OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

京都大学グリークラブ創立 1 創立前

2016年10月27日 | 50年・60年
京都大学グリークラブ創立 1

 京都大学グリークラブ(以下グリー)は、創立50年の合唱団である。昨年(2015年)4月25日に盛大に「グリー創立50周年の事業が行われたが、これは1年半以上の大幅なフライイングであった。実際にいつ創立されたのかは、ちょっと記録があやしい。京大合唱団(混声)内での議論がもとで、脱退した団員を中心として11月終り頃には活動を始めたのだろう。議論の中心はおもてむき「京大学歌」を演奏会で歌うべきかという問題だったが、政治的団体の合唱団への侵入をきらった面も強く、合唱そのものを楽しみたいというメンバーがグリーを作った。その動きとして、記録のある最初の楽譜は、1966年9月4日付のもので、「男声グループのために」と 記入されたガリ版刷りのものである。

1966年9月4日発行の楽譜

同上 折り目の書き込み

 このピースは16頁あって5曲の四部合唱曲が収められている。The mermaid, As Off to the South’ard We Go, A-Roving, Swansea Town, Haul Away, Joe。発行元に関しては、楽譜の折り目余白に「‘66. 9. 4. 男声グループのために T. H.」(H.は楽譜には完記。)と書いてある。実は1曲(Haul Away, Joe)を除いてこれらを歌った記憶がない。当然この頃は京大合唱団の中で配布されたもので、「グリー」の名は出てこない。
 次いで1966年10月27日付けの楽譜がある。

ちょうど50年前に発行された楽譜

同上 京都大学学歌の部分 左上の書き込みは、初期の上演日付。

 表題は「Choral Piece No. 1 (for Male Chorus)となっていて、内容は、「京都大学学歌」と「琵琶湖周航のうたによる3つの変奏曲」の2曲であり、先の議論と関連した発行物であろう。さらに奥付には「京都大学男声合唱擁護協会」とあって、かなり気の入ったもので、脱退への気持が出ているように見える。特に学歌を示したことで、演奏会でこれを歌うことを可能にした意義は大きい。これら二つの楽譜には、編曲やガリ切りなど発行に携わった人物の名があるが、いずれも後のグリーの中心人物である。
 今日このブログを記したのは、この発行日からちょうど50年目にあたるから。いずれにしても50年前にはまだグリーは発足していない。