角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

草履立県構想。

2010年03月18日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調の和柄プリントをベースに、合わせは紺のいらかプリントです。
紺の同系色合わせですが、ときおり見える和柄の赤に可愛らしさもありますね。シック系は案外お若い女性が好まれます。赤の和柄が効いたのか、「今日の草履」は秋田市からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。

昨日に引き続き今日も雪空となった角館です。気温が高めなのですぐ融ける雪なのですが、一度春を感じてしまった地元民には「なごり雪」と思えません。正直、「雪はもういい」が心境ですね。
三月の角館で人出を最も期待するのが、今週末からの三連休でしょう。それが天気予報はまた雪なんです。まぁ、この時期の雪予報は紙一重で外れますから、少しでもお日様が顔を出してくれることを期待しましょうか。

茨城県からお越しのご夫婦旅。田沢湖温泉郷を拠点に、今日で三日目になるそうです。実演をご覧のときも時間を気にする素振りはなく、ほんとにゆっくり旅を愉しんでいるのが分かりました。
草履を気に入ってくださったのはご主人。ご夫婦でご主人だけのお買い上げは案外少ないです。奥様がどれほどご主人を大事に思っているか、『こっちのほうにも散歩しに来て良かったねっ』。奥様のこの言葉で推し測れますね。

布草履経験者のご訪問があとを絶ちません。3月2日のブログでご紹介したお母さんは、昨日イ草材料をお求めにお越しです。
『なんだがやってみねぇば気が済まなくて…』。あれから角館草履のことをずいぶん考えていたそうです。「まずやってみる」、これはどのような場面においても大切なことと思いますね。

今日お越しは秋田市で布草履に取り組むお母さん。三ヶ月前の新聞記事効果が、これほど長く続くとは思いも寄りませんでした。おともだちふたりを連れ立って、『ここの場所が分からなくて、あちこち訊ねてようやく着いだんシぃ』。
おそらく角館という町に馴染みが薄かったのでしょう。道に迷ってまでも角館草履を見てみたいというお気持ちに、こちらも真摯にお応えしなければいけませんね。

お母さんはご自身が編まれた布草履をお持ちでした。初対面の人間に自身の手作り品をわざわざ持って見えるということは、それなりの自信がなければ無理でしょう。その布草履を見て、草履職人もすっかり納得です。おそらくこれまで見た、お土産屋さんや道の駅に並んだものの中で一番綺麗だと思いました。『キャリア何足だんシか?』とお訊ねすると、『100足に少し足りないくらいだんシなっ』。
100足に近い実績をお持ちとはいえ、ここまで綺麗に仕上げられるのはその人間性によるものと思いますね。

いわゆる布草履が巷に登場して、10年に近いと思います。NHKの「おしゃれ工房」や雑誌の「いきいき」が盛んに取り上げた頃からでも、すでに5年以上が過ぎました。地方自治体が「リサイクル講習会」の一環で布草履教室を開くようになって、やはり5年は過ぎたと思います。
この数年の間で、『一足編んだだけでやめちゃったぁ』『片足だけであたしに無理って分かったわぁ』という人たちが姿を消し、これからは地道に続けられる人が残っていく過程なのかも知れません。

今日お越しのお母さんは、『次は秋田の先生も一緒に連れて来るんシぃ』とお帰りです。「先生」であれば、おそらくさらに綺麗な草履を編まれるのでしょう。
腕の立つ布草履職人がたくさん訪ねてくれたなら、それはきっと角館草履にもプラスになると思うんです。そして大きな夢は、秋田県全体が草履で有名になることですかね。“部屋履き草履なら秋田県”。話はデカすぎるくらいが面白いっ!

コメント
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