だらだら日記goo編

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美術館が若かった頃

2005-11-12 22:48:42 | アート・文化
総工費109万円とは今のお金にしてどのくらいなのだろうか。
美術館など国立博物館をのぞけば皆無の時代にそんなお金をかけて新しく美術館が創られた。
1926年に開館した東京府美術館、現在の東京都美術館の前身だ、その美術館の歴史を振り返る展示を東京都現代美術館に観に行く。そんな展示なら東京都美術館でやればよいという気もするが、プーシキンとかいろいろ忙しいのだろう。
「彫刻と女」という作品を観ると美術館で彫刻に囲まれて和服の女性がたたずんでいる、ものめずらしかったのだろう。
さてこの展覧会は四つの展覧会を振り返ることで東京府美術館を振り返ろうとする。
まずは開館記念「第一回聖徳太子奉讃美術展覧会」だ。
1926年で入館料大人五十銭というのが歴史をしのばせる。
内容は伝統と前衛の両方を持った展覧会だったようで、野球をする「スポーツマン」や「マヴォイスト」といった作品がある反面、「天平美人図」などもある。ちなみに「マヴォ」は1923に作られた前衛芸術団体だ。
二番目は1940「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」
戦争の時代だ、勇ましさがまずある。「雄風」などトラが勇ましい日本を象徴するかのようで、石膏像「暁に立つ」も勇ましい。
しかしのどかな風景もかなり展示されていることは意外で、高浜かの子「騎馬戦」などほほえましくもある。
三番目は1949-63「読売アンデバンダン」の展覧会。
「反芸術」を掲げたとかで確かに「平面彫刻」とか形容矛盾の作品がある。
面白いのは岡本太郎「太陽の神話」だ、陶板で「大和証券グループ」所蔵だ。これはどういうことか。
映像もあり、荒川修作がどうのとしゃべっていた。
四番目は「第十回東京ビエンナーレ、人間と物質」1970だ。これを写真で振り返る。
毎日新聞のイベントのようで入館料ここまで来ると三百円。
クリストとか外国人もかなり参加している。
松沢宥という人の「私の死」の垂れ幕を見ると、「意識、時間の長さ」とある。
これが「人間と物質」のテーマとどう関係するのだろう。
ともあれ若い美術館が時代と格闘しながら展覧会を作ってきたことがよくわかる展示だ。
この展示は一階と三階で開催され、同時開催のイサムノグチの「エナジーヴォイド」を上から眺めることができる。
なかなかおつなものだ。
しかし美術館があまりにたくさんできた今、プーシキンのように外国の有名作品をよぶだけで美術館の役割が果たせるのか今一度考えたいのも事実だ。