一応、私は文学が専攻なのです。文学研究者と作家は全く別物なのですが、そうは言っても自分で作品を書いてみたいという気持ちは湧いてくるもので、小説を書こうとしていた時期もあります。昔書いたものの中で、短いものを一つだけこちらに掲載していますが、まぁ評価はお任せします。ストーリーを考えるのが苦手なんですよね……
ネタを思いつくまでは誰にでもできそうなものですが、それを物語にするのは一筋縄ではいかないと痛感したものです。今でも時々、書いてみようかという気にはなりますが、それを小説の形にするのは何とも難しい、自分の主張するところを書き連ねるだけでしたら、この2年ばかり続けてきたわけですが、それとはまた違った難しさを感じます。ただ、形に出来ないからと言ってお蔵入りにしてしまうのも残念なので、せっかくだから設定だけご開帳です。
――未来
――どこかの国条例が制定される「公務員はバスの座席に座ってはならない」
「空いているときは後部の公務員席に座ることが許されるが、
混み合ってきたら公務員は民間人に席を譲らねばならない」
この条例を制定した知事は誇らしげに語る
「自分もバスでは座らない、市民に席を譲っている」勿論、知事の移動手段は常に公用車であり、公共交通機関ではない
ある時、記者が知事に尋ねる
「路線バスの初乗り運賃は幾らかご存知ですか?」知事、答えて曰く
「昔はえらく安かった。今、400円ぐらい? そんなにはしない?
路線によっていろいろ運賃があることは知っている」とメディアは、知事がいかに市民の生活実態に疎いかを報じる
「マスコミはどうでもいいことを揚げ足取りする、
もっと他に報道することはないのか!?」「果たして知事に『庶民感覚』が必要なのか、
そもそもマスコミはいくらもらっているのか、
マスコミこそ庶民感覚をわかっていないのではないか」...と、メディアへの非難が盛り上がる
後に条例は違憲であるとする判決が、地裁と高裁で下されるが、
ある政治家は「そんなの関係ねぇ」と叫び、喝采を浴びるそして最高裁で判決は覆る。
……あまりSFっぽくはありませんが、一応ディストピアものの舞台設定ということで。
タイトルはどうしましょうか、「2010年 府中の旅」とか。