角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

北の職人。

2012年01月31日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
どちらかと言えばシブ目の配色になるのでしょうが、優しさは感じられると思います。中高年のおばさまこそ明るい草履というのはウソじゃないですが、より控え目をご希望の方も確かにいらっしゃいます。

ここ一週間ほど気温の低さが顕著だった秋田県。県北部の鹿角市では、氷点下20℃近くを記録していました。県南部に位置する角館でもマイナスの二桁まで下がり、水道工事店がフル稼働しているそうです。それは水道の凍結なんですね。わが家も一箇所だけどうしても融けずにいますよ。

そして昨日から降り出した雪が、今日一日続きました。少し久しぶりに除雪車の音で目覚めた今朝は、ほんとに景色が変わっています。二時間ほどを費やし自宅周辺の雪かきが終わると、最初によせた玄関がまた同じくらい積もっていました。これが当地の冬のピークですね。

千葉県にお住まいのお客様から、ご注文メールを頂戴しました。「草履職人へのメッセージ欄」には…
『極寒の中、お仕事お疲れ様です。今回で四足目です。最初は、一人で履いていましたが、二足目からは、夫婦で履いています。夏は、素足で、冬は、五本指の靴下を履いてから使っています。配色はお任せしますので、宜しくお願いします。千葉県から応援してます』。

寒さと雪にテンションが下がりっぱなしのこの時季、こうしたメッセージはほんとに元気をもらえますよ。

十日ほど前でしたか、草履実演を見つけると素早く丸太椅子に腰を下ろした男性がおりました。ヘアースタイルやその風貌から、なんらかの「ものづくり」に携わっている御仁というのはすぐに分かりました。聞いてみると、北海道アイヌ工芸の木彫り職人さんなんですね。

秋田市にある県立博物館で展示会が開かれていて、その合間に角館を訪れたそうです。木彫り職人さんは、『角館っていうところを一度訪ねたいと思っていたんですよっ』。
寒い北国で「ものづくり」に励み、尚且つ角館に興味があると言われれば、もうそれだけで仲間みたいに思えますよ。

明日から2月の実演がスタートです。この寒波ですからたくさんのお客様は望めませんが、「北の職人」のひとりとしてしっかり務めてまいりましょー。
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旅は最高のリハビリ。

2012年01月30日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
エンジと紺系の組み合わせは、角館草履の定番的配色です。安心感があると言いますか、仕上がりが容易に想像できますし、お客様も悩まずお選びになる印象がありますね。そう思うせいか、どこか秋田らしい雰囲気も感じられます。

今年はじめてお休みをいただいた一昨日は、手の休養もあって文字通りの「休み」としました。雪かきの必要もなかったので、朝飯のあとはテレビの前でゴロゴロ。一年を通してもそんな日はあまりありません。秋田市での新年会に出発する夕方まで、「なにもしない」が新鮮な一日でした。

目的もなく見ていたテレビに、「介護付き旅行」を専門に扱う会社が出ていました。私自身観光業の末席にいるせいか、こうした番組はどうしても目と耳に止まります。
この事業を起こした社長さんは、かつて大手旅行代理店に勤務していました。添乗員としてスペインを訪れた際とあるお客様に、『大好きな旅行ができなくなるとすれば、どんなことがきっかけになると思いますか?』と訊ねます。お客様はふと自身の旅行バッグを見て、『自分のバッグが持てなくなったときかしらね』。
社長さんはお客様のこの言葉を聞いて、「介護付き旅行」を思い立ったそうです。

私も日々出会うお客様には、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばれる年代の方々がたくさんおられます。ときには杖をご利用の方もいれば、車椅子を押されてお越しの方もいます。安心で安全なご自宅で過ごすときより、おそらく旅には心配や不安や危険があるでしょう。それでもみなさん笑顔なんですね。

社長さんがおっしゃるのは、旅好きの人がある日を境に要介護者になっても、人が変わるわけじゃない。これまでのように旅をしたいはずだということと、それによって家族間の関係性も良好になる場合があるようです。
『旅は最高のリハビリですよっ』。社長さんが言うこの言葉の意味は、結構深いものがあるように感じました。

角館も観光地と呼ばれる以上、これからの超高齢化社会を無視して繁栄はないでしょうね。宿泊施設のバリアフリー化は当然として、散策コースにベンチをたくさん設けるとか、車椅子が不便なく通行できるとか、いろいろ考えて行くんでしょう。西宮家となりの「街の駅」は、トイレがよくできていますよ。

ご高齢者や要介護者が角館を旅して、『最高のリハビリになったね』と感じてくれたらそれこそ最高でしょう。
秋田市の新年会は角館を離れ、ちょっと旅気分で最高のリハビリとなりました。明日一日お休みしたら、またしっかりと働きますっ。
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秋田観光のキーワード。

2012年01月28日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
淡い紫に辛子色の組み合わせで、可愛いというより優しい配色になりました。辛子色の緒が幾分年齢を引き上げるのか、中高年のおばさまにお似合いの気がしますね。

昨年の秋頃から、にわかに「秋田美人」の言葉が聞かれるようになって来ました。9月1日のブログでは「秋田美人100人大集合」の話題をお伝えしましたし、今年1月12日のブログでは県のキャッチコピー、「あきたびじょん」をご紹介しています。

そしてまたこの度、秋田内陸縦貫鉄道の愛称が「あきた美人ライン」に決まったとのこと。
どうやらこの先しばらくは、秋田観光のキーワードのように「秋田美人」が取り上げられていくんじゃないでしょうか。私は面白いと思いますね。
秋田美人の要素のひとつが「白色の肌」ですから、これが「雪」と連動して冬の誘客に一役買ってくれたらとも思います。

それにしてもつい最近まで、廃線さえ選択肢にあった鉄道です。最近新たな社長が公募で決まり、2012年を元年としてスタートしました。
愛称に「秋田美人」が使われたのであれば、なおさら廃線になんかできませんよ。そんなことになったら、『秋田県の美人が無くなったんだって!?』なんて言われかねませんからね。
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一月の実演が終わりました。

2012年01月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
紫のグラデーションがとても面白いと思います。組み合わせた桜のプリントが、さらにお洒落に映えますね。どちらかと言えば、お若い女性より中高年のおばさまにお勧めでしょうか。

今日で一月の実演が終了しました。四日間のお休みを入れて、二月はまた一日から開始の予定です。
年が明けてここまでの一ヶ月弱、気象については大雪と異常低温の繰り返しでした。今日もそうなんですが、ここ数日は最高気温でマイナス3℃とか4℃しかありません。ほんとに町が凍ってますよ。

逆に低温が続きだしたら雪がおさまりました。同じ日本海側の北陸地方は、たいへんな大雪になってますね。当地の年末から一月半ばにかけてが、ちょうどこんな状態でした。
いよいよ今冬もおおむね一ヶ月、辛抱も先が見えて来た気がします。ちょうど三ヶ月後は桜が満開ですよ。

お客様の様子は、さすがに大勢散策する姿が見られることはありません。それでもJR東日本の大人の休日倶楽部フリーチケット期間だけは、はっきりご利用と分かるお客様の姿が見受けられました。
冬の誘客が長年の課題である角館。吹雪など天候のリスクは避けられないにしても、費用が安ければ訪ねたいという人が間違いなくおられますね。

さて、しばらく前のことですが、茨城県水戸市にお住まいのご愛用者から、一筆の書を頂戴しておりました。建具職人の友人に額を依頼していたところ、先日私の手元に完成品が届きました。



「織芸之哲人」とお読みするのでしょうか。見事な書もご本人は、趣味の域を出るものではない旨おっしゃっていました。でもそういうことは問題ではないですね。八十八歳の大先輩から、しかと心に伝わる贈り物を頂戴しました。

始まったばかりと思っていた2012年も、早ひと月が経とうとしています。ときの経つスピードは、加齢と共にまた速まるのでしょう。角館の草履職人が「八十八翁」を名乗れる日を目標に、二月からまた頑張りますっ。
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角館草履と誕生日。

2012年01月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
おなじみ赤の唐草に、紺の和柄を組み合わせてみました。紺の和柄が残り少なく、ベースには使えなかったための利用法なんですが、これはこれで面白い配色になったと思います。

先回のブログにご登場の、二月に海外から戻られる方へ草履を贈りたいとするご注文。差し上げるお相手というのは、息子さんご夫婦でした。お仕事の関係でアメリカに渡った息子さんは、現地で地元女性と知り合いご結婚されたそうです。

数年前、角館草履に土踏まずが付いていない当時、ご結婚間もないお二人へプレゼントしたところ、アメリカ人のお嫁さんがとても気に入りご愛用とのこと。久しぶりに日本へ戻る来月、新しい土踏まず付きを贈りたいというわけでした。

プレゼント用をお買い上げのあと、今度はご主人がご自分用をお考えのご様子。ひとつの草履を指して、『この間来たときも、あの草履が目に付いたんだよなぁ』。
その言葉を聞いた奥様が、『いいよっ、少し早いけど誕生日のプレゼントに買ってあげるっ』。
その草履というのが、どなたがお選びになるのか私も楽しみにしていた、1月6日の「今日の草履」です。ご主人にとってもよくお似合いと思いました。

実は奥様もご希望の草履があったのですが、さすがに一度にたくさんではたいへんと思ったのでしょう。ご主人が奥様へのお礼に言われた言葉が、『母さんの誕生日には、俺がプレゼントするよ』。

そしてもうひとりの息子さんの誕生日が五月というので、ゴールデンウィーク明けまでに27cm草履をご予約いただきました。こちらのご家族だけで三人のお誕生日に、角館草履がお役に立たせていただけるわけです。

プレゼントとして最も多いご利用機会は、やはり誕生日ですね。これからもお誕生日の話題はお伝えできると思いますが、来月やってくるのは「パレンタインデー」。大好きな男性にチョコと角館草履を贈りたい女性を、今年も密かにお待ちしたいと思います。
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身近な外国。

2012年01月24日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
どちらも金色を含んだ布地の組み合わせですが、「厳かさ」よりは「可愛らしさ」のほうがよく現れています。
そろそろ春用に残しておきたい草履を選別したいと思います。春はやっぱり可愛らしい草履が必要ですからね。

先日の土曜日でしたか、秋田市から二世代ご夫婦がお越しでした。ご年配のご夫婦はお若いご主人のご両親のようです。ご年配ご夫婦の奥様が以前にも実演をご覧のようで、『ここの草履って面白いのよ』とお若いご夫婦へお勧めくださり、お二方ともお気に入りをお選びでした。

お帰り際にお二方へ、『また遊びに来てくださいね。秋田市でお暮らしなんでしょ?』とお訊ねすると、『いえ、今は海外で暮らしてますぅ』とお若い奥様。
履いてみての感想なんか教えて欲しいと思ったのですが、外国からではちょくちょく帰っても来られませんよね。

今朝出勤の直前にお電話をくださったのは、四日前にお訪ねくださったご夫婦の奥様でした。
『注文してから伺ったほうが、間違いないと思って…。履かせてあげたい人が外国から戻るのが、二月の初めなんです』。
今月末のお休みをお伝えしてましたから、早速明日お越しくださるそうです。

こんなふうに「角館草履と外国」の縁は、これまでいくつもありました。ただ私の身内に外国との繋がりがほとんどないためか、どこか身近に考えていない自分もあったんです。でもちょっと辺りを思い浮かべてみると、あきんど塾の仲間に身内が外国暮らしという人が複数いました。
外国というのは私が思っているより、かなり身近なものになっているのでしょう。

震災のあった昨年より今年のほうが、外国人旅行客が多いと推測されています。中でも中国の富裕層がショッピングを目的に来日するのを、秋葉原あたりの家電ショップが大いに期待しているようです。

角館にそうした富裕層が訪れるというのは、まったくと言っていいほど聞こえませんね。400年前の町割が今も残る角館には、中国の方々もきっと魅力に感じてくれると思うんですがね。家電製品なら、最近角館にも量販店がオープンしたことですし。
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冬の運転。

2012年01月23日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔五阡四百円〕
一般的に白っぽい布は、特に汚れの点で人気がイマイチです。それでもやはり十人十色、あえて白っぽい色をオーダーくださるお客様が過去にいました。そういう点では「今日の草履」も、やがて選ばれるような気がしますね。よく見ると、なかなかカッコいい配色ですよ。

先週一週間が穏やかな天候に恵まれたおかげで、これまで大雪とばかりお伝えしてきた角館の景色が、若干変わった気がします。気温の高い日が続いたことと、いたるところに積み上げられていた雪の排雪作業が進みました。今日も一日好天に恵まれ、町の雰囲気は「春先」といった具合です。

このまま春を迎えられれば嬉しい限りなんですが、雪の神様はもう少し居座りたいのでしょう。明日からは連日雪マークが出ています。
冬の厳しいところは、おおむねあと一ヶ月でしょうか。師走の半ばに始まった大寒波から、もう一ヶ月以上が過ぎました。今冬も半分は消化したと思っていいでしょう。

2011年11月26日のブログにご登場のおばさまが、今日再度お越しくださいました。今日もカメラを肩から提げ、『また少し撮らせてくださいね』。草履コーナーから窓越しに見える中庭の景色が、よほどお気に入りと見えます。カメラを構え、静かにシャッターを押す雰囲気を見ていると、どこぞの女流カメラマンという感じですよ。

ひとしきり写真を撮り終えると、『今日は男性用を欲しいと思いましてね』。撮影ばかりでなく、草履のお買い上げも訪問目的のひとつだったようです。前回は晩秋といっても雪には早かったですが、今日は降雪でも不思議のない予報でした。
『冬になると雪道が怖いから、角館散策もずいぶん減るんですよ』と言うと、『私は雪道も大丈夫ですよ』とおばさま。逞しささえ感じますね。

昨年の暮れにカミさんが追突事故を起こしまして、一ヶ月を経てようやく今日修理が済みました。こちらも相手もケガがないのは不幸中の幸いなれど、一ヶ月を要した修理だけあって金額もそれなりです。

冬の運転は充分に注意しましょう。
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繋げる心。

2012年01月22日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
黒地にカラフルなプリント柄が施されていて、角館草履には比較的少ない洋柄草履です。私の好みもあってどうしても和柄が多いのですが、ときにこうした配色もバラエティには良いと思います。

冬休みを実家で過ごした長女が、二週間と経たずにまた戻ってきました。理由は「保育実習」。明日から二週間、当地の保育園で現場を学ぶためなんですね。13年前にはその保育園に園児として通っていた長女ですから、この成長もまた驚きですよ。

当時お世話になった保育士さんが、今も活躍されています。せめて名前くらい確認して参加させたいと思い、12年前の父母の会ファイルをずいぶん久しぶりに開いてみました。当時私は父母の会事務局長なる役職を預かり、保護者向けあるいは役員向けのおたよりを発行していたんです。

パラパラとファイルをめくっていくと、「リサイクル掲示板」と称する事業が目に止まりました。記憶が一気に12年前へと戻り、とても懐かしく読み返したものです。
私たちが役員時代に初施行したひとつ「リサイクル掲示板」は、不要になったものの未だ使用に耐えうる品物を掲示板に記入し、これから必要とする世帯へ無償で差し上げるものでした。

保育園から中学生くらいまでの子どもは、心身共に成長が早いです。中でも衣類や靴など体型に合わせるものは、次から次へと用意しなければいけません。肌着や靴下など比較的安価なものは別として、これがスキーウェアや制服といった高価なものになると、成長に応じて新しいものを買い与え続けるのが困難になってきます。まして子どもの人数が多かったり、わが家のような双子世帯となると尚更ですね。

施行当初は活気ある利用がされたのですが、当時の役員が卒園し次第に顔ぶれが変わっていくと、だんだん利用が少なくなってしまったんですね。そして数年が経ち、園舎新築に合わせリサイクル掲示板も処分されたと聞きました。

私は今でも、この仕組みの需要はあると思っています。時代と共に必要性が薄くなるということは、世の中によくある話です。でもこればかりは、そうとは思えないんですね。
わが家の長女と次女が使用していた高校の制服は、三女ともうひとりカミさんの友人の娘さんが着用しています。三女が中学生時代に使っていた学校のカバンは、四月から中学生になる知人の娘さんが使うことになっています。

かつてわが家もいろんな家庭から貰い受けました。同じ心を次の代へ繋げていくのが、最も大切な恩返しじゃないですかね。
明日からの実習で長女が学ぶことも、次の代へ繋げる恩返しとなるでしょう。
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熟年離婚。

2012年01月19日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔五阡四百円〕
今日の草履も金と銀をふんだんに使ってみました。
数日前、ひとり旅の男性が草履を気に入ってくださった際、『金の草履はいかがです?』とお勧めすると、『いやぁ、僕に金は履きこなせないですよぉ』。
男性の滲み出る純朴さに好感を持ったものでした。

「熟年離婚」という言葉があります。何十年も連れ添った夫婦が何かをきっかけに、その後の余生をそれぞれに生きる選択をするんですね。その「何か」というのはいろいろあるんでしょうが、「定年退職」がひとつのきっかけになるようです。

65歳とおっしゃるおばさまが、ひとり旅を愉しんでおられました。草履実演をしみじみご覧になり、ご自分用をお買い上げです。おばさまのおしゃべり好きは、出会ってすぐに分かりました。私もおしゃべりは嫌いなほうではないのですが、おばさまの滞在時間は実に二時間。もちろん今年の最長記録です。

前半の話題は草履やら角館やら温泉でしたが、後半になってくると次第に「身の上話」と化してきました。詳しい内容は差し控えますが、それがつまり「熟年離婚」なんですね。離婚の申し入れは数年前、定年退職したばかりのご主人からでした。おばさまもこれまでのご自身を顧みて、これを受け入れたそうです。

でも結局、バラバラに暮らしたのは半年程度。ご主人はあっけらかんと舞い戻りました。現在もご主人側に負い目があるようで、それ以来おばさまがどこへ旅行をしようが、自由気ままな生活になったということです。

人様のご家庭を他人に分かるはずがないのですが、こちらのご主人はもしかすると「超純朴」な男性じゃないですかね。おばさまのご主人評は、「なんにも考えていない人」。子どもがそのまま大きくなったタイプかも知れませんね。

角館草履を手に持ったおばさまは、意気揚々と次の目的地へ出発されました。
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高齢者の一人世帯。

2012年01月18日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
「紺系おまかせ」に選ばれそうですが、紺というより青に近い組み合わせです。ジーンズの色調にも似ていて、カッコいい感じですね。サイズは男性用に少し小さめの24cm
、スマートなおじさまにいかがでしょう。

今日も一日降雪はありませんでした。お日さまが顔を出すと、ほっとした空気になりますよ。あと一両日は好天が期待できそうです。積もった雪が融け出し、道路のアスファルトが見えてくると、これまでの雪かきの疲れも少しは癒されますね。

東京は浅草からお越しのおばさまひとり旅。もうあとは新幹線に乗って帰るだけの状態で、夕方薄暗くなってからのご訪問です。『草履を編んでらしたの?』とおっしゃりながら展示パネルの前に立つと、『あら~、綺麗っ!』。
ご自分用をお買い上げくださいました。

『この雪には驚いたでしょ!?』と言うと、『雪を見たくて来たからそれは良かったんだけど、吹雪っていうのも体験したかったのよねぇ』。
今週の暖気を私たちは喜んでいましたが、それもすべての人に当てはまるわけではないようです。でも私が思うにご期待通りの吹雪だったとしたら、おそらく散策を愉しむなんて気にはならなかったでしょうね。

これまで当地の大雪をお伝えしていますが、北海道岩見沢市の記録的豪雪を今朝のテレビで見ました。平地で194cmという積雪量は、さすがの秋田県もなかなか聞くことがありません。
テレビでは高齢者の一人暮らし世帯が映されていました。玄関の引き戸が開かないくらい、雪がなだれ込んでいます。このように除雪の手がない世帯は、角館でも年々多くなっていますね。

仙北市長が就任と共に打ち出した、「地域運営体」なるものがあります。仙北市となる前は、角館・田沢湖・西木の三か町村でした。さらにそれ以前、昭和の大合併前は九つの行政区に分かれていたんですね。地域運営体は当時の九つに分け、それぞれの住民が主体的に事業展開するもので、その資金として各々500万円が予算されているわけです。

九つの中の角館では柱となる事業に、「高齢者世帯の除排雪」を掲げているようです。角館の中でも細かく丁内単位で需要と供給を把握し、必要に応じて作業に当たると聞きました。わが家のある丁内は今のところ需要がないようですが、こうした組織とマニュアルが出来上がっていることに意味を感じます。

高齢者の一人世帯は、「やがてわが身」の可能性が誰にもありますよ。
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