今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤の唐草をベースに、エンジ・黄色・青の三色を配してみました。
唐草という日本古来の和柄に、こうして明るい無地を組み合わせると、なんともポップな印象になりますね。明るくて楽しい草履と思います。
実はこちらの配色、三年ほど前にも一度編んだことがあります。そのときから現在に至るまで、私のケータイ待ちうけ画面がこの草履なんです。
今日は朝から、比較的長い時間の実演見学が相次ぎました。偶然出会ったお客様もいれば、年末の新聞記事を読んだという地元の方まで様々です。
朝一番は関西からお越しくださったご夫婦旅。最初は奥様が関心を示してくださるパターンが大部分なんですが、こちらはご主人でした。しかも健康効果より、配色デザインをずいぶん褒めてくださいましたね。
『ん~、やっぱり生活圏が違うと、草履の色もずいぶん違うもんやな~』。
角館草履の配色に、東北圏だとか関西圏だとかは関係ないんですけどね。
『新聞読んで、一度観たいと思ってぇ』とお越しは、地元にお住まいの布草履を編むおかあさんでした。新聞掲載から二ヶ月以上も経つのに、案外効果は長続きするもんですね。
おかあさんのこれまでの実績は、およそ20足だそうです。『そろそろ編む面白さが分かってきた頃だんシべ?』と訊いてみると、『んだもの~、だんだん形も決まってきて、いろんな工夫も分がってきたぁ』。
そうなんです、公開実演で出会う布草履経験者は、1足か2足で「難しい」とあきらめてしまう方が多いのですが、「面白さ」が分かってくるのは少なくても10足以上編んだ後なんですね。
秋田市からおばさま三人がお越しです。うちのおふたりが布草履経験者で、『うわ~、あたしだぢ編むのとはぜんぜん違うものなぁ』。
片足が編みあがるまで熱心に見学されましたが、なにしろおばさま三人というのは口も止まりません。こちらもその質問に答えるべく手と口を働かせますから、三人がお帰りになった直後にお茶を一杯飲んで、「のど飴」を口に放り込みました。
顔馴染みの町内のおかあさんが、息子さんを連れてお越しです。息子さんは20歳代前半でしょうか、地元の老人介護施設で働いています。
実はこちらの息子さんが実演を観たいと言い出したんだそうです。彼は施設の中で、入所しているお年寄りたちと手作り品に励んでいるんですね。今日はそうした仕事の一部もイメージして、見学にお越しくださったというわけです。
こうして見学を目的にお越しの方は、ここ三年くらい日常になっています。一年を通じて公開実演に取り組みたいのは、こうした需要もあるからなんですね。
幸いにして米蔵の真向かいは薬屋さん、「のど飴」は実演席に欠かせない常備薬となっています。