非国民通信

ノーモア・コイズミ

それでも自殺やうつ病に追い込む社会

2010-09-09 22:59:34 | ニュース

自殺、うつ病の損失2.7兆円=09年推計―政府、作業部会を設置(時事通信)

 自殺やうつ病に起因する経済的損失が、2009年の1年間で2兆6782億円に上ることが7日、国立社会保障・人口問題研究所の推計で分かった。自殺やうつ病がなくなれば、今年の国内総生産(GDP)を1兆6570億円引き上げる効果もあるとしている。

 政府の自殺総合対策会議(会長・仙谷由人官房長官)が同日開かれ、長妻昭厚生労働相が結果を報告。同会議は自殺対策を集中的に進めるため、閣僚らでつくる作業部会の設置を決めた。

 同研究所によると、自殺やうつ病による経済的損失について、詳細な推計を行ったのは初めて。

 推計では、2万6539人に上った69歳以下の自殺者によって、労働者の生涯所得1兆9028億円が失われたと試算。これに医療費2971億円、生活保護費3046億円など、うつ病がなくなることによって減少する給付コストを合計し、09年の損失額を2兆6782億円と見積もった。

 こんな推計が出てきました。自殺やうつ病に起因する経済的損失は2兆6782億円に上るそうです。これは生活保護費の総額や、国家公務員の人件費から自衛隊の分を除いたものと同じくらいの金額になります。何かと巨大な負担であるかのごとく扱われがちな予算と同程度の額が、自殺やうつ病によって損なわれているわけですね。ジリ貧の日本経済にとって、自殺やうつ病によって失われている分は相当な痛手でもあります。政府筋はそれなりに対策を考えるのでしょうけれど、果たして実効性のあるものは出てくるでしょうか。

キユーピーに賠償請求=従業員「長時間労働でうつ病」―東京地裁(時事通信)

 長時間労働や工場長のパワーハラスメントでうつ病になったとして、キユーピー(東京都渋谷区)の男性従業員(51)=休職中=が7日までに、同社などを相手取り、慰謝料など約3100万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は7月22日付。

 訴状によると、都内の製造工場で課長を務めていた男性は、2002年10月からマヨネーズ、ゆで卵など複数部門を担当。深夜までラインに立つなどし、月平均177時間の残業を強いられた。

 当時の工場長は生産量の削減に応じず、「作業員を遊ばせるな」「何時まで生産しているんだ」と繰り返し罵倒(ばとう)したという。男性は翌年7月にうつ病を発症。「出退勤の自由などがない『名ばかり管理職』だった」として、残業代も請求した。

 男性は08年、残業とパワハラを理由に休業補償などを申請し、労働基準監督署から労災認定された。

うつで自殺の川崎重工グループ長、労災認定判決(読売新聞)

 川崎重工業(神戸市)のグループ長(部長級)として大規模プロジェクトなどを任されていた男性(当時55歳)がうつ病を発症して自殺したのは、仕事上の重圧が原因として、60歳代の妻が国を相手に労災認定を求めた訴訟の判決が3日、神戸地裁であった。

 矢尾和子裁判長は「業務上のストレスは相当強度だった」として、遺族補償年金などを不払いとした国の処分を取り消した。

 原告側弁護士によると、過労ではなく、ポストの業務内容から労災認定した司法判断は珍しいという。

 判決によると、男性は1998年に輸送システム関係のグループ長に就任し、韓国での鉄道システム(450億円規模)の請負を目指すプロジェクトを任されるなどしていた。さらに年間受注額として20億~80億円を目標とされたが、全く受注できず、2000年12月、うつ病と診断された。

 うつ病や自殺が悪影響を与えるのは決してGDPに対してだけではありません。従業員が自殺したりうつ病になったりすることは会社にも経済的損失をもたらすわけで、その辺は営利企業であるからこそ、余計に敏感にならなければいけないはずです。利益を追求しているのなら、社員をうつ病や自殺に追い込むような事態は避けるべき――それが経済合理性に基づいた判断というものでしょう。しかるに実態はどうか? どうも私には、日本の企業は経済合理性とは違った別の何かを優先しているように思えてなりません。

 

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コメント (6)
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