非国民通信

ノーモア・コイズミ

スキャンダルの陰で・・・

2007-01-21 00:19:01 | ニュース

首相、「そればかりやっていてもな」 スキャンダル警戒(朝日新聞)

 「本来は政策で(論争を)やってもらいたいけど、なかなかそうはいかないのが国会だ」

 安倍首相は19日夜、都内のホテルで尾身財務相や衆院予算委員会の与党理事らと会食。昨年末に辞任した佐田前行革担当相や、年明けに発覚した伊吹文部科学相らによる事務所費をめぐる問題がくすぶっていることから、首相は野党の追及に対する警戒感を示した。

 出席者によると、首相はスキャンダル国会となることに懸念を漏らし、「そればかりやっていてもな。国民も見ているから、大事な政策課題を議論したい」と強調。事務所費問題については「そんなにたいした話ではない」と語ったという。

 まあ私としても政策で論争をやって欲しいのは同意ですが、スキャンダルで追求されている側の人間が言うべきことではありませんね。しかし、安倍氏が論争の対象として欲しい政策って何なのでしょうね?

共謀罪:安倍首相が成立指示 政府・与党に困惑、真意いぶかる声も(毎日新聞)

 安倍晋三首相が19日、共謀罪創設法案(組織犯罪処罰法改正案)を通常国会で成立させるよう唐突に指示したことに対し、「寝耳に水」の与党では戸惑いが広がっている。同法案には世論の批判が強く、参院選への悪影響を懸念する与党は、国会開会前に早々と成立先送りの方針を固めていたためだ。政府内にも首相の真意をいぶかる声があり、安倍首相と塩崎恭久官房長官が、またしても十分な根回しのないまま独走したとの見方も出ている。

 「信じられない。なぜこんな話をしたんだ」。首相指示を伝え聞いた公明党国対幹部は19日、怒りを込めた口調で語った。参院選にマイナスな法案は極力先送りしたいのが本音だからだ。

 自民党国対幹部も「首相からは何も聞いていない。知恵を付けて持ってきてもらわないと」とこぼした。

 悪名高い共謀罪を安倍首相が唐突に持ち出したところ、与党内部でもさっぱり支持が得られていない模様。指導力への高さが窺われますなぁ。

 とは言えこの共謀罪、ホワイトカラー・エグゼンプションと同じで先送りにされているだけ、政府筋が諦めているわけではありません。野党以前に与党の段階で支持が得られていない有様だけに当面の採択はなさそうですが、やはり油断はできません。各種のスキャンダルに報道が偏りがちですが、国民やメディアにはこの辺の政策に関してもっと注目して欲しい気はしますね。
参考、共謀罪賛成議員落選運動

 もう一つ、スキャンダルよりも注目されるべきものを挙げるとしたら、やはり国民投票法案でしょうか。憲法改正への布石と目されるこの法案、政治家が個人的に懐を温めるのはよくないことですが、それよりももっと国民への影響が大きいものがあるはずです。

国民投票法案:反対で社民党と国民新党が一致(毎日新聞)

 社民党の又市征治、国民新党の亀井久興両幹事長が19日、東京都内のホテルで会談し、憲法改正手続きを定める国民投票法案について、通常国会での成立を目指す政府・与党方針に反対することで一致した。会談で亀井氏は「わが党は改憲の立場に立つが、自民党新憲法草案を成立させるための国民投票法案を慌ててやる必要はない」と述べた。

 同法案をめぐり民主党は鳩山由紀夫幹事長が通常国会成立に前向きだが、野党共闘を重視する小沢一郎代表はまだ方針を示していない。又市、亀井両氏は通常国会の開会に合わせ野党党首会談を開くよう民主党に呼びかけることも確認した。

 社民党、国民新党は反対、共産党はいうまでもなく反対、しかし最大野党であるはずの民主党は鳩山幹事長が賛成の意向であり、党全体としても態度は曖昧なままです。自民党と民主党が手を組んでしまえば国会ではやりたい放題、予断を許さない状況です。

 

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You want out?

2007-01-20 00:20:04 | ニュース

八尾・男児投げ落とし 「仕事イヤ」突発的犯行 普段から不満、イライラ(産経新聞)

 大阪府八尾市の近鉄八尾駅前の歩道橋で17日、大阪市平野区の西田璃音(りおん)ちゃん(3)が男に投げ落とされ重傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された八尾市桜ケ丘、障害者作業所勤務、吉岡一郎容疑者(41)が「仕事がイヤで、何か悪いことをすれば仕事場に戻らなくていいと思った」と供述していることが18日、八尾署の調べで分かった。同署は、吉岡容疑者が仕事でイライラしていたところに、たまたま璃音ちゃんが通りかかり、突発的に投げ落とした可能性が高いとみている。

 調べに対し吉岡容疑者は「仕事のストレスがたまっていて、むしゃくしゃしていた」などと供述していたが、「何か悪いことをすれば仕事に戻らなくていいと思った」と話していることも新たに判明。同署は、ふだんから仕事に対する不満があり、イライラしているところに、璃音ちゃんが通りかかり、突発的に投げ落とした可能性が高いとみている。

 犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛むとニュースになると言われています。大人の犯罪はありふれているのでニュースになりませんが、件数の少ない少年犯罪はニュースになります。日本人の犯罪はありふれているのでニュースになりませんが、件数の少ない外国人による犯罪はニュースになります。健常者の犯罪はありふれているのでニュースになりませんが、件数の少ない障害者による犯罪はニュースになります。ひきこもりやニートなどのレッテルを貼られた人達の犯罪もニュースになりますね。いずれもより件数の少ない方、珍しい方がニュースになる傾向が強いわけです。マジョリティによる犯罪はありふれたものであり、耳目を集めるようなものは何もない、しかしマイノリティによる犯罪はセンセーショナルなものとして積極的に取り上げられます。そして今回は、障害者による犯行の話です。

 しかし、私はこの容疑者の心情に共感してしまいます。私も仕事が嫌です。ネクタイを締めると目眩がします。背広を着て外に出ると、自分が裸で人前に出ているような居心地の悪さを感じます。どこの職場でも、そこに自分がいることにどうしようもない違和感を感じます。ここは自分の居場所ではないと感じ、そうして窓の外に目を向けます。ここから出て行きたい・・・

 正直、仕事をしていると、何もかもぶち壊して逃げ出したい気分になることがしばしばです。そうは言っても行くアテがないからか、それとも単に行動する気力すら失ってしまったからか、突発的に暴れて逃げ出すようなことはしていません。まぁ、それでも仕事を辞めちゃったことは何度もあるわけですが。そして今回の吉岡容疑者、私がやりたいと思いながらも抑えてきたことを、やってしまった模様です。悪いことをしてしまえば、もう後戻りはできません。しかし、このようにすべてを投げ出せる人がどこかうらやましく感じてしまう自分がいます。

車掌が運行妨害繰り返す JR東日本、近く処分(神戸新聞)

 JR東日本千葉支社は19日、蘇我運輸区(千葉市)の男性車掌(28)が、乗務していた電車のブレーカーを落とすなどして運行妨害を繰り返し、運休や遅れを発生させていたと発表した。同社は同日、国土交通省に報告。近く車掌を処分するとともに、刑事告訴を検討している。

 妨害は自分が乗務しない発車待ちの電車にも及んでおり、車掌は「いらいら感が募りやった」と話しているという。

 こっちは健常者による犯行。たぶん、仕事が嫌になって、何もかもぶち壊してしまいたかったのでしょう。投げ落とされる子供や電車の遅延に巻き込まれる乗客には何の非もなく、容疑者から恨まれる筋合いもないのですが、それでもなぜか暴挙に及ぶ人がいるわけです。全く無関係の人を巻き込んで被害を追わせるとは迷惑千万、まぁ当然のように非難されるべきなのでしょう。

And when there's no future How can there be sin?

 こう歌ったのはSex Pistolsでした。未来を失っちまえば、何処にも罪なんて無いだろ? 俺達はゴミ箱に飾られた花、俺達は機械みたいな人類の毒。俺達こそが未来、お前の未来さ。


 

 ←No future

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K-1では異例の重い処分

2007-01-19 00:58:56 | ニュース

秋山に追加処分 無期限出場停止が決定=K-1Dynamite!!(スポーツナビ)

 秋山成勲に追加処分が下された。K-1を主催するFEGの谷川貞治代表が17日、都内ホテルで桜庭和志とともに記者会見を行い、昨年大みそかの「K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!」(京セラドーム・大阪)のメーンイベントに出場した秋山成勲にFEGが主催する大会への無期限出場停止の処分を下すことを発表した。
 秋山がルール違反とされるクリームを体に塗ったことでこの試合はノーコンテストとなり、秋山は「失格」、ファイトマネー全没収の処分が先日発表されていたが、この日の会見ではさらに「現行のルールでは失格以上の取り決めはないが、それだけ重い責任があると判断し、自分の独断で決めた」と、谷川代表が無期限停止処分の理由を語った。昨晩、秋山には直接通達されており、秋山は「どんな処分も受け入れます」と答えたという。またその際に秋山からは「FEGのイベントで直接、ファンに謝罪したい」との申し出があったが、谷川代表はこれを断ったことも明らかにした。

 このブログは格闘技ファン向けではないので補足しておきます。まず昨年の大晦日に秋山成勲選手と桜庭和志選手の対戦が行われ、秋山選手が勝利したものの桜庭選手が「滑る」と抗議したことから疑惑が始まりました。

 K-1のルールでは体にワセリンなどの潤滑物を塗布することが禁じられており、試合前にはレフェリーが選手の体を触って違反がないかをチェックする仕組みとなっています。この試合前のチェックの段階では問題がないとされ試合開始、秋山選手の勝利となった後に桜庭選手側からの抗議、再度レフェリーチェックが入りましたが、この段階でも潤滑油の塗布は認められず秋山選手の勝利が確定しました。

 ところが後日となって秋山選手が控え室で保湿クリームを塗布している映像が確認され、これを違反として無効試合との裁定が下りました。当初は本人が撮影用のビデオカメラの前で堂々と塗布していることから意図的な反則ではないとみなされていたものの、それが今日になって追加処分として無期限出場停止となったわけです。

 組み技を含む総合格闘技ではこっそりと潤滑油を塗って有利に試合を進めようと企てる選手もいないわけではありませんが、圧倒的に多いのが負けた側が相手をうまくコントロールできなかった言い訳として「滑る」「体に何か塗っていた」と主張するケースでして、これはよくあるいつものこと、通常であれば問題視される事態ではありません。そもそも何も塗らなくても、汗だくになって組み合っていれば滑るのは当たり前のことですので。

 さてK-1はジャッジの基準すら曖昧な団体ではありますが、無期限出場停止とは異例の重い処分です。たとえ保湿クリームであっても試合前に体に何かを塗ることは反則です。しかしレフェリーが触っても関知できない程と、試合への影響があるとは考えにくく、かつ過失によるものであることを考慮すればそれほど重大な反則ではありません。今までK-1ではその管理の甘さからか、悪質で重大な反則や契約違反などが多発してきましたが、それに対する処分は常に曖昧で軽微なものでした。常にナアナアで問題をうやむやにしてきたK-1において、今回の秋山に対する処分は明らかに今までの基準とは違った何かに拠っているとしか思えないわけです。

 ここで邪推の余地があるとすれば、秋山選手が在日韓国人(現在は日本国籍を取得)だと言うことです。このため方々からヘイトスピーチの格好の的とされ、彼への中傷は以前から少なくありませんでした。そこへ今回の桜庭戦、レフェリーが触った限りでは滑らなかったわけですが、桜庭選手の「滑る」発言は秋山選手を攻撃する格好の口実となりました。

 この結果レフェリーを務めた梅木良則氏のブログが炎上、主催団体であるK-1にも抗議が殺到する展開となりました。そこで試合当日は秋山選手の勝利が確定→非難が殺到→再調査、無効試合扱いに→それでも非難が殺到→無期限出場停止の追加処分となったわけです。ある意味でファンの声に応えた結果といえるのかもしれません。

 そこで思い当たるのが、先日の玉川大学が朝鮮学校の卒業生の受験を認めなかった話です。もちろんこれを差別として批判するブログもありましたが、一方で玉川大学の態度を当然のこととして擁護、賞賛するブログはそれ以上に多数ありました。今回の受験拒否で玉川大学は株を上げたのでしょうか?それとも下げたのでしょうか? もちろん私の中では玉川大学の評価は地に落ちたわけですが、しかしブログの数を基準に考えてみると、玉川大学の評価を上げた人の方が多いようにも見えます。

 困ったことに、差別発言によって喝采を浴びる芸能人、言論人、政治家が後を絶ちません。もちろん差別発言によって評価を下げる側面もあるのですが、悲しむべきことに差別発言を賞賛する人の方が多数派を占めつつあります。今やレイシズムはアピールポイントの一つ、いわゆる嫌韓の類は人気取りのために積極的に表明される有様です。

 たぶん、玉川大学は差別を堂々と打ち出すことで失うリベラル層からの評価よりも、それによって得られる差別主義者からの評価の方が重いと判断したのでしょう。そしてK-1、今回の件だけではまだ何も言えませんが、明らかに異例の重い処分、フェアな判断をするよりも、ファンの差別感情を満たした方が後々の商業的成功につながると判断した――そう考えるのは穿ちすぎでしょうか?

 

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ホワイトカラー・エグゼンプションはまだまだ続く

2007-01-18 00:21:46 | ニュース

残業代ゼロ法案 政府、通常国会提出を断念(朝日新聞)

 政府・与党は16日、一定条件の社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)を導入する法案について、25日からの通常国会への提出を見送る方針を決めた。安倍首相は16日夜、首相官邸で記者団に「現段階で国民の理解が得られていると思えない」と述べ、提出する環境にないとの認識を示した。7月の参院選を控え与党内からも「サラリーマンを敵に回す」との批判が強まり、提出断念に追い込まれた形だ。

 安倍首相は16日夜の日本記者クラブでの記者会見で「働き過ぎを助長してはならない。ましてやサービス残業を奨励する結果になってはならない。なんと言っても働く人たちの理解が不可欠だ」と強調。これに先立ち、首相は同日夜、国会中に理解を得られるかどうかを記者団から問われると「働く人の理解がなければうまくいかない。今の段階では難しい」と語った。

 悪名高いホワイトカラー・エグゼンプション(以下、WE)制度ですが、どうやら先送りで決まりのようです。撤回ではないので油断できませんが、まあ悪いニュースではありません。さすがに何もかも経団連の思い通りにはならないようで少しだけ安心です。とは言えまだまだ諦めたわけではなさそうで、首相曰く「なんと言っても働く人たちの理解が不可欠だ」「働く人の理解がなければうまくいかない。」と。働く人の理解によってこの制度を実現させようと目論んでいるようです。

「全く知らない」73% 厚労省検討の労働規制緩和

 ちなみにこの制度、先月の調査では「内容まで知っていた」は9%、「名前は聞いたことがある」は18%、「全く知らない」が73%という結果でした。アンケートの信頼性は不明ですが、たしかに働く人の理解は得られていない模様です。

 しかるに、回答者全員が制度の意味を理解しているであろうアンケートの結果はこちら

Q 制度の導入に賛成ですか?         YES  6% NO 94%
Q 年収を基準とすることに納得できますか? YES 11% NO 89%
Q 長時間労働を助長すると思いますか?   YES 93% NO  7%

 これも全幅の信頼が置ける結果とは言えませんが、制度を理解している人の9割以上が反対です。これでは国民の理解が深まれば深まるほど制度への反対が強まるはず、導入を目指す安倍総理としてはできるだけ知られないように、こっそり進めた方が良さそうですが。

残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」

 安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は「家で家族そろって食卓を囲む時間はもっと必要ではないかと思う」と指摘。長く働くほど残業手当がもらえる仕組みを変えれば、労働者が働く時間を弾力的に決められ、結果として家で過ごす時間も増えると解釈しているようだ。

 そこで、ちょっと古い記事になりますが↑これ。WEについてなかなか独自の解釈をしている模様です。このような理解を広めることができれば、制度導入への道が開けるのかもしれません。とはいえ、こんな考え方に共感してくれる人はさすがにいないと思いますが。

 ただ、アンケートをYES/NOで答えさせた場合と、間に「やむを得ない」を挟むと結果が大きく変わることがあります。だから制度の導入に賛成ですか?と尋ねて二択で答えさせる代わりに、こう尋ねてみたらどうでしょうか。

・日本企業が厳しい国際競争に生き延びるために、ホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入は必要だと思いますか?

はい/やむをえない/いいえ

 WEが労働者ではなく経営側のための制度であることはもうバレバレであり、今更どう宣伝したところで無駄です。ならばそれを認めた上で、受け入れを迫るのはどうでしょうか? 会社があってこそ自分がある、そう勘違いしがちな日本の労働者は実に献身的であり、その会社に尽くす様は涙なしには語れません。そして会社があってこその自分、会社が潰れたら自分もお終い、会社が生き延びなければ自分の生存もない、そう勘違いした労働者に質問してみましょう。

・日本企業が厳しい国際競争に生き延びるために、ホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入は必要だと思いますか?

はい/やむをえない/いいえ

 これだと「やむをえない」と回答する人が多くなりそうです。その結果を基にWEは国民の理解を得られている!と。日本の企業業績は平均すれば非常な好況で戦後最長の上昇期間を継続中、これ以上に優遇制度を打ち出す必要はないわけですが、しかるに国民にはその好景気の実感がありません。これは報酬の分配が非常に不公平なものに変化しているためであり、労働者の取り分が減っているためでもあるのですが、一向に収入の増えない労働者の中には会社の業績が悪いから給与も増えないのだろうと錯覚してしまう人もいるわけです。そう錯覚している人にとって、日本企業が厳しい国際競争に生き延びるためにはさらなる規制緩和もやむをえないものと映るかもしれません。そうしてますます搾り取られることになるわけですが・・・

 WE制度はとりあえずは先送り、しかし経団連がこれを諦めることはなさそうです。一度は見送られても、次はどんな手で仕掛けてくるのか? まだまだ油断はできません。

 

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学力よりも気になるものがあるらしい

2007-01-17 23:15:43 | ニュース

朝鮮学校生の受験を拒否 玉川大、一般入試で(共同通信)

 神奈川朝鮮中高級学校(横浜市)の高級(高校)3年の男子生徒(18)が今春の玉川大(東京都町田市)一般入試に出願しようとしたところ、大学側から「朝鮮学校の生徒には受験資格がない」と拒否されたことが16日、分かった。

在日本朝鮮人人権協会によると、現在、国立では朝鮮学校の生徒に門戸を閉ざしている大学はないといい、「私立でも4年制では玉川大ぐらいではないか」としている。

学校教育法では、朝鮮学校は「各種学校」扱いで、以前は大学入学資格検定(大検)に合格しないと受験できなかったが、文部科学省が2003年に施行規則を改正。各大学が個別に入学資格を判断できるようになっている。

 このニュース、そこそこブログで話題になっているらしいです。やっぱりレイシズムを振りかざすブログの方が数としては多いみたいですね。そう言えば日刊ワールドカップの際には明石家さんまとか飯島愛といった連中がテレビで堂々と差別発言をして喝采を浴びていましたね。中には非難の声もあったようですけれど、賛同する葉書やメールがたくさん届いたとか。

 妄想ブログを読んでみると、中には「これが朝鮮学校ではなくアメリカンスクールとかだったら問題にならないんだろうな」などと書いている人もいました。とんでもない、アメリカンスクールの卒業生は高卒と同じ受験資格を認められていますから、その受験を拒否なんてしたら大問題です。記事には「私立でも4年制では玉川大ぐらいではないか」との発言が掲載されていますが、それよりも問題なのは「ナショナルスクールで大学受験資格を認められないのは朝鮮学校くらいではないか」ということでしょう。

 朝鮮学校は教育内容が劣ると確信しているブログ主も少なくない、というより多いわけですが、だったら試してみたらいい、受験させてみて点が低ければ不合格、点が高ければ合格、それで何か問題でも? 玉川大学の試験問題が解けるのであればどこの学校出身であろうと必要な学力があると見なされるべきですし、玉川大学の試験問題が解けないのであれば日本の高校出身でも朝鮮学校出身でも落第、当たり前のことです。

 現状では日本の高校やアメリカンスクールを卒業すれば、どんな馬鹿でも大学受験資格が得られます。一方で朝鮮学校の場合は頭の中身如何に関わらず大学受験資格は個別判断に委ねられることになっています。そう言えば、ちょっと前に話題になった必修科目の未履修問題、予備校や独学、独自カリキュラムその他できっちり学んでいたとしても、規定の授業時間に満たなければ未履修でした。一方で教員もしくは生徒の能力不足で頭の中身は空っぽのままであったとしても、規定の授業時間を満たしておけば履修済み扱いでした。なるほど、能力よりも形こそが問われるようです。美しい国はまず形から!

 フランスのバカロレアみたいに大学入学資格もしくは受験資格のための試験をやればよさそうなものですけれどね。日本の高校卒業者で必修科目をすべて履修していても、試験に通らなければ資格なし、制度上の未履修科目があろうと、あるいは朝鮮学校出身であろうと試験に通れば受験資格獲得、まあ大検と変わらないかもしれませんが、同等の試験が日本の高校に対しても課されればより公平性は高まるでしょう。進学するつもりでちゃんと勉強していれば大検になんてそうそう落ちないはずですからね! ともあれ日本の高校を卒業しさえすれば学力不問で受験資格あり、朝鮮学校出身であれば学力不問で受験資格なし、学力を問わずして何を問うのか玉川大学には明言して欲しいところですね。

 ま、受験拒否された男子生徒は「玉川大学に入らずに済んでよかった」とプラスに考えてくださいな。

 

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エロ拓とマツタケ

2007-01-16 23:52:37 | ニュース

山崎氏 北でマツタケに舌鼓(産経新聞)

 北朝鮮から帰国した自民党の山崎拓元副総裁が北朝鮮滞在中に、経済制裁のために日本に輸入されていない北朝鮮産マツタケに舌鼓をうっていたことが15日分かった。山崎氏自身が同日夕の民放ニュース番組で、明らかにした。

 新聞は皆同じではありません・・・ってのはどこのキャッチコピーだったでしょうか。たしかに世の中にはひと味もふた味も違った新聞があります。そんな中で新聞によって、取り上げるニュースもあれば切り捨てられるニュースもありまして、これは紙幅の制限もありますから、重要性が高いと判断されたものは掲載し、重要性が低いと判断されたものは見送られるわけです。

 たとえば昨日取り上げたニュース、社会奉仕活動の義務化云々は大手メディアでは毎日新聞だけが取り上げていました。毎日新聞の価値基準からすれば重要なニュースであり、他紙の価値基準からすればそれほど重要ではない、と。

 さて今日のニュースですが、これは産経新聞だけが取り上げています。他紙の価値基準からすればあまり重要でないニュースですが、産経新聞の価値基準からすれば広く国民に知らしめるべき重大事項なのでしょう。「エロ拓が松茸を咥えてるぞー!」と。

 山崎氏が松茸を喰らおうが愛人に股間の榎茸を咥えさせていようが国民にあまり関係はなさそうですが、どんなものでしょうかね。しかしせっかくの訪朝、日本側からも禁輸品である文明堂のカステラや日清のラ王など将軍様の好物を持って行けばもう少し交渉が進んだかもしれないと思うのですが。

「総理はおれが先」麻生氏、発言暴露され谷垣氏に不快感(朝日新聞)

 口は災いの元――。麻生外相は16日の閣議後会見で、自民党谷垣派会長の谷垣禎一前財務相が「おれに先に(総理を)やらせろ」という麻生氏の発言を暴露したことについて、「マナーとしてはいかがなものか」と不快感をあらわにした。

 谷垣氏は15日の講演で、麻生氏から「安倍(首相)に刃向かってできると思っているのか。だからおれと手を組もう」などと、派閥連携を打診されたことを明らかにしていた。

 麻生氏は会見で「こっちに対する返事をもらっていない」と発言内容を事実上認めた形だが、「その話を全然関係ないところでしゃべって、こっちにはまだ答えを言っていない。普通じゃちょっと考えられん」と怒り心頭の様子だった。

 政治家として国民に知られたくないような発言、後ろめたい発言をした段階ですでに麻生の失態だと思われますが、それを暴露されて逆ギレした模様です。この辺、身内では庇い合うのが党内の常識なんでしょうが、このように情報公開、暴露してくれた方が有権者としては歓迎できますね。

 また森元首相も16日の講演で、「(谷垣氏が)誰かに話したのが漏れ伝わったのではなく、講演でしゃべっている。(谷垣氏を)筋が通った政治家だなと見ていたが、これから彼に本当の話はしなくなる」と麻生氏をかばった。

 で、森元首相、首相時代は未発表の政策案や機密性の高い情報、問題のある考え等その他諸々を軽々しく口に出しては「失言」と咎められていた森さんが麻生氏をかばっています。麻生氏が打診した相手が森さんだったらどうでしたかね? 谷垣氏は意図的に打診の内容を公表したわけですが、森さんだったらついうっかりと口に出し、後になってから失言だったと責められるのがお決まりのパターンでした。今になって思えば森総理とは積極的に情報公開、包み隠さず本音を口にする正直な政治家でしたね。


 

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徒刑制度?

2007-01-15 23:54:52 | ニュース

教育再生会議:高校で社会奉仕活動を必修化、明記の方針(毎日新聞)

 政府の教育再生会議は14日、今月とりまとめる第1次中間報告に、高校で社会奉仕活動を必修化するよう明記する方針を固めた。安倍晋三首相の自民党総裁選の公約だった。19日に全体会議を開いて決める。学習指導要領に盛り込むかどうかなどの実施への制度作りは、その後さらに議論する。

 学校での社会奉仕活動については、森内閣の教育改革国民会議が00年、小中高校で共同生活をしながら行うことなどを提唱した。しかし「憲法が禁じる苦役につながる」との指摘や受け入れ態勢の問題があり、実施は見送られてきた。

 ところが、安倍首相は昨年の総裁選で「公の概念が大切」と大学入学の条件にボランティア体験を義務付ける考えを示し、著書「美しい国へ」で「最初は強制でも、若者に機会を与えることに意味がある」と主張。

 これをきっかけに社会奉仕活動の導入論が再浮上し、再生会議でも「奉仕の義務化が必要」(池田守男座長代理)などの意見が出て、報告に明記する方向となった。

 少し前のことになりますが、憲法9条を変えたら徴兵制の復活はあるか?という議論がありまして、こちらからリンクを張っているブログの方で侃々諤々の展開となっていました。改憲論者は「高度な専門性を要求する現代戦では徴兵された素人など役に立たない、だから徴兵などあり得ない」と躊躇なく断言し、護憲派の中にもそれで何となくその気になってしまう人も見られました。

戦うだけが軍隊ではないようだ

 その辺の絡みで書いたのが上記リンク先のエントリ、徴兵された素人では戦力にならないとしても、軍隊の役目は戦うだけではないのではないか、戦わせるための軍隊ではなく、人に服従や忠誠を教え込むための矯正機関としての軍隊の役割がこれから拡大していくのではないか、だから安倍総理の大好きな規範意識や公の精神とやらを教え込むための徴兵だったらあり得るのでは?というのが私の意見でした。

徴兵制の条件(模型ダイアリー、実質カミさんのキャラ弁ダイアリー)

 ちなみに↑この辺を読んだ限りでは、現代の軍隊においても徴兵された兵隊が全く意味をなさないということはなく、状況においては必要になるみたいです。改憲論者のあまりに力強い断言ぶりに騙されそうになりますが、一概に徴兵制が軍隊の強化に役立たない、だから日本で徴兵制は絶対にない、とは言えないようです。

 さて、幸いにして現在の日本に徴兵制はありませんが、その一方でいまだに徴兵制を残している国も少なくありません。そんな徴兵制の国の中には代替案を用意している国もありまして、おおむね軍に入る代わりに同程度の期間の社会奉仕活動をもってその代替とするものです。社会奉仕活動ってのは自主的にやるから尊ばれるのであって、他人から迫られてやるのはただの無償労働、それを拒否する権利、逃れる権利がないのであれば強制労働、苦役であり徒刑であります。人権を蔑ろにする国では徴兵逃れの罰が徒刑と定められているのでしょうかね。

 そこで今日のニュース、教育再生会議が提案するところによると、社会奉仕活動を義務化するとか。これは憲法18条に違反しますね。だからこそ改憲を目指すのでしょうか? 安倍総理曰く「最初は強制でも、若者に機会を与えることに意味がある」とのことですが、憲法に反する強制とはあまりにも遵法意識に欠ける発言ですね。ついでに言えば、誰も徒刑の機会なんて欲しませんが。

 さて、国民に指導者への忠誠、国家への服従、公の精神、規範意識云々を植え付けるべく軍隊によって矯正したいと考えたとしましょう。しかるにいきなり徴兵ではさすがに国民の反発も強いわけです。それが戦うための徴兵ではなく教育のための徴兵であったとしても、やはり軍に入ることに国民は特別な感情を覚えるものです。だから、クッションを置きます。すなわち徴兵の代わりに、社会奉仕活動をもってその代替とする・・・ やれやれ。

 昨年発覚した高校の履修単位不足問題で、再生会議で「教育委員会に文部科学省が指導できるようにすべきだ」との意見が出たのがきっかけだ。

 ついでにこれ、昔から普通に存在していた未履修問題、なぜ今年になって今日に問題視されるようになったかと思っていたら、やはり狙いはここだったようです。問題があるぞ!と騒ぎ立て、そこを口実に乗り込んでいく訳ですね。えげつない人達です。彼らの政略に巻き込まれた高校生達の迷惑も考えてやって欲しいものです。

 

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制度の対象者は20万人にとどまる?

2007-01-14 18:34:33 | ニュース

対象20万人ホント? 残業代ゼロ労働(朝日新聞)

 対象となる会社員が全国で20万人って、ほんと――? 一定の条件で会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入をめぐり、厚生労働省が持ち出した対象者数の試算が波紋を広げている。対象は全労働者の0.4%にすぎないとする推計を出したのは、強い慎重論がある与党を説得する狙いとみられるが、算定方法はどんぶり勘定。省内からも「推計がおかしい」との声が漏れる。労働界は「導入後に範囲を拡大するのでは」と警戒し、推進する経済界も「そもそも20万人なら、制度を入れる必要があるのか」と戸惑っている。

 労働者からは元より、公明党や自民党議員からすら反対意見の出るホワイトカラー・エグゼンプション、こんなものに賛成しているのは経団連と経団連の言うことを鵜呑みにする経済音痴の総理くらいですが、さてどうなることでしょうか。

 企画立案段階では制度対象者の条件が年収1000万以上だとか、いや400万以上だ、管理職相当だ、状況に応じて政省令で規定云々と短期間に二転三転、結果として今の段階では年収900万以上の非管理職を対象にする方向に動いているようです。この結果として対象者は20万人にとどまるよ、と厚生労働省の発表です。本当かよ?

残業代不払い法案(年収900万以上)は彼等の常套手段(保坂展人のどこどこ日記)

既成事実を作って最初に開けた小さな穴をこじ開けていく彼らの常套手段だと指摘しておく。

労働者派遣法も何度も「改正」され、今では最後まで禁止されていた製造業への3年間の派遣も可能となって低賃金化を促進した。それでも、3年間を派遣で働き続けた場合は、正社員で雇用を申し込む義務を嫌って、より低賃金で不安定身分の「偽装請負」が製造現場で増長している。当初、「900万円以上」で対象者は20万人程度と「ごくごく例外的な残業代なしの適用除外の人たちですよ」と言いながら、「実効性がないから」「国際競争力を高めるために」「景気上昇のため」などの理由をつけて、「目標400万円」までハードルを下げていく。だから、「小さな芽」を根っこから絶たなければ、やがて全労働者に魔手を伸ばしてくる。

 あまり言いたくはありませんが、この辺の規制緩和には民主党も平然と賛成してきました。

パート待遇改善、無期契約者に限定 法改正案要綱(朝日新聞)

 パート労働者の待遇改善を目的に、厚生労働省が通常国会に提出する予定のパート労働法の改正案要綱が12日、明らかになった。正社員との賃金などでの差別待遇を禁止するのは、雇用契約期間に定めがないパートと明記。仕事内容のほか、採用や転勤など人事管理も正社員と全く同じとの条件もつけている。このようなパート労働者は極めて少ないとみられ、安倍首相はパート法改正を「再チャレンジ」促進策の柱の一つに掲げるが、政策効果も限定的となる可能性がある。

 厚労省は、実際の対象人数は「分からない」とする。パート労働者は05年に約1266万人いるが、同省の委託調査によると、自分で無期契約だと思っている人は約3割で、期間の短い有期契約の人が大半を占める。企業側の調査では、無期契約の人を雇うのは2割、仕事内容や転勤の扱いなどが正社員と同じパートを雇う企業は15%にとどまり、差別禁止の対象者はかなり限られると見られる。

 さて、こっちはどうでしょうか? パート労働者の待遇改善の対象者もまた、ホワイトカラー・エグゼンプションと同様に対象となる条件が二転三転、落ち着いた結果は非常に限定されたもので、その対象人数は厚生労働省をもってしても「分からないと」。厚労省をもってしても実態が把握できていないというのであれば、違反があっても対応できそうにないですね。

 そもそもホワイトカラー・エグゼンプションの対象者数ははっきりと提示した一方で、パートタイマーの待遇改善対象者数は提示しない。片方は少なく見せかけ、もう片方はその少なさを隠しておきたいのでしょうか? これはフェアではありませんね。こちらの法案にも「推計がおかしい」「そもそも数が把握できないほど少数が対象なら、制度を入れる必要があるのか」などの疑問が突きつけられるべきでしょう。

 それでも一つ、決定的な違いはあります。ホワイトカラー・エグゼンプションには「導入後に範囲を拡大するのでは」との警戒感が漂いますが、一方パートタイマーの待遇改善案には「導入後に範囲を拡大する」可能性はあるのでしょうか? むしろ適用範囲を縮小する、抜け道を用意して骨抜きにするなどの展開ばかりが予測されます。同じく対象者をごく少数に限定して導入予定の法案であるはずなのに、一方は拡大の不安、もう片方は縮小の不安、この違いはどこから来るのでしょうか?

 

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政府が知らせたいこと、知らせたくないこと

2007-01-13 19:58:42 | ニュース

命令放送を実質維持 「要請」に変え応諾義務 総務省案(朝日新聞)

 総務省は、NHK国際放送に対する命令放送制度について、総務相による「命令」を「要請」に変更する一方で、NHKに要請に対する「応諾義務」を課す方針を決めた。現行制度が実質的に継続されることになる。今月召集される通常国会に提出する予定の放送法改正案に盛り込む。

 放送法は、国費が投入されるNHKの国際放送について総務相が事項を指定して放送を命じることができるとしている。従来は「国の重要な政策」など大枠の命令にとどまっていたが、菅総務相が06年11月、短波ラジオ国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に扱うよう命令。「報道の自由を侵すおそれがある」といった批判が識者や報道機関から出たこともあり、与党から制度の見直し論が浮上していた。

 総務省の見直し案によると、総務相の要請に対し、NHKは「正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない」などの表現を盛り込む。「正当な理由」とは機器の故障で放送できない場合などで、「すでに十分報道している」などとして要請を拒否することは想定されていない。

 このところ影が薄くなりつつあった命令放送問題ですが、政府内部ではまだ動きがあるようです。しかしなんと言いますか、応諾の義務がある養成をすなわち命令と呼ぶのではないかと思うのですがいかがなものでしょう。言葉遣いを変えただけにしか見えませんが。

 拉致問題に関してはすでに過剰に報道されていますが、それは理由として認められないそうで、ならば機器を故障させるしかありませんね。会社による殺人である労災による死者は毎年約1600人、統一教会に入信して消息不明になった日本人は6500人、毎年の自殺者は3万人、その辺と比べてみますと、17人の拉致被害者の問題がいかに重点的に報道されているかがよく分かるはずですが、それでは満足できない人がいるようです。

一人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計上の数字でしかない
――Иосиф Сталин

生活で不安、過去最高67% 内閣府の国民生活調査(共同通信)

 内閣府が13日付で発表した「国民生活に関する世論調査」によると、日常生活で悩みや不安を感じている人が67・6%に上り、過去最高となった。具体的には「老後の生活設計」を挙げる人が最も多く、政府に対して「医療、年金などの社会保障構造改革」を求める人が72・7%に達した。格差拡大と少子高齢化の進行と同時に、大量退職が始まる団塊世代や、それに続く世代に共通する暮らしへの不安の高まりが背景にありそうだ。

悩みや不安の内容(複数回答)は、「老後の生活設計」が4年連続1位で54・0%。「自分の健康」(48・2%)、「家族の健康」(41・2%)、「今後の収入や資産の見通し」(38・2%)が続いた。

政府に対する要望(同)でトップだった「社会保障構造改革」は、2005年6月の前回調査より11・4ポイントの大幅アップ。「高齢社会対策」も54・5%と9・0ポイント増え、「景気対策」(50・0%)を抜いて初めて2位となった。

 経団連のお偉方に言わせればここは希望の国なんだそうですが、将来に不安を感じている人の割合は過去最高を記録したようです。そして安倍首相に言わせれば拉致問題解決が最重要課題であり、教育基本法改正が最重要課題であり、憲法改正が最重要課題であるなど最重要課題が山積みの模様ですが、一方で国民の最大の要望は「社会保障構造改革」「高齢社会対策」「景気対策」、まるで別の国の総理と国民であるかのごとき乖離を見せています。

ホワイトカラー・エグゼンプション

Q 制度の導入に賛成ですか?        YES  6% NO 94%
Q 年収を基準とすることに納得できますか? YES 11% NO 89%
Q 長時間労働を助長すると思いますか?   YES 93% NO  7%

 これはあの産経新聞によるアンケートですが、あの産経新聞での調査ですらこの結果、誰もこの制度に賛成していません。しかるにこれはあくまでホワイトカラーエグゼンプションという制度を知っている人が回答した結果。制度を知らない人は投票していないわけで、それがサイレントマジョリティでもあります。岸信介の孫だったら、「今回のこたえは数字のうえでは反対派が圧倒的だったけれど、応募しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮にいれて決定させてもらいます。ホワイトカラー・エグゼンプションは導入したほうがいい。」「声なき声を聞く」とか言い出しても不思議ではありません。

 ともあれホワイトカラー・エグゼンプション、知っている人は9割以上が反対ですが、知らない人がかなり多そうです。知らない人から見れば、また野党が反対しているだけ、野党は反対しているだけで云々とか思っているのでしょうか。これではいけませんね、こういう自分達の生活に強い影響を与える代物に対して無知でいることは許されません。NHKも17人のことばっかり報道していないで国民の生活に密接に関わる問題をもっと重点的に報道し、国民に知らしめる努力をして欲しいものです。逆に政府からすれば、国民の生活に密接に関わる問題への報道の比率を下げ、国民に意識させないよう企て、17人の問題に注目しておいてもらいたいのかもしれませんね。知られたら反対意見の方が圧倒的に強いわけですから。

 

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おっぱいはいけないことなんだろうか?

2007-01-12 23:51:16 | ニュース

OZMA“裸”騒動にNHK落ち度認める(日刊スポーツ)

 NHKの橋本元一会長(63)は11日、都内で行われた定例会長会見で、昨年大みそかの紅白歌合戦のDJ OZMAのヌード騒動について、「反省が必要」と局内に自戒が必要なことを認めた。騒動はOZMAのバックダンサーがヌードを描いたボディースーツを着用し全裸に見えるパフォーマンスを敢行、10日までに視聴者から1796件の抗議が寄せられた。

NHKに無断で“裸”演出 紅白でOZMAさんが謝罪

NHKは放送終了後に、OZMAさんの所属事務所とレコード会社に抗議。両社の関係者が9、10の両日、NHKに経過を説明し「事前に知らせずパフォーマンスをし、多大な迷惑を掛けたことにおわびします」とする謝罪文を提出した。

 私が格闘技中継を眺めていた頃、NHKでは大変なことが起こったそうで。なんぜもOZMAさんなる芸人のバックダンサーの衣装がアレで、一見すると裸に見えたとか、それで抗議が殺到、NHKも謝罪、OZMAさんも謝罪、非難囂々の模様です。Tバックの巨乳たちが激しく抱き合う、相手を力ずくで押し倒そうとする大相撲中継に比べればどうということもないような気もするのですが。

 さて、一部の右派の人に言わせれば日本は世界で最も言論の自由が保障された国なんだそうです。たしかに政府首脳の人間は憲法擁護義務を完全に無視し、首都の知事は人種差別発言を連発、修正主義の歴史読み物がベストセラーとなり、ナチスファッションも定着、ブログランキングの上位はことごとくがヘイトスピーチに満ちあふれたもの、なるほどたしかにこれほど言論の自由が保障されている国はなさそうです。

 そこで一部の左派の人に言わせると、言論の自由は政治的立場、右と左を問わず保証されるべきもの、考え方の異なる相手のものであっても言論の自由は保障されるべきものなのだそうです。差別発言の自由、修正主義発言の自由、ヘイトスピーチの自由、そんなものはあってはならないような気もしますが、その手の発言の自由は保障された状態が続いています。

 とはいえ、ヘイトスピーチが当たり前のように市民権を得ている日本でも、何もかも自由な発言が許されるというわけではありません。たとえば菊タブー、そしてこのところ急速にタブー視が強まる傾向にある性的な事柄、この辺りに言論の自由は保障されているのでしょうか。

 公共放送であるところのNHKがOZMA氏のパフォーマンスに全否定の態度を示したということはすなわち、ただの衣装であっても「公共」の場におっぱいが存在することは認めないというメッセージにも見えます。殺到した抗議が示すところも同様、視聴者達もまた「公共」の場におっぱいが存在することは許されないと主張しているかに見えます。

 バブル崩壊前までは「ドキッ!丸ごと水着女だらけの水泳大会」みたいな馬鹿番組もありましたし、テレビで野球拳をやっていたお馬鹿さんもいました、子供心にドキドキしながら深夜番組を見ていたのも今となっては良い思い出ですが、どうも昨今は深夜番組にもエロいものが少ないとか。テレビから急速におっぱいが姿を消しているんでしょうか? これはますます大相撲中継を見るしかありませんね。

 保守派の扇動家の中には性の低年齢化がどうの、過激な性教育がどうのと騒ぎ立てている人もいますが、どうにも別世界の話にしか聞こえません。テレビの世界からおっぱいを追放したように、社会から性的なものを追放しようとしているように見えてしまいます。できるだけ性的なものが表に出ないように、性的なものが人目に触れないように、そう願っているのでしょうか。ある意味でこれは、女性の肌をベールで覆い隠すような行為でもあります。

 OZMA氏のパフォーマンスに抗議した人たち、その抗議に賛同している人たちの示すところはすなわち、公の場では性的なものは覆い隠されるべきである、性的なものは秘められるべきであるとの主張でしょうか。性的なものはあくまで後宮に閉じこめておかねばならない、世に出てはならない、そう考えている人が多いということなのでしょう。

 性的なものが解放されるべきか、そのぜひはさておくとして、今回のOZMA氏のパフォーマンスを封じ込めようとしているのが御上=政府ではなく、普通の市民達であること、ここが日本らしい気もします。政府が言論統制を行うより前に、民衆が封じ込めようとする、自主規制しようとする、日本の言論状況にはそんな傾向があると思います。いわゆる反体制的な、左派的と見なされる主張に真っ先に噛みついてくるのは政府ではなく普通の市民ではありませんか? むしろ保守派のお偉いさんがその後をついていくケースが目立ちます。社会に不満を抱えたフランス人は暴動に走りましたが、社会に不満を抱えた日本人の中には自警団化してしまう人が少なくありません。この辺はよく分かりませんね・・・

 

 ← ( ゜∀゜)o彡゜オッパイ!オッパイ!

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