

今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
入荷したばかりの生地に、黒の「古布調」が入っていました。こういう風合いは草履にするとなかなか面白いんですね。エンジのいらかプリントと組み合わせて、「日本昔ばなし」のような草履の出来上がりです。
巻かれてしまうと分からなくなるプリント柄は、カブトムシでありました。

「今日の草履」は出来上がってまもなく、千葉県からお越しのおばさまがお持ち帰りです。外反母趾を気にされていたおばさまは、草履を履くことが足指の運動になるという話をすぐにご理解くださいました。ご帰宅のあと、きっとすぐに履いてくださるでしょう。
草履の健康効果をたびたびお伝えしているところですが、その究極を言えば「足指機能の維持」だと思っています。体に付いた部位で要らないものなどあろうはずがなく、足指とてもちろん同じです。十本の指がそれぞれ動くことによって体のバランスを保つわけですから、これが機能しなくなれば即ち「転倒」を怖れなくてはなりません。
しばらく前このお話をしたときにひとりのおばさまが、『草履を履くってことは、足の将来のためなのねっ』とおっしゃいました。この言葉を聞いてこちらもストンと腑に落ちたものです。その後同じ趣旨の言葉は何人もから聞きました。いわば自分の未来へ対する「投資」というわけですね。
角館草履の耐用年数をひとまず二年として、この期間に五千円の投資が高いのか安いのか、判断はそれぞれでしょう。
少し前の地元紙に、面白い記事が載っていました。北海道にある大学の先生が書いたコラムなんですが、入学したばかりの学生に『一千万円で将来の自分に投資するとしたら、どう使う?』と訊ねるそうです。「好きなものを買う一千万円」ではなく、「自分の将来に役立つ一千万円」というところがミソですね。すると「高級車を乗り回す」なんていう回答はひとつもないそうですよ。
一千万円という金額はとてつもない大金に思えますが、先生に言わせると「生涯所得の5%」という解釈でした。確かに平均500万円の年収で40年間働き、退職金や年金を加えたら一千万円は5%にも及びません。たとえその投資が失敗に終わったとしても、取り返すに可能な金額とありました。おそらく先生は学生たちに、「自分の将来に役立つと思ったら金を惜しむな」と言いたいのでしょう。
この記事を読んで自身を考えてみました。50を過ぎたおっさんが、これからの自分に一千万円を投資するなんてことは現実としてありません。ですから仮の話として考えてみたのですが、どうしても答えが出てこないんですよ。もしかしたら私は、自分に対して投資する価値がないと思っているんでしょうかね。