非国民通信

ノーモア・コイズミ

看板は新しいものに変わる、中身はさておき

2024-08-18 21:35:06 | 政治・国際

 先日は岸田首相が自民党総裁選の不出馬を表明しまして、これで日本のトップも変わるわけです。総理大臣は新たな自民党総裁の手に渡るのでしょうけれど、しかし日本の政治そのものは変わるのか、という点ではあまり期待の持てないところもあります。岸田が続投を断念するに至った理由としては「政治と金」で批判を浴びているところが大きい、この問題にどう対処できるかが次の首相には問われると予測されるのですが──それで国民の生活が上向くことはあるのでしょうか。

 日本の政治家にとって、最も致命的なのがまさに「政治と金」の問題です。次は女性問題(男性問題)ぐらいで、政策的な誤りに関しては基本的にノーダメージ、それで議員の地位が危うくなったりはしないのが我が国の政治の特質と言えます。もちろん政治と金の問題は好ましくない、無視も出来ない代物には違いないのかも知れません。しかし金銭スキャンダルや派閥がなければ良い政治かと考えた場合、そこは別問題ではないでしょうか。政治資金の面でクリーンであることは政策の質を担保しない、そして重要度が高いのは後者です。

 ところが日本の主要政党だけではなく大手メディアも世論の多数派も「親米・緊縮」で方向性が一致しており、政策的な論点に乏しい、結果として相手を一方的に責め立てやすい「政治と金」の問題が最大の争点になってしまうのが実情でしょうか。このため、自民党総裁が替わろうが野党が自民党に取って代わろうが、結局のところ政策面では転換がなく単純に看板を掛け替えただけに終わってしまうわけです。それでも看板が掛け替えられることで国民の期待感だけは高まる、支持率も一時的に上昇するのですから尚更のこと政策の転換など夢のまた夢なのかも知れません。

 海の向こうでは老いの顕著なバイデンから相対的に若いハリスへと民主党候補がすげ替えられたことで、支持率が飛躍的に伸びています。バイデン政権下の目立たない副大統領が急に前面に出てきたわけですが、何が有権者の期待をこれほどまでに駆り立てているのでしょうか。民主党内の予備選を争いバイデンを蹴落として出てきた候補ならいざ知らず実質的には後継としての登場であり、対立候補は批判しても自分の属している政権は当然ながら批判できていない、転換ではなく「継続」がハリスの基本方針であることは間違いないと言えます。

 バイデンとトランプの間であれば、トランプの方が優勢とみられていました。それがハリスに変わったことで形勢は逆転してしまったわけです。ではバイデンの政治方針の悪い部分をハリスが改めようとしているのかと言うと、決してそんなことはありません。ただ単に、候補が後期高齢者から少し若い女性に変わっただけです。ことによるとアメリカの有権者も政策を理由に投票先を決める人は多くない、単に高齢者を嫌っているだけ、より若い方に投票しようとしているだけの人が一定数いるのかも知れません。しかし若くても高齢でも、害悪政治家は害悪政治家です。

 日本でも総裁選の結果として、あるいは解散総選挙の結果として少しだけ政治資金面でクリーンな新政権が誕生する可能性はあります。しかし、それで日本の政治が変わる、国民の生活が上向くかどうかは保証の対象外です。政権交代が起こってすらも、解消されるのが政治と金の問題ぐらいで政策面での転換がなければ、何の意味もないのだと断言できます。しかし政策は変わらずとも総理が替わる、閣僚が替わる、政権が(別の政党に)替わる、とにかく看板さえ掛け替えられれば一時的にでも支持率は向上してしまうのが実態です。だからこそ看板は変わっても政策は変わらない、それが日本政治となっているのかも知れません。

 取り敢えず自民党総裁候補として名前の挙がっている面々であれば誰が当選しても抜本的な好転は望めない、政権交代が起こっても野党第一党、野党第二党であればやはり政策面での本当に必要な転換は望めない、というのが私の認識です。そこは現役の政治家が考えを180°改めるか、主要政党を強制的に解散させるかでもしないとダメでしょう。そうした面では選挙なんかよりも外圧の方が期待できる、トランプが大統領に再選して日本が振り回された方が転換の契機になるのでは、ぐらいに思っていました。しかしハリスが勝って現行路線が継続されてしまうとなると、ますます以て望み薄ですね。

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