goo blog サービス終了のお知らせ 

Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

役に立つマーケティング・サイエンス

2006-12-04 23:27:56 | Weblog
月曜は大岡山の非常勤の日。今日はゲストをお招きし,マーケティング・サイエンス(MS)が現場でいかに使われているかを語ってもらう。大手食品メーカーで長く商品開発やマーケティングの経験を積み,その後ID付POSデータのビジネスに成功,いまは,昨年IPOした「No.1サイト」企業の役員…。

数々の事例のなかで,たとえば,売上の時系列推移から常識的に予測される結果とは違う真実を,古典的なトライアル・リピート・モデルが予測してのける話など,しびれる思いで聞いた。これぞ,John Little のいう decision calculus のよき例だ。簡素にして,頑健にして,「使える」モデル。最近のMSが見失いつつあるものかもしれないが…。

ぼくが教えているMSが灰色だとしたら,彼が実践例を示すMSは原色である。学生たちに,ぼくのつまらないモデルの話の先には,こんなに豊かな世界があるんだよ,と伝わることを願う。それにしても,正直いうと,MSをここまできちんと使っているとは,それを教えて飯を食っている自分ですら予想外だった。企業との連携とか,社会人教育とか,もっとちゃんと考えねばならない。

そのあと,二人で大岡山でワインを飲み蟹を食い語らう。研究でも教育でも一方的に助けてもらっている。何か恩返しするとしたら,彼の経験や知識を社会に還元するような何かだろう,と思う。