非国民通信

ノーモア・コイズミ

無党派なら無党派なりの一貫性があるが……

2009-11-23 11:23:25 | 編集雑記・小ネタ

 今日は「一貫性」の話です。だいぶ以前に右派には右派なりの一貫性があるみたいな話を書きましたが、左派や「与党」民主党(支持層)の場合はどうでしょうか。先日のエントリでは、民主党が官房機密費の使途を公開しない云々を取り上げました。野党時代には公開を主張していたものを、与党になったら非公開と言い出すのはどうかと思うわけですが、ともあれ民主党の態度としては自民党が使い込んだ分も、これから民主党が使う分も公開しないとのことです。ふ~む、自民党が使った分だけ公開して、自分たちが使う分は非公開とするよりは筋が通る、のか?

 まぁ、見方次第です。自民党が結んだ密約は公開するけれど、これから民主党が結ぶ密約は公開しないと言ったら素晴らしいダブルスタンダードですよね。だからある意味、官房機密費のように「自民党時代だろうが民主党時代だろうが使途は公開しない」というのは一貫性のある態度と言えます。そんなところで一貫性を発揮されても肩をすくめるほかありませんけれど。

 有権者の動向はいかがでしょう、かつて小泉カイカクに熱狂して自民党に票を投じた人の多くが、先の衆院選では民主党に票を投じました。ともすると選挙時点での流行廃りに流される人々に見えるかも知れませんが、そうした人々なりの「一貫性」もまた見いだせると思います。例えばほら、こちらこちらで世論調査の結果を取り上げましたが、民主党がマニフェストに掲げてきた目玉政策に関しては賛否両論で内閣支持率に比べると実に心許ない賛意しか集まっていない、そんな中で例外的に内閣支持率を上回る圧倒的多数の賛同を得ているのが「天下り根絶」であり、「行政のムダを減らす取り組み」でした。

 つまり、「無党派」「浮動票」などと呼ばれる人々の選択基準は小泉時代から何も変わっていない、微塵も「ブレ」がないと見ることができます。「天下り根絶」と「行政のムダを減らす取り組み」こそ、小泉以降の自民党と現在の民主党とで共有している部分であり、「浮動票」の担い手達は決して流行に流されたわけではなく、一貫して同じものを要求し続けているのです。たまたま投票先の政党が変わっただけであり、政治に対して期待するものを変えたわけではない、その当時の政治情勢に応じて、自分たちの理想を実現させてくれる可能性の高い政党を選んでいるのですから。

 一見するとバカにされがちな「浮動票」の持ち主ですが、実は筋の通った行動をしているとも考えられる、むしろ「何が何でも民主党」の人の方が問題とすら言えるのかも知れません。特に小沢一郎の不正献金疑惑あたりから顕著になりましたが、自民党議員の「カネ」の問題には容赦なく追求する姿勢を見せていたのに民主党の大物に同類の疑惑が及ぶや、政治には金がかかる云々と態度を翻した人も目立ちました。カネの絡まないクリーンな政治を是としていたくせに、民主党議員に追求が及べば政治信条を180°ひっくり返す、これでは筋が通らないでしょう。

 私なんかは政治とカネの問題には関心が薄い方ですから、自民党政治家の「カネ」の問題にもあまり突っ込まない、むしろ「政策上の過ち」よりも「カネ」や「女」の問題の方が政治家として致命傷になる現状を批判していたくらいです(この辺とかこの辺とか)。だから今もくすぶる鳩山や小沢の金銭問題にもとやかく言う予定はありませんが、自民党議員の金銭問題を批判してきた民主党支持層が鳩山や小沢の疑惑に知らんぷりを決め込むとしたら、それはどうかと思うわけです。むしろ疑惑の渦中にいる政治家当人より、その支持層にこそ不信を抱いてしまうぐらいですね。

 まぁ時と場合で判断を変えるのが一概にダメとは言いません。経済情勢の如何に関わらず一貫してインフレの心配をするのではなく、インフレ傾向の時はインフレの心配を、デフレ傾向の時はデフレの心配をする、そうした「使い分け」も必要です。バブル期ならば過剰投資を警戒すべきですし、今のような状況ならば安易な予算カットをこそ警戒すべきなのです(この冬の時代、一度でも凍結されたら凍死確定ですから!)。好況だろうが不況だろうが緊縮財政路線を取られては堪ったものではありません。

 ……そうはいっても、最低限の一貫性がないと信頼できないわけです。元から緊縮財政にも強行採決にも金銭問題にも取り立てて否定的でなかった人が自民党から民主党に鞍替えするのはまだ許せるとして、構造改革を批判するような立場を取りつつ民主党を一貫して支持し続ける人ってのは昨今の「事業仕分け」辺りをどう見ているのでしょうか。財務省ってのは中央省庁の内で最も小泉カイカクとの親和性が高かった部署だと思いますけれど、脱官僚を唱えながら(小泉カイカクを支えた)財務省とは堅く手を組み、不採算部門(=カネにならない部門)は容赦なく切り捨てていく、こういう手口は今に始まったものではないはず、自民党がやるなら批判するけれど、民主党がやるならOK、なんてことは勘弁願いたいものです。

 

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コメント (5)
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