反省会でも批判に力点=自民・官僚に「責任転嫁」-民主(時事通信)
民主党は11日、菅直人元首相や閣僚経験者が出席して、政権を担当した3年3カ月間を総括する「公開大反省会」を都内で開いた。しかし、菅氏らは「自民党は衆院解散優先の姿勢だった」「官僚に非協力的な動きがあった」などと、野党だった自民党や官僚組織への批判に力点を置いた。参院選を前に反省の意を示して支持回復につなげる思惑があったが、反省どころか言い訳や責任転嫁をするかのような姿勢を印象付けた。
菅氏は、東京電力福島第1原発事故対応で情報開示が後手に回ったと批判されたことについて「申し訳なかった」と陳謝。長妻昭元厚生労働相も、2009年衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた政策に財源の裏付けが乏しかったことを「結果的に大風呂敷になった」と認めた。
しかし、多くの時間を割いたのは自民党や官僚への批判。菅氏は東日本大震災に関し「あれだけのことが起きれば政治休戦をしなければならないのに、なかなかそうならなかった」と自民党を非難。枝野幸男元官房長官は子ども手当の満額支給や高速道路無料化などの公約が不履行に終わった理由を「自民が反対、民主が賛成のものが目玉だから、国会で野党の抵抗に遭う」と釈明した。
菅氏は政治主導の政権運営が行き詰まったことについても「官僚個人は優秀でも、組織となると(権益を)死守する」と官僚の抵抗の強さを訴え、長妻氏は「官僚とその裏にいる団体が一つになって変化を拒む」と恨み節を展開した。
反省会では、一般の参加者は携帯メールで司会者を介さなければ質問できず、菅氏らに直接疑問や批判をぶつける機会は与えられなかった。
時事通信にすら露骨にダメ出しされているわけですが、当の民主党幹部たちは、これで党の支持を回復できるとでも思っているのでしょうか。泥舟から逃げ出すかのごとくに続々と離党していく元・民主党議員の方がまだしも現実に向き合えているように思えるところです。この期に及んでも尚、「悪いのは官僚」と言い募る姿勢はある意味でブレがないとも言えますけれど、それが通用しなくなっていることに気づけない人の集まりが民主党なのかも知れません。
結局のところ民主党の掲げた「政治主導」とは何だったのでしょうか。その性質の一つとして「到達点が示されない」辺りが挙げられそうです。何をどうすれば政治主導に「なった」と言えるのかは、今に至るも明確ではないように思います。恐らく政治主導とは、永遠に終わることのない闘争なのでしょう。何か不都合があれば「それもこれも官僚が悪い、だから脱・官僚、すなわち政治主導にしなければならないのだ」と、そう説き続けるのが「政治主導」なのだと言えます。もっとも、それは小泉純一郎の掲げた官邸主導の二番煎じでもあるわけですが。
民主党のこうした姿勢は、ある時期までは評価され続けていたように思います。政権交代を遂げた衆院選時点は元より、議席を減らした2010年の参院選時点でも、得票数では民主党が自民党を上回っていました。議席数で自民党が民主党を上回ったのは単に自民党の方が立ち回りに無駄がなかっただけのことで、政党支持率自体はまだ民主>自民だったわけです。この選挙で大きく議席を増やしたのはみんなの党でしたが、その主張は概ね衆院選時に民主党が唱えたものと大差ないものでもありました。民主党の世界観は理解され続けていたと言えます。
参考、衆院選前に民主党が語ったことを、国民はまだ信じているのかも知れない
その後も自民党が盛り返すでもなく、「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ」と、煮え切らない態度を続ける当時の自民党総裁であった谷垣に小泉純一郎が迫る場面すらあったわけです。しかし、瞬く間に自民党>(越えられない壁)>民主党という力関係ができあがってしまったのはなぜなのか。民主が失速しても、その民主党政権への不満の受け皿として自民党が機能していたわけではなかった、にも関わらずこれほどの短期間で自民と民主の間に差ができた理由を、とりわけ民主党の関係者は自省してみる必要があると思うのですが――冒頭の報道を見る限り、絶望的ですね。
日本における改革とは、あくまで精神的な満足感をもたらすだけのものであったとも言えます。煙草を吸いたいからと言って肺が真っ黒になることを望むわけではない、あるいは酒を飲みたいからと言って肝臓を悪くすることを望むわけではない、それと同じなのかも知れません。つまり、国民は改革を望んだが、改革の結果までは望んでいなかった、と。だから改革を唱える政治家を熱烈に支持するけれど、その改革の結果が表れてきた頃の政府には強い不満を抱くのでしょう。
「自民党をぶっ壊す」と叫んで高い支持率を得た誰かさんの宣言通り、自民党はぶっ壊され、民主党に政権を明け渡すこととなりました。そして官邸主導ならぬ政治主導を掲げた民主党もまた高い支持率を得て、しかる後に(色々なものを巻き込みつつ)ぶっ壊れた、再び自民党に政権を譲り渡すことになったとも言えます。まぁ自民は、自民なりに色々と学んだのかも知れません。到達不能なスローガンを叫んでは、あれが悪い、これが悪いと訴えれば一時的に世間の共感を得ることはできても、その「結果」が出る頃には支持者に愛想を尽かされると、多少なりとも理解するようになったのではないでしょうか。一方で民主党はどうなのやら、特定の党が勝ちすぎるのは好ましいと思いませんけれど、今の民主みたいなのが票を集めてしまうのもどうなんだろうなと感じるところです。
そうなんですよね、次なる2番手の地位を窺うところが民主より希望が持てるかと言えば、尚更タチが悪いくらいですから。これならまだしも自民の方が、と言わざるを得ない状況にはゲンナリさせられます。今となっては、上辺を取り繕えるだけでも真っ当な部類に入りますから……