写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

予期せぬ受験者

2014年11月15日 | 岩国検定

 夏以来、今年はいろいろなことが重なり、慌ただしく時が過ぎて行った。それらも無事に乗り切り、やっと一段落した今日は、朝からいい天気であった。久しぶりに西の軽井沢にドライブに出かけ、今が盛りの紅葉狩りを楽しんで帰ってきた。

 郵便受けの中に、はがきが1枚入っていた。宛名を見ると「岩国検定実行委員会事務局」と、楷書で丁寧に書いてある。2週間後の11月30日に開催する検定試験の申し込みのはがきであった。玄関に向かいながら裏面を読んで驚いた。受験申込者の住所、氏名の次に年齢が書いてあるが、その年齢がなんと「12才」と書いてある。

 12才といえば小学6年生。私の孫と同じ年の男の子である。今回の受験申込者を含めて200余名の受験者を迎えたが、最高齢は第1回目の89歳で最若年は19歳であった。今回、最若年の記録を大幅に塗り替える受験者となった。その申し込み日は11月15日、申込期間の最終日にはがきが届いた。なんとも際どい投函であるが、そんなことは問題ではない。受験したいという人がいれば、いつでも受け入れ体制はできている。

 「12才が受験するのか」と思いながら住所を見ると、旧岩国藩の城下のど真ん中に住んでいる子どもだ。とすれば、日頃から岩国藩の歴史や史跡に馴染みのある子どもだろうか。それにしても、問題を作るときには子どもが受験するなんて、そんなことは全く頭になかった。設問には多くの漢字を使っている。武将などの固有名詞にはルビを打っているが、普通の漢字にはそんなことはしていない。読めない漢字も多くあるに違いない。

 さて、この子どもに対して、どんな対応をしてやればいいのか。漢字が読めないだけでなく、多分意味も分からないものもあるだろう。それでも一般受験者と同じ対応とするか、それとも「特別配慮した対応」をとるか。いやいや、検定を受験するくらいの子どもであれば、ひょっとしてそこいらの大人が顔負けするくらいの歴史愛好少年かもしれないぞ。当日、恐る恐るその辺りのことを聞き出して、その日の対応を考えることにしよう。悩ましい楽しみが一つ増えた。