角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

同じ名前のお客様。

2012年09月29日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
和のポップ調は、最近あまりなかった印象です。花柄や和柄のプリントには美しさがあり、こうした図形のプリントには楽しさがありますね。
「今日の草履」は、東京からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。
平生地はこちらです。




能代市からお越しのご夫婦プチ旅行。角館は幾度となくお越しだそうで、お祭りさえ何度も見にいらしたといいます。遠く県外ばかりでなく、秋田県内にお住まいでも「角館ファン」は案外多いんですね。

角館草履の健康効果、中でも「首のツボ押し効果」を知ると、ご主人が奥様へ『どれっ、ひとつ買ってやるっ』。すかさず私が『お父さん、優しいんシなぁ』と言うと、『結婚指輪以来でねぇがっ』と笑顔のご主人。年齢を推測するに、70歳前後でしょうか。少しご無沙汰のプレゼントでしたね。

奥様は配色選びをしながらも、『なんか、あとが恐いなぁ。草履買ってもらったのを一生言われるんだば、考えただけで首凝ってしまいそうだ』。
お二人の掛け合いはなかなかのものでした。おそらく日ごろから仲良しご夫婦なんでしょう。

ご主人がふと私の名刺に目をやると、『あらっ、俺と同じ名前だねっ』。一見女性と勘違いしそうな私の名前は、案外男性にもいるものだと感じていました。それでもいきなり出会うと親近感が増しますよ。

奥様がこれまでで最高のエピソードとしてお話くださったのは、郵送されてきた母子手帳の宛名が、奥様の名前に「様方」が付いたご主人の名前だったことだそうです。
私も過去に化粧品の電話セールスを受けたことがあり、苦笑いするしかありませんでした。

おっさんになればこそ笑い話になりますが、できるものであれば男女の区別が明確な名前のほうが、本人にはありがたいと思いますね。
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遥か彼方への関心。

2012年09月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
昨日日暮里から届いたばかりの「秋の新柄」。早速の第一弾は、黒地にカラフルな桜プリントです。黒ベースですから、まずはセオリー通りのエンジを組み合わせてみました。お洒落感が際立つ草履になりましたね。
桜と共に、縁起ものの招き猫が可愛い平生地がこちらです。



「今日の草履」は編みあがってすぐ、山口県からお越しのおばさまがお持ち帰りです。未だ展示パネルにたくさんの草履はありませんから、これから編む新柄草履も「縁ある出会い」となるでしょう。今後しばらくの「今日の草履」は、秋の新柄をご紹介します。

山口県からお越しのおばさまは、ツアーをご利用でした。私が、『また寄ってください…と言うには遠すぎますね』と笑うと、『もう来られるかわかりませんよ』とおばさま。その会話を傍で聞いていた別のおばさまが、『私は長崎からよ』。
今さらながら、ほんとに全国からお出でくださっていますね。

昨日ツアーでお越しのおばさまグループに、『どちらからお越しです?』と訊いてみると、『唐津から来ましたぁ』。私が、『いや~、九州は遠いですよねっ』と言うとひとりのおばさまが、『あらっ、唐津が九州って知ってるの?』。
すかさず私が『佐賀県の唐津は有名じゃないですかっ』と言うと、おばさまたちはとても喜んでくれました。

実はここまでの旅で、唐津が佐賀県とすぐ理解した東北人が少なかったそうです。それはきっとたまたまのことでしょうが、確かに東北と九州では馴染みが薄いわけです。
東北人の擁護じゃないですが、『東北六県の位置が分からない九州の人もいましたからね』と言うと、ひとりのおばさまが右手を高々と上げて、『は~い、私もその一人で~す』。皆で大笑いしました。

数日前のこと、新潟市からお越しのご夫婦とおしゃべりしました。次の目的地を訊いてみると、『石巻へ行ってみようと思ってるんです』とご主人。その目的は、「津波被災地を自分の目で見ること」なんですね。

震災から間もなくは、物見遊山的訪問に批判が続出したものです。確かに好奇心や野次馬根性だけで出向く輩がいました。それがやがて復興を唱える時期を迎えると、被災自治体はむしろ積極的に『来てください、見てください』と言うようになりました。「忘れられたくない」というのが大きな理由でしょう。

新潟市のご夫婦の言葉からも、自分の目で見て記憶に残すという趣旨が、はっきり伝わるものでした。被災地を訪ね、現況を見聞きし、現地でいくばくかのお金を使う。これが被災地の願いであり、希望なのだと思います。そしてこれを、日本人の多くが理解しているものと思っていました。

それが先日の新聞記事を見て、少々驚かされました。旅行についての意識調査なんですが、「被災地に今行くのは控えたほうが良い」と感じている日本人が、30%以上もいるんですね。理由として「ボランティア活動をしないならあまり意味がない」、「復興途上の今はまだ早い」などが挙げられていました。

個人的な推測であり、なんら根拠はありません。その上で、この30%の多くは東北から離れた地域じゃないですかね。善し悪しは別にして、親戚や友人のいない土地の話は、なかなか関心が高まらないのも無理がないでしょう。

北九州市の市民団体が、被災地のがれきを受け入れたことに対し、北九州市と宮城県を相手に訴訟を起こした話を聞きました。語弊を覚悟で、あの津波被災地を自身の目で見た人間なら、宮城県を相手に訴訟を起こすという行為は躊躇されると思うんですがね。

人様の行為にとやかく言うつもりはありません。秋田県から遥か遠くの沖縄県。オスプレイ配備問題も、出来るだけ関心を持っていたいと思います。
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娘の元気は母の元気。

2012年09月25日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
ベース色が若干シブ目ですから、組み合わせは赤の唐草にしてみました。可愛らしさが加わると、中高年のおばさまの目を惹きますね。何人かがお買い上げ候補に挙げていたところ、新潟県からお越しのおばさまがお持ち帰りです。

当地にご実家があり、今は新宿区にお住まいのおばさまがお越しくださいました。ご自身が布草履の経験者で、且つ日常にご利用とのこと。試し履きにもすぐ応じられるのは、五本指ソックスだからなんですね。導かれてこの場にいるようなお客様ですよ。

すぐに気に入ってくださったおばさまは、まずご自分用が真っ先に決まりました。そして次は二人の娘さん用。たとえわが子であっても、お土産にするとあっては配色に悩みます。二転三転の末、どうにかご満足いただけるオーダーを賜りました。

このブログにもときどき登場する、「母娘ネタ」。娘さんからお母さんへのケースは、主に母の日が多いです。その逆、お母さんから娘さんへのケースは日常にありますよ。それだけ母は常にわが子を思っているのでしょう。

先日埼玉県鴻巣市へ3足発送したご注文。入金を知らせる郵便払込用紙の通信欄に、びっしりとメッセージが書き込まれていました。
『コンサートで秋田市を訪ねた帰りに、娘と角館散策を楽しみました。娘は草履を買って来なかった事を後悔していましたので、誕生日プレゼントにしようと思い立ちました。とっても喜ぶと思うと嬉しいです』。

仙台市の看護学校に学ぶ次女から、最近メールがないのを気にしていたカミさん。どうやら看護実習が始まったことで、すべての余裕が消え失せてしまったようです。自炊も出来ず、晩ごはんのおかずを写したメールが来なくなったわけですね。

それもここに来て一息ついたのか、またメールが届くようになった様子。10月上旬に休みが続くことで、数日帰省したい旨綴られていました。
娘に元気が戻ると、もっと元気になるのは母親ですね。来月は最終となる保育実習で長女も実家へ戻ります。子どものために忙しいのが、母は元気の源かもしれませんね。
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実りの秋です。

2012年09月23日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
ベース生地は、先回の「今日の草履」と色違いです。こちらも金色を含む御殿まりプリントが、なんともお洒落に映りますね。そのうえ紺系で統一した草履は、特に男女を区別しません。

「今日の草履」をお持ち帰りは、東京からお越しのおじさまふたり旅。うちのおひとりが関心を示されたのですが、一旦は草履コーナーを立ち去られました。数分経って戻られたときは、悩んでいた先ほどと明らかに笑顔が違うんですね。
『女房にお土産と思って…』とおじさま。奥様はきっと喜んでくださいますよ。

今朝4時30分、号砲と共にスタートしたのは、角館~鷹巣100キロマラソンです。号砲の前に拡声器を使った説明があるので、その声に起こされたのは4時過ぎですかね。毎年のことながら、寝ぼけた頭には一瞬ナニの騒ぎだと思ってしまいますよ。

昨日から参加ランナーさんやそのご家族が角館を散策されていて、お顔馴染みさんも何人かお立ち寄りくださいました。『火曜日まで作っておいて~』とご注文して行かれるランナーさんもいて、みなさん「走る」だけではない楽しみを持ってらっしゃいます。

今日は比較的気温が低く、また太陽の照りもありませんでした。ランナーさんたちには絶好のコンディションとなったでしょう。一週間前の田沢湖マラソンは、33℃ほどありました。この気温が完走率に大きく影響するそうですね。

当地は稲刈りがほぼ終わり、文字通り「実りの秋」を迎えました。10月に入れば「鍋っこ」の便りが聞こえて来るでしょう。スポーツも良し、旨いものも良し。白いものが落ちてくるまでの一ヵ月半を、それぞれ存分に楽しみたいものです。
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プチ旅行の勧め。

2012年09月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
過去にも登場した緑のベース生地には、美しい「御殿まり」がプリントされています。これにエンジを組み合わせ、少し小さめの22cmに仕上げたことで、可愛らしさが際立ちました。
「今日の草履」は、秋田市からお越しのおばさまがお持ち帰りです。

秋田県由利本荘市は、古くから「御殿まり」の産地です。はじめてその美しさに触れたのは、30年以上前の18歳のときでした。サラリーマン一年生の頃、本荘市のお得意先でのことです。18歳の若造の目にも、その細工の美しさは分かりましたね。

日々の実演で、秋田県内にお住まいのお客様と出会わない日は、まずありません。そんな中に、『初めて角館をゆっくり歩いてますぅ。面白いものがいっぱいありますよねっ』といった言葉がよく聞かれます。

桜やお祭りなど、そのときだけのイベント目当てに訪れる人も多いですが、角館は「日常の散策が楽しい町」ということを、県内にお住まいの方は広くイメージされているのでしょう。

数日前に定番配色⑧でオーダーされた女性は、秋田県男鹿市にお住まいです。スキーが大好きで、田沢湖スキー場へは一冬に何度も足を運ぶとのこと。その際角館は通過のみなんですね。
こちらの女性も、『なかなかゆっくり歩く機会がなかったんですけど、やっぱり角館は面白いですね』。

こうした「プチ旅行」は、私も少し見習いたいと思っているんです。かつてサラリーマン時代にあれだけ県外を走り回っていたのに、秋田県内で訪れたことのない町が結構多いんですよ。

若かりし日に出会った御殿まりのように、おっさんでも新しい出会いがあるかもしれませんね。
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故人を想う秋彼岸。

2012年09月20日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
こちらのベース生地も夜桜の色違い、紺地の桜プリントです。組み合わせに紺のいらかプリントを利用したことで、涼しく落ち着いた雰囲気に仕上がりました。
「今日の草履」は、岩手県八幡平市からお越しのおばさまがお持ち帰りです。

すっかり季節が変わりました。変わったというより「戻った」が正しいかもしれません。ちょうどお盆あたりに秋の気配を感じ、『今年の夏はいつもより短いなぁ』と思っていた矢先です。お盆過ぎからここまでの一ヶ月は、まさに盛夏そのもの。一昨日の秋田市は36℃を越えて、9月としては史上最高気温を記録しました。

雨模様のお天気ですから、若干の蒸し暑さは否めません。それでも最高気温が26~27℃に落ち着いてくれると、それだけでも安堵感がありますね。
本来真夏が去った角館にやって来るのが「お祭り」です。季節感だけで言えば、これからお祭りがあるように錯覚しますよ。

今年のお祭りDVDが発売されました。昨晩早速見てみましたが、スタッフさんが変わったのか、編集の組み立てがこれまでと違っています。善し悪しを論ずるつもりはないにしても、上覧の踊りが一切映されていないのは残念でした。佐竹家上覧は各手踊り社中のエース級が登場する舞台です。踊り子さんたちも少し残念だったでしょうね。

この時期どうしても思い出されるのが、2011年10月20日のブログに綴ったひとりの男性です。角館のお祭りビデオでは先駆的立場にあったMさん。不慮の事故で亡くなってから、もう一年近くになるんですね。
Mさんならどこを映像に残したろう…などと考えながら、昨晩DVDを眺めていましたよ。

Mさんの車に正面衝突した飲酒運転の車。その運転手と同乗者は、同じ会社に勤務する先輩と後輩でした。共にこの事故で亡くなっています。
その二人が勤務していた会社が、先ごろ角館店をオープンさせました。「だから何だ」という話ではありませんが、その店舗名を見聞きするたび、Mさんのことを思い出してしまいます。

ときは秋彼岸、すっかり涼しくなった角館です。
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マラソンもおもてなし。

2012年09月19日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
夜桜の色違い、エンジ基調の桜プリントもなかなか可愛い布地です。同系色のピンクと組み合わせると、優しい可愛らしさに映りますね。
同じ配色で複数作ったうち、16日にお買い上げくださったのは秋田市の奥様。女の子二人のお母さんで、ピンクの草履がとてもお似合いと思いました。

実はこちらの奥様のご主人がマラソンのランナーさんで、16日は田沢湖マラソンの日だったんですね。10キロコースを完走したご主人、両ひざのテーピングが少し痛々しかったですよ。
ご主人用の草履は、明日の実演でお作りする予定です。

今度の日曜、23日は100キロマラソンの日です。角館をスタートし、国道105号線を秋田内陸縦貫鉄道に沿って北秋田市鷹巣まで、全長100キロに及ぶコースです。このマラソンランナーさんにお顔なじみが複数おります。今年はお立ち寄りいただけるか、楽しみのひとつですよ。

角館草履のご愛用者でもあるひとりのランナーさんは、他の大会と重なったにしても、当地の100キロマラソンを優先する話を過去に教えてくれました。その理由は沿道の「もてなし」と言います。どこの大会でも声援はいただけるのですが、お茶や差し入れなどその温かさが違うと評していました。

この話を、先の田沢湖マラソンのランナーさんに教えたところ、『あっ、それよく分かるんシよ』。
秋田県内で開催される複数の大会に出場するご主人も、沿道の声援やもてなし、あるいは大会そのものの成熟度に差があると言っていました。参加費を支払って走るランナーさんたちですから、「走られればなんでもいい」というわけではないんですね。

今日は久しぶりの雨になった角館です。おかげで異常高温は落ち着きましたね。23日の100キロマラソンは、まず気温についてご満足いただけることでしょう。
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旅で見せる素の自分。

2012年09月15日 | 実演日記




今日の草履は、埼玉県鴻巣市にお住まいのおばさまからの、お電話によるオーダー草履です。最近角館を旅されたおばさまは、ご自分用だけ草履をお求めとのこと。ご帰宅後それを見た二人の娘さんが、私たちも欲しいとなったんですね。おばさまの表現は、『娘に取られましてねぇ』。よくあるケースなんです。
3足揃って明日の便で出発します。早速履いてくださいね~。

東京からお越しの女性ひとり旅。『うわ~、草履ですよねっ。見てていいですか?』。屈託のない笑顔は、その年齢の若さが髪の色でも分かりました。訊くと二十歳、まさにわが家の双子と同い年ですよ。

女性は仕事関係の知人宅に泊まりながら、北東北から北海道へと旅が続くと言います。角館の印象を「人の良さ」に見た女性は、西宮家に着くまで何人もの年寄りと会話してきたそうです。若年にして、旅の愉しさを熟知していますよ。

その女性と出会う一時間ほど前でしたか、還暦ほどのおばさまと同じようなおしゃべりをしたものです。おばさまは、『東京に住んでいると、知らない人と話すなんて普段はないでしょ。旅ではそこが大違いよね。誰とでも話ができるような気になっちゃうわ』。

二十歳の女性にも話したのですが、旅は非日常を愉しむものであり、「旅の恥はかき捨て」なんて言葉もあります。地元民にどう思われるかなんて気にするより、興味がわいたことにはどんどん向かっていくべきでしょう。

私が実演席で出会うだけでも、若い女性のひとり旅は珍しくありません。丸太椅子に腰を下ろして草履実演に見入るくらいですから、その人間性はチャラチャラしていませんね。そしてそんなときが、むしろ「素の自分」なんでしょう。

帰り際『また遊びに来たら寄って』と言うと、『はい~、ぜひっ。そのときはきっと金髪をやめてると思いますぅ~』。
同い年の娘がいるオヤジには、その言葉も嬉しかったりするわけですよ。
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思い込みに注意。

2012年09月14日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
気温は未だに真夏でも、そろそろ落ち着いた色合いが似合う時節になろうとしています。紺と紫の同系色でまとめた「今日の草履」は、そうした意味でもピッタリじゃないでしょうか。

秋田市からお越しのご家族。50歳代半ばのご夫婦と、20歳代半ばの娘さんです。お母さんが、『大仙市の○○さんから教えられて来ましたぁ』。
常連さんのお顔はすぐに分かっても、お名前まではなかなか一致しません。それでもお話を聞いていると、おおよそ見当がつくものですね。

外反母趾のお母さんは、ずいぶん前から室内で草履を履いているそうです。土踏まずが付いた草履があることを知ると、娘さんも欲しいとなったんですね。娘さんは本日一点限りの23cm定番配色①をお持ち帰り、お母さんは「今日の草履」と同じ配色で24cmオーダーとなりました。
「今日の草履」がサンプルとして早速役に立ちましたよ。

こちらのお母さんのように、室内で草履を履くようになってもう○年…という方がずいぶんいます。角館草履のご愛用者であるかどうかは別にして、部屋履き草履の認知度というのはそれなりじゃないかと思うんですね。ただしそれが先入観になって、うっかりしてしまうこともあります。

お祭り中の8日でした。中年の男性が興味津々実演をご覧になりながら、『何年くらい履けるものなんですか?』。私が『1~2年という線ですけど、3年くらい履かれる方も珍しくはないですね』とお答えすると、『へぇ~、そんなに履けるんだぁ』と驚かれたご様子。

そして次のご質問が、『同じ屋台を曳く人たちは、草履の色を合わせたりするんでしょ?』。一瞬私の頭の中に「?」が三つくらい並んだのですが、すぐに意味は分かりました。つまり男性は、角館草履をお祭りのヤマを曳く若衆が履くものと思ったんですね。
彼らのヤマ曳きに履かれたら、一時間もつかどうか…。

お祭りでの笑い話をもうひとつ。
東京からお越しのおばさまに、角館のお祭りをご説明しました。おばさまの関心は、「どうなるとぶつけるの?」。できるだけ簡単にご理解いただけるよう、いつものご説明はこんな感じです。

『ヤマには「上りヤマ」と「下りヤマ」の状態があって、上りヤマのほうが立場が上。だから下りヤマが道を譲ってぶつかることはないんですけど、双方共に上りや下りを主張すると、立場に優位がなくなって交渉決裂となるんですよ。そうなるとぶつけてでも相手を排除しようとする、これがヤマぶつけですね』。

おばさまは真剣に聞いてくださり、大きく頷きました。そして次の言葉が、『じゃあ、ヤマが向かい合うのはいつも坂道なのね』。

来年からは「上り」と「下り」がいかなるものであるか、ご説明に加えることとしましょ。
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秋が訪れます。

2012年09月12日 | 地域の話


西宮家から程近い、立町ポケットパークに設置された地図。ここには角館のお祭り中、18台のヤマの現在地が記されていました。三日間で延べ何人がこの地図の前に立ったことでしょう。夜も更けてくると、この地図の前にはいつも人だかりがありました。

9月7日・8日・9日と繰り広げられた角館のお祭り。心配された天気は、8日深夜から未明にかけて降られたものの、9日は傘や雨合羽の出番がありませんでした。9日の夜は雨降りと決めてかかっていた私は、カメラの準備をしていません。不覚でありました。

8日のお昼に実演席を訪れた男性が、『一年ぶりですぅ~』。昨年のお祭りに初めて出会った、山形県の男性です。たった一晩でも酒を酌み交わすと、案外簡単に記憶が戻りますね。再会を祝して、その晩またまた共に飲みました。

南相馬市のKさんご夫妻も、一ヶ月ぶりの角館ご訪問です。未だ先の見えない原発事故。一年半を経過して尚仮住まいの中にあって、角館を訪れているときが日常を忘れられるひとときと言います。たくさんは飲めないご夫婦が、笑顔の中でタルハイを口に運んでいました。

静岡県からお越しのご夫婦旅。奥様が角館草履を気に入ってくださり、少ない展示品からご自分用をお選びでした。
『お祭りは見て行けるんですか?』とお訊ねすると、『テレビで偶然ここのお祭りを知って、どうしても観たくて来たんですぅ』。
少ないながらもこうしたお客様がいてくださることは、角館人としてとても嬉しく感じるものですよ。

お祭りの人出を眺めていましたが、やはり曜日配列が好条件になっていると思いました。特に8日の人出はなかなかのもので、翌9日の天気予報が雨模様だったのも8日の人出を後押ししたのでしょう。

今年のお祭りでのヤマの行動については、話のタネがずいぶんあったようです。これからまた時間と共に、いろいろ聞こえてくるでしょう。なにはともあれ、大きなケガが聞こえてこないのがなにより良かったと思います。
お祭りに関係された皆様、誠にお疲れ様でございました。

7日と8日しか撮っていませんが、気ままに収めた画像がこちらです。















































角館のお祭りが終わって、朝晩の気温がさらに下がった気がします。間もなくのうちに最高気温も30℃を割るでしょう。これから紅葉が終わる11月中旬までの二ヶ月間が、角館秋の行楽シーズン。ぜひ多くの方々に散策を愉しんで欲しいものです。

角館草履コーナーは、明日再開いたします。
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