本日は6回目、第4章の書評です。この著書は、いわば田中氏の遺書です。
松井大将の名誉を回復したいと願う氏に共感し、願いを少しでも広められたらと、そんな気持ちになっています。
「ナチス・ドイツを裁いたニュルンベルクの裁判所条例 を、そのまま東京で真似たものの、」「日本にはヒトラーはおらず、ナチスのような独裁政権もなく、日本は立憲君主国で議会も機能していた。」
「起訴状にある、昭和3年から敗戦の20年までの17年間、」「内閣は、16回交代している。」「その理由は、主として閣内の意見不一致によるものである。」
「しかるにキーナン以下の検察側は、」「28人の被告の全面的共同謀議により、侵略戦争が計画され、準備され実施されたという法理論を打ち立てた。」
被告人の一人であった荒木陸軍大将が、法廷で次のように述べました。
「この被告席にいる28名の中には、会ったことも、言葉を交わしたこともない人間が半分ほどいる。」「顔も知らず、会ったこともない人間と、どうして共同謀議などできようか。」
結論の決まっている裁判ですから、清瀬弁護人の動議と同様、正論は皆却下されます。東条内閣で大蔵大臣を務め、戦時経済を指導した賀屋興宣氏が、釈放後に語っています。
「ナチスとともに17年間、超党派で侵略計画を立てたと、言いたかったのだろうが、そんなことはない。」「軍部は、突っ走るといい、政治家は、困ると言い、北だ、南だと、国内はガタガタで、」「おかげで、ろくに計画もできないまま、戦争になってしまった。」「それを共同謀議など、お恥ずかしい話だ。」
談話を知る田中氏が、次のように述べています。
「満州事変から、大東亜戦争までの国情は、賀屋元蔵相の言う通りであった。」「陸軍の中でさえ、皇道派だ統制派だと言って争っており、」「陸軍と海軍の間にも、確執があり、」「加えて血盟団事件、5・15事件、2・26事件など、血なまぐさい、テロの嵐が吹き荒れ、政党政治は腐敗混乱し、ついに崩壊している。」
「検事側の言う共同謀議による中国侵略や、」「対米戦争の開始といったシナリオが、いかにナンセンスなものであるかは、昭和史を一瞥すれば歴然たるものがある。」
忿懣やる方のない叙述ですが、息子たちに言います。戦争に負けると、負けた国は何をされても一言も返せない状況に置かれます。
「しかるに、東京裁判の多数判決は、松井元大将と重光元外相の二人を除く、」「後の東条元首相以下13人を、存在しない〈全面的共同謀議〉という罪名によって、処断したのである。」
こんな裁判で裁かれ、どうして「日本だけが間違った戦争をした」と言えるのでしょう。「日本が反省すれば、世界は平和になる」と、そんな意見が何処から出てくるのでしょう。
息子たちに言います。反日左翼の政治家とお花畑の活動家たちの言葉を、ここで確認してください。
「しからば、人道に対する罪はどうか。」「日本には、アウシュビッツはない。」「組織的計画的に、捕虜や一般人を、大量に殺害したという記録は何処にもない。」「そこで、彼らが持ち出したのが、南京虐殺事件である。」
南京事件に関する氏の意見ですが、「東京裁判がなければ、南京事件は作られなかった。」と、私も同じ考えをしています。
しかし現実には、この作り話を信じる人間がいます。そうでなく、アメリカに買収され協力している人間たちです。大学教授、学者、文化人が、反日マスコミに顔を出し、著名な肩書きで国民を騙しています。朝日新聞が捏造した「慰安婦問題」と同じ構造で、それが反日左翼たちの生計の糧となっています。
アメリカの中にいる反日勢力と、中国政府と反日日本人の共同作業ですから、「南京問題」は一筋縄でいきません。頑強な堤防を蟻の一穴が崩壊させたように、小さな、穴掘りの努力を続けていくしかありません。
田中氏のその小さな努力がこの著作ですから、襟を正して読みます。
「ヒトラーが企てた、世界制覇のための侵略戦争。」「これを日本に当てはめたのが、全面的共同謀議という虚構であり、」「アウシュビッツに匹敵する非人道的な大量虐殺、これが南京虐殺という構図である。」
立ちはだかる堤防に向かい、穴を掘っている氏の姿を見ながら今回はここで終わります。次回からは、蟻の穴掘り作業に参加します。