まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1339  マツタケとアカマツの共生関係-アカマツはマツタケフリーでも生きていけるが、マツタケはアカマツフリーではきのこをつくらない-を考える

2018年08月13日 |  マツタケの林地栽培 

8月18日は、まつたけ山復活させ隊の活動はお休みです.
7月の猛烈な暑さを乗り越えたことは、私達の体がそれだけ無理を強いられたと考えて御休息下さい.真夏もいささか勢いを無くしつつあるように見えます.と安心して良いのかどうか分かりませんが・・・・そう期待します.御身御自愛ください!

昨年発生した京マツタケ

 
ところで秋はどうでしょう? 気象庁7月24日発表(少し古い)では、10月の気温は平年より高い確率が40%、雨は少ない確率が40%.マツタケにとっては、暑い「秋」(降水不足)となるかどうかが問題です.
 
 マツタケとアカマツの相利共生関係の人の理解欠如が、マツタケ栽培の難しさに繋がっている!
 
 昭和30年代終わりには、マツタケ生産量の回復不能な大幅減少傾向が見られるようになった.生産者もそのことを理解をしていた.マツタケの発生環境整備プロジェクトは、濱田先生領導の元に、その頃始まったと言える.研究懇話会の発足である.
 
 マツタケ生産林家に発生環境整備作業を始めていただこうと、林野庁の肝いりで全国13府県の林業試験場を中心として事業が展開された.しかし、当時、林家は里山林から資源を搾取するという関わり方しか持ち合わせていなかったため、マツタケはおのれ生えするもの(天の恵み)で栽培とか手入れの必要性を理解するセンスはなく、その浸透には困難を伴った.
 そのような中、取り組んだ林家は、一気に理想とする林をつくりあげ、マツタケの生活環境を破壊した.そんなわけで、この事業の成功例は少なく、多くの林家の評価は手を入れたら生産量が落ちるというものであった.ために、このプロジェクトは、中途半端に終了している.
 
 もちろん、研究者の林地栽培の理解も不十分であったことも事実である.発生環境整備作業が、林の環境改善にどのように繋がるのか、マツタケの生活に与える影響を充分に考慮していなかったと思える.しかし、現在では、作業の中身が検討されていて、1本でもマツタケが発生するアカマツ林の手入れは、100%の効果を発揮している.
 
 言い訳がましいが、実験室内でマツタケ子実体(きのこ)を得られないことや野外での実験には大きな制約を伴うために、子実体形成の解明が困難である.未だにそうである.人工栽培(寄主樹なしにきのこを得る)の実現に努力する技術者も日夜その成功に向けた研究をしている.
 今のところ成功にはほど遠い.まぐれできのこができることを期待している.子実体を得られる成功例は、唯一林地栽培法のみである.僕は、両者の研究が、連携してことを進める必要性を感じている.

 マツタケ栽培の難しさは、室内で様々な実験の取り組みができないため、寄主樹(例アカマツ)とマツタケの相利共生関係の解明が進まないからだ.共生とは1種の生物では持ち得ない機能を関係する生物種達が共有する生物戦略である.アカマツとマツタケは相当古くから共生関係を維持しているため互いに依存するところがあって、両者共その生物学的属性に何らかの変化が生じている.この変化には関係する生物種の有り様によって色々あり、単独生活に支障があったりもし、なかなかその実態を捉まえにくい.

 ここで、アカマツとマツタケの相利共生(親和性)の有り様を見てみましょう! アカマツは、マツタケフリーでも生きていけるが、マツタケはアカマツが無いときのこをつくらない.掲載した図は簡略化しいるが、その解説はできるだけ省きます.質問があれば、是非下記メールにて連絡下さい.

マツタケとアカマツはこのようにして共同生活をする.

共生関係といえども、安定した関係ではない.濱稔曰く、両者は恋愛に似ている.

では、林地でマツタケを栽培するにはどうすればいいか!
 ①いつまでその林でマツタケを採取したか調べる.去年は採れた.不作で去年はダメだったか2~3年前には採れた.
 ②1の条件にあう山には、マツタケ発生環境整備作業(以下 手入れ)を実施する.
 ③穏やかに、手入れを施す(これは必ず守る).マツタケの生活に適う高等植物の密度調整と林床の有機物除去をする.
 ④不明の時は、マツタケの林地栽培の研究者に相談をする.

林床の有機物は、マツタケにとっては、一番の大敵.土壌の富栄養化を引き起こす.  

 
 
【お知らせ】

1)8月25日(土)岐阜県可児郡御嵩町 職員数名見学

2)まつたけ山復活させ隊 祝第650回兼暑気払い
 【開催日】8月31日(金)例会 
  【場所】香川山BC
      2005年6月に結成されたまつたけ山復活させ隊(旧マツタケ十字軍)は、8月31日で第650回の開催になります.
      就きましては、暑気払いを兼ねて祝いたく存じます.すべての関係者の皆様のご出席を乞い願うものであります.
      午前中は、祝宴準備.もしくは山作業並びに濱稔の碑詣でをいたします.
      昼食時から「祝いの宴」となります.
  【会費】2000円.酒類は、提供されませんので、必要な方の持ち込みになります.

3)8月31日 岐阜県立森林文化アカデミー教員 津田 格さん他1名見学

4)京都園芸倶楽部主催 講演会
【日時】9月27日(木) 午後1時30分~午後3時
【場所】京都府立植物園内 植物園会館2階研修室 70歳以上の方は植物園入園料が無料(氏名・年齢証明証提示)、70歳未満の方は植物園入園料200円が必要.
【演題と演者】人とアカマツ林とマツタケ -マツタケは林地栽培できる-  吉村 文彦 
       1930年代のマツタケの生産量は7582t/年 、直近の10年間のそれは56t、30年代の実に0.74%に激減である.その原因をマツタケの生理・生態、生息地の問題やアカマツとマツタケの共生関係などから探ると共に、まつたけ山復活させ隊の林地栽培の成功例を紹介する. 

5)京都御苑きのこ観察会並びに第46回顕微鏡観察会 
【日時】9月30日(日) 午前9時30分~12時  観察会(於旧閑院宮邸):13:30~15:00
【場所】京都御所 堺町休憩所集合(間之町口 地下鉄烏丸丸太町駅下車すぐ)
 主催者は京都御苑きのこ会(世話人 佐野修治氏)  HP(http://gyoenkinokokai.web.fc2.com/)参照下さい
 参加料は無料、事前申込不要.京都御苑は国民公園です.動物・植物・菌類の採集は禁止されています.

§主 催

まつたけ山復活させ隊

Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学;マツタケ生物学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27

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