非国民通信

ノーモア・コイズミ

景気の悪い話

2009-11-03 11:29:18 | ニュース

サラリーマン世帯の実収入、2カ月連続減の42万2,120円 - 総務省統計局 (マイコミジャーナル)

総務省統計局は30日、2人以上世帯の家計調査報告(9月分速報)を発表した。1世帯あたりの消費支出は27万7,110円で、価格変動の影響をのぞいた実質で前年同月比1.0%増の増加となった。増加は2カ月連続。前月比(季節調整値)は0.1%の増加だった。

 「2ヶ月連続減」となにやら景気の悪いニュースです。まぁ減額と言っても0.1%減と微減ですから、民間企業はそれほど大変ではないのかも知れません。これが国家公務員ともなりますと月給だけでも0.22%、賞与も含めた年間トータルでは2.4%減が確定していますし、地方公務員でもほぼ同様の扱いですから大変です。見せしめ的な部分も少なからず含まれているでしょうからねぇ。

サラリーマン世帯の実収入は42万2,120円で前年同月比実質0.1%減と2カ月連続の減少。世帯収入のうち、世帯主収入が35万3,144円で同0.5%増(2カ月ぶりの実質増加)、配偶者収入が4万9,872円で同0.8%増(2カ月連続の実質増加)となったが、「他の世帯員収入」がマイナス22.9%と大きな減少となっていることが影響した。

 ただ明細を見ますと、世帯主収入、配偶者収入とも実は微増しているようです。この程度では増えようが減ろうが「横這い」レベルの変化であり一喜一憂するほどのものではなさそうですが、しかるに「他の世帯員収入」がマイナス22.9%と激減しています。これ、具体的には何なのでしょうね。短期間で2割以上もの減少と言うから相当なもののはず、この辺を掘り下げてくれないと報道としてはどうかという気がします。世帯主でも配偶者でもない、これが政治家なら「親族経営の企業」ってのがありますけれどサラリーマンには縁のない世界、消去法で考えるなら同居の親や子供なんでしょうが、その辺の所得が激減したというのもイメージが湧きませんし。給与所得/非給与所得みたいな分け方ならまだわかるんですが。

 それはさておき、平均は42万円だそうです。あなたの世帯収入と比べていかほどですか? 公務員給与の平均を提示して、「こんなに高いんだぞ!」と煽り立てる記事が定期的に掲載されているわけですが、サラリーマン世帯の平均だって実は結構なものに見えませんか? 公務員給与の平均に関しては非現業≒ホワイトカラー限定、正規職員限定だったり様々なトリックがあるわけですけれど、そんなことをしなくても「平均」を出すだけで十分に「高い」イメージは作れるのです。

 例えばほら、月給30万円の人が7人、月給70万円の人が3人、この10人の平均収入は42万円です。当然のことながら7割の人にとって平均給与は「高い」ものに見えるでしょう。この例は単純化しすぎかも知れませんが、実際「(算術)平均」とはそういうものなのです。7割くらいの人は平均以下の所得しか得ていない、だから単純に平均値を提示されているだけで「高い」「もらいすぎだ」みたいな誤った印象を与えがちであり、そしてこの辺を悪用する人が多いですから注意が必要です。

実質支出の増加には、新型インフルエンザの流行が影響。保健医療サービスや医薬品などを含む「保健医療」が13,172円で前年同月比11.6%と大きく伸び、特にマスクを含む「保健用消耗品」は同52.9%増に。また、「医科診療代」も10.0%増となっている。また、今年は大型連休(シルバーウィーク)があったことで、おみやげや親せきとの食事代が含まれる「交際費」が増加に大きく寄与した。そのほか、エコポイント制度の導入によるテレビや大型冷蔵庫などへの支出も好調。一方減少が大きかった項目は「住居」1万4,935円(前年同月比6.8%減)や「家具・家事用品」の8,989円(同3.8%減)など。「被服及び履物」は9,651円(同2.5%減)で10カ月連続の実質減少となった。

(中略)

総務省統計局の担当者は「9月の実質増加には、シルバーウィーク、新型インフルエンザの流行に加え、エコポイント制の要因もあるが、方向としては(消費は)回復に向かっている兆しが感じられる」と話している。

 さて「(消費は)回復に向かっている兆しが感じられる」などと実にプラス思考な人がいるようです。まぁ消費が増えているのですから好ましいことと言っても誤りではなさそうですが、しかるに国民の大半は支出(=消費)を減らしたがっているのですから国民感情との溝は深まるばかりかも知れません。それより、消費が増えた中身が問題です。なんと言っても消費を牽引しているのは「保健医療」「保健用消耗品」「医科診療代」ですから、あまり喜んではいられませんよね。もう少しポジティブな理由で動いて欲しいところです。

 ただ医療分野だってお金が動く以上、その社会の経済活動を担うことに変わりはありません。とかく医療費削減にばかり躍起になりがちな昨今ではありますが、医療費が伸びればその分だけ消費が増大する、使われたお金の分だけ景気は回復に向かうわけです。だから内容の如何に関わらず「消費は回復に向かっている」と判断するのも、決して間違いではないのでしょう。政府の方針には添わないかも知れませんけれど。

 

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コメント (4)
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