写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

雪見風呂

2005年01月21日 | 旅・スポット・行事














 今日も朝から小雪が舞っていた。「よし、雪を見に行こう」と、寒むがり屋の妻を説得し、これまた寒がり屋のハートリーとで、ロードスター乗り込んだ。
 
 目指すは、お決まりの廿日市市吉和にある「魅惑の里」だ。186号線を山奥に走ること60km、道半ばで雪道になりチェーンを巻いた。

 車ががたがた揺れる。1年ぶりの感触だ。見るもの全てが真っ白の、この非日常性がまた楽しい。
目的地の「水神の湯」に着いた。平日・積雪・この冷え込みでは、我々以外のお客は誰もいない。

 私と妻、それぞれが降る雪を愛でながら露天風呂を独り占めした。毎年味わう、この上なく贅沢なひと時が過ぎていく。

 さすがにハートリーは若い。積もった雪の中に、全身をもぐらせてしっかり遊び、黒いからだが白の斑に変わった。

 乗り気でなかった奥様も「満足満足」の、冬の極楽日であった。私いち押しの冬の湯を、皆さんも是非どうぞ。
     (写真は、雪道と露天風呂)

慕  情

2005年01月21日 | 旅・スポット・行事
 昨年のちょうどこの時期、広島空港から香港に旅行した。イギリスから返還されて7年が経とうとしていた。

 出かける前に、香港を舞台とした50年前の名画「慕情」のビデオを見ておいた。戦争によって引き離された男女の悲恋物語である。

 半世紀前の映画で見た活気ある街の喧騒は、そのまま現代に残っているように感じた。香港島を対岸に見る海辺のホテルに泊った。

 ガラス張りのロビーで窓辺のソファーに座り、海峡を挟んだ夜景を眺めた。旧正月を前にして、どの建物も派手なイルミネーションで飾り立ててある。

 その中で、こちらに向けて日本の大企業の派手な広告がいくつも目についた。海外に出かけて、このように日本の企業が活躍しているやの光景を見ると、あたかも自分が頑張っているかのように嬉しく誇らしい。

 日本人の血を騒がせて、イギリス人の好んだアールグレイを飲みながら、香港の夜景に「慕情」を抱いた夜だった。
   (写真は、ホテルのロビーから見た香港島夜景)