三重県「旧島ヶ原村」、木津川上流部の大瀬を見守る様・・・、巨岩に刻まれた地蔵磨崖仏。
国道163号線が京都府最東端の南山城村を越え、三重県最西端の旧島ヶ原村に入って直ぐ、木津川に掛かる橋を越した左手、笹薮を掻き分け木津川本流河岸に出ると、流れの中央辺りに岩を噛む大瀬が音を立て流れて居る。
飛び石伝いに中洲に渡り、石友さんの教え通り大瀬に向かった巨岩を覗き込むと小さな地蔵磨崖仏。
こんなところに、こんな磨崖仏が隠れて居たとは・・・・・・。
目の前は岩を噛む大瀬の激流・・・・、橋の無い頃、旅人や近在の人たちは危険を承知でこの瀬を石伝いに渡ったのだろうか??
おっかなびっくり、磨崖の前にしがみつく猫柳の根元に片足を掛け真正面から・・・・
総高50~60Cm、舟形光背を深く彫沈めた中に像高40Cm足らずの合掌地蔵立像を厚く刻み出して居る。
地蔵の載る蓮華座は極端にデフォルメされ、近世以降の造立を窺わせる。
殆ど紹介されること無く、忘れ去られた様に・・・・、静かに大瀬に目をやり佇む地蔵さん。
僕はこの石仏を見るなり、これはこの瀬で亡骸となった人達を弔う石仏だろうと確信した。
それは、この合掌印が何よりの証なのでは・・・
撮影2012.2.16