非国民通信

ノーモア・コイズミ

野党時代の主張を捨てないで

2009-11-21 23:07:12 | ニュース

野党時代の透明化主張、機密費公表迫られる(読売新聞)

 平野官房長官が20日、2004年度以降の官房機密費(内閣官房報償費)の月別支出額を公表したのは、民主党が野党時代に使途の公開や機密費の廃止を主張していたため、一定の公開姿勢を示す必要性に迫られたためだ。

 ただ、公表されたのは情報公開請求で入手可能な一部情報のみで、使途の公表は拒否した。公開に消極的と見られ、政権のイメージダウンにつながるのを避けようと、苦しい対応を迫られた格好だ。

 民主党は01年、国会に「機密費公表法案」を提出した。〈1〉支払い担当者や金額を明示した支払記録書を作成・保存する〈2〉支払記録書のうち、機密性の高いものは25年後、それ以外は10年後に公表する――ことを政府に義務づける内容だ。当時の党代表は鳩山首相で、代表質問で「機密費の使い道について国民に説明する義務がある」と森首相を厳しく追及していた。

 さて、この官房機密費については周知の通り「野党時代の」民主党が公開を強く要求していたものです。そして「与党時代の」民主党が使途は公開しないと言いだしたものでもあります(参考)。まぁ野党時代と与党時代で態度を違える、言を翻すのは今になって始まったことではなく選挙前から予測されていたことのはず、選挙で民主党に投票した人なら、これくらいは覚悟の上ですよね?

 さて「情報公開請求で入手可能な一部情報のみ」が公開されたそうです。隠せない部分に関しては自分から公開するしかないという判断だったのでしょう。例によって使途の公表は拒否、今後も使途は公表しないとの方針ですから、自民党時代も民主党時代も例外なく使途は非公開、それはそれで(民主党らしからぬ!)一貫性があると言えなくもありませんが、こういう面で一貫性を発揮されても……

 民主党に期待しうる部分があるとしたら、それはすなわち自民党と対決する都合上で生じた部分にこそあると思うわけです。自分たちは自民党とは違うと主張するため、自民党とは反対の方向を向いてきたところもあって、そういう部分に限っては民主党にも良いところはあります。もっとも「古い」自民党の反対方向を向いてばかりで、「小泉以降の」自民党の反対方向を向いているかというと甚だ微妙ですが。

 ともあれ自民党を乗り越えようとする都合上、自民党とは逆の道を選んできた側面があるわけです。自民党が官房機密費を隠そうとするなら民主党は公開を方針に掲げ、自民党が規制緩和一直線なら民主党は規制緩和見直しを主張する等々。しかるに実態はどうでしょうか、野党時代は「与党=自民党」と反対側に立つこともあった民主党ですが、与党になったら自民党の代わりに収まっている、これでは政権交代すら茶番と言わざるを得ません。先の衆院本会議では民主党が強行採決に踏み切り、批判には「(野党の)審議拒否だ」と応じる――これって自民党と民主党の立場が入れ替わっただけですよね? 自民の強行採決は悪い強行採決、民主の強行採決は良い強行採決だと、そう思っている支持層は少なくないのかも知れませんけれど。

自衛隊イラク派遣「違憲でなかった」 官房長官(NIKKEI NET)

 平野博文官房長官は19日の参院内閣委員会で、イラクへの自衛隊派遣について「現政権として違憲との考えに立っていない」と述べた。民主党は野党時代の2004年、当時の菅直人代表が派遣を憲法違反と批判していた。官房長官は「非戦闘地域が事実か野党の時は十分に分からなかった。(現在は)非戦闘地域という認識なので、活動が違憲とは考えていない」と説明した。公明党の山本香苗参院議員への答弁。

 もう一つ平野官房長官ネタです。野党時代は違憲と批判していたイラク派遣ですが、与党となった今は「違憲とは考えていない」そうです。まぁ民主党らしいと言えば民主党らしいですが、いかがでしょうか、どうも民主党は前政権に対して「手ぬるい」印象を拭えません。官僚相手なら何でもかんでも乱暴に切って捨てるのに、自民党相手には随分と手心を加えているような気もします。

 まず官僚主導の政治がダメなのであって、自民党がダメなのも官僚主導から脱却できないからだ、みたいなことを選挙前の鳩山現首相は繰り返していました。あたかも、官僚が「主犯」で自民党は「従犯」に過ぎないかのような語り口だったのではないでしょうか。そして政権交代後、官僚は一方的に断罪される一方で自民党の扱いはどうでしょう? 自民党が使い込んだ官房機密費を全部ばらすとか、自民党が無理を通して派遣に踏み切ったイラク派兵を全否定するとか、それくらいやってもよさそうなものですけれど、現状は正反対です。今のままでは、むしろ自民党をかばい立てしているようにすら……

 

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コメント (6)
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