今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
ベースにいらかプリントを使うのは、これまであまりなかった気がします。シンプルな柄ですから見た目もあっさりしていますね。組み合わせは紺基調のトンボ柄、夏から秋にかけてのイメージでしょうか。
昨日のブログで少し触れましたが、先日の実演席にちょっと話題性のあるご夫婦がお越しでした。60代後半と思しき奥様は、白髪がお洒落でどこか気品があります。ご主人はと言いますと、年齢はおそらく奥様と同じくらいじゃないでしょうか。分かりづらいのは欧米外国人だからなんですね。ただ実にスマートな紳士というのは、私にも分かりました。
奥様は米蔵に入って見えるなり、建物内部をキョロキョロと見渡しています。何かを探しているというわけでもなく、とにかく目で情報を集めているといった感じでしょうか。
奥様が私に訊くのは、『ここも佐竹さんの家臣なんでしょ?』。歴史に関心のある方には、私が持つささやかな知識をお伝えしています。
ひとしきりご説明が終わると、『いや~、なんだか楽しいわぁ。やっぱり来て良かったっ』。この言葉は私への礼と、ご自身への確認と、そしてご主人への報告という趣旨に感じました。それはご主人がニコっと笑ったからなんです。
そして私に言うのは、『実は私、小野崎家にゆかりの者なんです』。
小野崎家というのは佐竹北家の家臣で、お屋敷は武家屋敷通り最北に位置します。門や屋敷の造りからかなりの上級武士とされていて、北家当主のお屋敷が目前であることからも、家臣団の中で重きをなした家柄だったでしょう。
その末裔が目の前にいるのですから、私もちょっと興奮しましたよ。
ご主人は英国紳士でありました。おばさまは20年間日本で仕事をしていたご主人と結婚され、今はイギリスでお暮らしだそうです。
どうやらこの旅はご自身のルーツを確認するためのものらしく、ご主人が強く勧めたんじゃないですかね。それがご主人の笑顔につながったのでしょう。
現在のお住まいを思うと、二度目のご訪問はないように思います。小野崎家末裔のルーツを辿る旅、遥かなるふるさとを訪ねる旅に、僅かの時間でも関われました。私にとっても心に残る思い出となりそうです。