角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ものごころついた頃から‥。

2006年08月30日 | 実演日記
今日の草履は、8月6日、大阪府吹田市からお越しくださった男の子のオーダー草履です。
『僕もパパと一緒!』がこちらになります。もちろんお父さん・お母さんの草履も一緒に、明日の便で出発です。遅くなって申し訳ありませんでした。

久しぶりに朝から雨の角館。ときおり止みながら、ときにスコール並みの降雨になりました。大曲の花火が終わって角館のお祭りまでのこの期間ですから、天気が悪ければなおのことお客様は少なめです。

西宮家のすぐ近くに、老舗の時計店があります。こちらに1歳半ほどの女の子がいて、ときにおじいちゃん、ときにおばあちゃんが散歩がてら西宮家へ連れてきます。これが毎日の日課なもんですから、女の子は私ともすっかり顔馴染みです。
最近特に言葉数を覚えて、『おはよー』『バイバイ』『ありゃりゃー』などを話すようになりました。その子がお祭りビデオを観て、『おいさっピッピッ、おいさっピッピッ』を連呼しています。そう、これは角館のお祭りの掛け声なんです。

角館の子どもたちは、幼い頃からこの掛け声でお祭りを認識するようになります。やがて男の子はヤマを作って遊ぶようになり、飾山囃子教室で笛や太鼓を習う子もいます。
そして女の子は手踊り教室、ピアノ教室や英会話教室と同等の認識です。わが家の三人娘も、それぞれ三歳から習いはじめました。

角館に生まれ育った者にとって、このお祭りがいかに深く根付いたものかがお分かりいただけると思います。県外に暮らす角館人が、お盆の墓参りには来なくともお祭りには帰るというのはもはや常識です。私の親類や知人にもいますが、私はその人たちのことを愛情を込めて「不届き者」と呼びます。

「角館のお祭り見物心得」その4

祭り二日目9月8日、曳山の仕事の三つ目は「薬師堂参拝」。
8月27日のブログでご紹介したように、角館のお祭りというのは角館神明社と成就院薬師堂の祭礼です。神明社祭礼は9月7日が宵宮で8日が本祭り、薬師堂の祭礼は9月8日が宵宮で9日が本祭りとされています。曳山の神明社参拝は9月7日限定ですが、薬師堂参拝は8日もしくは9日でも構いません。
いずれにしても、この二つの参拝は“必須”であり、任意の佐竹北家上覧や観光用激突とは一線を画す行事となります。

薬師堂を参拝する曳山を見たいお客様は、観光用激突が終わった時間帯に行ってみると、きっと数台の曳山は見られます。薬師堂側では深夜0時までの参拝をお受けしますから、遅い時刻のほうが確実でしょう。

ここまで初日7日と二日目8日の曳山の動きをご説明しましたが、角館のお祭りは夜暗くなってからが活発です。神明社に遠い丁内の曳山は、自丁内へ戻って曳山を納めるのが翌午前3時や4時にもなります。
また二日目薬師堂参拝では、対向して来た曳山との交差交渉がうまくいかないと、後ろに並んだ曳山もすべて巻き添えで時間だけが過ぎていきます。昨年のお祭りでは、翌午前6時に曳山を納めた丁内が複数ありました。
それでも9日の曳山出発は、どの丁内もほぼ午前10時です。角館のお祭りは、眠られないお祭りなんです。

次回は、これも重要な「自丁内回り」をご紹介します。

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様変わりしたわが家のお祭り。

2006年08月29日 | 実演日記
今日の草履は、8月4日、横手市からお越しくださった奥様のオーダー草履です。
『エンジのいらかを使ってあとはお任せ!』がこちらになります。大変遅くなってすいませんでした、明日の便で出発です。

今日もほぼ快晴の角館。日中も扇風機を回していれば、さほど暑さを感じなくなりました。それにしても日の暮れるのが早くなりましたねぇ、確実に秋を感じます。
今日帰宅すると回覧板が届いていて、丁内のお祭り燈篭張りの案内でした。こうした「紙」からも、祭り近しを感じます。

布巻草履を発売して三年ほどになりますが、ここのところリピーターが多いのが嬉しいひとつです。今日秋田市からお越しの母娘さんは、今年の春、ご家族分5足をお買い上げくださいました。『今度は親戚にあげたい人がいて‥』とのことで、さらにオーダーくださいました。
「衝動買いから固定客へ」、商いしている者にとって、この瞬間が至福のときです。

さて今年のお祭りですが、わが家の話をしますと非常に様変わりです。西宮家中庭を会場に、これまで幾度となく手踊りをご披露していたわが家の三人娘、もちろんお祭りでも曳山の上で踊っていました。それがある理由から、娘たちが所属する社中が曳山との契約を破棄しました。よって、今年のお祭りで娘たちは踊りません。と言うことは、まず大きいのが時刻を気にする必要がないことです。
これまでは、踊りスケジュールに合わせて学校へ迎えに行き、美容院に行って頭をこしらえ、踊りの先生へ行って着付けをでかし、そして曳山まで連れて行く。これが前夜祭を含めて四日間続きます。
カミさんは曜日や日にちと無関係の仕事をしてますし、私は私で玩具の露店を出してましたから、二人とも都合がつかないとカミさんの父親に運転手をお願いしていました。それこそ家族フル稼働がお祭りの「当たり前」だったんです。

今年は娘の踊りはない、私の露店もないですから、西宮家が閉店した後は、まるで観光客と同じ生活になりそうです。この貴重な一年を、デジカメをぶら下げて町を散策してみたいと思います。

「角館のお祭り見物心得」その3

祭り二日目9月8日、曳山の大事な仕事の二つ目は、「観光用激突」。
トップページに組み合わせ一覧を記載していますが、これには参加する曳山としない曳山があります。つまりこれにも「義務」はないわけです。
今年参加する曳山は18台ですから、「観光用激突」にはおよそ7割が参加することになります。

この観光用というのは、事前に時刻や場所、組み合わせさえも決めています。もちろん勝敗もありません。こうしたことから、この激突を通称「八百長」と呼んでいます。
一般社会で「八百長」と言うと、決して誉められた言葉ではありませんが、角館のお祭りでの「八百長」と言うのは、むしろ「友好的」と解釈されています。曳山の周囲を囲む若衆の顔を見ると、ニコニコと笑みが絶えないのがお分かりいただけると思います。これは本番激突にはない雰囲気ですね。
しかししかし、八百長とは言えなかなかの迫力ですゾ。

観光で曳山激突をご覧になる場合は、この一覧に沿って場所を巡るのが楽しいと思います。狭い町中ですから、すべての場所を巡っても歩く距離はたいしたことがありません。

ちなみに、この「観光用激突」がはじまったのは、25年ほど前と記憶しています。ちょうど角館が観光立町を宣言した頃でしょう。町民にとって、「お祭りだけは観光に迎合しない」がほぼ一致した見解ですから、おそらく当初はかなりの反発があったものと推測できます。
今尚すべての曳山が参加しないのは、そうした名残りかも知れません。

明日は、曳山の仕事の三つ目、「薬師堂参拝」をご紹介します。

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片目の軍師、完成です!

2006年08月28日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズLサイズ26.0cm〔靴サイズ27cmまで可・・・3500円〕
新登場「緑の唐草」をベースに、緒は青です。シックなベースに緒は明るめですから、年齢を問わずOKと思います。
夕方から激しい雨になったため、写真は米蔵店舗内で撮影しました。やっぱり少し暗かったですね。

最高気温が30℃を切るようになりました。朝夕はすっかり秋模様、朝方は毛布がなければ寒く感じます。こういう気候になって来ると、いよいよ角館のお祭りです。

西宮家隣家の若き人形師、今日の作業でまず完成のようです。甲斐の国の片目の軍師「山本勘助」、素晴らしい出来です。詳細は掲示板をご覧ください。

山梨県北斗市からお越しのご家族、若き人形師の作業を見つけて、いろいろ説明を受けていました。その後私の実演席にお立ち寄りになり、『いやぁ~、お隣りの人形、趣味なんだって!?』と驚かれていたので、『今年は趣味でも来年は分かりませんヨ~』とお応えしました。私は結構真面目にそう考えています。

こちらのご家族、草履にも興味津々です。オーダーをくださったのはご主人で、作りたいのは奥様でした。なんでも、神奈川県から山梨県へ永住が決まっていて、そこで奥様が草履を編むイメージを描いているご様子です。
とりあえず今は草履台の在庫がありませんから、山梨への引越しが落ち着いてからご連絡をいただくことになりました。

東京都港区からお越しのご家族、女性お二人と男性おひとりからオーダーをいただきました。女性のおひとりは、かなり細かい部分まで布地の指定がありました。材料が許せばお作りするのは簡単です。
もうおひとりは悩んでいましたので、『完全お任せであれば、いろんな材料を使って世界で1足を作りますヨ』と言うと、『あっ、それでお願いしま~す!』。するとさきほどの女性が、『え~!?、じゃあ私もお任せにしようかナ~』。
『あれだけ細かい指定をしておいて、今度はお任せですかぁ~?』、みんなで大笑いしました。

このやりとりをほかのベンチで見ていた地元のお母さん、お客様がお帰りになった後で、『とってもイイ仕事してるんシなっ!』。
地元の方からの評価、私も嬉しく思います。

実演席で流しているお祭りビデオが3本追加されました。「広報かぐだで」の管理人、佐藤ゆうちゃんのご厚意です。新しい映像が加わったお蔭で、私も“飽きない”で“商い”ができそうです。

「角館のお祭り見物心得」その2

二日目9月8日は、曳山にたくさんの“仕事”があります。まず一つは「佐竹上覧」。
江戸時代の角館を治めていた佐竹北家の殿様に、曳山をご覧いただくのがこの行事です。午前10時に出発した曳山が、一斉に上覧へ向かいます。殿様がお待ちになる場所は武家屋敷通りにありますから、昼の明るい時間帯は武家屋敷通りを目指しますと、たくさんの曳山を見ることができます。

ちなみに殿様はどなたかと言いますと、現秋田市長の佐竹敬久氏です。この日だけは秋田市を離れ、生まれ故郷の殿様に戻るわけです。

この上覧に、曳山への「義務」はありません。ほかに優先したい行動があれば、必ずしも行かなくて良いことになっています。それでもこれまでの例では、上覧に向かわない曳山はほんの僅かしかありません。まず、向かうのが当たり前のようになっています。

明日は二つ目の“仕事”、トップページに一覧がございます「観光用曳山激突」をご案内します。

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草履職人が続々と‥。

2006年08月27日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ22.0cm〔靴サイズ23cmまで可・・・3000円〕
桜うさぎグリーンをベースに、緒は昨日の草履で花火を模した綿生地を合わせてみました。なんとも可愛い草履になって、実演をご覧のお客様からも『可愛い!』の評価をいただきました。

昨晩大曲の花火を堪能されたお客様が、朝から続々とお越しになりました。みなさん、『素晴らしかったわ~!』『花火でこんなに感動したことない~!』の声が一杯です。
『あなたは見たの?』のお尋ねに、『いえ、昨夜も草履編んでました‥』と答える自分の言葉が、なんとも情けない気分になります。

仙台市からお越しの女性、私の草履を見つけるなり一目散に飛んできて、草履台にかじりつかんばかりにご覧でした。『草履作りをはじめようと思って、教えてくれる人を探してたの!』。教えてくれる人と言われても、仙台と角館では通うわけにもいきません。
それでも1時間半ほどご覧でしたでしょうか、草履台をご予約のうえ、イ草1足分は今日お持ち帰りになりました。

一昨日は青森県三沢市からお電話があり、こちらも草履台のご予約です。昨日はメールによるご予約が1台ありました。とにかくこの草履作り、いまさらですが私の想定をはるかに超えた人気のようです。

夕方近くにお越しの大仙市大曲の女性、オーダー草履を引き取りにお見えです。おともだちの誕生日プレゼントとのことで、出来上がった草履をとても喜んでくださいました。
こちらの女性も草履作りに意欲を燃やしています。今日はご自身用の草履をオーダーくださいましたが、草履が出来上がる前に実演を見るためまたお越しとのことでした。

現在のところ、9月30日と10月1日の土日で草履台を作る予定です。ご予約のお客様、今しばらくお待ちください。

「角館のお祭り見物心得」その1

角館のお祭りは、角館神明社と成就院薬師堂のふたつのお祭りが起源です。現在は曳山同士の「ヤマぶつけ」が祭りのメインのようになっていますが、元来はこの二つのお祭りに余興として出されたものでした。ですから、イベント性の高いお祭りではなく、古い形の祭礼と云えます。

まずは初日、9月7日の楽しみかたをご案内します。

この日は角館神明社の宵宮です。18台の曳山が一斉に神明社参拝に向かいますから、神明社めがけて歩きますとほぼすべての曳山を見ることができます。時間は午後4時~深夜0時くらいでしょうか。
午後4時に町内への車輌進入が規制されますので、お車でお越しの方は十分にご注意ください。
曳山によっては午後3時に動き出します。お車と遭遇した場合は、曳山若衆の指示に従っていただければと思います。車輌規制前ですから文句の一つも言いたいところでしょうが、お互い楽しいお祭りにするためにも、大人の対応ということで‥。

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花火の次はお祭り。

2006年08月26日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
唐草をベースに、真中に大きくエンジを入れてみました。イメージは「花火」でしたが、予定よりエンジが大きくなってしまったので、タイトルは「尺玉花火」にします。

今日も快晴の角館、朝からひっきりなしのお客様です。午前9時過ぎに米蔵に入ると、すでにご夫婦と思しきお二人がいました。
『早いですね~、これから大曲の花火ですか?』とお声を掛けると、『いえ、これから山登りです』。
今日の角館も、いろんなお客様がお越しのようです。

お昼頃までの賑やかさが嘘のように、午後はお客様が引きました。そりゃそうです、花火見物がメインでしょうから、出来るだけ早く会場へ行かなければ大変です。今朝7時頃のラジオでは、河川敷特設駐車場はすでに満車と言ってました。

午後4時頃、東京からお越しのご夫婦がお立ち寄りになりました。奥様が布草履作りをしているそうで、私の草履に興味津々見入っています。
『このイ草は売らないの?』とおっしゃるので、『1足分300円でお譲りしますよ』とお答えすると、『1足分だけ今もらって行ける?』ということになりました。
ご主人が時間を気にしていたので、『もしかして花火ですか?』とお尋ねすると、『そう、初めて見るの!』。

花火初心者にありがちですが、かなり甘く見ているご様子。午後4時に角館にいたのでは、花火会場に辿り着けるかさえ分かりません。

明日は花火帰りのお客様で、角館もごった返すでしょう。毎年のことですが、今晩遅くから角館の駐車場は満車になります。明日の夜明けと同時に散策がはじまり、終日多くの観光客で賑わいます。明日の話題は、もっぱら花火でしょう。

大曲の花火が終わると、次はいよいよ角館のお祭りです。これまで夏祭りのすべてが天候に恵まれました。こうなるとお祭りの天気が心配です。去年は初日に台風の接近があり、置山の人形を急きょ降ろすハプニングがありました。
ご参考までに、私が利用している角館の天気予報はこちらです。

明日からは、「角館のお祭りの楽しみ方」をご案内したいと思います。取り急ぎ、トップページに「観光用曳山激突一覧」をアップしました。
角館の“燃える秋”が目前です。

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間もなく花火。

2006年08月24日 | 実演日記
今日の草履は、8月2日、愛媛県今治市からお越しの母娘さんの、お母さんのオーダー草履です。『赤系でシックに、ピンクはダメ』がこちらになります。
夏バテの影響もあって、予定より少し遅れてしまいました、大変申し訳ございません。明日の便で出発です。

九州のお客様とはずいぶんおしゃべりしましたが、四国のお客様とは初めてですという会話を、こちらの母娘さんとしました。その数日後、『稲庭うどんを食べてみたくて‥』とおっしゃる、讃岐うどんの香川県からお越しのご夫婦とお会いしました。それまでたまたま機会がなかっただけで、四国のお客様も結構いらしてるのかもしれません。

兵庫県尼崎市からお越しのご家族。お父さんにお母さん、小学校高学年くらいの男の子と三人旅です。ご家族揃ってオーダーくださいました。
『大曲の花火を見て帰るんですか?』とお尋ねすると、『それが知らずに来たのよ~、さっき教えられて‥』。

昨日お越しのお客様が、『新幹線の切符がなかなか取れなくてねぇ』とおっしゃったので、『お盆も過ぎたのになんでですかねぇ』とお尋ねすると、『大曲の花火見物がもう来てるんだって、駅員さんが言ってたわ~』。

大曲の花火、正式名称は「大曲全国花火競技会」。毎年8月第四土曜日に開催されますが、本当に素晴らしい花火の競演です。茨城県土浦市の花火も素晴らしいと聞きますが、私たちは身内びいきで大曲が全国一と思っています。
年々見物客の数も増し、昨年は60万人以上が舞い散る花火に酔いしれました。旧大曲市の人口は4万人ほどですから、この見物客の数が尋常でないことが分かります。
角館の桜祭りは、人口1万5千人に対して156万人とこちらも桁違いですが、二週間以上の期間総数とたった一晩だけとでは、その条件はかなり異なります。大曲市へ向かう沿線のコンビニやスーパーでは、弁当やおにぎりの姿がひとつもなくなると云います。

昨年まで二年連続で、大曲と角館の中間、旧中仙町の道の駅に出店していました。以前のブログ、「朝まで生草履」です。今年からは、西宮家で花火のお客様をお待ちしたいと思います。

そうそう、花火当日は観光してる場合じゃないですヨ、できるだけ早く花火会場に入ったほうが懸命です。観光とお買い物は、翌日ごゆっくりがベストですね。

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恐いのはどこ!?

2006年08月23日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
紺のとんぼプリントをベースに、緒は青のいらかです。今度作ろうと思っていてなかなか作れずにいました。予想通り、シックにまとまった気がします。

盛岡市からお越しのご夫婦。はじめに男性ひとりだけ入って見えて、『こりゃあ良く出来てる、今履いてるのとは違うなぁ』とおっしゃっていました。男性はそのまま見えなくなったのですが、続いて女性が入って見えて、少しのご説明でオーダーをお決めになりました。
そうするとさきほどの男性がまたお越しになり、『なんだ来てたのか、その草履を見せたくてお前を探してたんだゾ』。ここでご夫婦であることが分かりました。
ご主人が先に草履を見つけていたのを知った奥様、『あらっ、あなたも欲しかった?』。
ご家庭内の力関係を垣間見た気がします。

静岡から一人旅を愉しんでおられる奥様。『男の人へのお土産ってなかなかないのよね~』とおっしゃり、そのとき出来上がったばかりのLサイズをお買い上げくださいました。
『ご主人は留守番ですか?』とお尋ねすると、『そう、昨日まで入院してて、今日退院したはずね。私はようやく仕事が休めたから、念願の角館に来ちゃったの!』。
屈託なく笑う奥様に、こちらもご家庭内の力関係を垣間見ました。

今日もお祭りビデオを流していました。ヤマの激突本番シーンを真剣に見入る奥様が、右へ左へと振られるヤマを見て、『うわぁ、恐くないのかしら!?』。

実際にその場へいる若衆は、案外恐くないものです。顔は真剣でも、楽しくて仕方ないのがお祭りですから。
もしかしたら、お祭りが終わったご家庭内のほうが、よっぽど恐いかも知れませんね。

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名前の認知。

2006年08月22日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
桜うさぎグリーンにピンク小花を合わせた、配色Ⅱパターンです。どちらも強い色ではないので、優しい可愛らしさが表現できたと思います。
この草履は今日の一番最後の作品ですから、未だ展示パネルに健在です。明日以降、どのようなお客様がお持ち帰りになるか楽しみです。

千葉県からお越しのお若い女性二人旅、揃ってオーダーくださいました。
内のおひとりが、この秋からご主人と共にアメリカでお暮らしになるとのこと。『アメリカではスリッパが売ってないので、ちょうど良かったです』とおっしゃり、ご主人の分もオーダーくださいました。

アメリカと言えば、例のシアトル。こちらの女性にこの話をお教えすると、『角館の桜は毎年咲くんですから、やっぱりそれは行くべきだったと思いますヨ』。
誰に話しても同じことを言われるので、やっぱり私の判断が誤っていたようです。この話はこれっきり封印したいと思います。

実演席隣りで流しているお祭りビデオ。見入るお客様から一番多く尋ねられるのは、『これはなんというお祭りですか?』。
たとえば秋田なら「竿灯祭り」、青森なら「ねぶた祭り」のように、どのお祭りにも名前があるのがフツーです。ですからこのご質問も極自然なんですが、『はい、これは○○祭りと云います』とお応えできないから不自然です。角館のお祭りは、そのものズバリ、名前も「角館のお祭り」なんです。お客様のリアクションは、『へぇ~』だけですね。

平成3年に国の重文(重要無形文化財)指定を受ける際の名称は、「角館祭りのヤマ行事」となっています。でもこれは、私たち角館人が日常に使用する名称じゃないですね。私たちにとって「お祭り」と言えば、「桜祭り」ではなくこの「お祭り」だけなんです。
立派な名前はなくとも、「角館のお祭り」として認知されれば嬉しいです。

草履の追加オーダーやお問い合わせの電話を頂戴する際、『沙佳屋(さけいや)です』とお受けすると、『草履屋さんですよね!?』と訊き返されます。名刺にも草履のパッケージにも屋号を記載してありますが、どうもそちらのほうは依然知名度が低いようです。

「お祭り」と同様に、難しい屋号よりも「角館の草履」として認知されれば、それだけで十分(重文)嬉しいです。

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メシのタネ。

2006年08月21日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
青のいらかをベースに緒はエンジ、真中にブルーの帯を一本入れてみました。この帯、細くしていくつも入れた草履も面白いと思います。

男性と女性5人くらいのグループがお越しになりました。すぐに草履を手にとってご覧でしたが、誰一人として言葉を発しません。最初、韓国か台湾の方で日本語がダメなのかナとも思いましたが、ふと顔を上げて見てみると、みなさん手話で会話をしていました。
お二方が草履を気に入ってくださり、オーダーいただきました。「音」のない角館も気に入っていただけたら嬉しいです。

東京都久留米市からお越しの奥様。実演を関心高くご覧になり、一通りのご説明をすると、すぐに『オーダーしよう!』。
配色を考える最中もとにかく笑顔で、『嬉しいモノに出会っちゃったなぁ、草履が届くまでずーっと角館のことを考えていられるねっ!』。

お年の頃は50歳代半ばとお見受けしました。オーダーを決めてからはとにかく笑顔で、言葉ひとつひとつが子どものように純粋な奥様でした。こちらの奥様のような歳のとりかた、すっごく素晴らしいと思います。

角館のお祭りが近づいてきました。お盆が明けた最初の日曜日に、大半の丁内が「ヤマ出し」をします。曳山を納めている倉庫から一年ぶりにヤマを出し、9月上旬完成に向けたヤマ作りがはじまるわけです。作る→こしらえる→こしゃるの意から、地元言葉で「ヤマこしゃ」と云います。
「ヤマこしゃ」から参加している若衆こそが、本当に祭りの主役たちです。

西宮家隣家の「若き人形師」の作業も、そろそろ追い込みのようです。今日の画像を掲示板にアップしています。
それこそ「ヤマこしゃ」のない日の仕事の休みだけが没頭できる時間ですから、人形作りに向かう彼の顔は真剣そのものです。
それでも、ときおり塀越しに覗く観光客の方々に、丁寧に人形の説明をしていました。思いがけず角館の伝統文化に触れたお客様は、旅の想い出を確実に一個増やしたはずです。これなんです、私が彼に伝えたいひとつが。

『人形でメシ喰えねぇし‥』と彼は言います。確かに「角館のお祭り人形」だけで考えればその通りでしょう。でもそれを、「日本の武者人形」として考えたら‥。
食事の時間も眠る時間も惜しんで精魂傾けたこの人形を、50万円で譲り受けたいという人がこの日本にひとりもいないとは、私にはどうしても思えないんです。

「作品とは命を削るもの」、それを理解している人間が、この町にはたくさんやってくると信じているんですが‥。

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納期が延びそうです。

2006年08月19日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
深緑の綿生地をベースに、緒は青です。汚れが目立たないという点ではベストの生地ですが、今の季節に少々暑苦しいと言えばその通りのような気もします。
それでも、人の趣味というのは多種多様、この草履もしっかりゲットされたお客様がいらっしゃいます。

昨日の大雨で、これで季節が変わると期待したのは大はずれでした。最高気温はゆっくり30℃を超えています。散策のお客様も、心なしか言葉数が少ないように感じました。

今日の西宮家は、お盆期間を上回る来客数でした。東京からお越しの50名近い団体さんが、さらに賑やかさを増してくださいました。
オーダーだと三週間以上かかることに不満を漏らしながらも、順にご注文カードにご記入です。特に男性の方は軽くアルコールが入ってらしたようで、何か一言言いたいのでしょう。でも、そうしたお客様ほど買いっぷりは見事なもんです。奥様は要らないと言うのに、『そんなこと言わずに注文して行けよ、○○の分も注文しとけっ』。

米蔵スタッフによりますと、大曲全国花火競技会の翌日は、ざっと今日の倍の来客数とのこと。オーダー草履の納期は、間もなく四週間~五週間になりそうです。
せめて夜が少し涼しくなったらピッチを上げるつもりですが、手作り品の宿命を感じています。

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