角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

元気をもらってますっ。

2010年04月30日 | 実演日記


今日の草履は秋田市にお住まいのおばさまからの、お電話によるオーダー草履です。
『娘は紫が好きだものっ。そういうのがあったらでイイんだども、宜しく頼むんシぃ』とのことでした。ちょうど東京の仕入部長から新柄が届いたばかりでしたから、即OKのお応えが出来ました。明日の便で出発します、どうぞお楽しみにっ!

こちらのおばさまは、十日ほど前にご自分用をお買い上げの方でした。一昨日の晩お電話をいただき、『面白半分みたいに買ったんだども、一週間くらい履いだば足のむくみがなくなったものなぁ。これは魔法の草履だな、はっはっはっ』。
おばさまはご自分用の洗い替えと、娘さんも欲しいとおっしゃったため2足のご注文をくださいました。ご注文の嬉しさよりも、おばさまの足が楽になったほうが嬉しいですね。

文字通り咲き初めに水を差すような雨となった今日の角館です。ときおり突風が窓を叩き、散策のお客様も難渋したことでしょう。実演席のある米蔵イベントホールは、朝のうちストーブに火を入れましたよ。
それでも角館の桜たちは、時を追うごとに開花が進んでいます。予想通り、見頃は5月3日からの五日間ほどでしょう。

おかげさまで公開実演も多忙を極めています。桜まつりは17日から始まりました。無論桜は咲いてなかったのですが、この日を境に徐々にお客様が増え始め、ゴールデンウィークがスタートした29日からはピークの様相を呈しています。昨日の開花をリアル情報で得た人たちが、おそらく今日から押し寄せるでしょう。つまり本当のピークは今日から5月5日までと見込んでいます。

先日お電話をいただいたのは、3月30日のブログでご紹介した犬に草履をかじられたおばさまでした。2足のご注文と共に私に言うのは、『桜を観に行きたかったんだけど、どうしても行けないのよ。秋には必ず行くから、ゼッタイ西宮家で草履を編んでてねっ』。

新潟県長岡市にお住まいの女性からは、オーダー草履到着が書かれた葉書を頂戴しました。
『先日は角館で桜を見ることができず残念でしたが、夜桜の草履が届くのを楽しみにして待っていました。早速お風呂上りに履いて、とても気持ちが良いです。(中略)今度は必ず角館の桜を見たいと思います。ありがとうございました』。

角館の桜まつりは会期が長いです。そのうえ今年は冬季実演を敢行したため、僅かしか休んでいません。47歳という年齢が若いかどうかは微妙ですが、さすがに若干の疲れがありますね。
そんな疲れも、こうしたお客様からの声が忘れさせてくれます。今日からの桜まつりピーク、楽しんで参りましょー!

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楽しい愉しい姉妹旅。

2010年04月29日 | 実演日記


今日の草履は東京にお住まいのおばさまからの、お電話によるオーダー草履です。
角館草履のご愛用者であるおばさまは、お世話になったお知り合いへプレゼントしたいとのこと。ご本人へ好きな色を訊いてみると、「黄色」と「オレンジ」だったんですね。
「東京の仕入部長」へお願いし、昨日届いた布地で早速お作りしました。ベースは「宝船」などの縁起物で統一されています。




こちらのおばさまは、今年三月に定年退職記念品として角館草履をご利用くださった方です。勤務先のお仲間十数名に草履を贈られ、みなさんとても喜んでくださったそうです。
そしてまた今度は、日ごろお世話になっているお知り合いへのプレゼント。こうして角館草履のご愛用者が増えてくれるのは、作り手としてこの上ない喜びですよ。

東京からお越しの三姉妹旅。それぞれ20歳代~30歳代と思います。草履展示パネルを眺めながら、『うわぁ、綺麗な草履っ』。私が見た目の綺麗さよりは、実際の履き心地や健康効果のほうが支持されている話をすると、すぐに三女さんが試し履きをされました。わが家もそうなんですが、こういう場面で一番先に行動するのは末っ子なんですよね。すると、『うおっ、これ買ったほうがイイよっ』。

二人のお姉さんも履き心地に満足され、ご家族分6足のお買い上げと相成りました。こうしたまとめ買いの場合、心ばかりのお礼にミニ草履をひとつプレゼントしています。これは売上への感謝というよりも、「家族みんなで履きたい」とする心への感謝が大きいんですね。
『ミニ草履ひとつ、好きな色を選んでくださいね~』と言うと、長女さんが末娘さんに配色選びを指示されました。私が長女さんに『やっぱりそういう仕事は末っ子が担当ですか?』と言うと、『末っ子の特権じゃないですか!?』。
わが家の三姉妹と重なって、私も思わず吹き出してしまいました。

大阪からお越しの姉妹旅。こちらは80歳代と70歳代でしょうか。角館草履の健康効果をご説明すると、妹さんがお姉さんに『いつも足痛いって言ってるんやから、あんた買っときぃ』。勧められるままにお気に入りの配色をお選びくださいました。
おふたりは今月26日から旅が始まり、北東北の満開の桜がテーマだそうです。角館は未だ満開に至ってませんから、おふたりともそれは残念そうにしていました。

それが「姉妹会議」において、明日弘前へ行き、次に岩手の桜を観て、さらに5月3日角館へ再度訪れる「決議」がされたそうです。私が、『時間を考えずに旅ができて羨ましいですよ』と言うと、『あたしらはもう定年しとるから、時間だけはたっぷりありますねん』。
定年されているのは一目で分かりましたよ~。

いよいよ角館の桜たちも、この二、三日で見頃へと向かいます。これまで「花」ではなく「木」だけを眺めてお帰りになった数十万人の分も、これから訪れる方々には愉しんで欲しいと思います。

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咲き出しましたっ!

2010年04月28日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
ピンク基調の竜馬プリントをベースに、合わせは黄色基調の桜花プリントです。
ビンクをベースとした優しい色の組み合わせは、穏やかな日差しを浴びる桜たちを連想させます。穏やかで優しいおばさまにお勧めでしょうか。

角館の桜たちが、いよいよその花びらを開き始めました。角館を訪れる大半が通ると思われる樺細工伝承館前。ここの敷地内の枝垂れ桜が、今朝ではっきりと咲き出しています。おそらく夕方時点でさらに開花が進んだでしょう。いや~、こんなに開花を待ったのは久しぶりのことですよ。

今朝から実演席横のテレビでは、8~9年前に放送された番組の録画ビデオを放映しています。満開の桜を映し出すその映像は、日付が「4月23日」となっていました。今日はすでに4月28日、今年がいかに遅いか実感されます。
ただし今年は咲き出したばかり、テレビに見入るお客様は『あら~、満開だったらこうなるのねぇ』。なんだか放送がイヤミに映るかもしれませんね。

それでもゴールデンウィークに開花が間に合ってくれたことは、角館人としてホッとしています。さらに桜まつり期間が延長されることに決まりました。5月5日までとしていましたが、9日までイベントが続きます。
昨日の朝刊には、角館の満開がゴールデンウィークにばっちりはまったことが書かれていました。これにより角館は、商いにおいても盛況となる内容です。

確かにそうした期待は大きいでしょう。中でも檜木内川堤のソメイヨシノ沿いに設けられた屋台群は、近年にない期待感でいっぱいと思います。たくさんのお花見客で賑わい、露店にはお客様の行列ができる。想像しただけでも『これこそ角館の花見ダっ』と言いたくなりますね。

角館の草履職人もしっかりとこのゴールデンウィークを務め上げる覚悟ですが、冬場からの疲れが若干否めません。連休明け、二日ばかりお休みをいただくことにしました。
一人でも多くのお客様に想い出をご提供できるよう、明日からのゴールデンウィークは力の限り実演に向かいます。

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わが子の笑顔。

2010年04月26日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ21cm土踏まず付き〔四阡円〕
グレー基調の洋柄プリントをベースに、合わせは黒の刺し子風プリントです。
シックなお洒落さでは、典型的な草履になりました。ちょっと久しぶりの21cmは、足の小さなお若い女性にお勧めですね。お若い女性ほど、こうした配色をより活かせる気がします。

久しぶりに朝から青空の一日になりました。気温はさほど上がらず13℃ほどでしょうか。それでも桜の蕾たちはしっかり成長しています。赤みを帯びて、気温の上がるのをひたすら待っている感じですね。
私が知る限り街中で最も早く咲くのは、角館郵便局の枝垂れ桜です。未だ幹の細い若木なんですが、その分元気があるのでしょう。今日現在、数輪が開きだしました。
今朝9時少し前の、武家屋敷通り樺細工伝承館の枝垂れ桜がこちらです。




愛知県からお越しの母娘さん三人旅。お母さんは80歳ほど、二人の娘さんは50歳代でしょうか。最初は珍しい意味で実演に見入っていたのですが、素材や健康効果を知るとだんだん目の色が変わります。みなさん充分な時間を配色選びに費やしました。
お支払いはすべてお母さん、『角館の記念になにか買ってあげたいと思ってたから、ちょうど良かったですよっ』。
いくつになっても親というものは、子どもの笑顔が見たいものですよね。

お買い物が済むと、北蔵レストランへお食事に向かわれました。そして小一時間が過ぎた頃、『もうひとついただいて行くわ』と再度のご訪問です。娘さんおふたりが外の明かりで配色を確認するため出て行かれました。実演席にはお母さんと私です。お母さんが小声で私に言うのは、『孫娘がアメリカにいてね、その子にも履かせてあげたいって言うのよ。気立ての良い一人娘をアメリカに出しちゃって、あたしはもったいないって言ったんだけどねぇ』。

つまり同行されたふたりの娘さんのひとりに、一人娘さんがいるんですね。芸術家を志してアメリカの大学へ進み、卒業後そのまま現地の企業へ就職したんだそうです。親として一人娘のアメリカ生活はどれほど心配でしょう。でもそれを認めたのは、娘さんが夢を追い笑顔でアメリカに渡ったからじゃないですかね。
親はいつでも子どもの笑顔が見たいものですよ。

三女の卓球郡市春季大会は、団体戦準優勝、個人戦も県大会出場を勝ち取りました。特に個人戦は先回の大会までさほどの戦績がなかったことから、ノーシードで勝ち上がりました。団体戦を含め、チーム内で最も多くの試合に登場した三女。その苦労が報われた笑顔は、親として誇りに思えましたね。

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無欲の勝利!?

2010年04月24日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
カラフルな花柄プリントをベースに、合わせは緑です。
賑やかで楽しい草履になりました。24cmですから、少し足が小さめの男性がお選びになるかも知れませんね。『赤は元気の象徴ですよ』と実演席でよく言うのですが、楽しいカラフルな配色も元気の素という感じがします。

今日は三女の卓球「春季大会」でした。私はもちろん仕事ですが、カミさんが観戦に出向き試合結果をメールで伝えてくれます。団体戦は三戦全勝、個人戦も三回戦を突破したそうです。なにしろ明日が強敵揃いですから安心なんかできませんが、まずは一日目をよく頑張ったと思います。

三女の試合をビデオ録画で何度か見ていて、私が思うにそれほど強くはないですよ。本人もそのあたりは自覚しているようで、とても敵わない相手が大仙・仙北地区に数人います。団体戦の三勝目は三女が宿敵と認める学校でしたから、今日の結果はさしずめ「無欲の勝利」といったところでしょうか。

相変わらず「桜ざんねん旅」が続く角館です。昨年の今ごろは満開の桜が愉しめてましたから、ここ数日を予約されたお客様は決して的を外していません。むしろデータをしっかり読み取った方々でしょう。
逆に、『桜はないと思うけど、どうせ連休しか休めないから…』という理由でゴールデンウィークに予約された方は、意外な結末を迎えることになります。これもひとつの「無欲の勝利」でしょうか。

そこを充分理解した上で「桜がなくても愉しい町」を、われわれ角館人は提供する責務があると思っています。少なくとも開花前にいらしたお客様を、「敗者」にすることだけはゼッタイ阻止しなければいけません。

染井吉野が咲き誇る檜木内川堤では、桜まつり期間中「伝統芸能飾山囃子」のご披露が行われます。今日は長女と次女が所属する角館高校飾山囃子同好会の出番でした。天候が悪ければ樺細工伝承館内が会場となり、実際ここまでのご披露はすべて館内でした。
今日の天気もなかなか曖昧な中、娘たちは初めての河川敷披露に挑戦したそうです。午後からにわか雨に打たれましたが、この心意気を私は誇りに思うんですよ。

明日の日曜日、桜はなくとも大勢のお客様がお越しになるでしょう。角館の草履職人も、高校生に負けることなく心してお迎えする覚悟です。


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後ろ髪引く角館。

2010年04月23日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
ブルー基調の茶道具プリントをベースに、合わせは青基調の竜馬プリントです。
青で統一された草履は、爽やかさが印象的です。澄んだ青というのは、近くに海のない角館ではやはり「空」がイメージされますか。早くそんな青空が欲しいと思いつつ、今日の角館も一日雨が降り続いています。

未だ開花しない角館の桜まつりですが、お客様の人数は増してきました。武家屋敷通りに程近い桜並木駐車場は、桜まつり期間大型バス専用となります。乗用車専用となるのは旧角館高校グランド。ここも武家屋敷通りと間近に位置します。どちらも連日満車状態との話は聞くのですが、桜はない天気は悪いでは、外町散策の人数は本格的な桜まつりとは言えません。

それでも西宮家でお昼ごはんを食べるツアーは、連日100人単位に増えています。ただし時間が足りないですね。これは通年の現象なんですが、特に桜まつり期間は足りなく感じます。予定より早く着くのが珍しい観光ツアーでは、時間が押している分を昼食時間と余暇時間で調整します。するとお昼を食べたらあとはバスへ直行なんて場合もあるんです。

むしろその場合は西宮家内部を見ない分、心残りもないでしょう。気の毒なのは残り5分とか10分で米蔵へ見える方々です。『もっと時間が欲しいわねぇ』なんていう言葉は一年中聞かされますよ。
この話題もときどきご紹介するのですが、ほんとに「後ろ髪を引かれる想い」が伝わってきます。

三重県からお越しのご夫婦旅。奥様が角館草履にとても関心が高く、試し履きしてその感触を実感されました。しかし悩んだのが四阡円の値段。四阡円そのものが大金であるかどうかもそれぞれなら、部屋履き草履に四阡円もまたそれぞれなわけです。断腸の想い…といえば少々大げさながら、奥様はあきらめるように米蔵を出て行かれました。

それが10秒も経ったでしょうか、小走りに帰ってきました。『この草履を脱いで靴を履いたでしょ。そしたら草履の感触がはっきり分かったのっ』。奥様は飛びっきりの笑顔でお好みの配色をお選びになり、いそいそとお帰りになりました。そしてまた10秒後、『妹の分も買ってあげよっ』。

こちらの奥様は、二度も後ろ髪を引かれたようです。

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「母の日」語録。

2010年04月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
紺基調の花柄プリントをベースに、合わせは紺のいらかプリントです。
紺の同系色合わせだったので、特段迷いもなく男性サイズにしてみました。出来上がってみると、どうやら女性好みになってますね。先月の新柄に「黒」や「紺」が多かったので、女性サイズもかなり編んでいます。それが結構人気なんですね。

『母の日にご利用のお客様は、どうぞお早めにご用意ください』
と書いた張り紙を、展示パネル中央に貼っています。桜まつりとゴールデンウィークが終わった草履コーナーは、在庫数が極端に減ります。サイズによっては完売しますし、少なくともたくさんの中から配色を選ぶというのは困難です。

以前のブログでも触れましたが、ご実家のお母さんであれ嫁ぎ先のお義母さんであれ、『角館草履を履かせたいっ』の心に私もお手伝いしたいと思っています。
冬場の草履コーナーをご覧のお客様で、「母の日」を思いつかれる場合が少なくありません。そして母の日近くになって訪れると、『あれっ、これしかないんですか!?』というのがこれまでも複数ありました。

こんな意味での張り紙なんですが、これを読んだお客様の反応がとても面白いので、これまでのいくつかをご紹介しましょ。

■40歳代と思しきおばさま。『母の日なんて…。まず自分のを買わなきゃ』。
プレゼントよりまず先に自分が履いてみる。草履職人はこうした考えも否定はしません。

■50歳代と思しきお母さんと、20歳代と思しき娘さん。お母さんが張り紙を見つけると、娘さんへ一言。『ほらっ、母の日だってよっ』。
娘さんは脇目も振らず米蔵を出て行かれました。

■50歳代と思しきおばさまはご自分用をお買い上げの後、『領収書もらって、娘に渡そうかしらっ』。
母の日プレゼントは自分で買ったから、お金だけ出してもらう。なかなか上手い手法ですね。

■50歳代と思しきおばさま。『花は枯れるから、たまには草履が欲しいって言ってみようかしら』。
「花よりだんご」ならぬ、「花より草履」ですかっ。

この調子だと、母の日までにまた面白いエピソードをご紹介できると思います。

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桜ざんねん旅。

2010年04月21日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い紫基調の桜花プリントをベースに、合わせは朱色基調の和柄プリントです。
優しい「和」の雰囲気がよく出ています。組み合わせの朱色がまた可愛いですね。「今日の草履」をお持ち帰りは、埼玉県からお越しのご夫婦旅。お選びの奥様も、とても優しい雰囲気をお持ちでした。

こちらのご夫婦は仕事を兼ねた旅で、いつもであればもっと早くのご訪問だったそうです。それが都合でこの時期になったことを、とても喜んでいらしたんですね。その理由は「桜」、4月20日頃には角館の桜が見頃を迎えるのを想定し、こんな機会は滅多にないとそれはそれは楽しみにしていたそうです。
それがどうでしょ、今年の桜。未だ蕾を硬く閉ざしたままです。

直近の開花予想は、4月28日と出ました。私たちもおおむねその辺りを想定していて、見頃は5月1日~5日の五連休と考えています。
二月下旬から三月上旬のあたりに、角館の桜がゴールデンウィークにばっちりぶつかると誰が予想したでしょう。それはお訪ねのお客様すべてがそうだったと思います。実際去年の昨日・今日は満開を迎えていますし、近年の傾向を考慮すれば確率が最も高い判断ですよ。

熊本県八代市からお越しのおばさまふたり旅。角館草履の素材であるイ草は八代産です。お二方ともこの話題で大いに盛り上がりました。実演を興味津々眺め、角館草履の特徴をご理解いただくと早速試し履きです。ご満足のおふたりは、お土産も含めて5足のお買い上げでした。
『やっぱり桜が観たかったでしょう?』と訊いてみると、『歩き回って疲れたけど、これで桜があれば吹き飛ぶのにねっ』。
ほんとに私もそう思いますよ。それでも最後の言葉に救われました。『桜には縁がなかったけど、この草履に出会えたことで満足するわっ』。

桜まつりのスタートから今日で五日が経ちましたが、「桜ざんねん旅」の話題はキリがありません。
福岡県久留米市からお越しのおばさまは、『荷物になるとイヤだから、オーダーして帰るわ』と、ご家族分5足をご注文でした。私が、『桜を観て欲しかったんですけどねぇ』と言うと、『あらっ、観たわよ。花じゃなくて木だけどねっ』。

これくらいの度量があれば、桜のない角館も充分愉しんでいただけたことでしょう。

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旅のストーリー。

2010年04月19日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
青基調の竜馬プリントをベースに、合わせは青のいらかです。
気持ちの良い青は、空や海の色に例えられます。今日の草履はプリントが竜馬ですし、組み合わせは海のいらかですから、やはり「海」でしょうね。昨晩の大河テレビにもそんなシーンがありました。やはり竜馬には海が似合います。

「今日の草履」をお選びは、富山県からお越しのご夫婦。実演をご覧になり角館草履の特徴をご理解いただくと、真っ先にご主人が試し履きをされました。奥様は試さずともすでにお気に入りの配色を決めているご様子。ご主人は25cmでしたので、編んだばかりの「今日の草履」をご紹介しました。

『竜馬のプリントに海のいらかなんて、ストーリー性があってイイでしょ!?』と言うと、ご主人はすぐに飛びつかれましたね。すると奥様、『うわ~、素敵! あたしにもそういうストーリー性のある草履はないの?』
ストーリー性があるかどうかは別にして、奥様にはピンクの竜馬プリントをご紹介しました。おふたりとも満面の笑みでしたね。

ご夫婦の旅は列車でした。富山から秋田駅に着き、能代駅へ行って鷹巣駅、そこから内陸縦貫鉄道で角館に入り、そしてまた秋田へ戻るんだそうです。ずいぶん細かく秋田県内を回ってますから、『秋田県に親類とかいるんですか?』とお訊ねすると、『いや、そういうわけじゃないよ。なんにも予定を立てずに、気ままに回ってるだけですよ』。

計画のない旅をされている方とはこれまで何人も出会っていますが、それはそれでとても愉しそうですね。
こちらのご夫婦は、草履にはストーリー性を求めても、自身の旅にストーリー性は要らないというわけでした。

さて角館の桜たち、依然として咲き出す気配がありません。思えば2月後半の異常高温の頃、『今年もゴールデンウィークに桜はないかぁ…』とみんな言っていたものです。今年の開花は、誰もそのストーリーを読めませんでしたなぁ。

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「桜まつり」開幕です。

2010年04月17日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
赤基調の竜馬プリントをベースに、合わせは黒の刺し子風プリントです。
赤と黒の相性の良さに、この刺し子風が無地にはない「和」を表現していますね。かっこいい配色の典型例のこちらは、老若どちらでもOKでしょう。

いよいよ2010年角館の「桜まつり」が開幕しました。とは言っても、肝心の桜たちは未だに咲く気配さえありません。しかも今朝はみぞれ混じりの悪天候、『桜まつりでねぇくて、雪まつりだねがよっ』の言葉は冗談じゃなかったですよ。
それでも当地は雪国だからまだマシかも知れません。首都圏をはじめ、宮城や山形では積雪があったようです。これでまた心配なのが野菜の高騰でしょう。不景気の世に、野菜くらい安価に食べさせて欲しいものです。

茨城県からお越しのおばさまひとり旅。かつて当地に暮らし、茨城県に家庭を持って早数十年と言います。『まだ桜が咲かないのは知っていたんだけど、せっかく計画したから来ちゃったわぁ』。
桜がないことでキャンセルが相次ぐ話は、先日のブログにも触れています。桜への異常な依存度を憂慮する私にしてみれば、神様みたいなおばさまですよ。

久しぶりの散策を愉しまれたおばさまは、『昔はこの辺が通学路だったんだけど、西宮家の存在は知らなかったわぁ』。
地元のことを地元民が知らない、これは珍しいことじゃないですね。西宮家に足を踏み入れたことのない地元民は、私の周囲にも大勢いますよ。
実演をご覧になり角館草履の特徴を知ると、『カード使えます?』。この話題は3月20日のブログにも綴った通り、草履コーナーだけは今も“昭和”なんですね。

これまでのお客様はだいたい現金決済をされるか、帰宅後にネット通販をご利用という方もおります。しかし今日のおばさまは、すでにお好みの配色を頭の中でお選びでした。でも未決済のまま商品確保は言いづらかったのでしょう。この後数日分の現金を予測しながらとてもお悩みだったので、こういうときは最後の手を使います。それは「商品先渡しの帰宅後郵便振替」なんですね。実演席にはこの場合を想定し、いつでも郵便振替用紙を用意しています。

おばさまはとても恐縮し、『帰ったらすぐに振り込みますから。これが私の身分証明ですぅ』と免許証までご提示くださいました。私は、『そんなもの見せなくてイイんですよぉ。この草履を欲しいと言ってくれる人に悪人はいないですからっ。草履はすぐに履いてくださいねっ』。

悪人どころではありません。先にも述べたとおり、この時季に桜がなくても角館を愉しまれる方は、「神様」と呼んで相応しいでしょう。

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