写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

職業意識

2014年09月24日 | 岩国検定

 このところ、ブログネタが毎回岩国検定のCD販売にかかることばかりで、申し訳ありませんが、もう少し聞いてください。

 50代後半のある男性が電話でCDを買いたいといい、我が家まで受け取りに来てくれることになった。待っていると直ぐにやってきた。玄関アプローチの椅子に座って少し話をしてみようと思った時、名刺を出して自己紹介をしてくれた。

 市内の大きなホテルの営業マネージャーの肩書があった。「この9月に入社したばかりで、まだ何も分かっていません」といって頭をかく。「それまではどこに?」「○○銀行にいました」という。定年前に出向したのかもしれないが、それ以上のことは聞かなかった。

 買ってくれる人に「購入の動機」を聞いている。この男性にも聞いてみた。「新しい職場では、多くの市内外のお客さんと接する機会が多くなる。その人たちから、岩国の歴史や史跡などについて何か聞かれた時、きちんとお話しできるように勉強したいと思います」と、殊勝な心掛けである。

 「このCDをしっかり活用して、お客さんに岩国のいい所をよくPRしてください」といってエールを送っておいた。こんな話を聞くと、この男性を思わず応援したくなった。職業柄とはいえ、なかなか前向きで職業意識の旺盛なひとである。2年前、「いわくに通になろう」の本を出版した時、観光バスやタクシー会社など観光にかかわる職場の人から注文があるかと期待したが、残念ながら何ら反応はなかった。

 こんな職業の人こそ、この本やCDを手に取ってもらいたいと思うが、私の一方的な思い込みに終わっている。しかしこの男性のように、職業柄とはいえ自らの意思で勉強しようとしている人もいる。人それぞれとはいいながら、職業意識を持って前向きに生きている人は若く溌剌と見えた。