Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

質の独、量の仏の13年

2013-11-22 | ワイン
2010年産グレーフェンベルクを開ける。当時はPCクラスがあったのでGCではない。開けた理由は、十分に除酸をしていることを知っているので、先を期待していなかったからである。要するに早めに酸が活きているうちに飲んでしまわないと、所謂カルク臭い丸い黄色くなったようなリースリングになってしまうからである。結果は、開けた初日はそれなりに楽しめたが、あくる日には残糖が分かれて酷いものになっていた。この価格でこれでは話にならない。要するにドイツ一と言われる醸造の成果としてはお粗末過ぎるのだ。これならば落陽のバッサーマン・ヨルダン醸造所の2010年物と殆ど変らない。要するに、グローセスゲヴェックスを提供するだけの木樽も技術も当時は無かったことを示している。それならばあの価格は詐欺だ!

宜しい。2010年で成功している醸造所は恐らく数えるほどしかなくて、所謂ドッペルザルツで除酸したドイツの99%の醸造所のリースリングは平均以下の出来になる。残りの1%の醸造所で石灰若しくはカリウムでどのように除酸したかで将来性が決まる。飲めばその除酸の方法が直ぐに分かるだろう。しかし、セシウムの置換でも使われるカリウムには放射能もあるが排出も早いので日本の水田で使われているが、その味は想像がつかない。しかし石灰のように丸くはならないのではないだろうか。価格からしてそれをやっている醸造所は殆どないと思われるが。

さて、2013年のプファルツの出来が発表された。1987年以降初めて開花が遅かったことから収穫も遅くなり、天候も安定しなかったので腐りが蔓延して、南ワイン街道のレープホルツ醸造所などは嘆いている。顧客になってからこれほど嘆いているのは初めてで如何に腐りが酷かったかであろう。10月7日から18日かけて ― 二十日は雨と暖気のため徹夜作業だった ―、22haを五十人で摘み取ったということだ。幸いハールトなどでは2006年の最悪の年とは比較にならないほど健康だったので、プファルツ全域でも収穫量の減少は一割かたに止まり、十年来の平均以下と言う程度である。

その一方、レープホルツ醸造所の嘆き通りに人手が総動員されて、分別収穫が出来なかったような醸造所では質が落ちたのは間違いない。天候のせいで糖比重も低く、酸の分解にも時間が掛かったので、アルコール度は低く薫り高い軽いワインとなったということである。当然ながらリースリングには特別に利点があるのだが、ブルグンダー種も決して悪くは無いということである。葡萄を試食した感じでもこの傾向は顕著で綺麗な酸と軽やかな果実風味は楽しみなのである。

自身の観察や醸造現場の話などを総合すると、良い地所の葡萄は腐りも少なく、綺麗に削除することで可成り質の高い、その酸からすると2004年に相当するようなリースリングになるのではないかと考える。つまり選び抜かれたグローセスゲヴェックスと単純なグーツリースリングの双方で期待が膨らむ2013年産となりそうである。フランスやイタリアなどは収穫量が多かったというので、質のドイツ、量のフランスの2013年となりそうである。



参照:
冬模様の朝は寒い 2013-10-15 | ワイン
2013年産の摘み取り風景 2013-10-21 | ワイン
嗚呼、グレーフェンベルク 2013-09-26 | 試飲百景

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