奈良県天理市に柳本という処があって、山の手にはあの有名な山之辺の道が通っており、柳本の町並みの中を上つ街道が通っている。
この山之辺の道付近には長岳寺という古刹があり、この柳本の街中の辻に五智堂が建っている。
五智堂は傘堂とも呼ばれているように、一本の太い柱に傘のような方形造りの屋根をつけており、大日如来を心柱に五智如来あらわす鎌倉時代の建築物で重要文化財に指定されている。
この五智堂の片隅に、庶民的な銭湯の入り口を背にして、その顔に特徴の強い石仏が数体祀られている。
今風に言うと醤油顔の阿弥陀と、ソース顔の地蔵が並んでいる。
この醤油顔の阿弥陀は柳本に何体かある石棺仏の作者と同一石工の作だと思われる特徴が強い。
この傘堂より少し東へ入った右手の大木の下にも約20体の石仏群があり、今も毎日お参り絶やさないというおばあちゃんに逢った。
ここにもソース顔の阿弥陀と地蔵の双仏石が在って、南北朝のもの・・・。
古い町並みと小さな小川沿いにある大木、その根元にある小石仏はこの町のたたずまいに良く似あっている。
撮影2006.5.14