前回紹介した、奈良県平群町の生駒山系麓の各集落は特徴有る小石仏が多いことで知られている。
北福貴の集落に国の重要文化財に指定されている藤田家住宅の前を通る旧街道の道路わきには北福貴の地蔵堂が古びたたたずまいを見せていて室町期の石仏が並んで立っている。
中央には、自然石の正面を舟形に彫りくぼめ、半肉彫りで特徴のある阿弥陀三尊を置いている。
両脇には、これも室町期の優しい地蔵石仏が置かれていて、懐かしい辻の地蔵さんという感じのする石仏です。
これより少し山手に登った惣墓の小石仏集積の中央にも良く似た阿弥陀石仏がありました。
これより谷ひとつ南側の信貴畑勧請の地にも、地蔵堂が有って舟形十三仏板碑 天文二十一年(一五五二) と舟形如来座像 紀年なし (室町前半期頃)が並んで立っている。
十三仏には連続した赤い小さな涎掛けがかけられていて、信仰の厚さが伺われる。
しかし、地蔵堂の周りには鳥避け用ネットが張り巡らされて、囚われの身のような石仏です。
こうしておかないと野鳥がお供え物を喰いちらかしてしまうそうです。
また、この地は勧請の地と呼ぶように、勧請場でもあり、地蔵堂の横の木にも勧請縄が張られている。
ここから少し登った処にも小さなお堂が有って、タル地蔵と呼ばれている舟形十一面観音立像( 明和五年.1768)が油壷台座の上に立っているが、付近の道路や建物がすっかり近代化されてしまって、のどかな雰囲気とは程遠い景観になっているのはいただけない。
ここから直ぐの広域農道を越え福貴畑の鎮守、杵築神社を訪ねて見ると、拝殿に続く石段の左手の小さな祠には山形頂部を持った特徴有る六体地蔵が祀られている。
人呼んで 十一面観音 六地蔵碑・永禄十一年(一五六八)という、おにぎり形の正面下部に四体の地蔵、上部中央には十一面観音を置きその両側に各1体の地蔵菩薩を配していて非常に珍しい。
撮影2006.6.28