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マツタケは栽培できる(5)

2005年09月09日 | マツタケの生理生態

写真は、人為的にマツタケを感染させて形成されたアカマツの菌根(接種後2ヶ月)

感染-菌根形成
この2次菌糸はさらに運が良いと、先住者のカビがいない空き家のアカマツ細根に出会う.すると、これに感染し菌套を形成.その後、細胞間隙に侵入、菌根となる.マツタケの場合は、外生菌根いわれる.

 菌根になるとホルモンを分泌し、アカマツの細根はテングス状に枝分かれし、根の吸収面積が飛躍的に増える.マツタケは周りに細い根があればそれにどんどん感染、菌根をつくる.

 活性の高い菌根は抗生効果のある物質を分泌し、アカマツの根やマツタケの菌糸を土壌微生物の攻撃から守っている(4).しかし、常に土壌生物との競争にさらされていることを忘れてはならない.

 マツタケは菌根を介し、アカマツと物質をやり取りしている.マツタケは光合成産物である糖類をアカマツから摂取し、土壌中のミネラル類をアカマツに渡している.植物間の物質移動の仲立ちについては先述のとおりである.
アカマツ林の尾根筋は肥沃化せず、乾燥気味でマツタケ栽培に適している.しかし、土壌が肥沃してくると、アカマツの細根形成が悪くなり、また、光合成産物を自らの生長に利用しマツタケに与えないようである.実験室の感染テストでは、肥沃化土壌で育てたアカマツは、まつたけの感染を拒否する傾向にある.マツタケのような菌根性のキノコが感染しないと、ホストは病気に弱くなることがわかっている.

シロの誕生とマツタケの発生
マツタケは、更に周囲の細根に感染を続け、やがてホットケーキ状のシロを土壌内部につくる.シロとは、マツタケが宿主の細根に感染することによってつくりだされる菌根やその周りの土壌とそこに生活する微生物を含む集合体を意味し、それらの微妙なバランスのうえに成り立つ生態系である.

 物理的・化学的・生物的条件が適切に維持され続けると、シロはその容積がだんだん大きくなるが、シロの内部はくぼんでドーナツ状の形になる.2次(核)菌糸がアカマツの細根に感染し、約5年たつとシロの容積は、マツタケの菌糸とアカマツの根や土を含めて1.5-2リットルほどになる.

 すると、マツタケ子実体を1~2本発生するようになるが、微生物数の少ないマツタケ向きの痩地や乾燥気味の土壌は斜面や尾根の上部に多いため、マツタケはそのあたりから発生を始める.マツタケ発生の始まりはアカマツの樹齢が平均30年くらいである.地域によっては、それが40~50年になるケースもある.

 シロ表面の温度が19℃(北では18℃未満)を下回ると、マツタケのシロ表面に子実体原基が形成され、適当に雨があると(2-3日おきに10~20mmの降水)、「選ばれた」原基は生長を続け、7日~10日後に地表に顔を出す.

 更に7~10日でヴェールがきれ、胞子が飛散する.胞子は、新たなシロ形成に重要な役割を担っている.マツタケ山の長期の観察では、マツタケの新たなシロは、胞子が雨水などで流れ易い方向に並んで増えているように見える.(続く)

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