角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

樺細工作家の卵。

2013年07月29日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
「ナイスミドル」や「初老の紳士」といった言葉がお似合いの男性と、実演席でよく出会います。私がそういう風体でないせいか、ちょっとした憧れがありますね。「今日の草履」などは、まさにそうしたおじさまに履いていただきたい一品であります。

子どもたちが夏休みに入り、家族旅行の姿が増えてきました。昨日も今日もそうしたご家族との楽しい出会いがあったのですが、今日のブログでぜひ取り上げたい話題があるんですよ。もちろんちょっとばかり嬉しい話題であります。

角館の伝統工芸品「樺細工(かばざいく)」の世界に、若干二十歳の女性が職人として修行に入ったというんですね。角館南高校を二年前に卒業した女性は、在学時から希望進路を「樺細工職人」としていたそうです。そして一度もブレることなく、三年時には具体的な進路を探っていたといいます。

相談の窓口となっていた角館工芸協同組合のアドバイスで、高校を卒業したあと秋田市の美術短大へ進みました。もちろん樺細工作家としてのデザインを学ぶためです。今春めでたく短大を卒業した女性は、とある伝統工芸士の門下生として念願の修行生活に入ったというわけですね。

この話を一昨日聞き、他人のことなのに嬉しいやら心配やらの心境に駆られています。年齢はわが家の双子と同い年、たとえば職人の道へ進みたいと言われたら、諸手を挙げて賛成はできません。でも女性のように、高校生時代から一度もブレずに想いを馳せていたと聞くと、なんとも言えず嬉しいんですね。

おそらくそう遠くなく、「樺細工作家の卵」と会う機会もあるでしょう。樺細工職人を父に持つ身として、樺細工を三十年来販売してきた身として、そして角館人のひとりとして、彼女を応援することにやぶさかもありません。
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喜べないご利益。

2013年07月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
魚ヘンプリントに茶の唐草を合わせてみました。ちょっと楽しい、粋な草履に仕上がったと思います。24cmは男女どちらもいますから、案外粋な女性がお選びくださるかもしれませんね。

町内にお住まいで、たびたび西宮家にもお越しくださるおばさま。漏れ聞くに、長く海外に暮らした経歴をお持ちとのことで、言葉も標準語です。今年の3月でしたか、いつもはおひとりなのに、珍しくご主人と共に草履コーナーへお立ち寄りでした。

おばさまは前から欲しいと思っていたのか、その日は「ミニ草履」の前から離れなかったんですね。トイレに飾るおまじないを知ったご主人は、『そういうことなら、可愛いのをひとつ飾ろう!』と、ご夫婦仲良くひとつのミニ草履をお選びでした。

そして昨日のこと、おばさまがひとり草履コーナーへお越しです。
『話すと悲しくなっちゃうから今日まで言わなかったんだけど、主人ね、4月に亡くなったの。ちょっと体調が悪いって言ってから、三日後だった。主人がミニ草履を買ってすぐトイレに飾ってくれたから、見ると思い出しちゃうのよね』。

世の中には最愛の人を一瞬で亡くすケースがたくさんあります。東日本大震災などはその最たる例でしょう。「ちょっと体調が悪い」などは誰にもあることですから、三日後に帰らぬ人になるというのは、一瞬で亡くすにほぼ等しいんじゃないでしょうか。

ミニ草履をトイレに飾るおまじないは、「寝たきりにならない」を意味しています。こちらのご主人が寝たきり生活を回避したにしても、それで良かったと言える話じゃないですね。
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究極の「あと一歩」。

2013年07月24日 | 実演日記




今日の草履は、西宮家女性スタッフさんからのオーダー草履です。配色をしばし悩んだのち、結論としたのが「紺一色」でした。しかし紺色がとりたててお好きではないんですね。その目的は「デコレーション」。自分でデコるのに、ベースは静かな一色が良いとのことです。完成を見せていただくことにしました。楽しみにしたいと思います。

三日間のお休みを経て、本日草履コーナーを再開しました。秋田市からお訪ねのおばさまが、『ミニ草履また欲しくて来たもの。休みでなくて良かった~』。昨日までの三連休をお伝えすると、とても驚いていました。私もちょっと驚きましたね。

この三日間、いろんなニュースや出来事がありました。まず国際的には英国王室の男児誕生ですね。私に直接関係するわけじゃありませんが、やがて国王となる人が生まれたのですから、嬉しいビッグニュースでしょう。

国内的には参院選挙。大方の予想通り、与党圧勝で終わりましたね。「初投票」の長女と共に一票を投じてきました。選挙結果とは別に、投票率の低さは困ったものです。都会ならいざ知らず、秋田県でも60%に届きません。誰かも言ってましたが、義務教育課程で投票の「義務」をもっと教える必要があるんじゃないですかね。

身近な個人的ニュースは、同期生たちと秋田市のビアガーデンを訪ねてきました。秋田市の一等地に「なかいち」というエリアが誕生して一年。記念のビアガーデンはなかなか楽しかったですよ。特設ステージで披露されていた様々なダンスは、ぜひ私たちの夏祭りにも出演して欲しいと思いました。

そして最も大きな話題となっていたのは、郷土的ニュース。夏の高校野球秋田県大会、角館高校野球部の決勝進出でありました。過去一度も甲子園の土を踏んでいない角館高校の相手は、二年連続で甲子園を狙う常連校の秋田商業。

両校共に好投手を擁する決勝戦は、九回で決着がつかず延長戦へともつれ込みます。そしてこの回を無得点に抑えれば引き分け再試合となる十五回ウラ、秋田商業のサヨナラ勝ちで死闘に幕が下ろされました。

よく闘ったことは言うに及びませんが、これほどの「あと一歩」を見るのはそうないと思いますよ。
英国王室の男児誕生、参院選の与党大勝ももちろん大きな話題ですが、ひとまず角館人だけを対象としたとき、この決勝戦を上回る最近のニュースはないと思います。
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21日~23日お休みです。

2013年07月18日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
メルヘンチックな赤の花柄と、これでいよいよ最後になった紺の水玉を組み合わせてみました。対照的な色バランスに、可愛らしさがよく表現されたと思います。やはりお若い女性がお選びになるでしょうか。

大人の休日倶楽部パスが終わり、天気も梅雨明けまで今しばらく、そのうえ国政選挙戦真っ只中という条件では、散策の人影が少ないのも無理ありませんか。お客様が少ないのを宣伝する商人はいませんが、今日の角館は真冬に準ずる静けさでありました。そりゃあ、そういう日だってありますよね。

トップページの実演スケジュールカレンダーにあります通り、21日~23日までお休みをいただきます。やっぱり月に三日程度は草履を編まない日を設けないと、手の疲労感が抜けなくなってきました。
珍しく日曜日にお休みが重なることも併せて、ご理解を賜りたく存じます。

7月も下旬に入り学校が夏休みになると、家族旅行が増えだします。8月になれば東北夏祭りツアー、お盆帰省、大曲の花火と、今年も短い夏が忙しなく駆け抜けていくでしょう。
間もなく真夏を迎えるにあたり、ときには休息も考えなければならないお年頃となりました。
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悩みぬいた草履。

2013年07月17日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
水玉草履の番外編とでも言いますか、「満天の星空」をイメージしてみました。実は七夕の前日に一作目を編んだところ、すぐ売れてしまったんですね。そのあと2足編み、これもすでに完売しています。水玉草履完売第一号は、紺地の水玉でありました。

昨日のこと、大阪市からお越しのご夫婦旅と出会いました。70代も半ばくらいにお見受けしましたが、大阪からフェリーを使ったマイカー旅です。ご夫婦共にとてもお元気なのは、その関西弁からもよく分かりましたよ。

奥様がかつて布草履を編んだことがあり、『こんなしっかりした草履は、今まで見たことがありませんよっ』と、角館草履にとても感心してくださいました。そしてご主人に勧められるがままに、イ草材料をお買い上げです。
奥様がご主人へ、『この草履を編む台、こしらえてくれる?』。一生懸命写真を撮っていかれたご主人、さてどうなるでしょうかね。

ご夫婦のお話で面白かったのは、冬の「日本脱出」。毎年真冬の二ヶ月間を、台湾で過ごすんだそうです。『飛行機代と家賃はかかりますけど、生活費が安いから差し引きたいしたことはないんですよ。寒い日本にいるよりずっといいんですぅ』とご夫婦。

外国人との出会いが珍しくない私が一番気になったのは、現地での言葉です。その点も、『親日家が多いですから、日本語でさほど苦労なく暮らせますよ。むしろ中国語は使わないほうがいい地域もあるくらいなんです』。
同じように札幌や仙台から来るお仲間もいて、話を聞くだけではなかなか楽しそうでしたね。

そして今朝、ふらりと草履コーナーに立ち止まったのは、20代半ばと思しき女性です。挨拶程度のお声をかけると、片言よりは上手な日本語でした。お国を訊ねるとはにかみながら、『台湾カラキマシタ~』。昨日の今日なので、私もちょっと驚きましたよ。

試し履きをしてサイズを確認すると、じっと配色を見ているのが分かりました。ときどきおしゃべりをはさみながら、眺めること5分は過ぎたでしょうか。実は途中から察していたのが、草履の値段なんですね。おそらく台湾のお若い女性が、衝動買いできる金額ではないのでしょう。やがて言葉もなく米蔵をあとにされました。

そしてそれから数時間が経ち、こちらの女性が再度のお訪ねです。「もう悩むのはやめた。帰国してから後悔しないよう、欲しいものは買って行こっ」という言葉が、満面の笑顔からはっきり見てとれましたよ。

おそらく帰国してすぐ履いてくれるでしょう。ふと足元に目をおとしたときに、「悩みぬいた草履」が日本の良き思い出になってくれたら嬉しいですね。

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伝わる心。

2013年07月16日 | 実演日記




今日の草履は、神奈川県相模原市からお越しくださった、お若い女性のオーダー草履です。仲良し女性二人旅で、それぞれにオリジナル配色をご注文でした。女性にも話したのですが、赤の唐草に緑を組み合わせるのは、私の記憶で初めてかもしれません。編んでみるとなかなかシブくお洒落ですね。
お約束通り明日の便で出発です。すぐに履いてくださいね~。

このところの実演席では、お若い女性とのご縁が続いています。こちらの二人旅の前は仙台市からのひとり旅、その前が埼玉県からのひとり旅。それぞれにお好みの配色をお買い上げです。
いまさらですが、草履に関心を持たれる日本人に、老若男女はまったく無関係ですよ。

7月7日のブログでご紹介した、「ちい散歩メモリアルフォトブック」にある一節。
『テレビ番組には、それぞれ“使命”があると思うんだ。それは何もだいそれたことなんかじゃなくて、自分達にできることでいい。俺は、古いものや自然を大切にする想い、次の時代に残さなければいけない大事なこと、そんなことを伝えていきたい』。

まだまだ今の私がこの言葉を発したなら、それこそ“だいそれた”ことと思います。でもあえてこういう話をしなくとも、なんとなく伝わる人っているものです。つまるところ、そういう空気を感じ取ってくださった方々が、私の草履のご愛用者なのかとも思うんですね。

健康効果と美しさが角館草履の特徴と自負していますが、「現代の世に草履を編んでいる人間から草履を買ってみようかな」と感じる日本人の心が、まず一番にあるような気がしています。

私がものの数分で地井武男さんという人に「理想像」を見たのは、この考え方を感じ取ったからじゃないでしょうか。
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ルーツを探る旅。

2013年07月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
赤茶と紺も相性がいいです。ベースの白抜きは以前もご紹介した「魚ヘンプリント」なんですが、これが巻かれると粋に見えませんか。この配色デザイン、私は結構好きですね。

「今日の草履」は東京からお越しのお若いカップル、もしかしたらもうご夫婦かもしれない男性がお買い上げくださいました。女性もお好きな配色をお選びになり、今晩ご宿泊の温泉で履いてみるそうです。旅の疲れに温泉と角館草履は、ベストマッチと思いますね。

おばあちゃんと娘さん、そして孫娘さんふたりの四人がお越しでした。おばあちゃんはおひとり横浜市にお住まいで、お母さんとふたりの姉妹はアメリカ暮らしなんだそうです。姉妹のお姉ちゃんはだいぶ日本語も話すのですが、妹さんはまだ片言なんですね。見た目はフツーの日本人でも、暮らす環境で当然そういうことはあるでしょう。

日本語をあまり話せない妹さんも、角館草履は気に入ってくれたご様子。『じゃあ、記念にみんなで買えばいいわよっ』。おばあちゃんの一言で、楽しく賑やかな配色選びとなりました。

この旅の大きな目的は、だいぶ前に他界されたおばあちゃんのお父上の、ルーツを探るためといいます。おばあちゃんの父方は、現在の岩手県二戸市の大豪族「浄法寺氏」の末裔なんだそうです。

私は浄法寺氏の詳細を存じ上げませんが、二戸市の伝統的工芸品「浄法寺塗」はかねてから知っておりました。漆器の産地は城下町に多いことから、歴史と文化が深いのは間違いないと思います。
アメリカ文化で暮らす日本の姉妹が、遠い祖先に思いを馳せ、みちのくを旅する。他人様のことながら嬉しくなりましたよ。

おばあちゃんは、『元気なうちにもう一度はお墓参りに来られるわね』とおっしゃっていました。『そのときはまたここにも寄ってくださいよっ』と言うと、言葉の分からない妹さんも笑顔を見せてくれました。

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今日の教訓。

2013年07月11日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
やはり暑さを感じるようになってから、紺や青の草履が選ばれるようになってきました。赤系の配色は元々在庫が少なくなっていましたから、全体に在庫不足となりつつあります。現在展示されている草履で全財産となりました。

自分で言うのもヘンですが、近年とても気が長くなったと思います。加齢が一番の理由でしょうが、冷静に観察する能力みたいなものが身についた気もするんですよ。それがもし勘違いでなければ、やっぱり草履実演で様々な人々と出会うのが大きいと思うんですね。

70歳ほどと思しきおじさまが、どこか忙しなく入って見えました。ノーネクタイのワイシャツにスラックス姿で、学校の先生や研究者といった感じの、白髪が知的なイメージです。少なくとも私などにはない、「頭脳が売り物」を感じましたね。

時間はないけど、せっかくだから少しでも見ていきたい。おじさまの忙しなさはそこからきていました。私に話しかけるときも、目は別の方向をさまよって“観光”していますし、こちらの返答を待たずに自分の発言を重ねます。一秒が惜しいと言わんばかりでしたよ。

そのおじさまが実演は見ることなく、展示してある草履を3秒間凝視しました。初めておじさまが“止まった”瞬間です。そして言葉にしたのが、『失礼なことを言うようですけど、今の時代に草履を作ってもそうは売れないでしょう? こういうもので生計を立てるのはご苦労ですよねぇ』。

近年とても気が長くなったと、最近思ったのは今日のこのときです。まず瞬間に、おじさまの頭の中を推理してみました。すぐに出た結論は、室内履き草履をご存知ないということです。実演にまったく目を向けませんから、ご存知ないうえに関心もないでしょうね。

そのあと考えたのは、初対面の他人様の商いに対し「否」を唱える言葉を、私だったら吐くかということでした。無論答えは「NO」です。これを「大きなお世話」と呼ぶのは、おそらく全国共通じゃないですかね。
おじさまの人間性に私なりの答えが出たので、『ご心配いただいて恐縮です』の一言で会話を打ち切りました。

今日の実演で学んだことは二点。ひとつは、「自分の定規で世のすべてを測るべからず」。もうひとつは、「失礼なことを…と前置きするような言葉は、ハナっから言うべからず」。

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観光施設の呼び名。

2013年07月10日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
赤系を全体に散りばめてみました。プリント柄が賑やかなせいか、純粋な和柄が洋風にも中華風にも見えます。こういうのが「面白い配色」と言うのでしょう。

西宮家に五つある蔵には、それぞれ名前があります。草履コーナーがあるのは「米蔵」で、読みは「コメグラ」です。最も古い蔵が「文庫蔵」で、読みは「ブンコグラ」です。
なぜそんな漢字の勉強みたいなことをご説明するのかというと、「蔵」を「ゾウ」と読む人が案外多いからなんですね。

先日岩手県の中学生が、グループの中で会話をしていました。『ブンコゾウの問題だから、まずブンコゾウを探さなきゃ…』。
こちらの中学ではかねてから、先生があらかじめ角館についてのクイズを作り、生徒たちが散策しながら一問ずつ解いていく活動をしています。

『あのぅ、スイません。ブンコゾウはどこにありますか?』という質問をこれまで何度か受けていた私は、『西宮家にゾウはいないよ。ゾウがいるのは動物園だべ』とオヤジギャグのように言っています。そこで生徒たちは、「蔵」を「クラ」と覚えるわけですね。

子どもであればその程度で良しとして、大人も「ゾウ」と言う人が少なくありません。「米蔵」を「コメゾウ」、あるいは「ヨネゾウ」と言う人もいます。実際に米蔵と書いてコメゾウと読む酒がありますから、大人の場合はふざけている可能性もあるので、なかなか指摘が難しいものです。

それが先月のこと、米蔵スタッフが訊ねられたのは、『こちらがサイグウケでいいですか?』。スタッフも一瞬なにを訊かれているのか分からなかったようですが、「西宮家=サイグウケ」が頭に浮かぶのにさほどの時間は要らなかったと言っていました。
これも日頃から、子どもたちと触れ合っているおかげかも知れませんね。

それにしても「サイグウケ」ですか? 「サイユウキ」なら『国が違いますよ』とお答えできるんですがね。
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総合的学習「生きる力」。

2013年07月09日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
水玉草履最後の5色目は、「ピンク」です。戦隊ヒーローものでも必ず一人いるのが、女性のピンクです。なにしろ可愛らしさでは、右に出るものがいないでしょう。
一般に可愛い配色でまとめた「水玉草履ゴレンジャー」、数量限定おおむね各3~4足でおしまいとなります。



5月9日のブログで触れた、角館中学校3年生の総合的学習「聞き書き学習」。今日がそのインタビュー日でした。午後2時から一時間、6人の生徒と時間を共にしたのですが、いつものお客様とのおしゃべりとはだいぶ違い、こういうのもなかなか楽しいものでしたね。



質問数は20を超えましたか。本題は角館草履に関する質問で、それについては想いが伝えられたと思っています。むしろ答えに窮したのは、私の子ども時代を問われるものでした。『夢中になって取り組んだものはありますか?』や、『大好きだった漫画やアニメはなんですか?』。このどちらにも答えらしい答えはできませんでしたよ。

もうひとつ苦労したのが、『今の日本をどう思いますか?』。
3秒ほど考え、『まぁまぁ、悪いとばかりは考えていない』と答えました。たとえば「日本のここが悪い」を羅列したときに、それが不平や不満や愚痴ではないと言える自信がないんですね。『お金こそないけど、ご飯もどうにか三度食べてるし、晩酌もできる。今の日本がそんなに悪いとは思わないよ』と言うと、子どもたちも笑ってましたね。

小中学校で「総合的学習」が始まった当時、私はPTAの現場にいました。学校が言う言葉からも、渡される様々な資料からも、その趣旨は「生きる力を育む」と理解したものです。確かに世を渡るのはなかなかの苦労ですし、困ったときに助けてくれる戦隊ヒーローはいないかもしれません。

けれども必ず人は生きていけるし、生かされる場所があることを、子どもたちに知って欲しいと思うんですね。厳しい世の現実を教え込むのは、学校の先生や親御さんで十分でしょう。私たちのような社会のひとりは、もっとユルくていいと思いました。

生徒たちへ帰り際に言ったのは、『学校の成績が悪くても、なんとかメシは食えるもんダ』。一時間のインタビューで、それが私自身であることは容易に分かってくれたと思います。
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