滋賀県は17日、高島市安曇川町下小川、琵琶湖近くにある鴨川の河川敷などに、放射性セシウムを含んだ木材チップや、チップを入れた土のう200~300トンが無断で放置されていると発表した。
県によると、付近の平均の空間線量は毎時約0・24マイクロシーベルト。一日8時間で1年間積算すると許容線量の1ミリシーベルトを超える数値となる。既に現場を立ち入り禁止にして、シートで覆うなど飛散防止の措置を取っている。
ありふれた不法投棄の記事なんですけれど、中日新聞の手にかかるとなにやら不穏な気配が醸し出されてしまうのはどうしてなのでしょうね。曰く「空間線量は毎時約0・24マイクロシーベルト。一日8時間で1年間積算すると許容線量の1ミリシーベルトを超える数値となる」そうです。
・毎時0.24マイクロシーベルト
・1日8時間
・1年間=365日
⇒ 0.24×8×365=700.8
この計算、どこか間違ってますでしょうか? 中日新聞の伝える数値が正しいのであれば、一日8時間で1年間積算すると約700マイクロシーベルト、単位を変えれば0.7ミリシーベルトです。すなわち許容線量(中日新聞は伝えていませんが、正しくは元々の――原発事故などとは無関係の――放射線被曝量に「加えて」1ミリシーベルト)を下回る、特に気にする必要のない値であることが分かります。まぁ、河川敷に寝泊まりする路上生活者の方の心配ぐらいならすべきかも知れませんけれど、放射線量より先に問われるべきものがあるのは誰の目にも明らかなことでしょう。
参考までに、「普通の」報道は以下の通りです。
河川敷放置の木材チップから放射性セシウム 滋賀・高島市(産経新聞)
滋賀県は17日、琵琶湖に注ぐ同県高島市の鴨川河口の河川敷などに放置された木材チップ約577立方メートルから、最大で1キロ当たり3千ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。原発事故のあった福島県から持ち込まれた可能性があり、県は経緯を調査するとともに、放置した業者に対し河川法に基づき撤去を求める方針。
国の放射性廃棄物処理基準(1キロ当たり8千ベクレル)を下回っており、県は「健康への影響はほぼない」としている。周辺の水道水や農産物から放射性物質は検出されなかった。