角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

師走は新柄。

2011年11月30日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,800円】
サイズさえ合えば、性別を問わずお勧めできる配色ですね。奇をてらわないとでも言いますか、こうしたシンプルな配色は選ばれるのも早いような気がします。

今日と明日の二日間お休みをいただいて、まずは冬を迎える準備をしています。ここまでの角館は比較的温暖に推移していますが、このまま冬が終わるとは誰も思っていません。車のタイヤ交換やら雪囲い、あとは除雪用具を揃えたりと、この時期特有の作業があるわけです。

今日で11月も終わり、今年も残すところ一ヶ月。トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。降雪状態によって急なお休みの可能性はありますが、年末に数日休む以外に長いお休みの計画はありません。散策のお客様や実演見学の常連さんをお待ちしながら、冬場の在庫作りに励むつもりです。

今年最後の新柄布地が、明日到着します。12月2日の実演再開から、早速編み始めるつもりです。師走の角館草履は、新柄草履で締めくくることにしましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悩んだ挙句の決断。

2011年11月29日 | 実演日記




今日の草履は、11月25日のブログでご紹介の「優柔不断さん」のオーダー草履です。こちらの配色を決めるまでもしばらく掛かったのですが、出来上がりをしみじみ眺めながら、『ほらっ、とってもいいじゃないですかっ』。
いっぱい悩んだからこそ、ご自身の選択を誇れるのでしょう。早速今日から履いてくださいね~。

秋田市からお越しのおばさまお二方。レストラン北蔵へ入られる前に、実演コーナーに足を止められました。いつものように素材やら健康効果をご説明し、試し履きも勧めてみました。しかし草履への関心もそこまでではなかったのか、試し履きは遠慮されてレストランへと入って行かれました。

20分ほど経ったでしょうか。こちらのおばさまがお帰り際に再度お立ち寄りです。さきほどと印象が異なったのは、明らかに購入意欲満々なんですね。すぐにサイズと配色を照らし合わせながら、おふたり笑顔で吟味されていました。
おそらくレストランで草履の話し合いがあったのでしょう。悩んだ結果のご購入が、おふたりの笑顔に表れたわけです。

わが家の三女が悩んでいるもの、それは高校卒業後の進路です。まだ一年生…などと悠長なことを言ってはいられません。二年生進級時に選択があり、そこでひとつ進路が絞られます。

一応やりたい道はあるのですが、それはどう考えても「飯のタネ」に程遠い存在。親が子どもの仕事を決めるつもりなど毛頭ないにしても、世の中にいったいどんな職業があるのか。自身を冷静に分析させ、選択肢を拡げてあげることがひとまずの務めでしょうか。

いずれにしても、親の思う通りにならないのは覚悟の上。せめて充分に悩んで欲しいものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品と商品。

2011年11月28日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,600円】
見事なまでに真っ青な草履ですね。同系色の組み合わせはずいぶん編むのですが、これくらいよく似た色の組み合わせは珍しいと思います。緑好きさんに準ずる多さで青好きさんがいらっしゃいますから、きっとこの草履も近いうちにお選びの方が現れるでしょう。

『いやぁ、これはもう芸術作品だねぇ』。秋田市からお越しのおじさまが、展示してある草履を眺めながらおっしゃいました。もちろん素直にお礼を言いますが、特にご年配のお客様だとしたら、かつてのワラ草履と比較しての言葉が多いと思います。
実際「芸術作品」という言葉は、角館草履に重過ぎますしね。

先月のこと、角館樺細工伝承館に関わる知人が西宮家をお訪ねでした。町でときどき顔を合わせる先輩ですが、草履実演をじっくりご覧いただくのはその日が初めてと思います。知人曰く、『これは分かり易くていいもんだ』。

日常に樺細工実演を見ている知人は、私の草履実演と比較したんですね。樺細工の場合「今やっている作業が何なのか」、説明しても素人には分かりづらいことがあります。その点私の草履実演は、説明がなくても作業が分かり易いということでした。
こうした視点での評価は私も初めてで、とても新鮮に聞いたものです。

ここに「作品」と「商品」の違いがあるんじゃないですかね。「作品」は作り手が自身の思いの丈を表すことを第一とし、「商品」は消費者に特性を理解してもらうことを第一とする。つまり積極的に理解を求めるか否か、あるいは理解され易いものか否か、ここにひとつの相違点があると思うんです。

私の草履は広く愛して欲しいと願う、家庭用品・健康用品に属する商品と思っています。ですからこれからも実演を通して、分かり易さには極力務めたいですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角館と男女カップル。

2011年11月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔4,500円〕
【2012年1月1日より5,200円】
定番配色④とよく似ているのですが、プリント柄が異なります。この布地も行き着けの生地屋さんで、ほぼ1足分だけ残っていたのを購入しました。ですから今日の草履は、「完全一点もの」というわけです。緑の色調が「きなこ棒」に似ていて美味しそうですね。

角館を好んで訪れる方々の年齢層を問われれば、おおむね50歳代以上の中高年とお答えするでしょう。詳細なデータなどは持ち合わせていませんが、日々の出会いで推し測れば、その割合は70%なんていう数値になるんじゃないでしょうか。

それが今日はとても面白い日でした。20歳代前半の女性グループや、やはり20歳代と思しき男女カップル3組と立て続けに出会いました。そのすべてが県外からの旅行なんですね。うちの男性おひとりは、『衝動買いしちゃおっ』とご自分用の草履をお買い上げです。

紅葉が終わり、いわゆる観光シーズンから外れた角館は、日曜日と言えども人影はまばらです。そんな中で県外からお若いお客様がこれだけお越しになるのは、少なくとも私の実演席では珍しい光景と思いました。

今年で五年目を迎える立町ポケットパークの「冬のイルミネーション」が、今日から始まりました。冷え込む夜ほど美しく見える電飾は、ぜひ男女カップルのみなさんに見て欲しいものです。
あっ、もちろん中高年のカップルさんも、どうぞご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あの世に持って行けません。

2011年11月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,400円】
シブいと言えばその通りなんですが、金色に光るベースの菊模様が厳かさを感じさせます。一定の年齢を過ぎてから、こういう雰囲気に魅力を感じるんです。加齢に連れて、「金」の大切さが分かってきたのでしょうか。

最近のマスコミで、「年金」が賑やかに報道されています。喫緊の課題であるかのような言われ方ですが、少子高齢化が昨日や今日始まったわけじゃあるまいに、なんでもっと早くに…と考えるのは素人過ぎですかね。
いずれにしても、今の状態では若者の年金離れがさらに進むでしょう。

昭和37年~38年生まれの私たちは、年金受給開始が65歳と決まっているんだそうです。最近になって、同期の市役所職員に教えられました。昨今の長寿社会を思えば、60歳も65歳もたいして変わらない気もしますが、おそらくその歳になればそうは思わないでしょう。

秋田市からお越しのおばさま。お歳の頃は70歳代前半とお見受けしました。プロ並みと思えるカメラに三脚を担ぎ、いかにも「写真撮ってますっ」という出で立ちでお越しです。
『すいません、少しの間カメラを置かせてください』と、草履コーナーの前に三脚を設置しました。米蔵の中から窓越しに中庭を撮るんだそうです。やはりカメラを趣味にしている方と言うのは、アングルも独特なものですね。

心置きなく撮影が終わると、ふと角館草履に目が留まったご様子。着いたときには写真に夢中で、草履のことなど目に入らなかったのでしょう。
健康効果をご説明すると、パッと目に入った22cmをお選びくださいました。お財布からお代分を取り出すと、『まっ、もうこれしかなくなっちゃったっ』。千円札一枚だけ残った財布を私に見せながら、子どものように笑ってましたね。

私が、『予定にないお金を使わせてしまいましたね』と言うと、『いいんですよ。どうせあの世までお金なんて持って行けないんだし』。
この言葉はこれまでの実演で複数回聞きましたし、世間話でも珍しくない言葉ですよね。でも実際にこれを言える環境にある人って、そう多くない気もします。

あの世へは持って行けなくても、この世では少しでも多く持っていたい。それが「お金」なんでしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

優柔不断の損得。

2011年11月25日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔4,500円〕
【2012年1月1日より5,000円】
茶がベースなんですが、ときおり見える赤に和の可愛らしさがありますね。組み合わせもエンジにして、元気な中高年のおじさまにいかがでしょう。

昨晩から冬型の天候になっていて、今日は湿った雪が降り続く寒い一日になりました。それでも芯から冷える、北国特有の冷え込みではありません。週間予報を見てもこのあと気温が上がり、また真冬から少し離れていきそうです。
今冬は案外、根雪になるのが遅いんじゃないですかね。

青森にいる長女が保育実習の打ち合わせのため、昨晩から暫時実家へ戻っています。夕べは帰宅時間が遅くなったので、三女を含めた四人でラーメン屋さんを訪ねました。それぞれ食べたいものを注文するわけですが、いつも最後まで決まらないのが三女なんですね。
ただそれを悪くばかりも言えないのが、三女の頼むメニューは実物を見ると、いつも一番旨そうなんですよ。

お仕事の関係で、ここのところ何度か西宮家にお越しの女性お二方がいます。今日はじめて実演をまじまじと見るや、『あれ~、なんかすごい草履なんですねっ』。お仕事が観光関係と異なるので、私の実演も目に流す程度だったのでしょう。

うちのおひとりは試し履きのうえ、ご自身用とお孫さん用をお買い上げくださいました。今晩娘さんにも見せて、欲しいようならまたお越しくださるそうです。
もうおひとりなんですが、『もぅ、いつもパッと決められなくて、自分の性格がイヤになるんですぅ』。
ご自身の自己分析は「優柔不断」。何足か展示してある草履を眺め、次にお越しの月曜日に決めるそうです。

月曜まであと二日、また新たな草履が増えるでしょう。今日決められなかった優柔不断さが、もしかしたら月曜日に「吉」と出るかも知れませんね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

勤労に感謝する旅。

2011年11月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔4,500円〕
【2012年1月1日より5,200円】
「黄色系おまかせ」のオーダーにぴったりですね。いらかは和柄の中でも比較的シンプルですから、すっきりした草履に見えます。爽やかなお若い男性にいかがでしょうか。

「勤労感謝の日」の今日は、朝こそ小雨がぱらつきましたが、次第に青空が広がり気持ちの良い祝日となりました。お客様の姿はさすがに少なくなっています。それでもこれくらい天気が良いと、秋田市や盛岡市からお客様がお見えですね。それも雪が積もるまでですか。

ご家族でお越しくださっている様子のお父さんがひとり、ふらりと実演席まで歩いて見えました。『寒くないですか?』とお声を掛けると、『あっ、北海道からなもんで、それは大丈夫ですぅ』。詳しくお聞きすると、北海道の中でも寒さ厳しい十勝地方からお越しでした。広い土地を利用した、野菜や穀物作りが家業とおっしゃいます。

旅のお供は奥様と結婚間近の末娘さんだそうです。お姉さんお二人はすでにご結婚されていて、末娘さんの婚礼が決まったことでの「想い出の旅」でした。確かに親娘三人の旅が、この先何度もあるとは思えませんからね。

米蔵でのお買い物に余念のない奥様と娘さんを尻目に、『うちの女は買い物が始まると長いんだよなぁ』とお父さん。私が、『たまに旅行したときくらい、いいじゃないですかっ』と言うと、『いやぁ、いつもなんだよっ』。
間もなく合流した奥様に今の話を教えると、『うん、そうよっ』。お父さんがひとり待っているのは、どうやらいつものことみたいですね。

奥様に、『畑作という仕事は休みってないでしょう?』と言うと、『そう。その代わりこれからの冬は、保険がおりない失業みたいなものですけどね』。
この言葉には、私も自分の生活を思い起こして笑ってしまいました。

早春から晩秋まで休みという休みもなく働き通し、冬が来たらその仕事に感謝し、束の間の休息をいただく。「勤労に感謝する旅」も、そんな束の間の一部でしょう。自然を相手に作物を育てる仕事は、まさにこの繰り返しなんですね。

そして今年に限っては、末娘さんとの想い出旅が加わりました。娘さんにとっては、「両親に感謝する旅」にもなったことでしょう。
それぞれにお気に入りの配色をお選びいただいた角館草履。この旅の付録として、記念になってくれたら幸いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あの世まで歩ける草履。

2011年11月22日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,400円】
昨日の「今日の草履」とちょうど逆の色使いですね。布の残り量によってこの使い方をするのですが、ずいぶん雰囲気が変わって面白いと思います。
とてもお洒落だった紺の和柄は、これにて終了です。

秋田市からお越しのご年配グループ。男性お二方に女性お三方は、みなさま「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれる年代です。西宮家にはレストランのコーヒーがお目当てのご様子で、ほぼ真っ直ぐに向かわれました。
コーヒーを飲み終えお戻りの際、ひとりのおばあちゃんが『ちょっと草履見ていかない?』とお立ち寄りです。

試し履きのうえすぐにご購入を決められたあと、ひとりのおじいちゃんへ試し履きをお勧めでした。そのおじいちゃんは足が若干不自由で、西宮家の中も杖をご利用です。試し履きの際も周囲が介添えをしているのですが、私もちょっと心配でその様子を見ていました。

靴を脱ぎようやく草履に両足を入れ、おじいちゃんはおもむろに歩き出します。すると、『おっ、これはいいな。あの世まで歩けそうだっ』。そのときのおじいちゃんの嬉しそうな笑顔。おばあちゃんのおひとりは、『あららっ、杖ナシで歩ぐどごでねがっ!?』。

おばあちゃんたちのお勧めで、赤い緒の草履をお買い上げくださったおじいちゃん。「あの世へ歩く」とは縁起でもないですが、旅立つその日まで草履を履いてくださるとしたら、作り手としてこれに勝る喜びはありませんね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白い雪と黒塀。

2011年11月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔4,500円〕
【2012年1月1日より5,400円】
紺系とエンジはほんとに相性がいいです。行きつけの生地屋さんで二足分ほどあった紺の和柄。27cmで編んだら、男性用のとってもお洒落な草履になりました。
昨日と今日で27cmを編みましたから、これで草履コーナーにフルサイズの草履が並びました。

いよいよ角館に寒波です。予報通り昨晩から冷え込み始め、今朝の最低気温はまもなく氷点下まで下がりました。雪のほうはむしろ明るくなってからが強くなり、いっときは吹雪模様になりました。
夕方現在、雪は落ち着いています。冷え込みもまず今晩までと言いますから、明日は少し落ち着くでしょう。

埼玉県からお越しのご家族。お父さんにお母さん、それに二十歳くらいの息子さんです。お父さんと息子さんが遠巻きに実演をご覧でしたから、ちょうど編み上げたばかりの草履をお見せし、『ちょっと触ってみませんか?』。お父さんは、『あらっ、もっと柔らかいと思ってたら、全然違うんですねぇ』。
この堅さが健康効果につながることをご説明すると、試し履きのうえご家族それぞれお気に入りの配色をお選びくださいました。

ちょうど外は雪。『この雪は“幸い”ですか、それとも“あいにく”ですか?』とお訊ねすると、『武家屋敷の黒塀にとても綺麗でしたよっ』とお父さん。
この言葉はきっと嘘じゃないと思いますね。そぼふる雪に武家屋敷の黒塀は良く似合います。もっともこれがドカ雪になると、そういう風情も飛んでしまうんですけどね。

それにしても、雪が固まる前の今くらいがとても寒く感じます。実演席前にはストーブが赤々と燃えていますので、散策の途中にどうぞ一休みしてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とある反省。

2011年11月19日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,800円】
黒と黄色の相性の良さに加え、ベースに見える赤が一層可愛らしさを表現しています。サイズが24cmですから、足が小さめの男性がご自分用にも考えられますね。財運が上がるとも言われる黄色ですから、同時に宝くじのご購入などいかがでしょう。

ここのところ、いささか反省をしています。自分で決めることをせず、事を成り行き任せにする。しっかりとした信念を持たず、与えられたもので満足する。主体性がないことで、結局他力本願的行動になる。

今度からナンバーズとロト6を買うときは、クィックピックをやめて自分で数字を決めることにします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする