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非国民通信

ノーモア・コイズミ

戦うだけが軍隊ではないようだ

2007-01-06 23:46:54 | ニュース

ネット中毒諸君、軍隊で鍛えよ 中国 訓練で「治療」(朝日新聞)

 中国でオンラインゲームやチャットにおぼれる「ネット中毒」の少年たちの増加が深刻な社会問題となっている。北京には少年たちを軍事訓練で矯正する全国初の治療施設がある。少年たちの多くが生活の規律を取り戻すことで中毒を克服するというが、ネット中毒の原因は社会や家庭の方が大きいとして軍事訓練を疑問視する声もある。

 北京南郊にある中国人民解放軍の新兵教育施設。正門脇で兵士が銃を手に厳しい視線を送る。

 「話をするな」「頭をまっすぐ上げろ」。訓練場で教官の指示が飛ぶ。迷彩服や軍服姿の若者が整列して白い息を吐きながら、歩行や直立姿勢の練習を繰り返す。

 訓練を受けるのは「ネット中毒」で学校に行けなくなった少年たち。軍施設内にあるネット中毒治療施設「青少年心理成長基地」の入所者だ。軍病院の付属機関で、05年3月に専門治療機関として開設された。最大の特徴は、治療に軍事訓練を取り入れていることだ。

 この治療法を提唱したのは施設長の陶然軍医。「ネット中毒の子どもには生活に規律を持たせることが最も大切。軍事訓練が最適だ」と話す。

 実際に問題になるほどの規模があるのかは疑問ですが、日本でも韓国でも似たような問題意識はあります。そして韓国の事情はよく知りませんが、日本にも昔年の大日本帝国の軍隊に倣った人権無視の矯正施設は多少なりとも存在します。中でも一番有名な戸塚ヨットスクールなどは何人か死者を出していますがそれでも社会的な評価は高い、建前上は軍の存在しない日本でも若者を軍隊で鍛え直すべし、という考え方は珍しくないわけです。日本人も中国人も考えることはたいして変わりませんね。

 憲法9条を改めたら徴兵制の復活はあるか?という議論があります。軍隊好きの改憲論者はこぞって「徴兵制はない」と断言します。そのあまりの力強い断言ぶりは「国旗の掲揚および国歌の斉唱に関し義務づけを行うことは考えておりません」と国旗・国歌法を巡り断言した故小渕恵三首相を思い起こさせます。

 徴兵制がないと主張する論者が拠り所とするのはすなわち、現代戦においては高度な訓練が必須であり、徴兵制で集められた訓練期間の足りない兵隊など役に立たないとするものです。自民党であれば久間防衛庁長官あたりはこの立場に立つのではないかと予測されます。

 しかるに徴兵制ではないはずのアメリカでも、前線の兵士達は必ずしも軍事のプロではなく付け焼き刃の訓練で戦場へ送られています。また、現状の自衛隊の任務は米軍の駐屯先に同行して支持を表明することであり、これであれば専門的な訓練が必要であるとはとても言えません。

 自民党議員の中には徴農制度を提案する輩もいます。曰く「徴農によってニートの性根を叩き直す」と。近代化した農業において経験の足りない都会の若者などものの役にも立たないはずですが、目的は農業の支援ではなく若者の矯正にあるそうです。毛沢東とも同じことをやりましたね。日本人も中国人も考えることはたいして変わらないみたいです。

 徴農制云々は今は下火になりましたが、それでもニートとレッテルを貼られた人間を矯正する民間の施設は少なからず存在し、すでに死者を出しています。そして新たなプランとしては大学入学時期を春から秋にずらし、高校卒業後の空白期間を社会奉仕活動に充てるべしとする企てがあります。この辺は憲法第18条に違反するわけですが。

 憲法改正問題を扱うとどうしても9条が争点になりがちですが、意外にこの18条が落とし穴になるかもしれません。9条が撤廃されれば名実ともに戦争行為が可能になるわけですが、18条が撤廃されれば徴農や社会奉仕の強要などの干渉が可能になります。

 徴兵では軍事力の強化に貢献しないと言われているにもかかわらず、世界には徴兵制を維持している国も少なくありません。軍隊好きの連中は好んで北朝鮮の脅威を煽りますが、しかるに北朝鮮軍を構成しているのは軍隊好きに言わせれば戦力にならないはずの徴兵された兵士達です。北朝鮮はどうして今でも徴兵制なのでしょうか。

 北朝鮮でも中国でも韓国でも徴兵された兵士に戦力を期待しているわけではなく、あくまで規範意識だの公に尽くす精神だの指導者への忠誠心だのを養うための訓練として徴兵が維持されているような気がします。農家の役に立ちそうもない都会の貧弱な若者に徴農制を提案しているのと発想は同じです。そしてこういう発想は、日本にもあるわけです。

 「ニートやひきこもりの若者には生活に規範意識を持たせることが最も大切。軍事訓練が最適だ」安倍や麻生や中川がこういうことを言い出したところで、今更驚く気もしませんね。

 

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