角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

地元の人頼りの旅 in角館

2015年02月27日 | 実演日記
1月20日のプログにご登場の女性が、このたびその成果をアップしていました。今日のブログはこちらをご紹介するだけで十分かもしれません。やっぱり彼女はご自身の仕事を「面白い」と思っていますよ(^^)

「地元の人頼りの旅 in角館」
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加齢は愉快。

2015年02月25日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
「綺麗」「可愛い」の評価とはちょっと違う、落ち着いた美しい草履と思います。どちらかと言えばお若い女性ではない、人生を長く深く経験された中高年のおばさまにお勧めの一品でしょうね。
五十二歳と九日の草履職人はまだまだそうした存在に及びませんが、若い頃が懐かしいとは思っても戻りたいとはあえて思いません。年齢を重ねるのはなかなか愉快なものです。

今月11日、千葉県から四人のおばさまグループがお立ち寄りでした。今日うちのお一人からお葉書が届けられ、今日のブログはこちらをご紹介したいと思います。

真白な景色の武家屋敷が印象深い角館と、雛めぐりのプレオープンを楽しませていただきました。2月11日、千葉県のばあチャン達四人グループです。ブログで「雪に縁遠い…」と紹介していただきうれしいです。そしてなによりも楽しく豊かなお話と、角館草履への熱い思いに引き込まれました。草履や下駄の大好きな私はオレンジの鼻緒と赤の草履を手に取らせていただきました。元気がもっと出そう!明るくて素敵です!
早速12日から会社で毎朝私の足に収まり、履き心地はもちろんgood、軽快にフィット、気持ちよく仕事をしております。ありがとうございました。
プログ拝見しております。軽妙で濃厚な語り口に引き込まれています。角館草履の色彩と履き心地に乾杯!です。お礼まで



年齢を重ねたおばさまが、旅先での想い出を葉書にしたためてくださいました。おそらく年齢を重ねたからこそ、おばさまにペンをとらせたと思うんです。
草履職人稼業もブログ投稿も、年齢を重ねてますますやめられません。加齢は愉快であります。
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同じ服を着る理由。

2015年02月24日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
春を想わせるピンクのメルヘン調をベースに、オレンジを組み合わせました。心がウキウキするような可愛らしい草履です。やはりオレンジ色が明るくていいですね。行きつけの布地屋さんでシーチング(無地)の仕入先が変わってから、オレンジ色が定番で購入できるようになりました。これからもオレンジを使った明るく可愛らしい草履をたびたび編んでまいります。

「角館雛めぐり」が好調な滑り出しを見せているようです。まだ四日目を終えたばかりですが、主会場の商工会1Fホールは過去最高の入場者数と言いますし、西宮家を訪れる人数も昨年と比較し明らかに多いのが分かります。今日は開店と同時に、盛岡市のおばさまグループ30人余りがお越しでした。「今日は一日雛めぐりなんですよ~」とおっしゃる通り、西宮家にも三度足を運んでくれましたね。みなさんちょっとよそ行きのお召し物で、プチ旅行を存分に楽しまれたご様子です。

facebookを見ていて面白い記事を見つけました。それは、「世界の成功者たちが毎日同じ服を着る理由」。
これを読んで真っ先に浮かんだのは、米アップルの創業者スティーブ・ジョブズさんでした。そのほかにもアインシュタインやオバマ米大統領、facebookのザッカーバーグの名前も挙がっています。「同じ服」と言っても洗濯をしないのではなく、同じ服を何着も持っているんですね。オバマ大統領はグレーと青のスーツしか持っていないそうです。

なぜ彼らは同じ衣服ばかり身に着けるのか。それは「決断」の回数を減らすためでした。「今日は何を着ようか」「昼食は何を食べようか」といった日常の些細な出来事も「決断」の一つであり、人は決断の回数が多くなると「決断疲れ」という症状が現れるといいます。すると重要な決断を迫られたとき、僅かな狂いが生じる怖れがあるというのが解説なんですね。ちょっとばかり納得してしまいましたよ。

角館の草履職人も衣服の決断は必要としません。季節に応じて選ぶことはあっても、基本はいつも作務衣です。だからと言って、私に彼らのような重要な決断もないんですけどね。そしてもう一つ思いました。女性はこの法則に当てはまらないのではないかと。角館を散策されるおばさまは皆、お出かけ前のチェックが念入りだと感じております。
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若者VS中高年。

2015年02月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
やや涼しげに映るブルー基調ですが、この時季の雪国はあちこちで「水」と出会います。屋根に残った雪が融けて落ちる水音もそうですし、道路は雪解け水が至るところに流れています。水を連想させるブルーの草履も、ようやく季節違いを感じさせなくなってきました。

「雛めぐり」が賑やかな角館は、週末を中心にご家族連れがとても多くなっています。お祖母ちゃんやご両親が、女の子にお雛様を見せたいと思うのも当然でしょう。すると草履のお買い上げも老若さまざまです。冬のうちに子ども用を作っておこうと8足ほど編んだのですが、この三日間で半分がなくなりました。子どもを含めお若い方々が関心を示してくださるのは、おっさんの立場で見ても嬉しいものです。

JR東日本が「大人の休日倶楽部」十周年を記念し、15,000円乗り放題チケットを発売します。今月26日から3月10日までのうち四日間が、新幹線乗り放題という格安チケットなんですね。これをため息まじりに聞いているのが若者たちなんだそうです。ちょうどこの時期は大学生の卒業旅行が多いですから、こんな安いチケットは喉から手が出るほど欲しいでしょう。

大人の休日倶楽部はご存じの通り五十歳以上が対象です。若者にしてみれば「中高年びいき」が癇に障るのも理解できます。実際お金に余裕のないのは若者たちのほうですからね。JRにしてみれば、年間を通じた新幹線利用者が五十歳以上で過半数を占める現実と、その気になればいつでも出掛けられる中高年にスポットを当てるのは常套手段でしょうからね。角館も確かにその恩恵があります。

大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率の低さが云われています。要因に挙げられているのが、吉田松陰の妹であるヒロイン「文」の知名度です。確かに歴史の表舞台にお馴染みの名前ではありません。二つ前の「八重の桜」も時代は幕末で、やはりどちらかと言えば知名度の低い「山本八重」がヒロインでした。そして「八重の桜」も視聴率でずいぶん苦戦しましたね。元来幕末ものは人気があると云われていますが、主人公の知名度のうえに少し間隔が近すぎたことも要因にあるのかもしれません。

とあるネット記事でもこれが取り上げられていて、視聴率低迷の要因は「若者に媚びている」というものでした。いわゆるイケメン男優を目白押しのごとく投入し、若者と女性から人気を得たい制作側の思惑が中高年からそっぽを向かれたという論評です。全体の視聴率は低くとも、確かに二十代、三十代の視聴率はこれまでと比較して高いのだそうです。大河ファンを若年層に求めたいとするのは、将来を見据えれば当然のことかもしれません。私は決して面白くないと思いませんから、もしかしたら若年層に入るのでしょうか。

世の中は「若者向け」「中高年向け」と様々です。高齢化が進み消費者の多くが中高年で占める時代ですから、「大人の休日倶楽部」の戦略も分かります。また一方で若者たちもやがて中高年になるのですから、今から関心をもってもらいたい「大河ドラマ」の思惑も分かります。
角館草履は老若男女にご愛用者がいることを安堵しましょうか。
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口は幸いの元。

2015年02月21日 | 実演日記




今日の草履は、北海道釧路市の男性のオーダー草履です。奥様と共にメールによるご注文で、ご主人自らご希望が「黒一色」でした。過去初めてではないにしても、かなり稀なご希望です。角館草履自体が珍しいのですから、配色もご愛用者それぞれに個性的でいいと思います。
ご夫婦草履2足揃って、明日の便で出発です。どうぞお楽しみに~(^^)/

こちらのご夫婦とは一週間ほど前に西宮家で出会いました。お住いが釧路とおっしゃいますから、かつてサラリーマン時代に訪ねた思い出話をしたものです。そのときは甥っこさんの子ども用草履をお買い上げくださり、少し迷いながらご自分用はあきらめたご様子でした。そしてご帰宅後、甥っこさんの喜ぶ姿を見て、どうしてもご自分たち用が欲しいと思ったんですね。メールには実演席での会話が綴られてありました。

四日間のお休みが明けて、草履実演並びに西宮家草履コーナーが再開しました。今日から角館では「雛めぐり」が始まり、お天気の良い週末の初日は思ったより多くのお客様がご来店です。今日は三人の方と草履のご縁が生まれましたが、お買い上げがあってもなくてもご来店は嬉しいものです。草履実演に関心をお寄せくださる方はとても多いですから、まず喋っているだけでも寂しくありませんしね。

四日間のお休みは次女の引っ越しに多くの時間を割きました。一月末日で仙台の病院を退職し、このたびマンションも引き上げてきたわけです。思いがけず早い転居となりましたが、これもまた人生、前へ進む一歩と理解しています。
トラックへの荷積みが思いのほか早く終わり、半日ほど時間が空いた私たちは近くのショッピングモールへ出掛けました。本を探したいというカミさんについて行くと、ふと目に留まる本がありました。大河ドラマでちょっとしたブームでしょうか。




吉田松陰の偉業はいまさらですが、遺した言葉を集めている点に興味があり買ってみました。ヒマがあれば本を読んでいた松陰は、読むだけにとどまらずよく抜き書きをしていたそうです。弟子にも必ずメモをとることを義務付け、「書く」ことには相当固執したみたいですね。出した手紙の数もたいへんなもので、そのため「松陰の言葉」がとても多く遺されているわけです。「読む」→「考える」→「書く」は松陰にとって一連の作業でした。ですから頭に残り、いつでも誰に対してでも雄弁でいられたのでしょう。

松陰の最期は、幕府の意向に反する行いにより処刑されたというのが通説です。もちろん間違いではないのですが、尋問する評定所の役人に訊かれてもないことをベラベラ喋りすぎたことで墓穴を掘った節があります。役人もそこまで喋られれば死罪を申し渡すしか道がなくなったというわけですね。
松陰の雄弁は囚人さえ真人間になるほど説得力がありました。「志」を高く持ち、学問から得た知識に自信の考えを加えるのですから、人から借りた言葉ではありません。でも最期はそれが仇になったとすれば、「口は災いの元」と言えるでしょうか。

松陰先生と比較できるものではありませんが、私もまた実演席では「喋る」のがひとつの仕事です。先の釧路のご夫婦も、今日ご縁があったお三方も、皆さんと喋ることで草履をご理解くださり、これからご愛用者となってくださいます。必ずやお役に立つ草履と信じて、私にとってもお客様にとっても、「口は幸いの元」と思いたいものです。
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「どんぐり」の思い出。

2015年02月14日 | 実演日記




今日の草履は、仙北市内の女性のオーダー草履です。お仕事仲間お三方へのプレゼントなのですが、あえて同じ配色をご提案しました。私も初めての試みです。その三人というのは、わらび座舞台「どんぐりと山猫」に出演している役者さんたちです。私はその方々とお会いしたことがありませんから、イメージ作りにfacebookを見てみました。そこで目に入ったのが「どんぐり」の衣装だったんです。その衣裳を模したのがこちらの配色というわけでした。




聞けば本日2月14日が、150回目にしてラスト公演なのだそうです。演目そのものは引き継がれるようですが、150回を演じてきたこちらの三人での公演は今日が千穐楽なんですね。全国の小学校を会場に公演を続けてきた三人の想いを、私ごときが代弁できるはずもないのですが、きっと家族に近い関係性が築かれたんじゃないでしょうか。ずーっと心に残る衣裳を模した草履は、きっと三人の役者さんたちの心にも届くと思いました。

わが家の双子の娘が小学校を卒業したとき、たまたま担任の男性教諭と二人きりになり彼が言いました。『新しい年度が始まって別のクラスを持ったら、もう過去を考えることはないんです』。今卒業したばかりの子どもの保護者としたら、もしかしたらいささか寂しい言葉かもしれません。でも違うんですね、過去の生徒たちとの思い出を引きずるのは、新たに担当する子どもたちに失礼なのは当たり前です。

私たちが小学校や中学校時代に担任だった先生は、もう高齢者と呼ばれる年代になりました。担任が終わったあと、同じように私たちを思い出すことなど日常にはなかったでしょう。でも卒業から何十年も経ってクラス会や同期会に招かれると、当時の風景がすぐに思い起こせると話していました。そのときそのときを一生懸命に過ごしていれば、何十年経っても色あせることのない記憶として呼び戻せられるんでしょうね。

「どんぐりと山猫」のお三方も、このあとそれぞれ別の舞台に向かうのだと思います。そうすれば「どんぐり…」のことを日常に思い出すことはなくなるのかもしれません。学校の先生と同じように私もそれでいいと思いますが、ときに懐かしく思い出すきっかけに私の草履がお役に立てたら、作り手としてこれに勝る喜びはありません。
今日の千穐楽を、私のカミさんと長女と次女が観劇しました。三人揃って『おもしろかった~!』の感想に、私も嬉しくなりましたよ。
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優しいハルさん。

2015年02月12日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
淡いピンクの和柄をベースに、クリーム色の和柄を組み合わせてみました。今少し遠い春は、まさにこんなイメージでしょう。桜が咲きだす頃は気温が15℃を超え、吹く風は少し冷たさがありながらも優しく頬にあたります。この雪と寒さがあるからこそ春が嬉しい、人々に「優しい」季節が春なんだと思うわけです。

実演席に飾られてある草履職人の似顔絵に、このたび新しい仲間が加わりました。




昨日facebookで紹介したところ、「実物より若すぎる」との評価が大半を占めています。私は年齢的な印象より、作者の「優しさ」を強く感じましたね。もちろんモデルも優しい人間ですが、画には作者の人柄が強く出るものです。
作者は仙北市内の男性で、サラリーマンをしながら似顔絵の勉強をしています。将来的にも似顔絵を生業にするつもりはなく、『趣味の延長ですから、ずっと楽しんで描ければ嬉しいです~』と話していました。

彼の作家名は「ハルさん」といいます。小正月行事真っ盛りの今、一足先に「優しいハルさん」と出会いました。
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羨ましい冬。

2015年02月11日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
同柄色違いをツートンで編んでみました。在庫作りが主なこの時季、デザイン的にも面白い草履を作りたいと思っています。今日の草履はプリント柄も綺麗ですし、紅白が縁起も担いでいます。綺麗で楽しくお洒落で縁起が良ければ、どなたにでもお勧めできますね。出会ったが吉日、一点限りの草履となります。

だいぶ春の兆しが見えてきたところ、一昨日と昨日は真冬に逆戻りの天気となりました。吹雪のうえに最高気温がマイナス3℃となれば、春を感じてしまった体に少しばかりキツかったです。それでも沖縄県や千葉県といった雪と縁遠い地方からお越しのお客様は、『も~、楽しくて楽しくてっ!』と大喜びのご様子。地元民に遠慮することなく、思う存分愉しんでほしいものです。

主に首都圏からお越しのお客様がよく話されるのは、『東京じゃ10cmも積もったらパニックですよ』。そんな映像が当地でも流されますが、確かに東京で10cmはたいへんな騒ぎですね。1月8日でしたか東京で積雪の予報が出され、朝からテレビはその話題に時間を割いていました。ちょうど仙台市を訪れていたときで、仙台も朝から雪が舞っていたものです。

車中のラジオで雪の情報が流れていて、仙台のラジオパーソナリティーが東京の降雪状況を話していました。『東京の様子をテレビで観ましたけど、まぁ仙台に比べたら大騒ぎすることもないですね』の言葉に、『あのぅ、仙台もたいしたことはないんですけどぉ』とラジオに向かってツッコミを入れたのは本心です。

二月も半ばに入ると、もう春は手の届くところまでやってきます。今冬は十二月に入ってすぐ根雪でしたから、いつもより長い冬を過ごしました。雪と縁遠い土地からお越しのお客様に喜んでほしいのは本心なれど、10cmでパニックになる土地が羨ましいのも本心です。雪が秋田の大地を潤すのも事実とは言え、1m~2mに達すると綺麗で楽しくお洒落で縁起が良いばかりではないのも事実であります。
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凡人ゆえの心配。

2015年02月07日 | 製作日記




今日の草履は、仙北市内の男性のオーダー草履です。「facebookを見て、いいなぁと思って…」とご自分用のご注文でした。展示してある草履の中から布地をチョイスし、紫の無地と茶の唐草の組み合わせをご自身で指定されました。瞬間私も「お洒落な草履になるんシよっ」と言いましたが、お引き取りに見えた男性も「おっ、思ったよりずっといいんシなっ!」。その言葉を聞ければ大成功であります。早速履いてくださいね~(^^)

「今自分が死んだら、家族に借財が残ってしまうか」。
友人から聞いた話ですが、私たちと同年代の数人が酒席でこんな話題になったのだそうです。私は友人との酒席でこの話題は記憶にありませんが、自分の中で考えたことは幾度かあります。ですから「みんな考えているんだなぁ」と率直に思いましたね。40代や50代の男性が、急病や不慮の事故で命を失くす話はなにも珍しくありません。これをわが身に起こるわけがないと考えるほうが、むしろナンセンスでしょう。

イスラム国に殺害された湯川さんも後藤さんも40代でした。後藤健二さんは47歳ですから、まず私たちと同年代と言えるでしょう。下の子は生まれたばかりと聞きました。
家庭を持った男性が何を最大の責務として生きるか、私は凡人ですから「家族の幸せ」と考えます。世の多くの男性はそうじゃないですかね。草履職人などと冒険とも思える生業を選びながらも、カミさんと娘三人の生活を考えないことはありませんでした。

後藤健二さんもきっと同じ想いはあったはずです。それでもあえてあの土地に向かいました。ジャーナリストの血がそうさせたのか、湯川さんを助けたい思いがそうさせたのか、いずれにしても彼は家族よりも他を選んだのは間違いありません。
そして結果は報道の通りです。「自己責任」と「覚悟」をいくら主張しても、多くの人々を巻き込んだ結末は個人の問題で済まされるはずもありません。おそらくそれさえも分かっての行動だったのでしょう。

であれば、「なんてバカなことをしたんだ…」という話なのですが、私は心のどこかで賞賛の拍手を贈っています。戦場で罪のない子どもたちがどんな生活を強いられているのか、これを世界に伝えることを本分としていたそうです。並みの正義感や神経で出来る業ではありませんよ。わが子、わが家庭よりも戦地の子どもに命を懸けたとすれば、人騒がせな馬鹿野郎と私にはとても言えません。

こうした場合、遺族に生命保険は支払われるのでしょうか。国から弔慰金は支出されるのでしょうか。渡航取り止めを要請されていた経緯を思うと、どちらもないのかもしれません。後藤健二さん殺害の報道がされた途端、全国の書店に彼の著作本の注文が殺到しているそうです。せめてこれらの印税がご遺族の元へ渡ることを、他人のこととはいえ願いたいものです。

私は凡人ですから、自分が死んだ後の家族に、せめて負の遺産は遺したくないと思っています。
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春は近いのですが…。

2015年02月04日 | 製作日記




今日の草履は、仙北市内の女性のオーダー草履です。最近入籍されたご友人へのプレゼントで、ご希望配色は「おまかせ」。どのようなイメージの女性かお訊ねすると、「とっても明るくて可愛い人ですぅ~」。一言で言えば「元気」といいますから、ポップ調の明るさを表現してみました。ひとまず贈り主さんに気に入っていただけますか、明日の午前お渡しの予定です。

雪国秋田にも少しずつ春の気配が感じられるようになってきました。ここ数日は新たな積雪がなく、気温がプラスがなればそれまで積もった雪が僅かでも減ることになります。軒先から滴り落ちる水音や、雲の合間から差し込む陽の光にもささやかな春が見えます。いわゆる「真冬」は二月いっぱいですから、春が手の届くところまで来ているのは間違いないでしょう。

そんな先行きの明るさと裏腹に、ここしばらく気分のすぐれない状態にあります。理由の一つは「イスラム国」による邦人殺害のニュースです。私が何を想ったところで社会になんの影響もないのですが、後藤健二さんの行動は私の中で悶々としたものがあります。これについての記述はまたあらためたいと思っています。
まずは私の責務である「草履在庫を増やす」に、本日も専念してまいりましょう。
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