写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

忘年会

2009年12月11日 | 季節・自然・植物
 エッセイサロンの忘年会を昨夜開催した。アトラクションとして、会員各人の今年の業績を称える表彰状を作って手渡した。副賞といえば聞こえは良いが、100円ショップで買いこんだ雑品の数々。雑品といえば聞こえが悪いが、表彰文の内容にふさわしい商品を厳選している。やっぱりそこは100円。心から笑ったり喜んだりするには少々無理がある。口先でかなりカバーしないことには、何故こんな物をもらったのかが分からないものが多いが、まあいい。
 忘年会とは、このように品物をもらうことが目的ではなく、一人ひとりがこの1年をちょっと振り返り、すべてきれいさっぱりと忘れ去るだけでなく、来るべき年に向けての作戦を考え始める機会であると理解している。
 忘れるといえば「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」という、半世紀前のラジオドラマ「君の名は」の冒頭のナレーションを思い出す。忘れてしまったらどんなに心が軽くなるだろう。だけど忘れられないという切ない心を表した名セリフである。
 私の年ともなると、忘年会で忘れ去りたいと思うほどのこともなくなってくる。忘年といっても、その年のいやなことを忘れたいというよりか、年そのものを忘れてしまいたい心境だ。
 「憂きことの なおこの上に積もれかし 限りある身の 力試さん」
 サラリーマン時代、いろいろ苦しい局面に立ったとき、私は机の上に貼っているこの歌をいつも読んで奮い立たせてきた。不況で大変な年の瀬。ここはぐっと歯を食いしばって、精一杯限りある身の力を試してみたい。朝の来ない夜はないというではないか。