの“おもてなしの心”が重要』。
分かっているようで忘れていた言葉です。

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どこに住んでも秋田人。

2007年11月26日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズLサイズ26cm土踏まず付き〔4500円〕
巻かれると分からなくなるのですが、このベース生地には無数の「鷲」がプリントされています。緒も比較的同系の辛子色にしてみたところ、なんか洋風な感じがイイですねぇ。お洒落に履いていただきたい一品です。

初雪からいっとき積もった雪も、ここ数日の暖かさで消えました。これでフツーの11月下旬になった気がします。散策のお客様も、『案外暖かいんだねぇ』。でもこんな日はあと幾日もないでしょう、間もなく本当の冬がやって来ます。

東京都八王子市からお越しのお若いご夫婦、共に草履を気に入ってくださり、奥様は展示品から、ご主人はお好きな色でオーダーです。
『角館ははじめてですか?』とお尋ねすると、『私の父がこの近くの出身なんですぅ』と奥様。お父上は旧中仙町のご出身でした。

もうお若い頃に上京し家庭をお持ちになったお父上は、『雪が嫌いで秋田を離れた』と娘さんである女性に話しているそうです。
確かに当地の冬は厳しいです。昨冬こそ積雪ゼロで暮らしましたが、そんなことがこの先たびたびあるとは到底思えません。フツーの冬で積雪1メートル、一昨年の冬は2メートルを超えました。こういう地域ですから、特に冬場の仕事が激減します。通年同じペースで暮らせる首都圏へ向かう若人が多いのは、当たり前といえば当たり前ですね。

女性に、『お父さんもたまには帰省するんですか?』と尋ねると、『滅多に来ませんねぇ』。さらに、『あなたのお父さんだったらまだ若いでしょうから、仕事もしてるんでしょ?』と尋ねると、『はい、現役です。ただ、酔っ払って転んだ拍子にちょっと怪我しちゃってるんですけどね、はははっ!』。

ご存知秋田は「酒の国」、どこへ住んでもそこらへんは秋田人なんでしょうね。12月の忘年会が三つほど予定されています。私も転んで怪我なんかしないように…ですね。

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旅の空から『何センチ?』。

2007年11月25日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズLサイズ26cm土踏まず付き〔4500円〕
藍色基調の絣風をベースに、緒はエンジです。「秋田おばこ調」の典型ですが、この手の配色で男性向けも案外喜ばれます。
オーダーもだいぶ落ち着いて来ましたから、ずいぶん久しぶりにLサイズの展示品を作っています。これからも男性向けの「赤い鼻緒」、どんどん編みたいですね。

トップページの価格表にある通り、私の草履は15cm~30cmまで1cm刻みに細かく分けられています。こうした「編む草履」としては、かなり珍しいと思いますね。調べたわけではありませんが、もしかしたら日本に私だけかも知れません。
これをはじめたのは、公開実演をスタートしてしばらく経ってからでした。当初はまず一般的と言える「L」「M」の二通りだけです。実際のサイズも「L」をおおむね26cm、「M」をおおむね23cmとし、おそらくそれぞれ1~2cm程度の範囲でまちまちだったと思います。

あるときひとりのおばさまがひとつの草履を指し、『これは何センチあるの?』。前述の通りまちまちですから、ひとつひとつメジャーで計っていたわけです。ここで学んだのが、『部屋履き草履と言えども履物、確かに足の大きさは人それぞれ』だったんですね。
すぐに自在にサイズを編めるよう研究をはじめ、ほぼ達するまで一ヶ月ほど掛かった気がします。

千葉県流山市からお越しのご夫婦、ご主人がとても気に入ってくださり、すぐにオーダーを決められました。ご注文カードへ住所やらの項目をご記入になりながら、ふと思いついたようにどなかへケータイで電話です。
『あっ、○○さん、いやいやまだ旅の途中なんですけどね、ところで○○さんは足何センチです?』。

会話の内容は手に取るように分かりますね。先様はおそらく、「旅から今帰りましたぁ」という電話だと思ったんでしょう。それがいきなり『足何センチ?』ですから、お相手の『???』のお顔が目に浮かぶようです。
今日の男性ばかりでなく、一年に何人かはこうした電話をかけますね。かつてのように「L」「M」だけの表示であれば電話の必要もないのでしょうが、ひとつひとつの草履に○○センチと表記されてしまえば、『まぁ適当でイイやっ』とは思わなくなってしまうようです。

通信費という余計な費用が発生しますが、贈る人と贈られる人の心がより通うということにも、「サイズ表記」は役に立っているような気がするんです。

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人違いは吉兆!?

2007年11月23日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ22cm土踏まず付き〔4000円〕
ベージュ基調に和柄が可愛い綿生地をベースに、緒はエンジです。奇をてらわない、私の草履では本流と言えるんじゃないでしょうか。可愛く仕上がったと思います。

久しぶりに青空が広がった今日の角館、気温も上がり雪解けが進みました。って、今は確か11月ですよねぇ、季節が分からなくなるような今冬の北国です。

男性がふたり入って見えました。ニコニコ笑顔の男性は知人によく似ています。『おやっ、どーも!』と声を掛けたところ、男性の表情を見てすぐに人違いと判りました。『あっ、スイません、間違えましたぁ』と謝ると、その男性は『いいえ~、他人に間違われるのはイイことって言いますよ!』。
静岡県浜松市からのお越しの男性、『せっかく間違ってもらったから、草履買って行こうかなっ!』、ご自分用に奥様用、そして娘さん用の3足をオーダーくださいました。

「人違いされるのは吉兆」という話、私ははじめて聞きました。ただこのたびは、「人違いされた」ほうではなく、オーダーをいただいた「人違いしたほう」が吉兆でしたね。
ご注文の草履をしっかり作り、今度は「間違われたほう」にも吉兆をお届けしようと思ってます。

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比較の違いなんです。

2007年11月22日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黒地にフラダンスを踊る女性のプリント柄をベースに、緒は赤紫のプリントです。美女の絵柄だからではないでしょうが、妖艶な美しさがありますね。「大人の女性」にいかがでしょう…と思っていた矢先、お買い上げくださったのは私もよく知る女性、お孫さんが三人いらっしゃるおばあちゃんでした。確かに「大人の女性」です、はいっ。

『なに言ってんのぉ、若いくせにぃ~』。数日前、実演席にいた知人の若い女性に対し、その女性をよく知るおばさまが言った言葉です。少しばかり久しぶりに会ったんでしょう、『どう、元気にしてる?』の問いかけに、『最近なんか歳を感じますぅ』に返した言葉なんですね。若い女性は20歳代後半、おばさまは50歳代後半といったところでしょう。

確かにおばさまと比較すれば、女性はまだまだ若いわけです。ただ女性の発言は別におばさまと比較したのではなく、かつての自分自身と比較しての言葉なんですね。そこをきちんと理解できてれば、おばさまの言葉も『そうよぉ、いつまでも若いと思ってたらダメなんだからね。規則正しく生活なさいよっ』となったんでしょう。

少々へそ曲がりの私も年配者との会話の中で、『もう歳だんシよぉ』を使ったりします。案の定年配者は、『ナニ言ってるおごっ、俺よりなんぼ若いってよっ』と返してくるわけです。次に私が言う台詞はいつも決まっています、『二日連続の徹夜はもう無理だんシなぁ』。さすがに年配者も、なにもそこまでとは思ってないでしょう。

ですから私は、自分より若い人が言う『もう歳だんシ』の言葉に、あえて同調するようにしています。たとえば20歳代の人には『人生の四分の一終わってらで』、30歳代の人には『人生の三分の一終わったねぇ』、自分も含め40歳代の人には『あど半分しかねぇどっ』。もうこうなると同調どころか「追い討ち」ですね。

これらはまんざらふざけた言葉じゃありません。健康な体を持ってあわよくば仕事が出来る年齢としたら、かなり条件が良くて80歳くらいが限界じゃないですかね。
10代後半から20代前半、睡眠より遊びを選んでいた時代と比較すれば、現在の自分自身に「歳」を感じないほうがどうかしてるでしょ。前述の若い女性の言葉も、私には実によく理解できます。

今日も降り続く雪、わが人生に44度目の冬がやって来ています。

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寒くなりましたぁ。

2007年11月21日 | 実演日記


今日の草履は、11月14日、秋田市からお越しくださった女性のオーダー草履です。その日ご売約品コーナーへ展示してあった草履をご覧の女性が、『私もこういうのがイイなっ!』とのことで、ベース生地を違えてお作りしました。これでどちらも「世界にひとつ」が保たれたことになります。
明日お引取りに見えるとのことでしたが、この雪で大丈夫でしょうか。ちゃんとご売約品コーナーへ飾っておきますから、あまり無理なくお越しくださいね。

白いものが落ちてくると、やはり寒さが違います。未だ積もりはしませんが、このシャーベット状がことのほか寒いんですね。西宮家中庭の今日の様子を、掲示板にアップしています。

どんなに寒いと言っても、もちろん上には上があります。今夏北海道旭川市へ転勤した同期生の電話では、『秋田より一ヵ月半早ぇなっ』。すでに真っ白状態、最高気温も氷点下だそうです。
同期生とも話したんですが、40歳を過ぎてからことさら寒さを感じるようになりました。10月中旬から防寒タイツを着用していますし、今は作務衣のズボンの下にスウェットを隠して履いています。若いふりして無理したところで、なんの得もありませんからね。

早朝の寒さは推して知るべしですが、“早起きは一足の得”は今も続けています。盛夏に多少疲れがたまったときだけ中止しましたが、基本的な生活スタイルは変わっていません。習慣にさえなれば朝5時起きくらいはなにほどのこともないですね。

今朝のラジオで面白いことを言ってました。世の母親の就寝時刻と起床時刻、それぞれ深夜12時と早朝5時がいろんな意味で100点なんだそうです。5時間を熟睡できれば健康面では問題ナシ、そして母のそんな生活を見て育つ子どもの心に、とても良い効果があるんだそうですよ。
確かにそうかも知れません、私の子ども時代、母親が眠りに就くのを見たことがありませんし、起きる姿も見たことがありません。そんなことから、『難儀かげでらなぁ』という心が芽生えるのかも知れませんね。

わが家で一番早く起きるのは私なんですが、『難儀かげでらなぁ』と思われるのは、やっぱり朝ごはんを作るカミさんのほうみたいですねぇ。

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またひとつ、前へ。

2007年11月20日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、11月20日、愛知県知立市からお越しくださったご夫婦のオーダー草履です。配色は「お任せ」とのことでしたが、ご主人に『特に好きな色ってあります?』とお伺いすると、『緑が好きなんですぅ』。そして出来上がった草履が、「緑三昧」。奥様の「青三昧」とご一緒に、本日の便で出発しました。

オーダーから一週間程度でお作りできると、そのときの会話さえ鮮明に思い出すもんですね。こちらの知立市のご夫婦は、この旅が“初角館”でした。『角館はリピーターさんが多い町なんですよ』とお教えすると、『分かりますぅ~、また来たいねって話してたとこなんですっ!』。
嬉しいですね、われわれが暮らすこの町を訪ねてくれて、さらにまた来たいとおっしゃってくださる。ひとりの住民として嬉しいばかりでなく、こうした会話が実際に出来る自分の環境というものを、誇りにさえ思えます。

三月からはじまった今年の実演生活も、残すところ20日間となりました。日々こうした会話を続けてきて、なんと言いますか、充実感が大きいですね。だからでしょうか、残り少ない実演と思えば一抹の寂しさがありそうなものですが、むしろ来年に向けた新たな構想のほうが頭を巡ります。
また新しい作品をご覧いただき、会話のひとつに加えることを想うと、これからの冬場のほうが頭の中は忙しいかも知れません。

公開実演が終了したあと、「角館の布巻草履」についていくつかご紹介したいことがあります。考案から5年、シーズンを通して実演するようになって3年を迎える2008年は、ちょっとした記念の年になりそうです。
併せてトップページも一部変更したいのですが、これが一番たいへんかも知れません。

とにかく、少しずつ前へ進みたいもんです。

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