今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ブルー基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジです。
角館草履では比較的オーソドックスな配色でしょうか。淡いブルーが優しさを感じさせますね。昭和の香りを感じるような、素朴な女性にお勧めですかね。
今年も綺麗な桜が観られるまで、あと一ヶ月程度でしょう。ベースの平生地はこちらになります。
角館草履の原型は、もちろんかつての「ワラ草履」。配色に独特なものを持っていても、やはりその形に懐かしさはあると思います。
秋田市からお越しのおばさま、『まぁ、懐かしいっ。あらっ、歳がバレちゃうわね』。こんな会話は日常にあります。ワラ草履を履いた世代はもちろんのこと、私のような「戦争を知らない子どもたち」でさえ、ワラ草履の形にはどこか懐かしさを覚えますね。これもひとつの「昭和の香り」なんでしょう。
米蔵玄関から入って見えたおばあちゃん、私の顔を見つけると『あっ、いたいた』。確かに一度はお会いしていると思いました。
『草履が欲しくて来たんだけど、いなかったらどうしようかと思ってましたよっ』。詳しく聞いてみるとおばあちゃんは名古屋市にお住まいで、昨年の1月に初めてお買い上げくださったそうです。そろそろ買換えようかなと思っていた矢先、孫娘さんが花巻温泉に行きたいと言い出したんですね。花巻と角館ならそう遠くないということで、角館経由花巻行きの旅にしたんだそうです。
こんな嬉しい話はありませんよ。昨年もご家族分をお買い上げくださったとのことで、今日もまた同じ数をお選びでした。お会計のときにおばあちゃんが、『確かカードが使えないと思ったから、草履の分は現金で用意してきたのよぉ』。
私も少し驚いたのですが、前回のお買い物で「カード不可」だったことを憶えてくれてたんですね。
そうなんです、西宮家自体はもちろんカード決済が出来ますが、草履コーナーは現金決済しか出来ません。この会話はこれまでいくつもあって、そのたびに『草履コーナーだけは今も昭和なんですよねぇ』と話しています。
今どき珍しい草履職人にそう言われると、みなさん苦笑いされながら現金決済されますね。
おばあちゃんがお帰りになって間もなくのこと、偶然にもまた名古屋市からお越しのご夫婦が立ち寄られました。しばらくおしゃべりのあと草履を気に入ってくださり、それぞれにお気に入りの配色をお選びです。
こちらもまた『カード使えます?』。いつものように、『ここだけまだ昭和なんですよぉ。三丁目の夕日みたいなもんですかね』で大笑いです。
昨晩お電話をいただいたのは、東京の常連さんでした。4年ほど前からのご愛用者で、今度が三度目のご注文です。おしゃべりの冒頭が、『今も草履作っているんでしょ?』。
やがて元号が変わろうとも、昭和の香り漂う角館草履を編み続けますよ。おそらくいつまでも「現金決済」は続くでしょうけどね。