岩船寺から、奈良方面に続く道路を2~3分車で走ると弥勒の辻という所に出る。
山の間を、走ってきてしかいの広がった弥勒の辻の右手の山際の高さ5mの巨岩に高さ2.5mの「弥勒磨崖仏」が線彫されている。
勿論、「弥勒の辻」の地名はこの石仏からつけられたもので、奈良方面からの岩船南口バス停もこの場所にある。
この弥勒石仏は、室生大野の磨崖石仏と同じく、ここからは、すぐ近くの笠置山大弥勒石仏を手本に作られたもので有ると考えられています。
確かに、京都仁和寺に残された、笠置山弥勒磨崖石仏の写しによく似ていて、衣文の流れなどはそっくりそのままのような印象を受ける。
ぞうの右横には銘が刻まれていて、文永十一年(1271・鎌倉中期)大工末行とあり、伊末行の事で、この石仏を作って13年後には、前に紹介した「わらいぼとけ」を作っている。
ちなみに、「わらいぼとけ」には、この前の道を右手に10分ほど歩けば到着する。
ただただ、おしいことに線彫り石仏のため、風化磨耗,苔等により、像の上部が非常に解りづらく、見えづらくなっている。
この辻から踵を返し岩船寺の方へ100mほど歩くと右側の山へ登って行く細い道が在り、そこを登って5~6分歩くと右手山際、上方の岩肌には「三体地蔵」が彫られています。
横長の岩壁に長方形の枠を彫りくぼめ、像高約90cm、鎌倉後期作の地蔵を三体、半肉彫りにしている。
特にこの地蔵の面相は優れていて、温和な童顔に慈悲深い地蔵が感じられ、三体共左手に宝珠を捧げ、右手に錫杖を持って、
三界(欲界、色界、無色界、または、過去、現在、未来)の萬霊を供養する為に発願(ほつがん)されたものと云われています。
廻りは雑木林が有るだけの里山然とした小道で、なんともこの風景に溶け込む、この磨崖の地蔵には郷愁を覚える。
撮影2005.12.18 2006.12.01