写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ああ、ややこしや

2021年02月05日 | 生活・ニュース

 先日、「任期満了に伴う西之表(にしのおもて)市長選挙は、開票の結果、現職が2期目の当選を果たしました」というテレビのニュースを見ていた奥さんが、「『にしのおもて』じゃあなくて、『いりおもて』でしょう。アナウンサーは間違って読んでいるんじゃあないの」という。

 この市長選は、同市の無人島・馬毛島で、国が計画する米空母艦載機の陸上離着陸訓練の移転と自衛隊基地整備が大きな争点となっていた。基地整備に反対していた無所属現職が自民推薦候補を抑えて当選したことが、全国ニュースとなって流されていた。

 「西之表」という文字を見て私も「いりおもて」と読みそうになったが、そう読むには「之」という字が余分である。果たして、アナウンサーの読み違いかどうか、ネットで調べてみた。

 西之表市とは、鹿児島の南西、僅か30㎞のところにある鹿児島県の種子島にある市で「にしのおもてし」と読む。一方「西表島」は「いりおもてじま」と読む。沖縄県の竹富町に属する八重山列島の島の一つ・石垣島の西、20㎞のところにある島の名前である。

 では「西之表」と「西表」、おなじ「西」という字を片方だけは「いり」と読む。その理由は何なのか。沖縄では、東西南北は、東が「あがり」、西が「いり」、南が「はい」、北が「にし」という。従って西表を「いりおもて」と読む。由来は、東と西は太陽が上がって入るところからきているからである。

 「いりおもて」の由来は、昔八重山の中心地であった石垣島や竹富島から見て西にあるからだという。何れにしても、日本の西の海上に「西之表」と「西表」という見た目は似ているが、読み方の違う地名があるということが分かった。ああ、ややこしや、ややこしやである。ここは正確に読んでいたアナウンサーにかんぱ~い。