goo blog サービス終了のお知らせ 

非国民通信

ノーモア・コイズミ

誰かさんのお墨付き

2009-10-04 11:07:08 | ニュース

谷垣総裁始動「全員野球」できる? 「民主こそ小泉路線」 元首相がチクリ(産経新聞)

 自民党の谷垣禎一総裁は30日、歴代総裁へのあいさつ回りを行い、党運営を本格化させた。だが、党三役をベテランで固めたことに「新鮮味がない」と批判が上がっており、残りの人事で谷垣氏が総裁選で訴えた「老壮青の全員野球」の体制を築けるか、手腕が試される。

 前回の平成17年衆院選で自民党大勝をもたらした小泉純一郎元首相は痛烈なパンチを谷垣氏に浴びせた。

 「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ。子ども手当の財源のためには小泉改革以上の無駄カットが必要だ。手練手管にならず、建設的な国会論戦を挑んでほしい」

 この辺は皮肉も込めてのことでしょうから多少は割り引く必要もあるわけですけれど、「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ」と、小泉自身が断言したそうです。民主党は橋下に続いて小泉からもお墨付きをもらってしまいましたね。まぁ谷垣だって小泉カイカク路線をきっぱりと否定したのは総裁選に入ってから、元より小泉カイカクを支えた重鎮の一人であり、その後も煮え切らない態度を続けていたのですから何かと怪しいものです。それだけに鳩山民主と谷垣自民の「どちらが」より忠実かは人により判断が分かれると思いますが、ただ民主党がどちらの方向を向いているかは意識して欲しいところです。小泉カイカクを否定するよりも、官僚のせいにすることの方に熱心な党でもありますし……

 この辺とかこの辺で書いたことですが、自分たちに利益をもたらしてくれる政治家よりも、誰か「悪い奴」を罰してくれる政治家の方が世の期待を集めてしまうわけです。何か特定の社会階層や集団の利益になるような政策となれば意見が分かれる一方で、逆に何かを「罰する」ような政策となると途端に賛成一色に染まることが珍しくありません。例えば子ども手当には賛否両論でも、「ムダを省く」ことには小泉支持層も民主党支持層も「異議なし」でしょう? そうなると何か目的があってムダを省くのではなく、最初から「ムダを省く」ことそのものが目的化しがちです。ムダを省いて何をやるか、ではなく、ムダを省くことそのものが国民を惹きつけるのですから。

 小泉自民がムダと呼んだものと鳩山民主がムダと呼んだもの、両者は別のモノだと主張する人もいるでしょうけれど、その実は少なからず怪しいものです。先日のエントリでも取り上げたように、鳩山にもまた、物事の詳細を把握せず安易に「ムダ」と切り捨てようとする姿勢が見え隠れしていますから。結局は「理解されにくいもの」がムダと呼ばれて生け贄にされていくのかも知れません。現時点では自民党と民主党にも何点か政策的な違いがあるわけですが、それは両党の思想信条から生まれたのでしょうか、それとも政権交代のため、与党とは反対側に立つ必要があって生まれたものなのでしょうか。この先「自民党とは反対の方向を向く」というモチベーションは急速に薄れてゆくはず、その時に何が起こるのか決して安心はできないと思うわけです。

 党再生の第1弾として谷垣氏が狙うのは、野党時代に年金問題を追及した長妻昭厚生労働相のような中堅・若手の登用だ。

 だが、党三役は大島理森幹事長らベテランを集め、選挙を実質的に取り仕切る選挙対策局長も二階俊博前経済産業相の起用を固めたことも中堅・若手を失望させた。

 ……で、この辺は産経新聞の希望的観測が含まれているように見えます。産経新聞としては民主党ではなく自民党にこそ小泉構造改革路線を継いで欲しいのでしょう。それだけにクラシックな自民党議員よりも、小泉以後の新しい自民党を象徴するような若手議員の方に期待を寄せているようです。しかるに、谷垣新総裁はベテランの起用が目立つようです。

 まぁ、それで良いのではないかと思います。年齢にとらわれることはありません。老齢でも優秀な人は優秀ですから、世論が若手の抜擢を望んだからといって、それに媚びる必要はないでしょう。頭の固い年寄りが居座っているせいで政治が停滞しているというのならいざ知らず、むしろ中堅・若手に支えられた構造改革という惨禍に見舞われている現代ならば、排すべきは何より「若害」です。若手を起用することで国民に「変化」=「改革」のイメージを与えることは簡単ですが、ここは能力重視の起用であってほしいところですし。

 もっとも、これはあくまで野党のことです。政治そのものへの影響はどうなるのでしょうね。自民党が保守本流すなわち「古い自民党」に回帰するのなら、民主党に対する政策上の対抗馬としては機能しうるかも知れませんが、これでは次の選挙でも大敗する可能性が高い、そうして議席を減らすとなっては民主党の独走を許すばかりです(そもそも今の自民党に保守本流へ回帰できるだけの人材が残っているとも思えませんし)。逆にカイカク路線へと再び舵を切れば選挙戦では民主党と競い合うことができそうですが、政策面では暗澹たることになってしまうかも知れません。民主党と自民党が、いかに「無駄カット」できるかを競い合うことになるわけですから。

 

 ←応援よろしくお願いします

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする