非国民通信

ノーモア・コイズミ

死刑判決のようなもの

2010-09-23 22:59:59 | ニュース

橋下知事、弁護士会に逆懲戒請求へ 「処分内容を漏洩」(朝日新聞)

 弁護士の橋下徹・大阪府知事(41)が知事就任前の2007年5月、山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団の懲戒請求を呼びかけ、大阪弁護士会(金子武嗣会長)から17日に2カ月の業務停止処分とされた問題で、橋下氏は21日、「事前に報道機関に懲戒内容を漏らしたのは品位にかける」として、同弁護士会の会長や副会長らに対し、近く逆に懲戒請求する考えを明らかにした。

 大阪弁護士会は「弁護士の品位を害する行為にあたる」として2カ月の業務停止処分を決定し、17日午前に橋下氏側に処分内容を通知した。その処分内容は同日付の朝日新聞朝刊に掲載された。

 橋下氏は処分を受け入れる方針で、橋下綜合法律事務所によると、21日に同弁護士会に弁護士バッジを返還した。近く弁護士法人の役員からも外す手続きを取るという。バッジは処分が終わった2カ月後に返還される。

 一方で橋下氏は、事前に報道された点を問題視し、「業務停止は弁護士にとって死刑判決のようなもの。事前に判決文が漏れたことは前代未聞。道頓堀でケツを出すより下品な行為」と述べた。

 なにやら橋下が逆ギレ的な対応をしているようです。確かに事前に懲戒方針の決定と大まかな内容が報道されたこと、つまり懲戒内容が正式決定より先にメディアに伝えられていたことに関しては議論の余地はあるのかも知れません。もっとも、これが本当に前代未聞なのかどうかは、何しろ橋下の言うことなので鵜呑みにはしづらいところです。裁判所の判決ならいざ知らず、あくまで弁護士会の決定ですし、懲戒の対象は私人ではなく大阪府知事という公人ですから、取材に応じて弁護士会の方針が説明されるくらいのことは取り立てて異例のことではないような気もします。

 もっとも先に橋下が呼びかけた懲戒請求の経緯からもわかるように、法律論上の是非は何かと世間に通用しにくいものです。弁護士会側に非はなくとも、世間が橋下側に付いて弁護士会を非難することは十分にあり得ます。橋下側に非があると司法が判断したところで、それが世間の評価と一致するとは限らない、阿久根市においてもそうであるように、住民の支持があれば不法な振る舞いを繰り返しても許されてしまう風潮もあるわけです。今回の橋下サイドからの懲戒請求が受け入れられることはないでしょうけれど、これに扇動される人は少なからず出てくるのかも知れません。ある意味、世論を背景にした脅しとも言えそうです。

 それはさておき「業務停止は弁護士にとって死刑判決のようなもの」だそうです。たかだか2ヶ月のことですし、そもそも現在の橋下は弁護士としての活動などしていないのですから傍目には大したことがないように見えますが、橋下に言わせれば「死刑判決のようなもの」とのことです。ふむ、何かと厳罰化が求められる、懲役○○年あるいは無期懲役では軽すぎるとの声が途絶えることがない昨今ですけれど、じゃぁ今後は懲役刑では軽すぎると思われる被告に対して「死刑判決のようなもの」を導入したらどうでしょうかね。重大な罪を犯した被告は、被告の職務上に必須となる資格を2ヶ月にわたって剥奪するという「死刑判決のようなもの」に処するわけです。素人目にはおかしく見えるかも知れませんが、何しろ大阪府知事という立場にあり、かつ弁護士資格も持っている人間が資格停止は死刑判決に相当する重い罰と評価しているのですから、ここは専門家の判断を尊重することとしましょう。とりあえず光市の殺害事件の被告も「死刑判決のようなもの」に処したらいいと思います。

 

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