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それでもチェコは戦う - 5 ( ヤルタ会談が決めた、五大国による世界支配 )

2019-06-14 12:53:22 | 徒然の記
 ヤルタ会談について、バールタ氏は次のように述べています。
 
 「ヤルタでは、西欧諸国同盟とソ同盟が全世界の幸福のため、相互協力を平和裡に進めようと話し合った。」「そこでは、戦後のヨーロッパの秩序に関する、諸原則が検討された。」「この協力関係は、文明最大の敵であるファッシズムとの戦いの中で、始まった。」
 
 間も無くヤルタでの会談は、戦勝大国が互いの戦利品の分捕りを決めだけだと、そんな話が人々の口にのぼり始めました。しかし当時の氏は、ソ連への感謝の念が強く、噂を信じませんでした。
 
 「今となってみれば、その想像は不可能でないと思うが、その当時、そしてそれに続く何年もの間、私はそう考えることを、断固として拒絶していたのだ。」
 
 「私の根本的な誤りは、あまりにもちゃんと、マルクスを読んだことである。」「ソ連が自分の国について、すべての行動がマルクス主義に基づいていると言ったことを、深く考えずそのまま信じたことである。」「もう少し注意深ければ、ソ連の外交や国内政策は、カール・マルクスよりツアーのニコライ帝に近いことを、確認したはずだった。」
 
 こうして氏がソ連の実態を知り、目覚めるまで、なんと23年間かかっています。1945年にソ連がドイツを破った時から、今回(1968年)チェコに軍事介入するまでの間は、頑ななまでのソ連信奉者でした。
 
 「ソ連は、社会主義の理想に基づいて行動し私欲がない。」「ソ同盟は、全世界の働く人々の兄弟愛と、同志愛を旗印にしている。」
 
 そう信じて、疑わなかったのです。
だから私は、日本国内にいる、反日左翼の人間たちも氏と似た姿だと思いました。一つの理念を本気で信じると、よほどのことがない限り覚醒することはできません。中国かアメリカか、いずれかの国かが日本の国土と国民を蹂躙するまで、現実が見えません。その時が来るまで、「平和憲法を守れ。」「日本を、戦争のできる国にするな。」と、彼らは叫び続けます。
 
 確かにヤルタ会談では、世界の大国だった米英とソ連が、ドイツ敗戦後の世界の線引きをしたのです。調べれば、いくらでも情報があります。
 
 「1945 ( 昭和20 ) 年1月に、連合国の主要3カ国米英ソの首脳会談が、ヤルタで行われた。」「会談の結果、第二次世界大戦後の処理について、ヤルタ協定を結び、イギリス・アメリカ・フランス・ソ連の4カ国によるドイツの分割統治、ポーランド人民共和国の国境策定、エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国の処遇などの、東欧諸国の戦後処理が取り決められた。」
 
 参加国の首脳は、ここでスターリンと密約し、西側陣営に位置していたチェコスロバキアを、ソ連の支配圏とすることを黙認しました。ナチスドイツの撃滅が最優先でしたから、彼らは手を結びました。
 
 「ソビエトの戦車が、プラハを守るため、」「300キロもの戦線を走り、ベルリンからやって来た事実。」「それに反して、道は自由に通れたのに何もせず、プラハから100キロの地点から、動こうとしなかったアメリカの戦車。」「この二つの事実は、私たちに、西側は信ずるに足りないと確認させるに十分だった。」
 
 前回のブログで氏が述べていた事実と、ここで話が重なります。ソ連にドイツを任せれば、自然とチェコスロバキアは社会主義圏内に組み込まれます。アメリカは戦力を維持したまま、じっとしていれば良かったのです。
 
 ヤルタ会談に関する説明は、まだあります。
 
 「併せてアメリカとソ連の間で、ヤルタ秘密協定を締結し、ドイツ敗戦後、90日後のソ連対日参戦、」「および、千島列島・樺太・朝鮮半島・台湾などの、日本の領土の処遇も決定し、2018年の現在も続く北方領土問題の端緒となった。」
 
 チェコスロバキアのだけでなく、日本についても彼らは取引をしていました。安倍総理は、ロシアのプーチン大統領と、領土交渉をしていますが、米英との密約が有効だとすれば、解決の入り口にも達していないのでないかと、思えてなりません。
 
 話がまた横道へ行きましたので、ヤルタ会談の説明へ戻ります。
 
 「戦後の発足が議論されていた国際連合の投票方式について、イギリス・アメリカ・フランス・中華民国・ソ連の5カ国、後の国際連合常任理事国メンバーの拒否権を決めたのもこの会談であった。」
 
 常任理事国の全会一致でなければ、国際問題は解決しない仕組みを作ったのが、ヤルタ会談でした。
 
 チベット問題や、ウイグル問題が国連で取り上げられない原因が、ここにあります。中国が反対すれば、安全保障理事会の議題にならないのです。中国だけの話ではありません。どんな虐殺が生じても、アメリカ・イギリス・フランス・中国・ソ連の5カ国の内、一か国でも反対すれば国連は動けません。
 
 このようにいびつな国連を、中立的平和組織と誤解し、国連平和維持軍が世界の平和を守ると、バカなことを言う政治家がいます。その一人が小沢一郎氏で、自衛隊を全部国連に預ければ憲法改正の必要がないと、訳のわからない主張をしています。
 
 彼はヤルタ会談のことや、国連憲章について知らない無知な政治家なのに、いまだに政界で活動しています。参考までに、国連憲章の中の「敵国条項」を紹介します。
 
 〈 国連憲章【敵国条項】 〉 (  国連憲章第53条、77条及び107条の通称。)
 
 ・ 国際連合の母体である連合国に、敵対していた枢軸国が、将来再度侵略行為を行うか、またはその兆しを見せた場合、国際連合安全保障理事会を通さず、軍事的制裁を行う事が出来ると定められた条項。

 ・ どの国がこれに該当するかという明確な規定はないが、日本政府の見解では、第二次世界大戦にて、国連発足時の原署名国である51ヶ国と、交戦状態にあった、以下の国々を指すとしている。
  • 日 本
  • ドイツ  (現在のドイツ連邦共和国)
  • イタリア (現在のイタリア共和国)
  • ブルガリア(現在のブルガリア共和国)
  • ハンガリー(現在のハンガリー共和国)
  • ルーマニア(現在のルーマニア共和国)
  • フィンランド
 この敵国条項は、日本等の強い働きかけがあるにも関わらず、現在も削除されないままになっています。世界第二の経済大国などとおだてられ、日本はアメリカに次ぐ出資金の負担をつい先日までしていました。小沢一郎氏のような政治家が、政界のリーダーだったのですから、日本は沢山バカなことをしてきました。政治家に期待できないとすれば、せめて国民がバールタ氏のように、目覚めなくてなりません。
 
 書評は、ただいま128ベージです。なんとか次回で、まとめをしたいと思います。
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