今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
「ナイスミドル」や「初老の紳士」といった言葉がお似合いの男性と、実演席でよく出会います。私がそういう風体でないせいか、ちょっとした憧れがありますね。「今日の草履」などは、まさにそうしたおじさまに履いていただきたい一品であります。
子どもたちが夏休みに入り、家族旅行の姿が増えてきました。昨日も今日もそうしたご家族との楽しい出会いがあったのですが、今日のブログでぜひ取り上げたい話題があるんですよ。もちろんちょっとばかり嬉しい話題であります。
角館の伝統工芸品「樺細工(かばざいく)」の世界に、若干二十歳の女性が職人として修行に入ったというんですね。角館南高校を二年前に卒業した女性は、在学時から希望進路を「樺細工職人」としていたそうです。そして一度もブレることなく、三年時には具体的な進路を探っていたといいます。
相談の窓口となっていた角館工芸協同組合のアドバイスで、高校を卒業したあと秋田市の美術短大へ進みました。もちろん樺細工作家としてのデザインを学ぶためです。今春めでたく短大を卒業した女性は、とある伝統工芸士の門下生として念願の修行生活に入ったというわけですね。
この話を一昨日聞き、他人のことなのに嬉しいやら心配やらの心境に駆られています。年齢はわが家の双子と同い年、たとえば職人の道へ進みたいと言われたら、諸手を挙げて賛成はできません。でも女性のように、高校生時代から一度もブレずに想いを馳せていたと聞くと、なんとも言えず嬉しいんですね。
おそらくそう遠くなく、「樺細工作家の卵」と会う機会もあるでしょう。樺細工職人を父に持つ身として、樺細工を三十年来販売してきた身として、そして角館人のひとりとして、彼女を応援することにやぶさかもありません。