そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



バベル スタンダードエディション

ギャガ・コミュニケーションズ


やっと観た。
この春、大本命と言われつつアカデミー作品賞を逃した「バベル」
菊池凛子が助演女優賞にノミネートされて話題となった「バベル」
やっと観た。

感想。

とても良かった。
いや、良かったというか、良く出来ていた。
バベルの塔が意味する主題をきっちり描ききっていた。
この何とも言えないやるせなさ。
人が背負った宿命、十字架。
それをきっちり描ききっている。

でも。
でも、なのだ。
こりゃアカデミー作品賞は獲れんわ、という感じ。
こういった手法の映画の限界、というか、期待値の高さに対して結論が曖昧だったときのガッカリ感、というか、「何がどう結びついていくの」という目線が付きすぎるゆえ結末があざやかじゃなかったときに損をしてしまう、というか、そういう感じ。

とにかく。

製作者はきっちり作りたいものを作りきっているんだけど、観客が勝手に期待するあざやかな結末までは到達しないため、モヤモヤしちゃう感じが、こりゃアカデミー作品賞は獲れんわ、という感覚になって終わっている。
まぁ、アカデミー賞なんて要らないんだけど。
映画としては傑作だと思うから。
だって、全く飽きずに最後まで観られたもん。
それだけで十分、素晴らしい。

とくに僕はモロッコのライフルを撃つ子供のシークエンスが好き。
なんかもう、とことんやるせないので。
もちろん聾唖の女子高生という菊池凜子のシークエンスも心に響くが、やるせなさではモロッコの子供が上だろう。
やるせなさ指数的には、モロッコの子供>メキシコの乳母>菊池凛子>>>>>ブラピとケイト・ブランシェット、の順。
どうやってもアメリカ人夫婦がいちばんやるせなくないという「社会的強者は強し」「先進国が強者」という読後感が、まぁそりゃそうだとしても、実は勿体ない。
僕だったらケイト・ブランシェットが死ぬ結末にしてるかなぁ。
そうしたら、4つのシークエンスそれぞれのやるせなさが、いい感じにバランス取れるのに。

まぁ、なんにせよ、良く出来ている。

でも、とにかく、モロッコのガキがやるせない。
可哀想に。
マジ可哀想だ。
あいつはいちばん損している。
ま、映画を観れば分かる。
実は映画の冒頭に展開されるあいつのマスターベーションがいちばんやるせないのだ。
ああ、やるせないぞ。
そういう意味で、すごい映画だ。
星4つ半。★★★★1/2

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