角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

経験者は語る!?

2008年07月31日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズLグループ26cm土踏まず付き〔4500円〕
大漁旗プリントをベースに合わせは青、真ん中に黄色を配してみました。ベース生地が賑やかなせいで、全体も明るく若々しい雰囲気になりましたね。
大漁旗プリントもこちらの草履で最終となりました。

静岡からお越しのおばさま三人旅、草履が目に入るなり『あっら~、綺麗に編めてるっ!』。すぐに実演へ目が向き、『うっわ~、プロみたいねっ!』。こうしたお言葉が出てくるということは、かなりユーモアの分る方々ですね。
うちのおふたりが布草履を“一足だけ”編んだことがあるとのことで、『そうそう、そこが難しいのよぉ』『あたしなんかその辺りがぜんぜん出来ないのっ』。

ユーモアが分りそうなおばさまたちに、『まだ一足しか編んでないんでしょ、それはまだスタート地点にも立ってないですよっ』と言うと、『はははっ、そっかっ、まだ始まってもないわけだっ』。
こうしたおばさまたちは、どんな言葉もたちまち笑い話にしてしまいます。私はとってもイイことだと思いますね。
“経験者”がおふたりも認めてくださった角館草履、うちのおひとりがお買い上げくださいました。

岩手県奥州市からお越しのご夫婦。ときどき角館へ遊びに見えるご夫婦は、今年の五月に奥様が草履をお買い上げくださっています。
今日の話題は先月発生した「岩手・宮城内陸地震」、震源地である奥州市の揺れは大変なものだったそうです。

『揺れが大きかったから、すぐ浴室へ避難したのよ。そしたらバスタブのお湯が揺れで溢れて足ごとビショビショ。そのときこの草履を履いてたのよぉ。でも乾いたらなんでもなかったわねぇ』と奥様。
『それで洗っても大丈夫っていうのが分ったでしょっ』と言うと、ご夫婦ともに大笑いでした。

そのときちょうど京都からお越しの男性が草履を眺めていて、ご愛用者が目前で評価してくださったことに安心したんでしょう、『ひとつ買っていこうかなっ』。
こちらも“経験者”の一声でお買い上げ決定です。
レストランで食事を終えたご夫婦がお帰りにまたお立ち寄りくださり、ご主人もご自分用をお買い上げくださいました。
どんなことでも、“経験者”の声というのは大きいものですね。

さて明日から八月、トップページのスケジュールカレンダーを更新しました。八月は九日一日だけ草履コーナーをお休みさせていただく予定です。
暑さも本番、草履在庫もこれからしばらくは増えることがないと思います。体調管理の下、しっかり夏を乗り切りますっ!

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キーワードは「人」。

2008年07月30日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
赤基調のうさぎプリントをベースに、合わせは青基調のうさぎプリントです。同柄色違いの組み合わせなんですが、プリント柄が同じというだけでまとまり感がありますね。「色は違えど心はひとつ」ってな感じでしょうか。

先日開催された角館あきんど塾の「ちっちゃな夏祭り」、数日が経過し複数の方から『お疲れさんっ!』を言われています。こうして意識してくださっているだけでも嬉しいもんですね。
今年が第三回でしたが、今終わったばかりで第四回は分りません。でもどうやら周囲は『当然やるべ』と思っているようです。

今年これまでのあきんど塾会議や飲み会で、案件に挙がっていたひとつが「スタンプラリー」なんです。おおまかなイメージはあるのですが、忙しさにかまけて具体的前進がありませんでした。まぁ夏祭りのようなイベントと違い、日にちを決める必要がないことも足の遅い理由なんですがね。

これまでのブログで触れている通り、今年の角館はお客様の姿が少なく推移してきました。商売と無縁の地元民からもよく言われます、『今年、なんかお客さん少なぐねぇが!?』。
ガソリンの高騰や地震の影響は確かにあると思います。でも果たしてそれだけで結論付けてイイものか、今一度町民それぞれが自身の胸に手を当てるべきときじゃないでしょうか。

商売人の知人何人かとはそんな話をしているんですが、「角館」のネームバリューに依存し便乗的に商う、つまり「黙っててもやって来る」お客様を対象に商売が出来る時代は終わったでしょうね。これは話をするほぼ全員と一致した認識です。
ではこの先どうやって自店にお客様を誘致するか、それは明らかに自身の努力以外にないという極々当たり前の結論に至ります。そしてさらに必要なものは、扱う商品の魅力と共に「角館人」が重要と思うんです。

角館あきんど塾が作る「スタンプラリー」は、店や商品よりむしろ「人」をアピールしたほうが“角館らしい”と思っています。塾の会員は、それぞれに色は違えど持った心に大差はありません。
少し時間がかかっても、実現させたいひとつの事業です。

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早かった再会。

2008年07月28日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
ピンク基調の御殿まりプリントをベースに、合わせはエンジです。角館草履の配色としてはまず定番でしょう、可愛い草履と思います。

昨晩から降り続いた雨が、結局今日の日中まで残りました。今朝は秋田県南部で土砂崩れ警報なんかも発令されて、地震の次は大雨か…と地元民の顔色も曇りがちです。
梅雨明け宣言されたあと、こんなに早く大雨との再会が待っているとは思いませんでした。

昨日のこと、ひとりの男性が実演席にお見えになるなり、『いや~、この草履は良かったよぉ。今日は女房の分を買って行こうと思ってね』。
お話を伺って思い出しました。つい二週間ほど前ご夫婦でお越しになり、ご主人がご自分用をオーダーされた方です。お住まいは東京都稲城市、届いた草履を早速履いてみたご主人が、ことのほか気に入ってくださったんですね。

それにしても東京から角館までこんな短い期間にと思い訊ねてみると、お仕事の依頼でときどき横手市に来るんだそうです。これまでもそうした仕事環境の方とは何人かお逢いしていますが、思いのほか「早い再会」というのがあるもんです。

今朝開店前にお越しのおばさま、『やっぱり息子夫婦にも買ってあげようと思って…』。確かに最近お逢いした気はしたのですが、すぐには思い出せませんでした。そして少しお話をして思い出しました。なんと昨日の夕方、最後のお買い上げがこちらのおばさまだったんですね。長野県松本市からお越しのおばさまとは、たった一晩を隔てただけの「早い再会」でした。

お母さんと男の子、そして少し下の女の子がお越しです。お母さんが草履に関心があって、いろいろご説明などしていました。すると小学校四年生という女の子が実演ベンチに座り、興味津々実演を眺めています。『どこから遊びに来てくれたの?』と訊ねてみると、『香港!』。
お母さんは『食事しながら(買うかどうか)考えてみますぅ』と言って、北蔵レストランへ入って行きました。

間もなくして、女の子だけが食事を終わり戻ってきました。「香港在住」と聞いただけで、草履職人の関心はいきなり高まります。
まず手始めに、『ずーっと香港なの?』と訊いてみました。女の子は、『そう、香港で生まれたのっ』。『でも日本語ペラペラなんだね』と言うと、『お父さんは中国人でお母さんは所沢、家の中では日本語使うからっ』。実に屈託のない笑顔で答えてくれます。

その後もおしゃべりが続き、『でもねぇ、今度北京に引っ越すの。オリンピックが終わってから、十月頃だって』。
わが家の娘たちの同級生にも、小学生時代から転校生は多かったです。それでもまず県内の異動で、さすがに外国という子どもはいませんでした。
『じゃあ、ともだちと離れちゃうね』と言うと、『そう、それが一番寂しいんだよねぇ』。

お父さんがどういった仕事をされているのかまで聞きませんでしたが、それだけ国と国とをまたぐ仕事なら、香港の今のともだちとの再会は案外早いかも知れませんね。
女の子との最後のおしゃべりは、『何かひとつでイイから、誰にも負けないものを見つけてね』。女の子は私に訊きました、『おじさんは草履を作るの誰にも負けない?』。私は胸を張って答えました、『もちろんっ、誰にも負けないっ!』。

食事を終え戻られたお母さんは、『やっぱり香港の湿度が気になるから、今回はあきらめますぅ』。草履のお買い上げはなくとも、お母さんとお兄ちゃんの後について帰る女の子の笑顔が、今日の実演で一番印象に残りましたね。

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「大義」の必要性。

2008年07月27日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
青基調のうさぎプリントをベースに、合わせは青基調の花プリントです。今日も真夏日となった角館、涼しさを表現するにはバッチリの配色ですね。

暑かったといえば、昨日開催の「ちっちゃな夏祭り」。三度目の開催にして初の好天は良かったのですが、あまりの暑さに設営から汗びっしょりです。『暑すぎるがら中止にするがっ!?』はもちろん冗談でしたが、夏祭りには最適の真夏日となりました。

あきんど塾が主催するイベントで、これまで黒字に終わったのはいくつもないと思います。昨晩の夏祭りももちろん赤字、昨今行政等からの助成金などは望めませんから、こうしたイベントを企画した時点で赤字の覚悟が必要です。
それでもご来場のみなさんのあの笑顔を見ていると、われわれの出費に十分値すると思ってしまいますね。

昨晩のイベントに、市民活動の広報誌を発行している横手市の女性が取材に来ていました。三日ほど前、西宮家にお出でいただき口頭での取材は終えていたのですが、昨晩は写真撮影のためご主人を連れ立ってお越しです。

事前の口頭取材であきんど塾の活動実績などをお伝えしたのですが、最後に用意された質問に対する私の答えに、女性はいささか力が抜けたかもしれません。
その質問とは、『あきんど塾の活動を通して、地元のみなさんに伝えたいことはなんですか?』と、『将来のあきんど塾に対する夢はなんですか?』。
いずれの質問に対しても私の答えは同じ、『ん~、別になんもねぇよ』。

以前のブログにも書きましたが、「大義」を振りかざすのは私の趣味ではありません。日々の草履実演とて同じ、自分が面白いと思うことを続けて行き、それを観た人たちがそれぞれの価値観で判断する、結局はこれに尽きると思うんです。
あきんど塾の活動にしてもそれは同じで、われわれが「面白い」と思わなければやる意味はナニもないでしょう。そしてどこかひとつでも「やらされている」が見えたら、それはそのまま観た人たちに見抜かれますね。

イベント等で、「どうしたら来場の人たちが喜んでくれるか」が議論されます。楽しい出し物を披露するとか、美味しいモノを出品するとか、安くあるいはタダでなにかを差し上げるとか、そりゃあいろいろ知恵を絞るでしょう。でも肝心要はたったひとつ、スタッフ側がいかに「楽しんでいるか」じゃないですかね。それを見て感じた来場者は、やはり笑顔になると思うんです。

それはご来場のお客様だけじゃありません。あきんど塾会員の表情を見ていた中に、『私もあきんど塾に入りたいっ』という人が現れるもんです。昨晩のイベントで、新たにひとりの会員が増えました。きっと「やらされている」ではなく、「やりたくてやっている」を感じたからでしょうね。

今日のブログタイトル「大義の必要性」の答え、草履職人は“NO”ですね。それは取材に見えた女性が、お帰りに草履をお買い上げだったことで明らかでしょっ!

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「縁」、ふたたび。

2008年07月24日 | 実演日記


今日の草履は、樺草履Mグループ23cm土踏まず付き〔6000円〕
鉄媒染をベースに、合わせはチタン媒染です。シンプルさがむしろ趣を感じますね、素敵な配色と思います。

樺染めの布地が少なくなっていたので、大曲草履を頑張っている生徒さんへ染色を依頼していました。つい先日布地が届き早速二足を編んだところ、ひとつは昨日浜松市からお越しの女性が、そして「今日の草履」は旧田沢湖町からお越しの女性が本日お買い上げくださいました。
いつも感じることですが、それぞれ日にちが少し早ければ巡り会うことのなかった草履なんですね。「縁」とは摩訶不思議なものです。

一昨日のブログでご紹介した群馬県伊勢崎市のご主人のオーダー草履を、明日の便で発送します。
そして奥様が言ってくださった通り、双子の娘が参加する群馬大会の日程と会場を記した紙を、お送りする草履の中へ入れることにします。
そしてふと思ったのは、こちらのご夫婦のように『観に行くわよっ』と言ってくださる方が、ほかにもいらっしゃらないかということなんです。

これまでのご縁で私の草履を履いてくださっている方は、群馬県とその周辺にもたくさんいらっしゃいます。かつて旅した角館、そこからやってくる高校生の伝統芸能を、たとえコンマ何%かの確率であったにしても、『観たい』と思ってくださる方が「いない」とは言い切れないと思いました。

■大会名・・・第32回全国高等学校総合文化祭
■会場名・・・群馬県藤岡市「みかぼみらい館」
■発表日・・・平成20年8月10日(日)
■時 刻・・・14:05~14:20(角館高校割り当て時間)

群馬県とその周辺で、このブログをお読みになっている方がどのくらいいらっしゃるのか、はたまたこうした伝統芸能に関心がおありなのか、さらには発表日はお忙しくないのか、そんなことを考えると確率の低さは天文学的数値になるでしょう。

でもそれとて「0」ではないと思うんです。全国数ある観光地の中で角館をお選びになり、その中で西宮家に立ち寄る、さらにその中で私と出逢い草履をお買い上げくださった。すでにこれが天文学的数値ですよ。でもその限りなく低い確率で生まれた「縁」を、草履職人は日々感じながら過ごしているわけです。

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第三回「ちっちゃな夏祭り」。

2008年07月23日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
紺の唐草をベースに、合わせは織物風の和柄プリントです。合わせの生地がホンの少し残っていたので使ってみました。「和」が活きたお洒落な配色と思います。

さて、ここのところ開催計画を練っておりましたのは、角館あきんど塾主催「第三回ちっちゃな夏祭り」です。すでに詳細が決まり、あさって25日の新聞折込にて地元のみなさまへ伝えられます。
トップページにも簡単なご案内を掲示しておりますが、地元民はもちろん観光で当地に宿泊される方々にとりましても、楽しいひとときをご提供できると思います。
では、その詳細をご紹介いたします。

■あきんど塾オリジナル「平打ち冷やしうどん」
「醤油タイプ」「白ダシタイプ」「田楽味噌タイプ」の三種を発売します。価格はどれも一杯300円。コシの強い生うどんを、あきんど塾特製ダレでお召し上がりください。田楽味噌タイプには、お好みによりラー油を落とすとまた格別です。
浴衣着用のお客様には200円で大サービスします。三種合計200食限定となります。

■うどん早食いレース
「小学1年~3年」「小学4年~6年」「中学生」「高校生以上」の四コースに、先着各5名の早食いにチャレンジしてもらいます。小学生は二杯、中学生は三杯、高校生以上は四杯です。
参加賞と各優勝者に賞品が贈られます。

■角館混声合唱団
今回で三年連続の出場となります。地元に暮らすおじさま&おばさまの、涼やかで美しい歌声が響くことでしょう。

■おやま囃子扇栄会&門脇策子社中
角館の郷土芸能と言えば、ご存知「飾山囃子(おやまばやし)」。勇壮且つ優雅なお囃子に合わせ、女の子たちが手踊りをご披露します。観光で滞在の方々にもぜひご堪能いただきたいものです。

■金魚すくいレース
こちらも三年連続の人気コーナー。今年も上位若干名に賞品が贈られます。

■五井酒造店冷酒販売
「角館の酒」と言えば、すでにこちらしかありません。伝統の酒「白梅」を、ぜひご堪能ください。

■ピッカブー赤ちゃん会フリーマーケット
小さな子どもたちを育てている母親グループが、賑やかにフリーマーケットを展開します。会員のひとりが経営する珈琲店も出店しますので、お酒を飲めない方はどうぞこちらをご利用ください。

■立町商店会の屋台
今では町の名物にもなっている、商店会の若者たちが展開する屋台です。冷えた生ビールにアツアツのつまみをお愉しみください。

ほかにあきんど塾では、わたあめ・フランクフルト・とうもろこしの販売もいたします。
また、当日撮影したスナップ写真を後日会場に展示し、欲しい写真の販売もいたします。浴衣着用の人を優先撮影しますので、どうぞお楽しみに!!



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心強き味方。

2008年07月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
赤基調の御殿まりプリントをベースに、合わせはエンジです。豪華絢爛といった印象でしょうか、私はこちらの草履に“春日の局”と名づけたんですが、米蔵スタッフは『綺麗よぉ、確かに綺麗なんだけどぉ、暑ッ!』。

群馬県伊勢崎市からお越しのご夫婦、実演席に見えるなり『あっ、これだっ』。かねてよりホームページをご覧の奥様が、『やっぱり実物を見たいと思って…』。ときにホームページ先行のお客様がお越しになりますが、なんとも嬉しいものですよ。
奥様用とお土産用、そしてお好みに在庫がなかったご主人のオーダーも含めて、四足のまとめ買いと相成りました。ありがとうございます。

ご夫婦のほかにもうおひとり男性が付き添っていました。胸には「角館歴史案内人」の証が付けられています。案内人さんによって得手不得手があるのか、西宮家をコースに入れる人とそうでない人がいるんですね。こちらの案内人さんとは私も今日が初対面でした。

案内人さんは、『いやぁ~、知らねがったなぁ。こっちのほうはあんまり来ねぇものなぁ…』と恐縮顔。つまり伊勢崎市の奥様が案内人さんへ、『角館で草履を編んでいる人のところへ連れて行ってください』と頼んだところ、案内人さんが私を知らなかったため『???』になってしまったようです。武家屋敷通りで私のことを教えられ、また奥様が「西宮家」の名前をホームページで記憶していたことから、めでたくお越しいただけたというわけです。
奥様が案内人さんへ言った言葉に笑いました、『群馬の人に教えられちゃったわねぇ』。

こちらのご夫婦へ、双子の娘が参加する郷土芸能群馬大会のお話しをすると、『送ってくれる草履に、大会の会場と泊まるホテルを書いて入れてくれる?あたしたちが応援に行くからっ!』。
なんとも心強い味方のご登場です。もちろんお言葉をアテにするのは申し訳ないのですが、きっと私のことですから記した紙を入れるでしょう。

そして先の案内人さん、『これがらは西宮家も来ねぇとダメだなっ。明日にでもまた来るんシよっ』。こちらも心強い味方になってくれそうです。

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布草履のスペシャリスト。

2008年07月21日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ22cm土踏まず付き〔4000円〕
藍色基調の御殿まりプリントをベースに、合わせは赤基調のうさぎプリントです。賑やかな配色ですね、夏はこれくらい騒がしくてイイんじゃないですかね。

角館も梅雨が明けました。と言うか、私が知ったのは今朝のことで、梅雨は一昨日すでに明けていたそうです。
今日は朝から気温がグングン上がりましたねぇ、本格的な夏の到来です。北東北の夏はまずお盆まで、そう考えると蝉のように儚くも感じます。

愛知県からお越しのおばさまグループ、総勢6名ほどでしょうか。みなさんが角館草履に関心をお寄せくださいました。と言うのも、うちのおひとりが「布草履」のスペシャリストで、これまで編んだ数は350足と言います。布草履を編んだことがあると言うお客様は日常にお見えですが、さすがにこれほどの実績は滅多にいるもんじゃありません。

私がこちらのおばさまたちとおしゃべりして感じたのは、とっても純粋な心なんです。これまで布草履である程度の実績をお持ちの場合、変にプライドの高い方がいました。そうした方に限って、私の草履を素直に見てくれませんね。『こういう材料を使うんなら綺麗に出来るわよねぇ』とか、『うわっ、値段も立派だことっ』といった言葉が最初に出てくるものです。

今日のおばさまは違いました。『あたし、この草履気に入ったっ』とすぐさまお好きな配色をお選びになると、布草履のスペシャリストが気に入ったのなら…とばかりほかにおふたりがお買い上げくださいました。
そしておばさまは、『よしっ、挑戦してみようかなっ』とイ草材料までお買い上げです。30分ほど見学されてから町内散策へと出発し、また帰り道でお立ち寄りでした。お人柄はすでに感じていましたから、かなり詳しい部分までお教えしたつもりです。

直感ですが、こちらのおばさまはイ草に巻いた草履もきっと仕上げると思います。そこで私が言ったのは、『ある程度にまで上達したら、必ず材料代プラスアルファの代金をもらってくださいね。そうでないとゼッタイ長続きしませんから』。これはこれまで編んだ350足の布草履を、すべてタダであげた話をしていたからなんです。
私の言葉を聞いたほかのおばさまが、『はいっ、それはマネージャーである私も思っておりましたっ』。実演席大爆笑の一コマでありました。

『騒がしてしまってごめんなさいねっ』とおっしゃりながらおばさまたちがお帰りになってすぐ、北蔵レストランのスタッフが走り寄ってきました。『今のお客様から草履屋さんへって、アイスコーヒーを頼まれましたぁ』。見学のお礼とうるさくしたお詫びとのこと、お人柄の良さは私が感じた以上かも知れませんね。
今夏初の本格アイスコーヒー、ごちそうさまでしたっ&草履頑張ってくださいっ!

今日のおばさまたちとの出逢いと、かつてとてもよく似た出逢いを経験しています。それは今でもお付き合いが続く、東京の仕入れ部長とお仲間さんたちなんです。
仕入れ部長からつい先日連絡が入りました。八月上旬にまた新たな生地が入荷します。今では私の草履に欠かせない材料となっている日暮里の布地、人の縁とは不思議であり素晴らしいものですね。

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イジワル職人。

2008年07月20日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズLグループ26cm土踏まず付き〔4500円〕
ブルー基調の湯のれんプリントをベースに、合わせは紺です。ときどき混じる赤がお洒落ですし、なんと言っても清涼感がありますね。ばっちり夏向きの配色と思います。

今日は秋田県内からお越しの方々と多くのご縁がありました。秋田市からお越しのご夫婦、奥様が一番に気に入ってくださり、お好みの配色をお選びです。すると奥様、『お父さんはどうする?』。
こうしたご夫婦の会話は日常にあって、ご主人のお応えはふたつに分かれます。ひとつは『オレは履かないよ』、もうひとつは『そうかぁ、オレも履いてみるかな』。こちらのご主人は後者、すぐに靴を脱ぎ捨て試し履きをされましたね。ご夫婦揃って今晩から履いてくださいねっ。

仙北郡美郷町からお越しくださったのは、母娘ペアさんと娘さんのご友人です。娘さんがLLグループを眺めながら、『アメリカ人と言ったっていろんな人がいるからなぁ…』。事情を訊いてみると、間もなくご本人がアメリカへホームステイされるんだそうです。そのお宅のご主人へ、手土産として草履を思い立ったんですね。
さらに訊いてみると未だ一度も逢ったことのないアメリカ人と言いますから、確かに足のサイズまで分かるはずがありませんよねぇ。

『まず今日は自分の分だけ買って行けばっ』のお母さんの声に、『そうねっ』と品定めがはじまりました。優しい雰囲気のお母さんは、ご一緒だった娘さんのご友人にも『プレゼントするから好きなの選んでっ』。その後、『○○さんの分も買って行けばっ』のお母さんの言葉で、結局五足のまとめ買いと相成りました。気がつけばお母さんの分はありません。どこまでも優しい人、ときにいますね。

大仙市大曲からお越しの女性は、中国からの留学生というお若い女性ふたりをお連れです。一生懸命草履の説明をするのですが、ご自身の知識だけではなかなか難しそうにしていました。しばし会話を聞いていると、女性の言葉はすべて日本語、どうやら片言以上の日本語が大丈夫のようでした。であればご説明は草履職人にお任せです。

おふたりに試し履きをしてもらい、先ツボが当たる位置の「首のツボ」をお教えしました。おふたりとも、『ヘェ~、ソウナンデスカッ!』。私が『中国四千年の歴史にもなかった?』とお訊ねすると、ちょっと困ったお顔で『ア、ア、タブンアッタトオモイマスゥ』。
日本の草履職人が、中国人の女の子をイジめている図に見えたかも知れませんね。

ご案内役の大曲の女性は、『今日は持ち合わせがないので、近いうちに買いに来ますねっ』と言ってくださいました。そのときまた中国の女の子たちが来てくだされば、おそらく今日のことは気にされていない証しでしょう。
美郷町のお母さんのように、草履職人も本当は優しいおじさんなんです。

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浮腫み効果。

2008年07月19日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
赤基調の大漁旗プリントをベースに、合わせは紺です。赤系と紺もよく合いますね。賑やかだった大漁旗プリントも、こちらの草履で終了となりました。

以前から一部のご愛用者に、『足の浮腫みが楽になりましたぁ』との嬉しい一報を頂戴しておりました。それがここ数日、また新たにふたりのお客様から同様のお話を聞いています。おふたりとも身近な方なので、症状の詳細を聞いてみました。

おひとりは片足だけに浮腫みがあり、いつも虫に刺されたような感触でいたとのこと。『この草履で楽になればなぁ…』と土踏まず付き草履をお買い上げでした。
まず初日、『まだすっかりではないんだけど、なんとなくイイような気がするぅ』。中一日置いて三日目になると、『はっきり違って来たっ』と喜んでくださいました。

もうおひとりは両足に浮腫みがあり、ご家族が見ても腫れが分かったと言います。こちらの場合は娘さんからお母さんへのプレゼントで、『もし履いてもダメだったら、いよいよ病院へ行かせようと思って…』とおっしゃっていました。
履いて初日家事仕事をしていると、急に動悸がして座り込んだそうです。二日目はそのような症状はなく、三日目になってはっきり浮腫みが楽になったとのことでした。

医学知識のない草履職人は、ナースマンくんへメールでこの件を訊いてみました。すると「対外血行不良」という症状から足の浮腫みがおき、それは足裏のマッサージで改善されるとのこと。
かつての土踏まずナシ草履よりは、現在の土踏まず付きのほうが明らかにマッサージ効果が高いはずですから、そう考えると納得できます。

今日お越しの男性は、かつて学生時代柔道に明け暮れていたそうです。練習中は当然「はだし」、しかも柔道というスポーツは足の指にたいへんな力が必要なんだそうですね。
それが社会人となって二十年、柔道からも離れたうえに毎日固い靴を履く生活になってしまったそうです。すると明らかに違ってきたのが「冷え性」とおっしゃいます。若い頃は感じもしなかった足の冷えが、近年悩みのタネなんですね。

「冷え」も「浮腫み」も血行不良がひとつの原因でしょうから、やはり足裏のマッサージは効果があると思うんです。
夏場は「冷え」に無関係と思いがちですが、夏でも靴下が離せないという方が案外多いです。まして「浮腫み」に季節は無関係でしょうから、角館草履はやっぱり一年中利用して欲しいものです。

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